佐藤愛子のレビュー一覧

  • 私の遺言
    タイトルにもかかわらず、著者ご本人はまだ健在なのだけれど、死ぬ前にどうしても伝えておきたかったこと、という意味で書き記した本であるらしい。

    北海道に家を建ててから突然身の回りに起こった、不思議な心霊現象との20年間にわたる闘いを綴った戦記といっていいような内容だ。
    その闘いは本当に壮絶の一言で、映...続きを読む
  • 凪の光景(上)
    教育への信念、情熱だけを生き甲斐にしてきた
    元小学校校長の丈太郎。

    戦後の苦しい時代に夫に黙って忍従することが
    妻の務めだと思ってきた妻、信子。

    民主主義社会の中で、自己の主張を抑え
    優しい夫を演じる、息子の謙一と
    教育熱心でキャリアウーマンな妻、美保夫婦が2世帯住宅で同居しています...続きを読む
  • 風の行方(上)
    佐藤愛子さんの『凪の光景』の続編。

    上巻では吉見の学校でのイジメ問題がテーマとなっている。

    途中までは陰湿なイジメの描写を読むのがしんどい。
    後半からは、戦争に負けた日本が選んだ民主主義によってもたらされた日本人の腐敗について深く描かれている。
  • 血脈(上)
    にちゃんねる用語でDQNという言葉がありますが、この佐藤家はまさに全員がDQN。す、凄まじい。
    この本を手に取ったきっかけは、NHKのドラマでした。この本が原作だったのですが、ドラマのほうは、「野放図で、でもどこかほっとけない悲しみを漂わせたサトウハチローと、それに振り回される家族の物語」的に描かれ...続きを読む
  • 女の学校
    自分が生まれた頃に書かれた作品で、それからかなり時間がたつのに、時代の流れの話など共感できるところが多々あって、とても興味深く読めた。そして、きっと新聞の連載か何かだったんだろうと思うが、一つ一つのテーマが短くまとまっていて、とても読みやすかった。時代に呑まれるのではなくて、ちゃんと目を開けて時代の...続きを読む
  • 冥途のお客
    【本文より】
    信じるも信じないもあなたの勝手だけど、まぁ、百聞は一見に如かずというから。もしなんなら死んで見ますか?
  • 死ぬための生き方
    佐藤愛子さんのエッセイって、面白い。
    語り口調が、爽快だ。

    「人間、ムリはいけない。どんなことであれ、そう「したいからする」
    のでなくてはならない。」

    この言葉、ほんとその通りだと思う。
  • 私の遺言
    北海道に山荘を建ててから起こった心霊現象・・
    やがてそれは彼女の東京の自宅でも起こるようになる。
    三輪明宏や江原啓之など多くの霊能者や祈祷師、心霊研究家の力を借りながら、20年以上霊と戦い続けたその精神力には驚かされる。
    私自身「科学的に証明できないこと」があると思っているから、とても興味深く読んだ...続きを読む
  • なんでこうなるの 我が老後2
    解説の池上永一氏と同じように私の佐藤愛子との出会いは母を通してであった。いまはお互い落ち着いたが、母も私も若かった頃は佐藤愛子と張り合えるような大騒ぎ母娘だった。佐藤愛子の娘、響子とちがい、私も懲りずに言い返していたので大騒ぎの二乗だった。今思うとご近所の皆様、大変失礼いたしました。
    いつも母を通し...続きを読む
  • 我が老後
    70歳を過ぎた母が「おもしろいよ」とくれたエッセイ。明治生まれのおばあさんは我慢強くたくましかったけど、大正生まれのおばあさんは、もっとアクティブ。一番多感な青春期に軍の侵攻と敗北を目撃してしまったからか。毒のある言葉の連続に始めはぎょっとしながらも、しっかり生きた人間の知性と寛容を実感する。このあ...続きを読む
  • 血脈(上)
    著者の一族に流れている、破滅的な『血』をテーマに描かれた、私小説的な作品。
    物語は、著者の父親である、作家の佐藤紅緑と、著者の母親である女優の万里子(シナ)との出会いから始まり、その時から歯車が狂ったように、家族がバラバラになっていく。
    義兄のサトウハチローを始めとして、佐藤家の男達の生き様の凄さ、...続きを読む