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  • 小説あります
    3.6
    N市立文学館は財政難のため廃館が決定した。文学館に勤めていた老松郁太は、その延命のため、展示の中心的作家・徳丸敬生の晩年の謎を解こうと考える。30年前、作家は置き手紙を残して行方不明となっていたのだ……。謎解きの過程で郁太は、文学館の存続を懸けて「人はなぜ小説を読むのか」という大きな命題に挑むことに。はたして、主人公がたどり着いた結論とは!?
  • 戦国と幕末
    3.6
    日本全土にたくましいエネルギーが満ち、人々が熱い血をたぎらせた戦国と幕末は、武力、智力にずば抜けた英傑、俊才が輩出した時代であり、人間味豊かな人物が生まれた時代だった。天才的な戦術家の福島正則ら戦国時代の武将たち。忠臣蔵で末代まで名を残した赤穂義士。町奴として男伊達を貫いた幡随院長兵衛。幕末新選組の土方歳三、永倉新八など、深い洞察とユニークな史観で、転換期の男の生き方を綴った歴史エッセイ。
  • 四十八人目の忠臣
    3.6
    四十八番目は歴史に名を残した思いがけないあの女性! 愛する磯貝十郎左衛門と浪士達のため、討ち入りを影から助け、その後 浪士の遺族の赦免、赤穂浅野家再興を目指し、将軍家に近づいた実在の女性。 まったく新しい「忠臣蔵」の誕生。 <目次> 牛天神 鉄砲洲上屋敷 あぶれ者 尼ふたり 凶兆 驚天動地 恋の行方 新妻 十女十色 怒濤の日々 討ち入り 生か死か 女だからできること 月光 忠義と恋のはざまでゆれる江戸の一女性の目と五感にこだわることが、 すなわち、「私の忠臣蔵」
  • 猫見酒
    3.6
    商売物のうなぎに愛着を感じ、うなぎを殺せなくなった長八は、南念和尚に相談し、「ご天寿うなぎ」なるものを考案した。それは江戸で大流行するが……。落研出身の著者による、古典落語、オリジナル落語をベースとした江戸人情噺。

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  • 鬼平犯科帳の世界
    3.6
    『鬼平犯科帳』の主人公・長谷川平蔵は実在の人物。その生みの親、池波正太郎氏が直接に語るシリーズのエピソードをはじめ、登場するほとんどの人物を網羅した「鬼平犯科帳人名録」と「鬼平一家WHO'S WHO」、平蔵たちが活躍した18世紀に、実際ひとびとがどんな暮らし方をしていたかを詳細に紹介する「市井事情Q&A」、「鬼平の時代」、「江戸ショッピング案内」──と、何から何まで<鬼平>と<江戸づくし>でお届けする、「鬼平事典」の決定版。
  • 妻は、くノ一
    3.6
    失踪した美貌の新妻、織江の正体はくノ一だった。国破りを企てる元藩主の懐刀と公儀隠密のくノ一、夫婦の契りを結びながらも会うことを許されない彦馬と織江のせつなく燃える愛。
  • 賊将
    3.6
    幕末には〔人斬り半次郎〕と恐れられ、維新後はわが国最初の陸軍少将となり、最後は西郷隆盛をかついで西南戦争に散った快男児・桐野利秋を描いた表題作。10年に及ぶ戦乱に何らの力も発揮出来ない将軍・足利義政の苦悩を刻んだ直木賞候補作の中編「応仁の乱」。表と裏の顔を兼ね備えた人間という生き物のおかしみを捉えた「秘図」など6編。直木賞受賞直前の力作を集めた短編集。
  • 映画を見ると得をする
    3.6
    なぜ映画を見るのかといえば……人間はだれしも一つの人生しか経験できない。だから様々な人生を知りたくなる。しかも映画は、わずか2時間で隣の人を見るように人生を見られる。それ故、映画を見るとその人の世界が広がり、人間に幅ができ灰汁がぬけてくる。その逆に映画を見ようとしない人は……。シネマディクト(映画狂)の著者が映画の選び方から楽しみ方、効用を縦横に語りつくす。

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  • まんぞく まんぞく
    3.6
    深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。それは、十六歳の時、浪人者に犯されそうになり、家来を殺された堀真琴の、九年後の姿であった。真琴は、敵討ちを心に誓って剣術の稽古に励んだ結果、剣を使うことが面白くて仕方なくなったのだが……。女剣士の成長の様を、絶妙の筋立てで描く長編時代小説。
  • 妖かし斬り 四十郎化け物始末 1
    3.6
    元は江戸屋敷勤番の侍だった月村四十郎。この男、からすにつきまとわれているため“からす四十郎”と綽名されている。病気の妻を抱え、用心棒稼業で糊口をしのいでいたが、借金は増えるばかり。易者に「死相が出ている」と言われ自棄になった彼は、礼金は高いが用心棒仲間も嫌がる化け物退治を引き受ける。油問屋に巨大な人魂が出るというのだ。だがその人魂の正体は…。人気著者が放つ、「四十郎化け物始末」シリーズ第1弾。
  • 新装版 忍びの女(上)
    3.6
    豊臣家の猛将・福島正則の前に現れた徳川方の女忍者・小たまは、正則を籠絡し、巧みに城内に入り込んだ。探索をはじめた小たまは、武辺一方の正則を次第に愛しく想うようになる。豊臣秀吉亡き後、諸大名は自らの野望を抱き覇権をめぐる戦いは必至。ついには関ヶ原での天下を分ける決戦へと向かうのだった。
  • 耳袋秘帖 妖談さかさ仏
    3.6
    処刑される寸前、脱走に成功した仏像専門の盗人・庄右衛門(しょうえもん)は、ある寺で仏像をさかさにして拝む不思議な光景を目のあたりにする。同じころ深川では、売り出し中の美人芸者が姿を消す事件が起き、あろうことか木にさかさに吊られた女の遺体が発見された──。川を上る巨大魚の謎、柳の霊が人に憑くなど、南町奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)のもとに報告される、不可解な事件の裏には一体なにが? 大人気怪奇シリーズ第四巻!
  • 耳袋秘帖 妖談うしろ猫
    3.6
    若い頃は無頼の限りを尽くして悪の道にはまりかけ、しかしいまは「赤鬼」の綽名を持つ南町奉行の根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)。その奉行のもとに、商いの評判が良かったもろこし屋の主人、伝次郎が殺されたとの知らせが寄せられる。現場近くでは、「かのち」という謎の書き付けを残して失踪した大店の若旦那が目撃されるが…。奇談集「耳袋」を千編も書き記した根岸肥前守(=歴史上実在の人物)が、江戸の怪事件を解き明かす好評シリーズ、新展開の第一巻。
  • 戦端 武商繚乱記(一)
    3.5
    大坂・東町奉行所の同心、山中小鹿(やまなか・ころく)は、上役の筆頭与力・和田山の娘をわけがあることを 承知で娶ったにもかかわらず、裏切られてしまう。妻の不貞を許せなかった小鹿は、 義父の和田山に妻を公然と突っ返すという方法に及ぶ。これが原因で、東町奉行所内では、 同僚たちからも距離を置かれて居心地がよくない日々を過ごしていた。 鬱憤をはらそうと大坂の遊郭に足を向けたものの、なぜか客引きをされない。 理由は、大商家が「総揚げ」すべての見世を貸し切っていたからだ。 その商家の名は、淀屋。西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送、売る権利を持ち、莫大な富を得ていた。 淀屋に借金をする大名もあらわれ、参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をするほどの力関係に至る。 幕府も忸怩たる思いで、ついに時の老中首座・土屋相模守が手を打つことに。 一介の同心・小鹿は、商魂たくましい上方の豪商と武士の沽券をかけた争乱に巻き込まれていく。 吉川英治文庫賞受賞作家が送る新機軸の書下ろし時代小説、堂々開幕!
