河合隼雄のレビュー一覧

  • 影の現象学
    個人的には、河合隼雄氏の数ある著作の中でも一番の名著ではないかと思う。これはしっかりと、学術文庫で出すレベルの内容になっている。

    人はそれぞれ その人なりの生き方や人生観をもっているが、抑圧されたか、取りあげられなかったか、ともかく、その人によって生きられることなく無意識界に存在していながら、その...続きを読む
  • こころの読書教室
    ユング派心理学の第一人者である河合隼雄氏の最晩年の著書。
    著者が「読まなきゃ損」と考える書籍を紹介し、自分はどう読んだか、どんなメッセージを受け取ったかを語るという形式になっている。
    一番読みたいと思ったのは「一組の男女の関係は6通りある」と語るエマ・ユングの『内なる異性ーアニムスとアニマ』。河合氏...続きを読む
  • こころの最終講義
    「人の心などわかるはずがない」と知り抜いているユング派心理学者の河合氏の講演録。
    冒頭の言葉は河合氏の著書「こころの処方箋」からの引用だが、「わかるはずがない=諦める」ということではないのである。
    分からないことについての講演だから「答え」はどこにも書いていないが、考えるヒントをたくさん受けとること...続きを読む
  • 絵本の力
    絵本が大好きな気持ちがあふれる。
    大切に、大切に読み進めたい一冊。

    河合隼雄さん
    「すべての人が自分の心の中に秘密の花園をもっている。その花園の中に何を植え、何を育てるのかというのは、その人の人生の大切な課題」
    「これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。」

    松居直さん
    ...続きを読む
  • こころの処方箋
    「逃げるときはもの惜しみしない」
    「機構維持」のための仕事で、真っ先に思い浮かんだのが会社での飲み会だ。大人数での飲み会はとにかく苦手で基本参加しないが、たまには参加した方がいいのかもなぁと思った。でも参加をするなら、覚悟を決めて参加をしないと…と考えるだけでかなり億劫だし憂鬱。利益を得ることは簡単...続きを読む
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~
    魚を、魚の大きな目を怖がっていた少年が、ある日海岸近くに迷い込んできたイワシを見つけ、その美しさに、イワシの存在に好奇心をかき立てられ、海の神秘に魅了される。
    そんな少年は、海やその住人たちへの深く果てしない愛を深めていきながら、物理学者になり、フランスのスピーチ大会でイワシについて熱く語り優勝し、...続きを読む
  • コンプレックス
    50年前の本というのが驚き。
    劣等感コンプレックス≠劣等性の認識という説明をしている章が面白い。その章で記されるソフトボールの例は、4年前の私の高校時代でも見られた光景である。50年後の若者が読んでも共感できる例が示されていることに凄みを感じた。
    また、コンプレックスの解消が簡単なものではなく、爆発...続きを読む
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~
    神秘的すぎてフィクションなのか、ノンフィクションなのかわからない。
    裏付ける名前の付け方とかあって、こんなにすごいのか、と。
    表紙の絵が可愛くて惹かれて読んだけどとてもよかった。
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)
    本屋でたまたま目についた。常々シェイクスピアをコンプリートしたいと思いつつ、いつも他の本の誘惑に負け、シェイクスピアが後回しになってしまうことを気にしていたからか。

    シェイクスピアの戯曲のうちの11作について、翻訳者の松岡和子氏が原書での言い回し等を例に出しながら様々な質問を投げかけ、それに対し河...続きを読む
  • コンプレックス
    かなり噛み砕いて書いてあり、様々な事例とともに紹介されているため、とても分かりやすい。
    コンプレックスとはマイナスの要素だけでない。それを乗り越えた先に人格の発展があると考えれば、かなり救われるものがある。

    (人間の心の中は無意識の領域がかなり大きくあると考えられるが、それらをいちいち意識していた...続きを読む
  • 魂にメスはいらない ユング心理学講義
    河合先生の話はもちろん、谷川さんの鋭い質問力に敬服する。内容としては、箱庭療法が興味深かった。精神医学的に症状がない方たちの作った箱庭。素人目に強烈なものでも、それ単体で診断されるわけではない。作られるまでの経緯、人形等の配置や有無で、病気の人とそうでない人の大きな違いがあるのは印象的。最後、谷川さ...続きを読む
  • 村上春樹、河合隼雄に会いにいく
    誰しもが少なからず、精神的な病、瑕疵やしっくりこないことを持っていると思うのですが、この本にはそういったものを解消したり、緩和したりするためのヒントが書かれているように感じました。
  • 生きるとは、自分の物語をつくること
    河合隼雄という人物に触れなかった人生が恥ずかしい…。文化界の大家であると、経歴を見ずとも実感させられた。"おひさまにあててポカポカふくらんだ座布団のよう"な人。

    対話集なので軽やかにさらさら読めるが、さらさら素通りすることはできない言葉が詰まっていた。
    小川洋子、河合隼雄ともに、本当に厚みのある人...続きを読む
  • 「老いる」とはどういうことか
    ヴォーヴォワールの老いについてをテレビで紹介していて、ふと気になり読んでみた。赤瀬川の老人力みたいな無理矢理賛美の本でもなく、若者でも読める人生エッセイ。再読したい。
  • 生きるとは、自分の物語をつくること
    心理学者で文化庁長官の河合さんと、優しい小説を書く小説家の小川さんの対談。
    河合さんの死去で、もっと読めなかったのが残念。


    一神教のキリスト教圏と、多神教の日本との、厳密さと曖昧さの違いについて語られていたのが面白かった。

    キリスト教圏の人は、厳密さ、厳格さの中で生きていて、例えばポルノを見な...続きを読む
  • 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして
    カウンセリングは、とにかく、聴くこと、という原則を、具体例で肉付けしてます。言葉に表し難い感覚的なことを、高い表現力で述べられています。実用的であり、かつ、読み物として面白いです。
  • 父親の力 母親の力 「イエ」を出て「家」に帰る
    「父性の復権」で、主張されているような、昔の日本の父親にように戻れ、ということに、なんとなく違和感を感じていたが、本書では、そのような父親像を痛快に否定してくれる。

    明治の父親は強かったからとあれを真似しようと思ったら、大きな間違いを起こすことになります。あれは、父親がいばるための制度であったのに...続きを読む
  • 河合隼雄のカウンセリング教室
    2009年刊行。
    カウンセリングと倫理、友情、時間、家族等について講演した記録。

    最近カウンセリングを受けて、正直うさんくさく、一体カウンセリングって何なわけ?と思って手に取った本。なかなか含蓄に富んだ内容だった。
    わたしをカウンセリングしたカウンセラーにも読ませてやりたいと思った。

    正直、流派...続きを読む
  • 子どもの宇宙
    (基本星をつけるのは、システム上評価によって新しい本と出会いたいがためにやってるんだけど、)著者の子どもへの強い思いに共感して☆5にしたい。
    子どもの内にある宇宙は途方もなくすばらしいのに、基本この世界でかれらの声はかき消されがちだから。
    著者の他の本での引用時以上に、ここで引用した児童文学を読んで...続きを読む
  • 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして
    まさに入門としてオススメの本だけど、実際にカウンセリングをするとなると、ここに書かれていること以上に投影の問題など知っておかなければいけないことはたくさんあると思う。

    読んでいて、カウンセリングにおいて何が大切かを色々と考えることができたので得たものは大きかった。


    読みながら感じたことのメモ
    ...続きを読む