著者の一族に流れている、破滅的な『血』をテーマに描かれた、私小説的な作品。
物語は、著者の父親である、作家の佐藤紅緑と、著者の母親である女優の万里子(シナ)との出会いから始まり、その時から歯車が狂ったように、家族がバラバラになっていく。
義兄のサトウハチローを始めとして、佐藤家の男達の生き様の凄さ、
...続きを読む酷さと言ったらない。どうしてこうも、揃いも揃って身を持ち崩していくんだろう。
家族を捨てたとも言える、紅緑が一番の元凶と言えなくもないけれど、同じような境遇の人間は、彼らだけではないだろうし、そんな中で真っ当に生きてる人間も世の中には多くいる。
見てると、結局は悪い事はみんな自分の環境や周囲の人のせいにしてるだけって感じで、結局のところ、自業自得としか思えない。読んでて正直なところ胸糞悪くなった。
著者は、結局はみんな同じ血が流れてる、その血脈から逃れ切れない、ような事を作品内で暗示してるようだけれど、こちらからすると、それも単なる言い訳に過ぎない感じがした
確かに血筋の影響も強いとは思う。でも、そこから逃れられない程に強いものなのか、疑ってしまう。
あと、これって小説?と疑ってしまう。だって、全員実名で出てるんだもの。
サトウハチローの息子なんて、まだ生きてるし、長い時間をかけて描かれたものだから、執筆中に存命してた人もかなりいる。こうやって実名で大々的に描かれて、トラブルとか無かったのだろうか。なんせ、描かれてる様は、酷くて、まさに駄目人間って感じだからね。
小説としてかなり脚色してるという感じはしなくて、赤裸々な暴露書みたいな感じ。
元々佐藤愛子は毒舌家だから、書き方が厳しいんだよね。
佐藤一族の自堕落な故に自滅していく人々の人生を、ゴシップ雑誌を覗くが如くに読まされたって感じが、私にはするのだけれど、この作品を絶賛する人も少なからずいらっしゃるんだよね。。。菊池寛賞まで受賞してるけれど、内容の凄さに誤魔化されただけじゃないの?と言う気がしないでもない。
ここまで書いたら名誉毀損とかになっちゃうかな?好きな人にはごめんなさいです。