橋本治のレビュー一覧

  • そして、みんなバカになった
    著者の本は5冊目だが、膝を打つような明快な意見に魅了されることが多い.本書も大いに楽しめる内容だったが、第5章の「年をとるってやっぱりわからない が正しい」が良かった.p169: 老いというのは、老いてみないとわかんない その通りと思う.
  • 初夏の色
    津波で何も無くなった、色々な人たちの心象が、短編化されている。静かな小説、でも、遠くに雲の間から太陽が柔らかく降り注いでいた。
  • 美男へのレッスン(上)
    現代社会において「美男」が置かれている位置について考察をおこなっている本です。

    著者はまず、オードリー・ヘップバーン主演の映画『パリで一緒に』を題材に、中年のシナリオライター役で登場するウィリアム・ホールデンと二枚目俳優のトニー・カーティスを対比しながら、若い美男に対抗意識を燃やす中年男と、そうし...続きを読む
  • 上司は思いつきでものを言う
    ずっと かかえていた
    もやもやしたものが
    あっ そうか!
    と コトンと胸に落ちる ことがある

    橋本治さんの
    著作を読んでいると
    その幸運に満たされる
    ことが よくある

    本書も その一冊です
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ
    口述という体裁もあってか今回もあっちこっちに話が飛ぶのに、最後に必ず元に戻ってきて、きちんと筋が通っているところが相変わらず凄い。またこの人の言葉の使い方、特に喩えが超絶に上手い。昭和=「復興経済」との表現もすごく腑に落ちる。
    英EU離脱は成長、拡大を追求した経済飽和の象徴であり、もうこれ以上の拡大...続きを読む
  • リア家の人々(新潮文庫)
    ・半年もたたぬ間に、総理大臣はもう二度代わっている。新しくなろうとしても、国の中枢はそうそう変われない。「これなら大丈夫だろう」と思われる人物を連れて来ても、国の中枢にふさわしいと思われる人物なら、なんらかの形で汚れている。「新しくなる」ということは、そう簡単なことではないのだ。

    ・人にはそれぞれ...続きを読む
  • 「わからない」という方法
    橋本治(1948~2019年)氏は、東大在学中に、「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」という東大駒場祭のポスターで注目され、その後イラストレーターを経て、文筆業に転じ、様々なメディアでも活躍した小説家、評論家、随筆家。
    本書は、「わかる」ために、セーターの編み物...続きを読む
  • 「わからない」という方法
    橋本治の本を読んだのは3冊目である。
    1冊目は『知性の転覆』、2冊目は『上司は思いつきでものを言う』で、この2冊で橋本治のファンになった。
    橋本治は面白い。
    面白さの一つは「等身大」である。
    橋本治は等身大でものを言う。背伸びをしていないから合点がいく。それは本書では「身体性」である。
    二つ目は「地...続きを読む
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ
    聞き書きの本。
    50代と30代のライターを相手に、話ながら進めていく。
    橋本治さんが育った時代の、目に見える世界の変わりよう、
    生活や人が変わっていくのを肌で実感し、
    そこから大事なことを抽出すると
    ちゃんと世界を見るものさしができあがる。
    橋本さんの中で、イギリスのEU離脱のお題は、
    遠くローマ帝...続きを読む
  • 古事記
    解説がたくさん載っているので古典文学初心者にとっては、歴史の勉強にもなり読み易い。
    「古事記」上、中、下の3巻の上の巻の分のみ。

    日本はイザナミが最初に淡路島を産んで次々と国土ができていった。神々は人間は作らない。

    あとがきに「神様は人間ではない。しかしいつの間にか、神様は人間になっていく」と。...続きを読む
  • 結婚
     どうすれば結婚できるのか!!??

     わかるマン。
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ...いや、マジで。

     最終章、倫子が婚活サイトや、合コンや、お見合いパーティー、とにかく暴走するたびに壁にぶち当たってやる気をなくし、でもなにかやらないと、というひた...続きを読む
  • 無花果少年と桃尻娘
    シリーズ第五弾。

    おたがいの心の乖離から別れてしまうことになった磯村薫と木川田源一の二人が再開し、榊原玲奈は田中優の友人である利倉完二の実家に「女中」として働きにいくことを決意し、さらに磯村は田中と共同生活をはじめ、自分を「子ども」として可愛がって育ててきた母親からの独立を果たすための精神的な成長...続きを読む
  • 恋愛論 完全版
    1986年当時の彼女に進められて読んだ覚えがある。
    この年になって、ふと当時自分が何を思い何を考えていたんだろうって思ったときに、この本のことが頭に浮かんだ。
  • 無花果少年と瓜売小僧
    シリーズ第四弾。今回は、「無花果少年」こと磯村薫と、「瓜売小僧」こと木川田源一のカップルがたどった運命が語られます。

    これまでとはちがって、登場人物の語りによって物語が進められていくのではなく、作者がみずからの考えを過剰なほどに織り込みながら二人の関係の危機をえがくという手法が採られています。「大...続きを読む
  • その後の仁義なき桃尻娘
    シリーズ第二弾。

    今回は、大学受験に失敗して予備校に通うことになった榊原玲奈の登場機会はずいぶん減って、源一の愛した「先輩」こと滝上圭介と醒井凉子のひと夏の恋とその帰結が多くの登場人物の視点から語られていきます。源一の心情に寄り添う著者の語りに、『恋愛論』(講談社文庫など)のもとになった講演の最中...続きを読む
  • 結婚
    あぁ、分かる分かる。と思いながら読んでいくも、最終的に愛されるために若さと直感信じて突っ走れと言われたようで、卵子老化著しい私はもーどーしよーもねーな。としか思えず。

    子供産むためには結婚してないと辛いんだよね。教員やってるから分かる。シングルマザーを支えるサポートがまだまだ万全じゃない。お母さん...続きを読む
  • マンガ哲学辞典
    なかなか難しいんだけども、おばさんの件はズキンとくるわな。おばさんはセクシー系が苦手で、理想と現実の可愛い折衷案を体現していく、みたいなところ。

    正直批判覚悟で言うのなら、昔はおばさんの概念ってもっと狭かったと思うんよね。

    今はさ、「○○系」とか言って自分の裁量に見合う主義を選んでうまーくオブラ...続きを読む
  • 掌篇歳時記 春夏
    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにね...続きを読む
  • 橋本治のかけこみ人生相談
    「相談なさる方の多くが、自分で、自分の悩みがどんなものか、理解なさっていることです。また、その悩みの多くが、対人関係にかかわるものです」

     親子関係、兄弟関係、職場関係、友人関係。そういう悩みを選別しているからなのかどうかは分からないが、本書に書かれている悩みはすべからく対人関係である。

     本書...続きを読む
  • 掌篇歳時記 春夏
    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか