【感想・ネタバレ】土佐日記(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

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空を漕ぐ船
影見れば 波の底なる ひさかたの 空漕ぎわたる 我ぞわびしき (水に映る月影を見ると、波の底に大空が映っているが、その空を漕いで行く私は、何とちっぽけで頼りない存在なのか)

廬山寺 ろざんじ
京都にあるお寺。紫式部の邸宅跡と言われている。

昔の旅行は本当に大変だ。海賊の心配をしたり、天候のために何日も足止めされたり…

「わだの泊の別れの所」での段で、在原業平の名前が出てきて驚いた。
故在原業平だって。死んでる…
在原業平は平安前期の人で、紀貫之は平安前期から中期にかけての人。
それに紀貫之が前の世の優れた歌人たちを六歌仙と名付けたのだから、同じ時代の人ではないというのは、考えてみれば当然だった。

さらに言えば、在原業平の北の方は紀一族の女性だったか。紀貫之にとっては名高い親戚という位置づけだったのかな?

人はなぜ歌を詠むのか?
「思ふことに堪へぬ時のわざ」

土佐の国から京まで、今の高知県から京都までか。
紀貫之一行が京にたどり着いた章では、一緒に帰京したかのようにほっとした。55日間の冬の旅だ。

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2023年11月17日

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平安時代の大歌人、紀貫之が女性になりすまして土佐から京の自宅を目指す旅を描いた日記文学の名作だ。

編者の「はじめに」を引用すると“笑いあり、涙あり、スリルあり、そして作品全編にただよう水の匂い。それが『土佐日記』の魅力”

時にはデーブ・スペクターにも負けないようなダジャレを繰り出し、紀貫之の堅いイメージがいい意味で崩れた。

また、この日記には様々な登場人物が詠む五十八首の和歌が出てきて和歌入門書としての側面もある。一番好きなのはこの和歌。

棹させど 底ひも知らぬ わたつみの 深き心を 君に見るかな
(棹をさして知ろうとしても測り知れない大海のように、深いご厚意をあなた方には感じますよ)

土佐を去る紀貫之との別れを惜しみ、見送りに来てくれた人たちへ送った紀貫之の和歌だ。きっと貫之は関羽のように義理人情に厚い男だったのだろう。

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2023年05月28日

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何となく読みたくなって気まぐれで購入。
面白い。

1話ずつ現代語訳→原文→解説・註釈の順に並んでおりとにかく読みやすかった。
多分最初に原文だと嫌になってたかも。好みの問題かもしれないが。

この作品は平安貴族・紀貫之による’女性になりすましたおじさんの旅行日記ブログ’。
高知から京都までの55日間のクルーズ旅行で起こったアレコレを女性のふりをして綴ったもの。

高知を出発する数日間ずっと飲んでる。やっと出立したと思いきやすぐに着岸してまた飲んでる。シケで停泊してイライラする中、海賊が近くに来たっていうので船頭に八つ当たりバチ切れしちゃう。船酔いでぐったり。家に着いたら着いたで、隣の人に4年間留守をお願いしていたのに家じゅうメチャクチャでしょんぼり。
任地で亡くした幼い娘に想いを馳せる時は一際哀切な歌を詠むのでその場面はストレートにグッとくる。しかし出発数日目には下ネタもかます。淡路の婆さん(「淡路の専女」)がお茶目。

個人的には十九日目がツボ。

高校古典の授業では冒頭の節を扱うけど、もっとフランクに教えてくれれば興味を持てただろうな、などと振り返ったり。


11刷
2021.4.6

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2021年04月06日

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なのめのネカマのブログならむと思ひて読み始めたてまつれど、さしもあらず。まうけたまふネタの数々、自身の待遇を心うく思ひたまへるさま、道すがら海賊のむくひもこそすれなどとおびえたまふさま、そして今は帰らぬわが子を思ひたまへるさま…。いづれをとりても、いとあはれにをかしかりき。解説もゆかしかりき。

