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カッコいいヒーロー漫画おすすめ11選【王道からダークヒーローまで】

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正義のために戦うヒーローは、いつの時代も僕らの憧れ。今も、あらゆるフィクションで、新たなキャラクターが生まれ続けています。今回は多極化する漫画のヒーロー達を、王道ヒーロー/ダークヒーロー/変わり種に分けてご紹介。多くの人々の尊敬を集める存在から、社会に背を向けつつも自らの正義を貫く存在まで、ヒーローたちの魅力に迫ります!

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まずはココから!王道ヒーロー漫画

『僕のヒーローアカデミア』

僕のヒーローアカデミア 1

ヒーローに最も遠い少年がヒーローを目指す!心に熱く響く王道ストーリー

『僕のヒーローアカデミア』 1~20巻 堀越耕平 / 集英社

世界中で「超常」が発見され、原因が分からぬまま人類の8割はなんらかの特殊体質を持つ“超人社会”となった時代。主人公の緑谷 出久(みどりや いずく=デク)はヒーローに憧れながらも、先天的“無個性”に生まれ、周囲からバカにされる日々。ヒーローになるため、難関・雄英高校の受験を控えたある日、デクは憧れのヒーローであるオールマイトと運命の出会いを果たします。個性のないデクですが、ヒーローにとって最も大事なものを持っていることに気がついたオールマイトは、デクに自分の個性「ワン・フォー・オール」を継承したのです。

少年ジャンプらしい「友情・努力・勝利」なバトルもの、そして、ヒーローらしさからは程遠いデクが、師や仲間に支えられ、ライバルと切磋琢磨してヒーローになっていく展開が胸アツです。本作は「ヒーローにとって大切なことは何か、何がヒーローをヒーローたらしめるのか」ということを、キャラ達に、そして読者に問いかけてきます。影に日向にヒーローのタマゴたちを支えるオールマイトは、コミカルながらも最高にカッコよく、まさに理想のヒーロー! 彼の身体の限界ゆえの親心も感じられて、グッとこみ上げるものがあります。

雄英高校の校訓「Plus Ultra(更に 向こうへ)」は、まさにこの作品を象徴する言葉。いま最も注目の、熱くて感動できる王道少年漫画です。

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『ワンパンマン』

『ワンパンマン』

『ワンパンマン』 1〜17巻 ONE・村田雄介 / 集英社

どんな強敵もワンパンチで倒す規格外のヒーロー

数多くのヒーローが登場する本作。しかし、かっこよくデザインされ、さまざまな能力を持った数多のヒーローズを差し置いて主人公を務めるのは、スキンヘッドに三白眼で、超シンプルな自作ヒーロースーツを身につけるサイタマ。地味なルックスとは裏腹に、他者を寄せつけない強さを持った破格のヒーローです。

就活で悩んでいた学生時代に怪人カニランテと戦い、ヒーローへの道に目覚めたサイタマ。そこから3年、ハゲるくらいに死に物狂いで特訓し、彼は無敵のパワーを身につけます。街をまるごと破壊するような巨大な怪人も、パンチ一発で撃退。自分のあまりの強さに、戦いに緊張感が持てなくなるほどでした。

そんなサイタマの強さに憧れ、弟子入り志願してきたのがサイボーグヒーローのジェノス。二人はヒーロー協会に所属し、プロヒーローとしての活躍を始めます。ヒーロー協会は、C級からS級までランク分けしたヒーローを、それぞれの力に応じた事件に投入する組織。超能力少女・旋律のタツマキや、拳法の達人・シルバーファングら強力なヒーローがいるS級に、ジェノスは一発昇進。逆にサイタマはC級からのスタートで、プロになったにも関わらず、全く有名になれませんでした。

この有名じゃないというのがポイントで、S級も手こずるような強敵を、サイタマは誰にも知られず倒していきます。もちろん技はパンチのみ。サイタマが本気を出すシーンは数えるほどしかありませんが、「マジ殴り」の迫力は4ページぶち抜きで描かれるほど。かっこいいS級ヒーロー達の戦いも、その一発でかすんでしまいます。

敵キャラも魅力的で、人間から怪人になり、ヒーロー狩りを始めるガロウはその筆頭。自分より実力が上のヒーローにあえて挑み、敗北を繰り返しながら強さを磨いていくストイックなキャラです。ストーリーが進むと、怪人協会なる組織が出現。ヒーロー達の脅威となっていきます。

シリアスなバトルの合間にギャグが混ざり、サイタマのとぼけた魅力も相まって、笑いどころも満載というバランスのいい作品。2015年にTVアニメ化され、2019年4月からはTVアニメ第2期の放送が決まっています。

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『1000円ヒーロー』

『1000円ヒーロー』

『1000円ヒーロー』 1〜4巻 焼き芋ハンサム斎藤 / 小学館

1秒戦うのに1000円。ヒーロー史上最もコスパが悪い?

変身して戦うのには「ヒーローベルトへの現金チャージが必要」という、変わった設定の作品です。

主人公の日朝千(ヒアサセン)は、変身1秒につき1000円かかるレート1000のヒーロー。レート1でも熊に勝つことができ、レート100はたった一人で戦争を止められるというヒーローの中で、千はレート1000唯一の存在です。

しかし、普段の姿は極貧の高校生でした。小学4年生の妹と二人暮らしで、最愛の妹に不自由のない生活をさせるため、バイトに明け暮れる日々。正義の心に燃えてヒーロー活動したくても、所持金がないので活動時間は極めて短くなります。節約心が詰まった「0.1秒100円パンチ」は、敵がやられたのに気づかないほどの瞬殺技です。

基本的には千が住む街が舞台で、怪人が起こした事件に身近な人々が巻き込まれるのを救うというストーリー。やがて、千のクラスにレート10のヒーロー・エッジマンこと威借刃(イカリジン)が転校してきて、ともに活動することに。刃はシャツのボタンを全開にして上半身を見せびらかすような変態ですが、ヒーローとしては正統派。おバカだけどかっこいい、愛すべき男です。

コミカルな展開もありつつ、実は泣きどころが多いのが本作の特徴。その理由は、怪人の生まれ方にあります。本作における怪人は、人間が変わり果てた姿なのです。愛する娘や恋人に会えなくなってしまった怪人の悲劇や、自分の姉が怪人となり、悲しみをこらえて戦うヒーローが登場し、切ない物語が展開します。

千のヒーローネームがずっと明かされないのも、気になるポイント。第3巻のラストで初めてその名が登場します。果たしてその名前とは…!?

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『AUTOMATON』

『AUTOMATON』

『AUTOMATON』 1〜2巻 倉薗紀彦 / 講談社

遠隔操作によるメカだけど、活躍はとても人間くさい!

AIロボットが普通に街で働く近未来を舞台にしたヒーローアクション。緻密な設定と、アメコミにも似た確かな画力によって描かれる硬派な作品です。

主人公は、平凡な高校生・由河明(ユカワアキラ)。世界最大規模のロボティクス企業ロック社のCEO・トマ・ロックと出会ったことから、装甲戦闘機体“オートマトン”のパイロットとして活躍することになります。

オートマトンは、たくましいボディを持つ人間型の戦闘兵器。精神転送技術によって、アキラはそれを遠隔操作するのですが、感覚的には自分がオートマトンの体に入り込んだのと同じ。絵柄的にも、まるでオートマトンがアキラ自身であるかのように人間味溢れる表情で描かれていきます。

アキラの活躍はワールドワイド。普段は日本の高校に通いながら、呼び出しを受けるとジェット機に乗って1時間でメキシコ湾へ、なんてことも。テロリストと戦うこともあれば救難活動をすることもあり、仕事は多岐に渡ります。ロック社にはもう1機、サンダーというパイロットが操縦する「ブランデンブルク」があり、穏やかな性格のアキラと、イケイケのサンダーという2人の対比も面白いところ。実戦では指揮官となるCEOトマ・ロックや、メカニックの美少女・メーティスなど、脇キャラも個性的です。

第2巻になると、ロック社最大の敵“シヴァ”の存在が明らかに。戦いのテーマとなるのは、AIの進化は人類にいかなる影響を及ぼすか、ということ。未知なるテクノロジーを駆使した敵を相手に、アキラとオートマトンの戦いは激しさを増していきます。SFとしてもレベルの高い作品です。

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『強殖装甲ガイバー』

『強殖装甲ガイバー』

『強殖装甲ガイバー』 1〜32巻 高屋良樹 / KADOKAWA / 角川書店

35年を越える長期連載の正統派ヒーロー漫画

1985年に連載がスタートし、今も継続中の息の長いヒーロー漫画です。

世界征服を企む秘密結社「クロノス」。その秘密基地に実験体として囚われていた男が、3つの「ユニット」を奪って脱走するところから物語は始まります。男は追っ手に追いつめられて自爆。爆風によって飛ばされたユニットの一つを偶然拾ったのが、高校生の深町晶(フカマチショウ)でした。

そのユニットこそが、殖装体ガイバー。生体装甲として人間を覆い、脅威の力を発揮するシステムです。その日から晶は、次々と現れる「クロノス」の追っ手と、果てしない戦いを繰り広げていくことになります。

「クロノス」は、遺伝子操作によって人間を怪物化させる「調製」と呼ばれる技術を持っていました。「調製」された人間はまがまがしい姿をした「獣化兵(ゾアノイド)」となり、脳波をコントロールされます。ガイバーとゾアノイドの肉弾戦と、少しずつ明らかになる「クロノス」の謎が本作の魅力です。

生体兵器であるガイバーは、武器も生物としての生々しさを伴っています。その典型が胸から発射されるレーザー砲。両手で胸の装甲をベリッと剥がして、体内を露わにし、そこからレーザーを放つのです。また、晶以外のガイバーも登場。こちらはダークヒーロー的存在で、彼の戦いも物語の軸になっていきます。

長期連載とあって、ストーリーは複雑。晶の味方だった存在がやがて敵となったり、「クロノス」も一枚岩ではなく幹部の反乱があったりと、人間関係が動いていきます。また、比較的早い段階で「クロノス」が世界征服を成し遂げてしまうのも面白いところ。悪の組織が支配する世界は、意外と平和だったりするのですが、そんな中で晶は自分が信じる正義のために戦い続けます。

残念ながら、現在は連載休止中。物語は未完なので、今のうちに追いついておくのもアリですよ。

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『ULTRAMAN』

『ULTRAMAN』

『ULTRAMAN』 1〜12巻 清水栄一 / 下口智裕 / ヒーローズ

ウルトラマンやウルトラ兄弟を知っていると、より面白い

あの特撮番組「ウルトラマン」の世界観を引き継ぐヒーロー漫画。主人公の早田進次郎は、かつて科学特捜隊のメンバーでウルトラマンに変身して戦っていた早田隊員を父に持つ高校生です。

ウルトラマンが生まれ故郷に帰ってから数十年、異星人や怪獣の襲撃を受けることなく、平和が保たれている地球。父からウルトラマンの因子を受け継いだ進次郎は、人並み外れた体力の持ち主でした。ある日、彼の前に異星人が現れ、「その力はこの地球にあってはならないモノ」だと言い、問答無用で襲いかかってきます。それを救ったのは、強化スーツを身にまとった父でした。父の秘密を初めて知った進次郎は、これも秘密裏に存続していた科学特捜隊に招かれ、「ウルトラマンになってもらいたい」と依頼されます。

本作におけるウルトラマンは、変身したり巨大化したりするのではなく、強化スーツを着用して戦う存在です。地球人に紛れ込んで暮らす宇宙人が起こす事件を解決するのが、その仕事で、ストーリーは現代的。その上で、「ウルトラマン」やその後のウルトラ兄弟の物語を知っていると、より楽しめる構成になっています。

たとえば、進次郎の最初の敵となるのがベムラーだったり、強化スーツからスペシウム光線を発射することができたり、科特隊の幹部としてウルトラマンの最後の敵となったゼットン星人がいたり、もう一人のウルトラマンとなる隊員の名が諸星弾(モロボシダン)だったりと、ウルトラマンファンの心をくすぐります。

作画力も高く、アクションも見応えあり。2019年には3DCGによるアニメ化が決定しています。

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人気沸騰中!ダークヒーロー漫画

『ZETMAN』

『ZETMAN』

『ZETMAN』 1〜20巻 桂正和 / 集英社

ヒーローの戦いがきれい事だけでなく描かれていく、硬派な1作

『ウイングマン』『I”s(アイズ)』といったヒット作を持つ桂正和先生が放つヒーロー漫画。「正義とは何か?」をとことんまで追求し、清く正しいばかりでは成し遂げられないヒーローの役割を、重厚なタッチで描いた作品です。

主人公は、父も母もなくホームレスの老人と暮らしている少年・ジン(神崎人)。彼の正体は、巨大企業アマギコーポレーションの極秘研究機関で生み出された人工生命体「Z・E・T」で、彼を育てた老人は産みの親の博士でした。アマギコーポレーションが行方をくらました2人を探す中、ジン達の小屋を異形の怪物が襲撃。敬愛する博士が殺され、そこから、ジンの果てしない戦いが始まっていきます。

ジンを精神的、肉体的にとことんまで追いつめ、Z・E・Tとして覚醒させようとするアマギコーポレーション会長・天城光鎧(アマギミツガイ)。彼の目的は、アマギコーポレーションの研究機関から逃げ出した異形の怪物・プレイヤーを、ジンに駆逐させることでした。冒頭でジンと博士を襲ったのもプレイヤーの一人。彼らは人間に姿を変え、社会に紛れ込んで生きているのです。

