水野和夫のレビュー一覧

  • 世界経済の大潮流
    F・ブローデル、I・ウォーラーステイン等の歴史学者の分析的枠組みを利用して、現在の世界経済を見ているところに非常に共感できる。
    現在の資本主義世界経済、つまりウォーラーステインの提唱する近代世界システムが誕生したのが、時代的には「長期の16世紀」であった。筆者はこの時代に起きたことが現在も起きており...続きを読む
  • 世界経済の大潮流
    本書の内容は雑誌等に寄稿したものを、3部に分けてまとめている。1部「資本主義の大転換」、2部「解体する中産階級とグローバリゼーション」、3部「歴史の大転換にどう立ち向かうか」である。

    最初読んだときには、歴史的な人物やそれらを解析した歴史学者の言葉などに戸惑ったが、水野氏の著作をいくつか読んだ後で...続きを読む
  • 世界経済の大潮流
    経済の今は、1970~2050年頃にかけての経済の移行期であるという。自国での資本が行き渡って利子を生まなくなってしまっている一方で、新たな利潤の獲得手段としてのグローバル化が起きている。このグローバル化で、新興国が資源を消費するようになり、資源価格が高騰し、この穴埋めを労働賃金の下落によって対応し...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    1970年代前半から先進国では交易条件が悪化し資本利潤率が低下してきている。高度経済成長が止まり、資本投下によるリターンも得られなくなる。実物経済から金融経済へと舵を切るも2008年の金融危機は金融経済化の方向も息詰まらせることに。定員15%の近代資本主義が新興国の隆盛によりバランスが崩れ、今、世界...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    経済学者である水野和夫氏と哲学者である萱野稔人氏との対談本。

    この本で、アメリカのイラク戦争の目的が理解できたような気がする。水野氏の指摘が正しいか否かはわからないが、イラク戦争の目的を論じた様々な言説の中で、最も腑に落ちる内容だった。

    しかし、萱野氏は実に首尾範囲が広いものだと感心する。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    面白かった。現在、世界経済が内包する諸問題は単なる不況ではなく、資本主義が迎える構造的な大転換であり、パラダイムシフトである、という著者の考察をわかりやすく解説している好著。資源価格に全てを転嫁しているなどややモデルが単純すぎるきらいがあるが(専門家じゃないので詳しいことはわかりませんが)、先進国と...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    エコノミストと哲学者による対話集である。ヘゲモニー(覇権)の変遷を観点に世界経済の動向を分析しているのはおもしろい。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
     成長を前提とした経済システムは限界を迎えており、それに固執する先進国は財政破綻の危機に瀕している。
     著者によると、この現象は、中世封建社会から近代資本主義社会への転換に対応できず、旧システムに固執したことにより財政破綻した16世紀のスペインの姿によく似ているという。
     500年に及ぶ資本主義の歴...続きを読む
  • 資本主義の終焉と歴史の危機
    資本主義の目的である拡大と成長のための侵食先が欠乏していき、そして金利の低下から資本主義の終わりと未来への警告を唱える一冊。
    ルターとスノーデンを同列に考えるなど、ちょっと強引かなと思うところもあるが、資本主義の終焉を憂える根拠は理解できる。
    エネルギー問題など色々あるが、著者の指摘する資本主義の侵...続きを読む
  • 次なる100年―歴史の危機から学ぶこと
    大著である。
    イコン、コインの次は、芸術が価値を持つ。その理由は、先進国で金利がつかなくなり、蒐集、収奪を特徴とする資本主義経済が終焉する。とのこと。
    芸術が価値を持つとの提案は勇気ある。本当にそうなるのだろうか。
  • 資本主義の終焉と歴史の危機
    「中心」が「辺境」を侵食・拡大していくことで成長を続け、資本を永続的にドライブさせていく、それが資本主義社会。「辺境」つまり投資先が無くなってしまったから、利子率が低下しゼロに近づいている。そのせいで、金余りが起きバブルの生成と消滅が起きやすくなっている、という筆者の主張。そこまでは同意できる。構造...続きを読む
  • 文藝春秋2021年4月号
  • 資本主義の終焉と歴史の危機
    部長に2年前もらった本。積読で再チャレンジ。社会人4年目も終わり頃にようやく意味がわかってきた。

    2014年の著者の考察は確実に21年転換期にきているのではないか?コロナ禍で生活様式が変わり、本当に必要なものと不必要なものがわかれ、大量消費主義に終止符が打たれるかもしれない。

    はっきり言って、メ...続きを読む
  • 資本主義の終焉と歴史の危機
    0成長論、おもしろい。

    0成長の世界の中では、きっと資本主義的な成長は止まっているのだけど、資本主義は自然的なものに、もはやなっているので"数"という成長基準とは別の基準の成長という概念を作りクロスで考えていくのが良いのだろうなぁと思った。
  • 資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く
    こうして振り返ると「平成」っていいことあったんかなって思ってしまう。
    日本は成熟期なのに、いつまで成長、成長といい続けるのか。
    やり方がまずいから結果も伴わない。年収がいっこうに上がらない。むしろ下がってる。
  • 株式会社の終焉
    株式会社という存在を通じて21世紀社会のあるべき姿を論じています。20世紀型の成長進歩の考え方から脱することができないことが現代の経済危機の本質であることを指摘、「進歩は近代が生み出した最大のイデオロギー」という著者の言葉が印象的でした。
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか
    資本主義の来歴と、それが現在陥っている問題、そして資本主義の後にやってくる時代の展望について、エコノミストの水野和夫と社会学者の大澤真幸が語っています。

    おおむね大澤がみずからの立場を示しながら水野の考えをたずねるというかたちで議論が進められており、とくに後半ではそうした傾向を強く感じました。ただ...続きを読む
  • 資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く
    水野和夫、山口二郎の対談集。今までを語ることはそれなりに可能だが、これからを予想する、指し示すことはとても困難なことだと思う。しかしこれからの10年と章立てるなら、山口にもなにか提起してほしかった。「自由、寛容、博愛などの価値観を学校教育やメディアで意識的に強調していかなければならない」と指摘するだ...続きを読む
  • 資本主義の終焉と歴史の危機
    これからの経済成長を目指してはいけない、という主張。20世紀型の資本主義は終わっている。世界中の人々が中間層になることはあり得ない。万が一、そうなったとしても持続はできない。
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
    70年代以降の新自由主義的グローバリゼーションに対して、世界は閉じていくプロセスに突入した。歴史の危機の解決策は、この国民国家へのゆり戻しの延長には無い。5百年続いた近代システムそのものが資本主義とともに終わりを迎えつつあるからだ。

    帝国というと、ダースベイダー、悪い皇帝が支配するイメージでしたが...続きを読む