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2011年12月27日

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教科書に載ってて存在は知ってるけど内容はよく分からないから読んでみたいシリーズその1。
せっかちさんには向かなそう。土佐から帰京する船旅の、日記の体の文学だそう。でも船が悪天候やらなんやらかんやらで、遅々として進まない。まだ同じ場所で停泊しなければいけない、そんな船上の人たちの不満や不安が伝染するようで、あーもう早く!と思ってしまう。
読者は作者が本当は男だと分かっている前提で女性のフリして女もしてみんとてするなりと書いていたらしい。一種のギャグのようだけど、当時からそういうのってあったんだなあと、平安時代がちょっと身近に思った。
紀貫之さんは和歌の名手のようで、至る所で上手かったり下手だったりする歌が散りばめられている。文学のミュージカルみたい。

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2023年09月27日

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私はこのビギナーズクラシックスシリーズをすごく信頼しています。
かなり噛み砕いて解説してくれているので古典初心者にはありがたい…!このシリーズはとっつきやすくなる!入門編にぴったり。
ただし、これだけを読んで原作を読んだ気になるのはやや気が早い感じがする。これより堅めの解説や原文を読んで、やっと読んだと納得できると言える。と、思う。
コラムの解説も、痒いところに手が届く。現代に繋がる例を挙げてくれたりして理解がしやすい。

まだ読み途中

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2023年04月24日

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ネタバレ

平安期の大歌人、紀貫之が侍女になりすまし、帰京の旅をかな文字で綴った紀行文学の名作。国司の任期を終えて京へ戻る船旅は長く苦しい日々の連続であった。土佐の人々に温かく見送られ出発したものの、天候不順で船はなかなか進まない。おまけに楫取はくせ者。海賊にも狙われる。また折にふれ、土佐で亡くした娘を想い悲嘆にくれる。鬱々としながらも歌を詠み合い、ひたすら都を目指す一行の姿が生き生きとよみがえる。

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2014年01月05日

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一部は教科書で読んだことがあったがこんな内容だったとは…。短いから古文を習っている高校生などが読んでも、古典に親しみがわいてよいと思う。

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2012年06月18日

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古文はさっぱり分からないので、主に現代語訳されている部分を読んでみた。
モダンな感じの訳で、読みにくい感じはしなかった。所々に入るコラムも、知識に乏しい僕には嬉しかったし面白かった。
大体の内容を押さえて古典の雰囲気を楽しむには良書だと思う。ばりばり古典を読める人には物足りないかも。

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2010年04月02日

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平安中期に描かれた航海の日記。ひらがなを用いた新しい文学。日記の中では、早く都に戻りたいとの思いと、戻れないもどかしさが鮮明に描かれている。また、土佐国で亡くした娘への追慕の念が多く語られており、これは『土佐日記』そのものの主題であるともいわれている。
特に、海が荒れ神様に奉納させるシーンが印象的。いつの時代にもずる賢い人はいるんだなぁ。

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2024年02月14日

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ネタバレ

停泊続きの航海のなか、人間模様を描く。
帰宅後、亡き子を偲んで詠んだ歌。

「見し人の 松の千歳に 見ましかば 遠く悲しき 別れせましや」
(亡くなった娘のことを、千年の齢を保つという松のように見ていたなら、永遠の悲しい別れをしたことだろうか。そうならなかっただろうよ)

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2022年04月22日

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2011/07/09

古典学習用に。

国司の任を終えた紀貫之が女性に扮して書き下ろした、土佐から京への紀行文。

2ヶ月弱の船上生活を思えばさぞかし大変だったに違いないが、今の時代から考えると、なんてのんびりとした旅なんだろうと思ってしまう。

それも、出立後10日余りは、土佐から大して離れることもなく毎日飲んだくれている始末。笑

とはいえ、長く読まれているのは、笑いの要素も入れつつ、喜びも憂さも率直に気持ちを書き綴った、紀貫之の人柄の表れもあるのだとも思います。

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2011年09月27日

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