また、本作にはもう一人の主人公というべきヒーローが登場します。それが、アマギコーポレーションの御曹司・コウガ(天城高雅)。アマギが開発した強化スーツを着て、彼もまたプレイヤーと戦うことになっていきます。正義の力を過信し、時に暴走することもある男で、その熱さが時に悲惨な結果をもたらすことに。

ジンとコウガ。二人の少年の成長を描きつつ、アマギコーポレーションという企業の闇の部分に光をあて、さらにプレイヤーという人工生命体の人間への反逆というテーマも含んだ本作。本当に戦うべき敵は、誰なのか? 常人を超えた力を持つことになった少年たちの葛藤は、本当に読み応えがあります。また、二人を取り巻く女性キャラがとてもかわいく、そこも桂先生の作品ならではの魅力です。

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『TIGER MASK -シャドウ・オブ・ジャスティス-』

『TIGER MASK -シャドウ・オブ・ジャスティス-』

完結『TIGER MASK -シャドウ・オブ・ジャスティス-』 全2巻 長田悠幸 / 小林且典 / 梶原一騎 / 辻なおき/ 講談社

近未来を舞台にした、もう一つのタイガーマスク

往年の名作『タイガーマスク』を下敷きにしたヒーロー漫画。人々が認める正義の組織「タイガーズネスト」にあえて反逆し、自らが信じる正義を貫くダークヒーローの姿を描いた作品です。

物語の舞台は、特殊能力に覚醒した人間が数多く存在する近未来。さまざまな特異形態(アンリミット)を持つ彼らは“アザーズ”と呼ばれ、犯罪者が続出しました。それに対抗して生まれたのが、ヒーロー団体「虎の穴(タイガーズネスト)」です。犯罪の現場に踏み込んだり、逮捕した犯罪者をリングに上げたりして、TV中継される中でヒーローが鉄槌を下す「ネストショー」は、多くの人々に支持されていました。

主人公・タイガーマスクこと伊達直人は、そんな「タイガーズネスト」に反旗を翻す孤高のヒーローです。実は、「タイガーズネスト」が守るのは、富める人々が住む新都ヘブンリィだけ。伊達直人はヒーロー不在の旧都(スラム)の孤児院で働きながら、タイガーマスクとして街の平和をたった一人で守り続けていました。タイガーマスクの活躍をよく思わない「タイガーズネスト」は卑劣な罠をしかけ、彼を犯罪者に仕立てあげます。

直人が「タイガーズネスト」の育成機関出身だったり、孤児院と深い関わりがあったりと、元祖『タイガーマスク』の設定を活かしながら、反骨のヒーロー像を描いていく本作。タイガーマスクの黄色いボディとマスクは、怒りに我を忘れた時、黒く変わり、力が暴走します。直人がかかえる闇の部分も、作品の大きな魅力です。

『TIGER MASK -シャドウ・オブ・ジャスティス-』を試し読みする

『仮面ティーチャー』

『仮面ティーチャー』

完結『仮面ティーチャー』 全4巻 藤沢とおる / 集英社

仮面姿でバイクにまたがる謎の教師が、荒れた学校に降臨する

『GTO』の藤沢とおる先生による学園漫画。タイトル通り、仮面を付けた教師が登場。荒れ果てた学校を、強硬な手段で更生するダーティヒーローとして活躍します。

物語の舞台になるのは、東京都下にある極蘭高校。都内の超問題児が集まり、“東京の不良墓場”と呼ばれていました。主人公・荒木剛太は、歴史の教師として赴任。特に荒れていた2年C組の担任になります。

2年C組は男子ばかりで不良揃い。荒木が教室に入ると全員が喫煙し、マージャン卓を囲む者も。荒木はいきなり殴られ、4階の教室から転落します。すると放課後、彼らの前に仮面と黒スーツの男が出現。彼こそが荒木とともに極蘭に赴任し、副担任になった十文字隼人、仮面ティーチャーでした。

自分は「素行不良生徒の更生専門の教師」という十文字。その指導はずばり“喧嘩”です。生徒達に武器まで持たせて攻撃してこいと煽り、常人離れした身のこなしで攻撃をかわしては、サッカーボールやバスケットボールを使って彼らをK.O.。負けた生徒の頭に恥ずかしいソリコミを入れ、不良達を抑えつけていきます。

生徒達とコミュニケーションを取って、彼らの心の闇に手を延ばそうとする荒木と、体を張って生徒達の不満を解消させていく十文字。仮面ティーチャーだけでなく、両方が学園のヒーローなのです。暴力的解決を図るのではなく、全4 巻で見事に生徒達を更生。さらに続編として『仮面ティーチャーBLACK』全5巻も刊行されています。

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こんなヒーローも!? 変わり種ヒーロー漫画

『正義の味方の作り方』

『正義の味方の作り方』

『正義の味方の作り方』 1巻〜 松峯大樹 / 小学館

凡人だけど、心はヒーローより熱い刑事が主役

ここからは変わり種のヒーロー漫画を紹介します。まずは、ヒーローに関わる事件を担当する刑事の物語。

本作の世界には、「超人風邪」という病気が存在します。それは誰もが一生に一度だけかかり、発症した数割が超人として覚醒するというもの。つまり、ものすごい数の超人が人間社会に存在しているわけです。それに対して政府が取った政策は、超人を厚く保護して、犯罪行為に走らせないことでした。そして数多くのヒーローが生まれます。

主人公・遠山誠は、超人風邪にかかりながらもヒーローとして覚醒できなかった“凡人”。ヒーローへの憧れとコンプレックスを合わせ持つ新人刑事です。彼が配属された公安6課は、ヒーロー絡みの事件を扱う部署。問題行動をするヒーローを取り締まる一方、ヒーローの不敗神話を守るために、陰ながら戦いを支えるのが主な仕事です。

遠山が最初に関わったのは、「ビッグマウス」というヒーローの案件でした。確かに悪はやっつけますが、事件の被害者の救助は一切せず、

「正義に犠牲はつきもの」

というひと言で一般人を犠牲にし続けます。そんなビッグマウスに、

「お前は…正義のヒーローなんかじゃない。ただのていのいい悪党だ!」

と怒りを露わにする遠山。“凡人”の彼は、ヒーローよりヒーローらしい男なのです。

そしてもう一人のヒーローが、遠山の先輩刑事・天守景三。自らの肉体に与えられた痛みを力に変える異能力の持ち主で、普段はひょうひょうとしていますが、やる時はやる男です。

そんな遠山&天守コンビが、巨大な事件に関わり始めたところで第1巻は終了。今後の展開が楽しみです。

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『ヒーローめし』

『ヒーローめし』

『ヒーローめし』 1巻〜 石田敦子 / 集英社

特撮やアニメのヒーローにちなんだメニューが続々登場する

本作には、いわゆるヒーローは一人も登場しません。アニメや特撮のヒーロー物に登場するメニューを、二人暮らしの兄弟が再現していくという物語です。

主人公は、大学生の涼太と小学生の誠也の若月兄弟。アニメの演出家だった父を亡くし、母はずっと以前に離婚して海外へ。兄弟は力を合わせて、二人だけで生きていくことになりました。

アニメの仕事一筋30年という父の仕事部屋には、アニメや特撮のDVDがいっぱい。父の死後、誠也は仕事部屋にこもってそれらを観るばかりで、食事を取ろうとしません。心配する涼太に、誠也がぽつりと言ったのは「ヒーローのごはん」が食べたいというひと言でした。

子供が好きそうということで、普通のカレーを作ってみた涼太。すると誠也が、

「そのカレー キレンジャーのカレー? ウルトラマンのカレー?」

と尋ねてきます。「秘密戦隊ゴレンジャー」のキレンジャーはカレー好きで有名。「ウルトラマン」にはカレーを食べていたハヤタ隊員が、カレーのスプーンを変身道具と間違えてしまうエピソードがあったのです。「ヒーローめし」で父の死の悲しみを乗り越えた2人は、いろいろなメニューに挑戦していきます。

描かれる料理は、父の影響を受けた誠也が興味を持つ、「ルパン三世 カリオストロの城」のミートボールスパゲティ、『キン肉マン』の牛どんなど、懐かしの名作ゆかりのメニューがほとんど。元ネタを知っている世代にはたまりません。また、一緒に料理することによって絆を深めていく兄弟の心温まる物語としても魅力的です。

『ヒーローめし』を試し読みする

終わりに

今回紹介した作品を改めて読破してみて思ったのは、今のヒーロー像は実にバラエティ豊かだということ。また、一つの作品に複数のヒーローが登場することも、珍しくなくなってきました。正義のために戦うと言えばかっこいいですが、じゃあ、正義ってなんなの? と問いかける作品が多いのも現代性でしょう。それでも、信念に従って戦う凜々しい姿は、永遠不滅。ヒーロー漫画を思いっきり楽しんでください!

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