河合隼雄のレビュー一覧

  • 河合隼雄セレクション こころと人生
    なんていうか、子どもにしても中年にしても、その表面的な行動や言動なんかのベースにある、見えないところを考えていくことで、すごく人間理解が進むんですよね。河合隼雄さんは膨大なカウンセリングをしてこられた方ですから、それまでよく認識されてこなかった、人間の行動の背景や原理、仕組みなんていうものを、こうい...続きを読む
  • 河合隼雄の幸福論
    河合隼雄先生がかつて新聞に「しあわせ眼鏡」という題目で寄稿されたエッセイ集である。

    心理学に限らず、先生が日々感じたことを綴られている。

    特に印象深かったのが
    ・「らくがきフルートのお話」
    ・満ち足りた人生の話
    ・悲しみのお話
    ・昇りつめた幸福のお話
    ・自立は出来ないお話
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話
    ユング心理学を実践的に学ぶことができる良書。昔話という身近な例題を用いて、ユング心理学の論理を当てはめ、読み解くことができる。
    例題となる昔話を知っていることが大前提となるが、巻末に、本編で扱った昔話が掲載されているため、先に巻末から読んでも良いと思われる。
    ユング心理学に興味がある人は必読。
  • 新・新装版 トポスの知 [箱庭療法]の世界
    箱庭療法が大好きで、できたら、勉強し、カウンセリングに使いたいと思っている。
    箱庭の勉強の仕方がわからず、公認心理師で、実際に箱庭療法をやっている方に聞いたところ、「とにかく河合隼雄先生の本を読みなさい」と言われたので、手始めに読んだのがこの本。

    今まで、自分が箱庭体験をし、それを周囲のカウンセラ...続きを読む
  • 子どもの宇宙
    p.47
    子どもが成長し、傷ついた心が癒されてゆく過程において、秘密をもつことがどれほど大切であるかがよく示されている。しかしその秘密は、育てられ、親しい人と共有され、最後にはすべての人の前に開示されるものへと変化し、発展してゆくものなのである。
    → 読書会入門で紹介される猫町UGの魅力とは「仲間...続きを読む
  • 子どもの宇宙
    遊戯療法の事例や児童文学を例にあげながら、子どもの心がもつ深くて広い宇宙について解説する。子どもへの温かい敬愛の情が、全編に渡って文章を通して伝わってくる。子どもは単なる小さな半人前の存在ではなく、それぞれに確固たる心を持って成長してゆく存在であることを、自分もそうだったと重ね合わせて思い出した。も...続きを読む
  • 無意識の構造 改版
    ヒステリーとは心理的な問題が身体的な症状に転化されたもの
    トラウマと抑圧
    こだわりを持つ時、人は意識の円滑さを失う
    エディプスコンプレックス→父を殺し母を愛そうとする心理
    器官劣等
    カインコンプレックス→兄弟間の競争意識
    メサイヤコンプレックス→自分の劣等感から抜け出すために親切の押し売りをする
    ...続きを読む
  • 家族関係を考える
    なぜか長寿の新書『家族関係を考える』。初版は40年近く前。

    内容は、当時の進歩主義によって古くからあった「日本の家族観」を解体したまではいいが、「あとは個人とか自由とかで生きていってください」と言われてしまい、そう言った側も「で、どうしたらいいの?」と右往左往という感じか。
    エマニュエル・トッドと...続きを読む
  • 私が語り伝えたかったこと
    備忘録です。

    臨床療法の過程で、相談者が見た夢とその分析をする具体的な話が載っていたけど、それが面白かった。何が面白いかって、人の無意識ってかなり勝手に物語をつくってるのが面白い。「勝手」というのは自我に対して遠慮なしにということと、自動生成的に作られているということがおもしろい。なんでわざわざ物...続きを読む
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話
    自己啓発本を読むならば昔話を読み直し他方がいいと思ったね。光が当たれば影ができるし救われないこともある。そういう当たり前のことを改めて認識すると「ほどほどで良しとする寛容さ」が大切なんだな、と思った。
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)
    河合隼雄さんと、松岡和子さんのシェイクスピアの戯曲を読み、その作品の解釈や、合わせ持つ意味などの解説などがあり、たいへん勉強になるお話でした。シェイクスピアに、興味のある方へ、オススメしたい一冊です。
  • 影の現象学
    自分や人に向き合うきっかけになりそう。
    てきとうで温かい近年のエッセイとは違って、どろどろした中からも何かを見いだそうとする感じ。
    死は創造へ?
  • 無意識の構造 改版
    私はそろそろ、社会の中で闘っていくためのモデルとなる父親像を求める時期に入っている、ようだ。なのかな。
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)
    著名心理学者と翻訳家の対談でシェイクスピアの名作の数々の登場人物の心を読み解いていく!「ロミオとジュリエット」のジュリエットが14歳、ハムレットが30歳とあるのが、珍しい年齢の表記だそうで、両作品とも元作の年齢をシェイクスピアが変更していることにどんな意味があるのか。心理学的な観点から読み解いていく...続きを読む
  • 私が語り伝えたかったこと
    結構昔に書かれていても、今読んでも十分に通用する内容ばかりでした。

    今の世の中を、河合隼雄先生はどのように捉えるんでしょうかなぁ。大多数のように希望が見いだせない状況を憂うのではないであろうことくらいしか、考えつかないのだけど。
  • 無意識の構造 改版
    ユングが深いのか、著者が深いのか。人間や自分自身をよりよく理解するための無意識の構造について、興味がつきない。無意識を理解するには、個人個人の心の構造だけでなく、社会や文化の知識や洞察も不可欠。文学作品や神話もとりあげつつ、人の心や世界の捉え方の不思議に迫る。難解な箇所も多く、いずれ再読したい。
  • 河合隼雄のカウンセリング教室
    善意というものほど怖いものはない、闇のなかにどれほどの光が入っているのかわからない
     身近な人の力になりたいと考え、カウンセリング・マインドを身につけるために購入した。河合隼雄の本は『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』で対談を読んだだけだったが、そのときの話の内容にいたく感銘を受けたのを覚えている。
    ...続きを読む
  • 影の現象学
    現在の自然科学の視点にとどまらない、刺激的な論文
    知性とは、客観的・論理的な態度からのみ得るものだろうか
    河合隼雄はいつも新しい

    光と影、対立から生まれる第三の道を、人生の中で探っていきたい
  • こころとお話のゆくえ
    世界を飛び回る著者の活動範囲の広さと、心理学、哲学、宗教、文学から芸術に至るまで、扱われている素材の広さに圧倒される。押し付けがましさが微塵もない、柔らかく時にユーモア溢れる語り口に、著者の懐の深さを感じる。
  • 明恵 夢を生きる
    読むのが少し大変だけど面白かった。読んだけどまだ読みつくせ無いところ沢山ある感じ。この本は、夢を軸にして河合隼雄、明恵、仏教、心理学それぞれに対する興味との関連も出てくる。明恵自体よく知らない状態で読んだので持った印象の精度を自己点検はできてないかも。とはいえ、著者の思っていることはいつになく伝わる...続きを読む