  • 魔食 味見方同心(一) 豪快クジラの活きづくり
    3.5
    魚之進のもとに嫁いできたおのぶは、より積極的に事件の解明に関わるようになった。そして早速、二人で小網町を歩いていると、「クジラの活きづくり」の話を聞きつける。あまりに豪快で突拍子もない料理の仕方に、魚之進は味見方としてほっておけなくなる。奉行の筒井に報告すると死人も出ているという。相談の上、クジラ肉を商う「海獣屋」という店のことを魚之進が調べてみることに……。大人気「味見方同心」、待望の新シリーズ開始!
  • 雨露
    3.5
    ただ、江戸を守りたい。非力であろうと、臆病であろうと——。 二百六十年以上にわたる長き泰平の世で、江戸が初めて戦場になった日。 彰義隊は強大なる新政府軍に挑み、儚く散った。 名もなき彼らの葛藤と非業の運命を描く、号泣必至の傑作! 慶応四年。鳥羽伏見の戦いで幕府軍を破った新政府軍が江戸に迫る。多くの町人も交えて結成された彰義隊は上野寛永寺に立て篭もるが、わずか半日で最新兵器を駆使する官軍に敗北——。なぜ、名もなき彼らは、無謀な戦いの場に身を投じたのか。臆病者の旗本次男・小山勝美ら、若き彰義隊隊士の葛藤と非業の運命を情感豊かな筆致で描き出す、号泣必至の傑作!
  • 元禄一刀流 〈新装版〉 池波正太郎初文庫化作品集
    3.5
    浅野内匠頭の家来、堀部安兵衛と奥田孫太夫に吉良上野介の中小姓である清水一学。同じ一刀流の堀内道場に通いながら、敵味方にわかれざるをえなかった彼らを師の視点から描いた「元禄一刀流」や、新陰流の開祖、上泉伊勢守の戦国武将としての姿を描いた「上泉伊勢守」など、文庫に収録されていなかった作品7編を収録したオリジナル文庫。
  • 江戸の空、水面の風―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    3.5
    大好きだった兄の長太郎を亡くしたお瑛も、今は成次郎と夫婦になり幸せに暮らしていた。そんな時、圭太という男が現れる。料理茶屋『柚木』の新しい奉公人だ。何くれとなくお瑛を助けてくれた女将のお加津は、優しくて手際のよい圭太を褒めちぎる。でも、何かおかしい……お瑛の胸はざわついた。お加津さんは何を考えているの? お瑛は猪牙舟を大川に漕ぎだしていく。好評「みとや」シリーズ!(解説・細谷正充)
  • 辻番奮闘記 危急
    3.5
    将軍家光は、長引く島原の乱鎮圧のため、老中松平伊豆守に討伐の命を下す。不穏な気配は江戸にも漂い、辻斬りが横行。藩内に和蘭陀商館を持つ平戸藩江戸家老は、幕府の疑念を逸らすため、斎弦ノ丞らを辻番に任命し、江戸の治安を護る忠誠心を見せようとする。だが、弦ノ丞は任務初日に剣戟に遭遇し、政争に巻き込まれていく…。藩の窮地を救うため奮闘する辻番達の活躍!
  • 東京、はじまる
    3.5
    1巻1,001円 (税込)
    日本銀行本店や東京駅など、近代日本を象徴する建物を矢継ぎ早に設計した、 明治を代表する建築家・辰野金吾。 下級武士から身を立てるべく学問に励み、洋行して列強諸国と日本の差に焦り、 帰国後はなんと恩師ジョサイア・コンドルを蹴落として 日銀の建築を横取りする……! 周囲を振り回しながらも、この維新期ならではの超人・金吾は熱い志で 近代日本の顔を次々を作り上げていく。 日銀の地下にある意外な仕掛け、東京駅の周辺にかつて広がっていた海の 蘊蓄など、誰もが見慣れた建築物の向こうに秘められたドラマを知ることもできる。 ベストセラー『家康、江戸を建てる』の著者が 「江戸を壊して東京を建てた」辰野金吾を描く、大きく楽しい一代記! ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 錯乱
    3.5
    第43回直木賞受賞作「錯乱」他計5作品を収録した短編集。池波作品を人気を決定づけた「鬼平犯科帳」「剣客商売」な ど江戸の市井人を描き出し人間模様の巧みさは独壇場である。収録作品は表題作「錯乱」「碁盤の首」「刺客」「秘図」「賊将」の5作品。
  • 女だてら
    3.5
    文政11年、漢詩人・原古処の娘であるみちは、若侍に姿を変えた。昨年、秋月黒田家の嫡子が急死し、福岡の黒田本家の専横に対抗できる人物を立てるべく、京、そして江戸へと向かう密命をおびたためだ。女であることをひた隠しにしながら任務に邁進するみちに、兄の友人・石上玖左衛門という心強い旅の道連れができる。だが酒を酌みかわし、心を通わせていく一方で、みちは、彼にも秘密があるのではないかと疑心暗鬼に囚われる。不気味な追っ手の影、錯綜する思惑、巨大な陰謀―聡明なみちは得意の変装術と機転で、危機を切り抜けていくが…。実在した漢詩人・原采蘋の数奇な半生と、秋月黒田家お家騒動の驚きの内幕をスリリングに描いた、圧巻の歴史ミステリー。
  • 我、鉄路を拓かん
    3.5
    1巻1,699円 (税込)
    海の上に、陸蒸気を走らせる! 明治の初めに、新政府の肝煎りで、日本初の鉄道が新橋~横浜間に敷かれることになった。そのうち芝~品川間は、なんと海上を走るというのだ。この「築堤」部分の難工事を請け負ったのが、本書の主人公である芝田町の土木請負人・平野屋弥市である。勝海舟から亜米利加で見た蒸気車の話を聞き、この国に蒸気車が走る日を夢見ていた弥市は、工事への参加をいち早く表明する。与えられた時間はたった二年余り。弥市は、土木工事を生業とする仕事仲間や、このプロジェクト・チームを事実上率いている官僚の井上勝、そしてイギリスからやってきた技師エドモンド・モレルとともに、前代未聞の難工事に立ち向かっていく。来たる2022年10月14日は、新橋~横浜間の鉄道開業150年にあたる記念すべき日。この日を前に刊行される本書は、至難のプロジェクトに挑んだ男たちの熱き物語であり、近代化に向けて第一歩を踏み出した頃の日本を、庶民の目で見た記録でもある。
  • ル・パスタン
    3.5
    池波正太郎の”大好き”がつまった一冊 ル・パスタン――フランス語で「暇つぶし」。 文豪にとり、それは食、劇、旅、幼少の思い出。 さあ「自分のパスタン」を探しましょう。
  • 大奥騒乱 伊賀者同心手控え 〈新装版〉
    3.5
    目に余る横暴、このままにはしておけぬ。田沼意次に反旗を翻した松平定信は、大奥を取り込むことで田沼失脚を画策。腹心のお庭番を差し向ける。危難を察した大奥も黙ってはいない。表使い大島が、御広敷伊賀者同心御厨一兵に反撃を命じた。幕府二大権力、そして大奥女中たちの主導権争いが激化。事態が混迷を極めるなか、忍びの誇りをかけた死闘が始まる! 疾走感あふれる痛快時代活劇。〈新装版〉
  • 恋ほおずき 完全版
    3.5
    女ゆえに、女たちを苦しみの淵から救いたい―― 時は天保、江戸は浅草田原町。恋の痛みをいやしてくれる若き「女医者」がいた。自身も切ない過去を抱え、この道へ進んだ彼女だが、叶わぬ恋に落ちてしまう。あろうことか、子堕ろしを取り締まる同心と……。女たちの悲哀と恋模様を巧みに織りなした時代長篇。新たに最終章を書き下ろした完全版。
  • 吾妻おもかげ
    3.5
    絵師を目指し、安房から江戸に出て十年。菱川吉兵衛は、吉原と芝居小屋という「二大悪所」に入り浸る自堕落な日々を過ごしていた。 狩野探幽への弟子入りを門前払いされたものの、その面目なさから郷里の縫箔屋の跡を継ぐ決心もできずにいたのだ。 そんな中、ひょんなことから吉原の女たちの小袖に刺繍を施すことに。福良雀と笹の葉、波千鳥、吉祥文様の宝珠、玩具の手毬や扇子に草花。 さまざまな美しい意匠を縫い付けながら、吉兵衛は、未来の見えない辛い日々の中でも懸命に明るく生きようとする彼女たちの心の温もりに励まされ、再び筆を執ることを決意する。 だが、ある日突然巻き起こった大火に吉原と江戸の街が飲み込まれ……。江戸の人々の暮らしを見つめ続けた菱川師宣こと吉兵衛が本当に描きたかったものとは? 浮世絵の祖の生涯を描く、人情と愛に満ちた波瀾万丈の浮世絵師小説。
  • 旅路 上
    3.5
    池波正太郎のヒロイン、仇討の旅 彦根藩の勘定方・三浦芳之助が斬殺された。 下手人は御目付方・近 藤虎次郎らしい。 男は逃亡し、藩庁は三浦の若妻・三千代に実家へ戻るようにと沙汰した。 納得出来ぬ三千代は敵討ちのため故郷を出奔、 道中危難に見舞われるが、堀本伯道と名乗る謎めいた老人に救われる。 美しくしなやかな武家の女の数奇な運命を描く傑作長編。
  • ゆけ、おりょう
    3.5
    「世話のやける弟」がいつしか時代の英雄になってしまった――。 坂本龍馬の妻・おりょうの目を通して描かれる、幕末の名場面! 幕末の京都で出会った「世話のやける弟」のような男・坂本龍馬と結婚したおりょうは、夫を呼び捨てにし、酒を浴びるほど飲み、勝海舟にも食ってかかる「妻らしからぬ」振る舞いで周囲をへきえきさせる。 ついには龍馬の周囲から、「龍馬のために離婚してください」とまで迫られる始末。 しかしおりょうは、寺田屋で間一髪龍馬の命を救い、日本で初のハネムーンを敢行。 薩摩へ、軍艦に乗って長崎へ、馬関へ――。 激動の世の中を楽しげに泳ぐうち、いつしか薩長同盟・版籍奉還の立て役者として時代の英雄になってゆく夫。 そして、龍馬亡きあとの20年を彼女はどう生きたのか。 型にはまらない生き生きとした夫婦の姿、意地っ張りで責任感が強く、龍馬に惚れながらも自立した魂が輝く「門井版おりょう」。 現代の女性に響く物語! 解説・小日向えり(歴女) ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 葵の月
    3.5
    西丸書院番組頭を務める立原家の娘、志津乃には、決して忘れることのできない男がいた。かつての許婚の坂木蒼馬は、西丸書院番士であったが、徳川家治の嗣子、家基の死を切っ掛けに突如出奔したのだ。彼を忘れられずにいる志津乃に対し、蒼馬の友人だった男は、蒼馬が家基の暗殺を疑われていることを告げるのだった――。蒼馬が出奔した真相を知るため、志津乃は彼を捜す決意をする。意外な真相が胸を打つ、傑作時代小説。
  • わるじい秘剣帖 : 1 じいじだよ
    3.5
    元目付の愛坂桃太郎は、不肖の息子が芸者・珠子に作らせた外孫・桃子に出会い、その可愛らしさにメロメロになってしまう。孫可愛さのあまり、常に孫を背中に背負って、子守りをする毎日。ところが、日本橋きっての売れっ子、珠子の周囲では、なぜかトラブルが多発。母子を守るため、桃太郎の秘剣が唸る! 待望の新シリーズ始動!
  • 耳袋秘帖 白金南蛮娘殺人事件
    3.5
    渋谷の南、白金あたりで立て続けに、裕福な家の若い娘四人が行方知れずとなった。およそ半月ほど前の話だという。この一件が奉行所には届いていないことに不審を覚えた南町奉行・根岸は探索を命じた。同じ頃、江戸の街のそこかしこで、紅髪碧眼の大柄な娘が目撃された。人を探しているようであったというのだが……。無関係に思えた二つの事件だったが、やがて一つとなっていく。果たしてその真相は?
  • 神君の遺品~目付 鷹垣隼人正 裏録(一)~
    3.5
    五代将軍綱吉自らの推挙で目付役となった鷹垣隼人正暁。ある日、一人の書院番が駿府勤番中の悪行で斬首にされ、三人の子息も切腹となった。疑念を抱き調べる暁を謎の浪人が襲うが、義兄・五百旗平太郎の剣が撃退する。将軍の座を巡り、黒鍬、伊賀、甲賀の忍や妖しの僧兵が暗躍。失われた記録はどこに? 綱吉の許しを得て探索する暁は、平太郎を伴い駿府へ……。
  • 空白の研究
    3.5
    季子が夫の愛人を殺したことは、本人の自白からも、証拠品などからも間違いないらしい。だが、裁判までの過程で、供述に微妙なぶれがあるとして、精神鑑定の依頼を受けた祝田が、犯行時の一瞬の空白を探ってゆくと……。表題作他、心理分析を背景にして描く奇妙な味のミステリー集。
  • この世にひとつの本
    3.5
    「ユーレイが消えた!」――著名な書家の幽嶺が、山奥の庵から忽然と姿を消した。後援していた大塔印刷では、御曹司の三郎に捜索をまかせることに。だが、工場でもあいついで病死者が出るという異常な事態が起こっていた。これは会社存亡の危機だ! いささか頼りない三郎は、有能な社長秘書の南知子と、切れ者ながら史上最速で窓際族になった社史編纂室の建彦の助けを借り、事件を探りはじめる。病死はただの偶然か、それとも無版印刷をめぐる陰謀なのか? そして、一見まったく関係がなさそうなそれぞれの事件は、世界に一冊しかないある書物へと、つながっていき――。「文字」を愛する活字中毒者に贈る傑作ミステリ。/解説=古山裕樹
  • 耳袋秘帖 品川恋模様殺人事件
    3.5
    ここは、人も猫も幽霊も恋に落ちる場所―― 品川の〈恋祓い神社〉で、若い女が燃えて亡くなった。死体は十三年前に亡くなったはずの遊女!? 稀代の難事件に根岸肥前守が挑む!
  • 竹島
    3.5
    日韓両国民必読のコン・ゲーム小説! 口八丁の若者・健哉は、「竹島」に関する江戸期和本を入手。和本の記述が、領土問題の決定的な証拠になると踏んだ彼は、外務省に買い取りをもちかけるが断られ、あろうことか次に韓国側へ和本を買わせようと動く。健哉に翻弄された外務大臣・日下部は、健哉側と韓国側を日韓サッカー戦スタジアムへ招待。そこで日下部が提案した大ばくちとは?
  • 幻の祭典
    3.5
    ヒトラーなぞ糞くらえ! 1936年、ナチス賛美のベルリン・オリンピックに対抗し、水面下で進められていたバルセロナの人民オリンピック。内戦で中止された「幻の祭典」を現代の東京で掘り起こすうち、二人の男はスペイン現代史の秘部に迷い込んでいく。驚嘆のラストまで息もつかせぬサスペンス巨篇。
  • 夢の花、咲く
    3.5
    松本清張賞受賞作『一朝の夢』姉妹篇。あの“朝顔同心”が再び登場! ときは前作から遡ること5年。ひとりの植木職人が殺され、物語の幕が開きます。江戸を襲った安政の大地震、相次ぐ付け火――。朝顔栽培が生き甲斐の同心・中根興三郎は、一見無関係なこれらの事件に潜む真実を暴けるのか?
  • めおと
    3.5
    小藩の江戸留守居役・倉田家に、一人の女が姿を現した。夫・勇之助の、腹違いの妹だと聞かされた幸江は戸惑いながらも迎え入れるが、どこか様子がおかしい。兄妹の間に何か秘密があるのではないか? 女の正体は…。疑惑にさいなまれる若妻を描く「江戸褄の女」をはじめ、「猫」、「佃心中」、「駆け落ち」、「虹」、「眩惑」など、夫婦や男と女のそれぞれの“かたち”を綴る珠玉の全6篇。人気作家の原点を示す、オリジナル傑作時代小説集。
  • 近藤勇白書
    3.5
    幕末動乱のとき、真剣なら無類の強さを発揮する天然理心流の道場主・近藤勇は、志を同じくする土方歳三、沖田総司らと江戸から京に上り新選組を結成、尊皇攘夷、倒幕を画策する長州や薩摩など西南雄藩の活動家と闘う。芹沢鴨一派との内部抗争を経て、京の池田屋に長州藩の過激派を襲い、天下にその名を轟かせるが……。幕府瓦解の前夜、一瞬の光芒を放った新選組。その局長、近藤勇の激闘の日々と隊士との交情を熱く描く傑作。
  • 英雄にっぽん
    3.5
    出雲の富田城主尼子氏に仕えた山中鹿之介は、十六歳の折、伯耆の行松氏との合戦に参加、敵の猛将を討ち取り、勇名を馳せた。だが、虎視眈々と中国地方の統一をもくろむ毛利元就は、凄まじい謀略と圧倒的な軍事力で富田城を攻め落とす。牢人となった鹿之介は艱難のすえ、一城を奪い、織田信長の支援を得て尼子家の再興をはかるが……。“忠誠心”の代名詞として、日本人に愛されてやまない武将の生涯を描く戦国ドラマ。
  • 女だてら 麻布わけあり酒場
    無料あり
    3.5
    聞き上手、料理上手の女将おこうを頼って、わけありの客が集う人気居酒屋。ところが失火でおこうが落命し、彼女に惚れていた常連客の元同心・星川、瓦版屋の源蔵、元大店の若旦那・日之助は途方に暮れる。せめてもの弔いに三人は店の再建を誓うが、思わぬことから火事が付け火である証拠をつかむ……。時代小説の気鋭、待望の新シリーズ第一弾!
  • お順(上) 勝海舟の妹と五人の男
    3.5
    自らの意志を貫き、愛に生きたおきゃんな江戸娘・お順の波瀾の生涯。 兄の剣の師との叶わぬ恋の末、佐久間象山に嫁ぐも・・・。 お順の人生を彩る五人の男たち。 父・勝小吉 初恋の人・島田虎之助 夫・佐久間象山 兄・勝麟太郎(海舟) 謎の剣客・村山俊五郎 さらに松陰、龍馬、土方歳三らも登場する 幕末から明治を描く長編歴史小説 <目次> 第一章 小吉の放ほう蕩とう 第二章 虎之助の野や暮ぼ 第三章 象山の自うぬ惚ぼれ
  • いちばん嫌な敵 妻は、くノ一 蛇之巻1
    3.5
    運命の夫・彦馬と出会う前、長州に潜入していた凄腕くノ一織江。任務を終え姿を消すが、そのときある男に目をつけられていた――。最凶最悪の敵から、織江は逃れられるか? 新シリーズ開幕!
  • 谷中・首ふり坂
    3.5
    養子に入った武家の妻にへきえきしていた男が、初めて連れていかれた谷中の茶屋の女に魅せられ、武士の身分を捨ててしまう表題作。自堕落に暮らしていた息子が、濡れ衣を負って処刑された父の敵を討とうと決心した途端に人柄が変わってしまう「夢中男」。そのほか「尊徳雲がくれ」「へそ五郎騒動」「舞台うらの男」「かたきうち」「伊勢屋の黒助」など、全11編を収める傑作短編集。
  • あほうがらす
    3.5
    人間という生きものの不思議さ、運命のおそろしさ……“ポン引き”の生き方を活写した軽妙洒脱でユーモラスな表題作、忠臣蔵の悲劇の主人公浅野内匠頭の、説明のつけようもない二面性を照射した「火消しの殿」、芝居や映画のヒーローとしてではなく、一人の武士として己れの立場を貫いた男を描く「荒木又右衛門」など、著者の多岐多彩な小説世界の粋を精選した11編を収める。
  • 耳袋秘帖 妖談しにん橋
    3.5
    深川で、西国雄藩の藩士と石川島から戻ったばかりの無宿人が相次いで不審な死を遂げた。二人とも、満月前後の夜に「四人橋(よにんばし)」を四人で渡り、自分の影だけが消えたと言い残していた。そして、そのことがあった一両日中の死だった…。四人で渡ると死人が出る“死人橋”の噂は、江戸の町に一気に広まった。なぜ影が消えるのか? 裏にうごめく悪の正体を、赤鬼奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)が解き明かす! 新「耳袋秘帖」シリーズ第三巻。
  • 勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚
    3.4
    大坂商人、柳生一族の陰謀に巻き込まれる! 時は寛永十三年――江戸城黒書院に呼び出された、惣目付を務める柳生但馬守宗矩。 上段の間の襖が開くと、老中の堀田加賀守より、「役目に奨励をもって、四千石を加増する」との旨が伝えられた。 本禄の六千石と合わせて、ついに一万石となり、晴れて大名となった柳生家。 だが、宗矩の顔は沈んでいた。 大名を監察する惣目付が、大名になっては都合が悪いためだ。 案の定、宗矩は即日惣目付を解かれ、監察される側に回されてしまう。 惣目付時代に買った恨みから、痛くもない腹まで探られてはかなわない。 なにしろ旗本から大名になれば、典令や家政が大きく変わるため、隙を生みやすいのだ。 一族最大の危機から逃れるべく、策を講じなければならなくなった宗矩は、なかでも武士が苦手とする金勘定が危ういと考え、ある秘策を思いつく。 なんと、大坂一と言われる唐物問屋淡海屋七右衛門の孫である一夜を召し出すという。 いったい柳生家と一夜は、どんな関わりがあるのか? 武士となった一夜に、宗矩の嫡男である十兵衛は、柳生家の者として剣術を身につけよと新陰流を指南するが……。 果たして一夜は柳生家を救えるのか? 痛快時代小説シリーズ第一弾!
  • なぜ秀吉は
    3.4
    1巻1,980円 (税込)
    舞台は大坂、京、名護屋...秀吉に巻き込まれる人、人、人。 秀吉暗殺を企てる若き朝鮮人陶工・カラク。神出鬼没の謎の女性・草千代。 博多復興に身を捧げた豪商・神屋宗湛。出兵の先駆けを務めるキリシタン大名・小西行長。 秀吉なき世を構想する・徳川家康。 いま明かされる天下人、晩年の胸のうち。歴史的快挙か天下の愚策か--朝鮮出兵をめぐる圧倒的人間ドラマ。 ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
  • きりきり舞い
    3.4
    『東海道中膝栗毛』の作者・十返舎一九の娘、舞。酒びたりで奇行ばかりの父、押しかけ弟子の浪人や葛飾北斎の娘であるお栄たち居候に翻弄される日々だった。十八歳だというのに縁談はみな父が壊してしまう。そんな舞を武家の若者、野上市之助が見初めた。今度こそ恋が実るか!? 奇人変人に囲まれた娘が懸命に生きる姿を、ユーモアと人情味たっぷりに描く時代連作集。
  • 重蔵始末
    3.4
    火盗改(かとうあらため)・近藤重蔵、21歳。強者揃いの御先手鉄砲組でも際立つ偉丈夫。傍若無人の言動で毀誉褒貶(きよほうへん)半ばする。ロシアの謎の大男、美女のかたき討ち、茶屋の狂歌殺人事件……。寛政の世を揺るがす怪事件を型破りの手法で重蔵が解く。後に北方探検家として名を馳せた奇才を主人公に描く、著者初の本格時代小説。
  • にっぽんの履歴書
    3.4
    第158回直木賞(平成29年下半期) 受賞後第一作! 著者が長年創作のテーマとして考えてきた「歴史と日本人」をこの一冊に。 ――戦前の日本は、お人よしだな。 そう思うことがある。植民地のために人をやり、金をついやし、わざわざ政治的、軍事的困難に足をつっこむ。 そうして台湾のみならず東北アジア地域そのもののなかで出る杭になった末に、あの領土の奪い合いでもない、人民革命ののろしでもない、何だか理由はよくわからないがとにかく日本の膨張が一因らしい対米戦争へずるずる入って行ってしまった。 (「お人よしの台湾統治」より) 新直木賞作家が平成の終わりに考えた「この国のかたち」。 ・元号は平ったく言えば天変地異の占いの道具だった ・植民地経営に乗り出した戦前の日本はお人よしだった? ・宮沢賢治と夏目漱石の文体の「秘密」 ・「艦これ」の隆盛を司馬遼太郎が予言していた!? ・新聞はほろびたという議論は明治時代からあった ・刀は物体、剣は精神である ・女工哀史は本当に「哀」なのか ・人口減少で「邪悪な正義」も減る ほか、 全50篇。 フェイクでもヘイトでもない。この国の豊かな歴史にふれる渾身の歴史エッセイ集。
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有
    3.4
    「その絵がもし贋物なら、見た瞬間、苦みを感じ、本物なら甘みを覚えます」。美術品の真贋をその舌に感じる味覚で見抜く美術コンサルタント・神永美有。 短大の美術講師・佐々木昭友にもたらされた、「ボッティチェッリの『秋』が発見された」との情報、半信半疑で出かけた佐々木だが、同席した神永は絵を見た瞬間、強烈な甘みを感じたという。「秋」はイタリア・ルネッサンス期の巨匠の真筆なのか、それとも手の込んだ贋作なのか?  ボッティチェッリ、フェルメールから正倉院御物、江戸時代の涅槃図まで、美術にまつわる謎を解く5篇。 解説・大津波悦子
  • 灼恋
    3.4
    徳川の中期、将軍綱吉の時代。零落した公家の娘染子は侍女として大奥に出仕する。綱吉に見初められてその寵愛を受けるが、大奥に囚われるのを拒んだ染子は、重臣柳沢吉保の側室となり、綱吉の子を生す。二人の男との三つ巴の関係のなかで激しい恋情に身を焦がす染子。絢爛な元禄の歴史を背景に、権謀術数の渦中でも、志に燃え恋に心解き放つ女と男の、強靭な恋愛を描く長編小説。
  • 東京帝大叡古教授
    3.4
    日本初! 文系の天才博士が事件を解決! 物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる“知の巨人”である。 その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。 時代は明治。殺されたのは帝大の教授たち。事件の背景には、生まれたばかりの近代国家「日本」が抱えた悩ましい政治の火種があった。 他を圧倒する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノ!! 直木賞候補作、早くも文庫化!
  • 迷子石
    3.4
    本業は医師(見習い)、副業はおまけ絵描き。そんな男がお家騒動を解決? 薬売りに託した絵が藩の命運をにぎる!見習い医師・孝之助は、趣味で版画絵を描いている。「富山の薬売り」が売る薬に付けるおまけ絵だ。絵で小遣いを稼ぐ、宙ぶらりんのおまけ者のつもりが、偶然、富山藩の存亡に関わるお家騒動に巻き込まれる。江戸家老の大陰謀を国許に知らせなければ、お国が乗っ取られる!?(講談社文庫)
  • 関東郡代 記録に止めず 家康の遺策
    3.4
    将軍家から格別の恩恵を賜っている伊奈家は、関東郡代を世襲し権勢を誇っていた。その裏には神君家康が隠匿した莫大な遺産を護るという役目が。だが、逼迫した財政を立て直すべく、幕府重鎮・田沼意次がその奪略をもくろむ。当主・半左衛門は武と智を尽くして応戦するが……。やがて迎えた対決の時、死してなお世を揺るがす家康の策略が明らかになる!
  • 耳袋秘帖 八丁堀同心殺人事件
    3.4
    与力同心組屋敷がある八丁堀で、立て続けに、同心が殺された。地元・八丁堀での同心殺しは、威信にかかわると、北町奉行の小田切は気が気でない。だが、白昼堂々、次なる同心殺しが起き……。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第2弾。若き日の根岸を描いた、書き下ろし短編「河童の銭」を特別収録。
  • 天女湯おれん
    3.4
    粋で婀娜な、天女湯の女あるじ・おれん23歳。お江戸八丁堀の真ん中にあるこの湯屋には仕掛けがあった。男湯に隠し階段、女湯には隠し戸、どちらも隠し部屋につながっている。おれんは番台に座って男女の仲を取り持つという案配。辻斬り、窃盗、心中、お家騒動。次々と起こる騒動の中、おれんの恋は実るか!?
  • 新装版 若き獅子
    3.4
    高杉晋作は、幼い頃から文武に秀で、鬼才と呼ばれた。「脱藩」しては主家に戻り、たちまちにゆるされた。これは異例のことである。いかに彼の才能が頼まれていたかがわかる(「若き獅子」より)。ほかに浅野内匠頭、葛飾北斎、明治の逆賊・小栗忠順など、時代を動かした英雄たちの激烈な人生を描く短編集。
  • 宮本武蔵の猿~奇剣三社流 望月竜之進~
    続巻入荷
    3.3
    独自に編み出した剣術、三社流の師範・望月竜之進は、諸国を剣術修行で廻っていた。武蔵国川越城下に入ると、有名な剣豪・宮本武蔵の剣の奥義を会得した猿がいるという話を聞く。はたして、その“剣豪”猿の腕前は、そして、その裏に隠れた陰謀とは……。抱腹絶倒、息を呑む剣戟の末に、ホロリとする、風野真知雄しか書けないオリジナル時代小説シリーズ第一弾。
  • 耳袋秘帖 南町奉行と大凶寺
    3.3
    1~9巻710~790円 (税込)
    墓を作れば化けて出る、檀家は次々に落ち目となり、 おみくじを引けば大凶ばかりの深川・題経寺。 その噂を小耳にはさんだ南町奉行・根岸肥前守だが、 お寺のことは管轄が違う。 とりあえず寺社奉行の耳に入れておき、 一件落着と思っていた矢先に、境内で女が殺されて……。 装いも新たに「耳袋秘帖・南町奉行シリーズ」発進!
  • 振り出し 旗本出世双六(一)
    3.3
    文政六年、いじめに耐えかねた西丸書院番二番組の新参・松平外記が三名の古参を城中で斬り殺す大事件、いわゆる「千代田の刃傷」が起きた。幕閣が混乱する中、二百二十五石の小旗本で無役の小普請組・北条志真佑は、番士を一新し再編成された二番組に抜擢され、妹の幸や叔父の相模八左衛門とともに喜んでいた。上泉新陰流を使い、十一代将軍徳川家斉の世子・家慶の力にならんと腕を撫す志真佑だったが……。待望の新シリーズ始動! 【目次】 第一章 騒動の後始末 第二章 役付の誉れ 第三章 城中規律 第四章 恨の根 第五章 盾の意味
  • 高家表裏譚1 跡継
    3.3
    幕府と朝廷の礼法を司る「高家」に生まれた吉良三郎義央(後の上野介)は、十三歳になり、吉良家の跡取として将軍にお目見えを願い出た。三郎は無事跡取りとして認められたが、大名たちに不穏な動きが──。
  • 狸穴あいあい坂
    3.3
    結寿(ゆず)は、十七の娘盛り。元火盗改の祖父と麻布狸穴で暮らしている。新春、ムジナを探す八丁堀同心・妻木と出会う。精悍だがどこか飄然とした佇まいに、ほのかな恋心を抱く結寿。だが、火盗改方と同心は、手柄を競い合う仇敵関係だ。その頃、夜道で金品を奪う“ムジナ”が出没し……。二人は、祖父に内緒で、狸穴界隈で起こる不思議な事件の謎を解いていく。恋と捕り物の行方を温かな人情のなかに描く連作時代小説。
  • 隠密鑑定秘禄二 恩讐
    3.3
    諸大名二百数十名の人事評価が記された「土芥寇讎記」。五代将軍綱吉の頃に編纂されたその書物の新版作成のため、小人目付、射貫大伍が調査役に抜擢された。自身の権力基盤を強化すべく、完成を急がせる将軍家斉。しかし右も左もわからぬ大伍は苦戦を強いられる。そんな中、将軍の居室である御用の間が何者かに探られるという不審事が――。下手人探索という新たな命が大伍に下された!
  • 隠密鑑定秘禄一 退き口
    3.3
    十一代将軍家斉は、御用の間の書棚で不審な書物を発見する。「土芥寇讎記」――諸大名二百数十名の辛辣な評価が記された人事考課表だ。編纂を命じた五代綱吉公は、これをもとに腹心を抜擢したのでは。そう推測した家斉は盤石の政治体制を築くため、綱吉に倣うことを決意する。白羽の矢を立てられたのは小人目付として諸国探索経験のある射貫大伍。命を懸けた至難の隠密調査が始まった!
  • 食卓のつぶやき
    3.3
    ほんとうにうまい大根は、 「ほんとうに、うまいねえ」  むかし、三井老人が、よくいっていたものだ。(本文より) 四季折々の味を慈しみ、土地土地の食を堪能する、たべものエッセイの神髄。 幼き日の海苔弁当の思い出から時代劇の食べもの、卵のスケッチ、そして大根の滋味に目覚めるまで。あるいは東京下町から奥多摩、仙台、湯布院、さらにフランス、スペイン、インドネシアまで――。古今東西の味と人をめぐるおいしい話の数々を、時代小説の大家にして食エッセイの達人が味わい深く描く。 〈巻末対談〉荻昌弘×池波正太郎「すきやき」
  • 眠れない凶四郎(五) 耳袋秘帖
    3.3
    狂人が描いた絵を見る夜半過ぎ 不眠症が続く凶四郎の身辺に幽霊が出没する。 妻殺しの一件が解決した後も、未だ不眠症の癒えない南町の土久呂凶四郎は、 奉行の根岸の計らいで夜専門の見回りを続けることに。 江戸の闇は意外に騒がしく、今宵もまた幽霊が出る屏風だの、 盗みに入ったお店でお化けが出たと騒ぐ間抜けな泥棒だの、凶四郎は振り回される。 事件を解決する凶四郎に安眠できる日は訪れるのか。 大好評、耳袋秘帖・殺人事件シリーズ第5弾!
  • 新選組の料理人
    3.3
    戦に焼けた京の町で炊き出しをすることになった新選組、料理ができる者がいない。滅法まずいその粥に文句をつけた菅沼鉢四郎は、原田左之助の命により剣を握らぬ「賄方」として新選組に入隊することに。菅沼は数々の難題に直面しながら、隊士の暮らしや愛憎、組織の矛盾を間近で目にしていく。食べ、生き、戦い、やがて歴史の波間に消える新選組を新視点から描く。
  • 嫁ぐ日 狸穴あいあい坂
    3.3
    元火盗改方与力の祖父と麻布狸穴町で暮らす結寿が、八丁堀同心の妻木道三郎とともに、界隈で巻き起こる事件の謎を解き明かす大人気シリーズ。妻木への初恋を胸の奥にしまい、御先手組の小山田家へ嫁いだ結寿。やがて夫の万之助と心を通わせあい、娘の香苗が誕生。ところが、予期せぬ出来事が婚家を襲う。辛い別れを経て狸穴町へ帰った結寿。懐かしい人々との穏やかな毎日が始まるかと思いきや、かつてのように、妻木とともに様々な事件の解決に走り出すことに。押し込み騒動、花魁殺し、子攫い……。罪に苦しむ人々の心を解きほぐすうちに、結寿自身の心にも変化の時が訪れて――。
  • わが家の夕めし
    3.3
    ※本書は単行本版『わが家の夕めし 池波正太郎未刊行エッセイ集3』と同一の内容です。重複購入にはご注意下さい。 変わらない食卓の風景。変化する昭和の街角。人生の達人が綴る、豊かなる暮しの情景。 作家として多忙な日々を送る著者が、毎日、楽しみにしていたわが家の夕めし。子供の頃から好きな冷奴に、ついつい食べ過ぎるとろろ飯……。自作が、テレビドラマになったときの感想のほか、瀬戸内寂聴さんに「マジメ人間にして、大淫乱」と評された話など、暮しの達人が多彩な面を垣間見せる、随筆51編を収録。
  • 町奉行内与力奮闘記 一 立身の陰
    3.3
    「儂を大坂町奉行で終わらせるつもりか」。若き内与力(うちよりき)・城見亨は、主の曲淵(まがりぶち)甲斐守から叱責を受けた。だが配下の町方は怠惰と汚職にまみれ言うことを聞かない。どころか甲斐守を排除すべく老獪な一計を案じる。思惑の渦にのみ込まれた亨。忠義心ゆえの生真面目さは町方の餌食か? 保身と出世欲が衝突する町奉行所内の暗闘を描く新シリーズ第一弾!
  • 北斎まんだら
    3.3
    信州小布施の豪商、高井家の惣領息子・三九郎は、かの有名な絵師の葛飾北斎に会うために江戸へやって来た。浅草の住まいを訪ねてみると、応対してくれたのは娘のお栄。弟子入りを志願するもまともには取り合ってもらえず、当の北斎はどこかへ出かける始末。美人画で有名な絵師の渓斎英泉こと善次郎にはかまってもらえるが、火事見物につき合わされたり、枕絵のモデルをやらされたりで、弟子入りの話はうやむやのまま。そんな折、北斎の放蕩な孫・重太郎が奥州から江戸に戻ってきたことが伝わる。同じころ、北斎の枕絵や鍾馗の画の贋作が出回る事件が出来し、重太郎に疑いの目が向けられるが……。
  • 眠れない凶四郎(二) 耳袋秘帖
    3.3
    妻を殺された土久呂凶四郎は、不眠症に悩まされながらも夜専門の同心として夜な夜な町を巡回する。 除夜の鐘が鳴る大晦日の日もまた、江戸を探索していた。 ゴーンと鳴った鐘の音にしばし聞き惚れた土久呂だが、その音が移動しているのに気が付いた。 「ウン、鐘が動く?」手下の源次とともに鐘の音を追いかけるのだが……。 耳袋秘帖新章、第二弾!
  • キッドナッパーズ
    3.3
    オール讀物推理小説新人賞を受賞した幻のデビュー作「キッドナッパーズ」と書籍未収録作品で編んだオリジナル短篇集! 「大声をだすな」 宅配便を装って侵入してきた男は、健次郎の腹にナイフを突きつけてきた。 平凡な日常に突如押し入ってきた犯罪者は声が甲高く、背が低く、野球帽をかぶった……小学生と見まがわんばかりの中学生!? 少年は「これは誘拐だ」と断じた。だが被害者は健次郎ではなく犯人であるはずの少年自身だという。 摩訶不思議な誘拐事件は二転三転し、ラストで意外な結末が待っていた! オール讀物推理小説新人賞受賞の表題作ほかを6篇収録。 解説・宇田川拓也 【オール讀物推理小説新人賞「選評」から】 「これこそ逆転に次ぐ逆転の連続で、着地がどうなるのかまったく予想できなかった。」(高橋克彦委員) 「何とか読者を面白がらせ、驚かせようとする創意工夫が、今回の作品に結実した」(宮部みゆき委員) 【収録作品】 キッドナッパーズ 目刺し 架空の風景 十字架ジュース ごとんがたん べつばら おなじ本でも
  • 維新始末
    3.3
    老中・水野忠邦による天保の改革から二十年。黒船来航以降、恐慌を来す江戸の町を、勤王の志士を騙る剣呑な浪人たちが跋扈するようになっていた。さらにその黒幕には、薩摩藩の巨魁の影が…。失われた秩序を取り戻すべく、我らが榊扇太郎が江戸の顔役たちとともに立ち上がる!「闕所物奉行 裏帳合」シリーズに連なる、待望の文庫書き下ろし。
  • 本懐
    3.3
    討ち入りの真の目的は――(「親心腹」大石内蔵助良雄)/わが人生は裏切りの連続だった――(「応報腹」織田信長)/幕府御用絵師、衝撃の切腹(「持替腹」)/大政奉還直後若年寄とになった外様大名の策とは(「漸く腹」堀長門守直虎)/おいがもっと早くに死んでおれば――(「漸く腹」西郷隆盛)/死の間際まで、夢枕にたった亡霊の正体は――(「不切腹」今川義元) “切腹の間際”を時代小説の雄が描き出す傑作短編集。
  • 恋の川、春の町
    3.3
    女に愛され、ふざけながら、幕府に挑んだ男。 武士ながら戯作者として人気を博した後、謎の死を遂げた恋川春町。 六人の女を通して描く、その情けなくも愛おしい、不器用な生き様が胸に迫る――。 「妻は、くノ一」著者、全力の自信作! 駿河小島藩の年寄本役・倉橋寿平のもう一つの顔は、江戸で人気の戯作者・恋川春町であった。 戯作者としての矜持は、黄表紙を通じお上を批判しながら、人々を楽しませること。そして探し求めるのは、共に世の中を遊べる“菩薩のような女”――。 しかし、定信による娯楽の規制は厳しさを増してゆく。 女たちと関わりながら、定信からの呼び出しを無視し続ける春町だが、盟友の朋誠堂喜三二は筆を折り、さらに江戸一の人気戯作者の座は若き山東京伝に奪われつつあった。 悩みぬいた春町が辿り着く先は? 笑えて泣ける戯作者魂と恋模様を、洒脱な筆致で描ききった勝負作。
  • 立身いたしたく候
    3.3
    「おまえはなにを求めて武家の養子に入ったのだ」幕末前夜の江戸。瀬戸物屋の五男坊に生まれた駿平は、百五十俵の貧乏御家人「野依家」に婿養子入りした。男五人兄弟では、この先分家を立てられる保証もなく、うまくいっても商家の婿。いっそ武士になるのも面白かろうと軽い気持ちで引き受けたものの……当主になって待っていたのは、過酷な「就職活動」だった。新米武士の駿平が武家の世界を駆けずり回って「立身出世」を試みる!
  • 耳袋秘帖 小石川貧乏神殺人事件
    3.3
    年明け早々、小石川で一家心中が発生したらしい。どうも江戸でもこの界隈に夜逃げや倒産などことさら不景気の風が吹いているようだ。牛天神に祀られていた貧乏神が怒っている。奉行の根岸は配下の宮尾にこの一件の探索を命じた。宮尾の調べが進むにつれ、他にも不可解な出来事がいろいろと起こっているようで……。
  • 鳳雛(ほうすう)の夢
    3.3
    幼少時の疱瘡で、化けもののような容姿となった梵天丸。伊達家存続のため、僅か十歳で元服し、伊達藤次郎政宗が誕生した。政宗の醜い右目をくり抜き、初陣へ供したのは腹臣・片倉小十郎景綱。父を人質に取られた屈辱の戦のとき、実母・実弟に毒を盛られたとき、苦難にあった政宗を、慰め、見守り、叱咤したのも常に小十郎だった――。乱れ行く戦国を寵臣との熱き絆で生き切った伊達政宗の生涯を描く感動巨編。
  • 奸婦にあらず
    3.3
    井伊直弼の密偵、村山たかの数奇な一生を描いた第26回新田次郎賞受賞作 【あらすじ】 彦根・多賀大社で忍びの者として育ったたかは、内情を探るため接近した井伊直弼と激しい恋に落ちる。 しかしその後2人を過酷な運命が待ち受ける……。
  • 荀いく 曹操の覇業を支えた天才軍師
    3.3
    中国は三国時代。中原の覇者を目指す曹操のもとに「王佐の才」を謳われる男がいた。その名も荀いく――。「王佐」とは王を佐(たす)けるの意味。荀いくは政戦両略にわたって曹操を支え、文字通りその覇業を援けた。曹操の留守を狙って攻め寄せた呂布を見事撃退し、君主の帰還まで根拠地を守り抜く、落ちぶれていた後漢の献帝を迎え入れるよう進言し、曹操の大義名分をつくる、兵力に勝る袁紹と互角に渡り合えるよう様々な策略をめぐらし、「官渡の戦い」を勝利に導くなど、まさに魏の建国は荀いくなくしてありえなかった。さらに本書では、荀いくを従来のイメージである「漢王朝の再興を目指す忠臣」として捉えるのではなく、様々な場面で躊躇する曹操を叱咤激励しつつ、その知略でもってなんとか魏王に仕立て上げようとする野心家として描いている。ラストは『正史三国志』『三国志演義』もびっくりの、驚くべき結末があなたを待っている!
  • 妾屋昼兵衛女帳面 側室顛末
    3.3
    世継ぎなきはお家断絶。苛烈な幕法に苦しむ大名旗本は、秘かに妾屋を訪れた。そんな稼業を営む山城屋昼兵衛の元に、ある日、仙台藩主の側室の求めが。だが、それを機に将軍継嗣にも絡む大規模なお家騒動が勃発。巻き込まれた昼兵衛は、側室を守る大月新左衛門と共に、大藩との熾烈な暗闘を繰り広げる。 人気沸騰の著者が放つ新シリーズ第一弾!
  • 耳袋秘帖 四谷怪獣殺人事件
    3.3
    四谷大木戸の水門に竜が現る!? 田安徳川家の四谷の下屋敷で、奇っ怪な出来事が頻発しているという。八本足の犬から腹切り大根まで、難事件に根岸肥前守が挑む!
  • デズデモーナの不貞
    3.3
    池袋のバー〈まりえ〉の客は曲者ぞろい。「私はアクマのもの」と言いはる美女。女から女に渡り歩く手配師。ああ、こんなことならと人妻の素行調査に頭をかかえる元刑事。絶体絶命のピンチに追いこまれながらも、へこたれないつわものが今宵もカウンターに陣どって……。笑いと戦慄に満ちた超サイコ・ミステリ!
