きっと誰でも学校の歴史や国語の授業で一度や二度は聞いたことがあるはずの歴史上の人物、在原業平と菅原道真。
かたや「伊勢物語はこのヒトが主人公だ!」と思われるほどモテた上に六歌仙にも選ばれたほどの歌人、かたや神童だったけれど晩年は左遷されて崇りで天変地異を引き起こしたと言われる学問の神様ですが、この作品はなんと、二回り近く歳の離れたこの二人が平安時代の京でさまざまな怪事件を解決していくクライムサスペンスコミックなのです。
業平の行動力と道真の頭脳で問題に挑む姿は、サスペンスとしても十分楽しめるのですが、非常に美しい画がまた素晴らしく、史実とフィクションの絶妙な混ざり具合も先が気になる気持ちを盛り上げてくれます。歴史好きの方にもそうでない方にもオススメです。
感情タグBEST3
平安時代の政治や後の応天門の変に関わるような伏線が一杯です。隠れ里などの謎などまさに平安クライムサスペンスといったお話です。
まさかの展開に
業平が京の都を離れて、道真と共に掴んだ真相。
でも命懸けになってしまい…
農民が自分で作った食べ物をただ取られる仕組み、支配を受け入れてしまってる社会が本当におかしい。
支配者のストーリーを作り、宣伝し、神とすげかえ、人々に信じ込ませてそして搾取の完成、か。
難しくなってきた。
じっくり読まないと、難しくて理解出来なくなってきた。
でも読み返す楽しみがあって、長く読める。
また1巻目から読むのが楽しみ。
取りあえず予習として、流し読み。
絵がどうとか言うレビューもあるけど、芸術的で線に味がある。
道真が人間臭くなってきたのもGOOD。
政争に巻き込まれていく
冷静沈着で頭脳明晰、どこか達観しているようでも精神的に未熟な面を見せる道真と、色好みで人々から愛されながらも政争や派閥に翻弄されてきた過去を持っており自身の不安定な立場に自覚的な業平の対比が楽しめます。
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菅原道真、盗人に疑わるる事
藤原基経はわかりやすく怖いけど、島田忠臣は忠臣で怖いな。顔が無表情で怖い。
在原業平、山中に桃源郷を見る事
税金がうまく集められなくなって国が滅ぶってのは、洋の東西を問わず言われている事ですが、この事態の日本なんてひどいものだったんじゃなかろうかと勝手に想像。
土師忠道、菅原道真と遇する事
864年の貞観大噴火の6月の話、どうも土師忠道は翌年の865年に源信の武力を削ぐ目的で昇進して飛ばされる模様。
最後の伴善男の顔が悪いな。これは完全に悪者。
まぁ、あと2年で応天門の変だし悪者顔にもなるか。
Posted by ブクログ
前巻からの続きである、道真が硯を盗んだとの疑いをかけられる話、業平が山の中に見た「隠り世」の話、そして次巻へと続く富士の噴火の話が収められています。
隠り世の話が特に(この巻だけで完結しているのもあって)印象深かったです。ほぼ破綻しているとはいえ、この頃からちゃんと税徴収の仕組みはあったんやなあ(当たり前か!?)
振りかざしすぎる正義、正論は鼻につき、時として敵も作りがちなものですが、道真のそれは見聞きしていて気持ちがいい。
それはきっと彼がまだ若いということと、学問に対してまっすぐに取り組み、より良い人間たろうとし、より良い社会たらしめんと願う姿がそう思わせるんだと思います。
ただ、弱者に寄り添う姿勢は見せても、彼が貴族側すなわち「恵まれた側」の人間であり、それは、「時折彼自身が憤りを覚えざるを得ない」側の人間でもあるということは如何ともしがたく、その辺りの矛盾に彼がイラつく様なども共感が持てます。
業平の方は大人で、人の狡さや醜さを許しはしないまでも、それらを認め理解しているところがあり、道真にも、それを押し付けがましくなく説いたりする。学問を教えることはできないけど世間を教える役割を担っているような感じです。
それでお前はどうするのだ、何をするのかと道真に問うてみたりもする。道真への期待を感じさせるセリフも吐いたりします。
世を拗ね、女に弱いところはありますが、なかなか業平もいい男です(この辺り物語が始まったころと、僕の彼に対する評価も変わってきました)。
Posted by ブクログ
無実の罪で疑われているのに、訴え人を恨まない道真が偉い。
自力で解決したのに根回しが良いなどと言われるのもどうにも不愉快だ。自分たちが間違えたのに道真の話を聞かず、偉そうな坊っちゃんとはご挨拶である。
基経は吉祥丸との思い出が分かってからちょっと印象が変わってきた。
隠り世の話の中でそんなに京都に憧れるのかという道真に
道真が唐を夢見るのと同じと言う業平の言葉が中々厳しい。
お前はそうすればいい、お前の番になったらなというのも痛い。
祠とはなるほど、流石道真である。
是則の忠誠心も見上げたものだ。
タマちゃんが元気そうで嬉しいが、災難なことだ。
基経との問答
きちんと頭の良い人とのやりとりは、僅かな文言でも重たい。
島田の立ち位置も気になるが、それより気になるのは心優しい土師さんが次回どうなってしまうのか…
それにしても大納言家は柄が悪くて好きになれない。
都の外もいい
教養はないかもしれないけど知恵のある村人の話が良かった。基経のちょっと意外な一面も見られて良かった(心の内を見せない分かりにくさがじれったい)。
色々な事件を経て、少しずつ本人の意思とは別に藤原基経や伴善男に近づいていく菅原道真。
道真はまだ若く、より良き人足らんとして学問の「世界」に邁進する。在原業平は清濁併せ呑む老獪さで「世間」の有り様を道真にそれとなく伝えている。道真の成長が楽しみです。