  • 仇討ち
    3.3
    囲碁の口論から父を惨殺した笠原孫七郎を追って三十年。信州松本藩の夏目半介は仇討ち費用を人に貸して生計を立てる江戸暮らし。ふとなじんだ娼家のお君の、熟れた体に激しく溺れた。そのお君が悪事を犯しただんなと江戸を出奔、半介は後を追うが、その男こそ……。「うんぷてんぷ」以下、江戸時代の仇討ちをテーマとする八編を収録。仇討ち制度の非人間性と、それに翻弄される人間たちの運命を鮮やかに描く珠玉作品集。
  • 人斬り半次郎 幕末編
    3.3
    「今に見ちょれ。俺はこの腕一本できっと……」。半次郎の口ぐせだった。姓は中村、鹿児島城下の藩士に〈唐芋〉とさげすまれる貧乏郷士の出ながら剣は示現流の名手、精気溢れる美丈夫で、性剛直である。時は幕末、ふとした機縁で西郷吉之助に見込まれ、国事に奔走するが、卓抜の剣技は血なまぐさい暗殺を重ね、〈人斬り〉の異名は、次第に高まってゆく。激動する時代の中に一快男児熱血の半生を描く、傑作小説の前編。
  • パラドックス実践 雄弁学園の教師たち
    3.3
    初等部から大学院までをそなえた伝統ある名門校、雄弁学園。最大の特色は通常の科目の他に「雄弁」を学ぶこと。新任の教師、能瀬雅司(のせまさじ)は生徒から難問を突きつけられ、雄弁術で証明しなければならなくなった。失敗したら生徒たちに失格の烙印を押されてしまうだろう。新米教師は無事「試験」に合格できるのか? (講談社文庫)
  • 忍者丹波大介
    3.3
    豊臣秀吉歿後、諸国大名の勢力は二つに分れ、関ヶ原の合戦で徳川方が勝利をおさめる。激変する時代の波のなかで、信義をモットーにしていた甲賀忍者のありかたも変質していく。丹波大介は甲賀の立場をすて一匹狼となり、自分が信ずるものにだけ従い、黒い刃風をくぐって活躍する。さまざまの武将の去就と歴史の裏側で暗躍する忍びの者の裸形を痛快に描く長編時代小説。
  • 闇は知っている
    3.3
    十七歳の僧・隆心は、彼の心を踏みにじった後家お吉を絞殺し、故郷から逃げ出す。山崎小五郎と名を変え、金で殺人を請負う〈殺し屋〉となった彼は、天与の美貌と剣技にものをいわせ、平然と女を犯し、人を殺すが、育ての親である隆浄和尚と対峙したとき……。抜き差しならぬ人間関係のしがらみと、一瞬の気の緩みが死につながる暗黒街にうごめく男たちの凄絶な世界を描く時代長編。
  • 注文の多い美術館 美術探偵・神永美有
    3.2
    人気の美術ミステリー、シリーズ第3弾! 舌に感じる味覚で美術品の真贋を見分ける美術コンサルタントの神永美有と美大の准教授・佐々木昭友、佐々木の元教え子で芸術家の卵・イヴォンヌのトリオが大活躍。 函館戦争で戦死した先祖を悼んで榎本武揚から贈られた、隕石を鍛えなおして作られたというサーベル。刀身の成分を調べてみると、隕石に含まれていたはずのニッケルが検出されず、偽の流星刀と断定された。だが、サーベルを前にした神永の舌はこの刀の意外な部分に甘みを感知していた(「流星刀、五稜郭にあり」)。 佐々木が密かに思いを寄せていた教え子・琴乃が結婚。いやいやながら結婚式に出席した佐々木の前で、琴乃は嫁ぎ先の家宝、支倉常長が持ち帰ったというローマ法王の肖像画を偽物と断じた。真贋の判定を託された佐々木は?(「B級偉人」)。 そのほか、志賀島の金印と同時代の「銀印」が京都から出土した。果たして本物か?(「銀印も出土した」)。北海道の農家から見つかったモザイク画は、本当にカエサルの時代のものなのか?(「モザイクで、やーらしい」)。ペリーが日本に持ち込み、将軍に披露したという蒸気機関車の模型は本物か。鍵を握るのはスケッチブックに残された「sen.T」の署名(「汽車とアスパラガス」)。神永が味覚で美術本の真贋を見極めるきっかけが明かされる青春記(「春のもみじ秋のさくら」)。
  • 平蔵の首
    3.2
    まったく新しい「鬼平」。ハードボイルド時代小説! 「平蔵の顔を見た者は、だれもいねぇのよ」。 盗賊・黒蝦蟇の麓蔵は復讐を遂げるため、いまは平蔵の手先となった女に案内を頼む(「平蔵の顔」)。 両国橋の界隈で、掏摸を働いていた姉弟に目をつけたところ、思わぬ大事件に巻き込まれる(「繭玉おりん」)。 火付盗賊改・長谷川平蔵のまったく新しい魅力を引き出した六編。 特別対談・佐々木譲 挿絵・中一弥 【目次】 「平蔵の顔」 「平蔵の首」 「お役者菊松」 「繭玉おりん」 「風雷小僧」 「野火止」
  • さまよえる脳髄
    3.2
    精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める――。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
  • 誰そ彼れ心中
    3.2
    夫の様子がなんだかおかしい。不審に思い始める妻に、従者の若者が、主の変化を問いかける。奇妙な振るまいの裏には何があるのか。この家にはなにか秘密があるらしい……。絶えず誰かに監視されているような婚家での生活に耐えつつ夫の謎を探るうちに、若い妻は思いもかけず本物の恋を知る――サスペンスフルな展開と、凛とした女の恋心に心揺さぶられる、新感覚の時代ミステリー。

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  • 布武の果て
    3.1
    永禄11年、織田信長が足利義昭を奉じて上洛する。貿易による富で自治を貫く堺の納屋衆、中でも今井宗久、千宗易、津田宗及は天下の趨勢を見定めようとしていた。納屋衆内では、新興勢力である信長に賭けることに反対の声もあがったが、次第にその実力を認めていく。一方、今井、千、津田は信長から茶堂衆に任じられ、茶の席で武将たちの情勢を探り、鉄炮や硝石の手配を一手に握るようになっていた。天正8年、石山本願寺を降伏させることに成功した信長の天下は、目前に迫っていた。しかし、徳川家康の腹心で一向宗徒の本多弥八郎が怪しい動きを見せはじめ……。堺商人たちが辿り着いた、「本能寺の変」の驚くべき真相とは――。茶室を舞台に繰り広げられる、圧巻の戦国交渉小説。歴史時代小説の第一線を走り続ける著者渾身の快作!
  • こちら警視庁美術犯罪捜査班
    3.1
    1巻660円 (税込)
    新米刑事の三田村豪気が配属されたのは、警視庁捜査二課美術犯罪捜査班。そこは、美術品犯罪に対応する警視庁唯一の部署。やる気と体力は人一倍だが、美術にはとんと疎い三田村は、抜群の鑑定眼をもつ美貌の上司・岸すみれの薫陶のもと、にわか仕込みの知識を駆使して、狡猾な詐欺的ビジネスを続ける美術品販売会社の犯罪を暴こうとするが……。美術ミステリーの新境地!
  • 情状鑑定人
    3.1
    書店社長の娘が誘拐されるが、間もなく犯人は捕まり、少女は無事保護される。犯人は書店の従業員だったことが判明するが、七年前に妻殺しと放火の罪で服役していた――。男の情状鑑定をめぐり、家庭裁判所の女性調査官と精神医学者が過去の事件を調べていくうちに、意外な事実が明らかになっていく。

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