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今、「バスジャック」がブームである――。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。この短編集の中に、きっとあなたの人生を変える一編があります。
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Posted by ブクログ
短編集。全体的にナンセンスという言葉が思い浮かぶ。とくに表題作。もはやアトラクション。コンペのようでもある。いずれにせよ乗り合わせたくはない。「二階扉をつけてください」一階に設置できるよう改良すべきではないのか。「雨降る夜に」ホッとする話。「動物園」SFとファンタジーの中間にある仕事小説風。綺麗なだ...続きを読むけなら写真で十分。息遣いを感じられてこそだと思うので、私が園長なら柚月さんにお願いしたい。他三編。
短編集。現実からほど近い不思議なお話ばかりで、思わずぞっとするものから温かい気持ちになれるものまで様々な雰囲気を味わえる。 一番好きな話は「送りの夏」で、個人的にはこの小説があるだけでこの本を買って良かったと思った。この話がなければ★3つかな。生者と死者の境界線が淡い場所での少女のひと夏の物語。大事...続きを読むな人との別れとは悲しく、切ないものだけれど、とても尊いものだと、心に染み入るように感じさせてくれる。
短編集。 基本的には現実味の無い舞台設定の物が殆ど。 タイトルの『バスジャック』はテンポは良いが特に何か感じるほどじゃなかった。 ただ、意外にも最後の話は現実には有り得ないとしても少しじんわりと暖まる話だった。
読書会の為に再読しました。 三崎ワールドは長編にも短編にも確かにあります。非日常も続けば日常になる、って確か他の作品に出てきた言葉ですが、三崎ワールドを上手く表現してあるなぁと思います。 読書会では表題作を紹介したのですが、お話はやっぱり「動物園」と「送りの夏」が好き。動物園は日野原さんの能力表出の...続きを読むところが少し想像し難いですが、どのお話も情景が浮かんでくるようです。映像的。 ヒノヤマホウオウ、見てみたいなぁ。 情報量の少ない、静かな世界なのも好きです。 ハヤカワ・トータルプランニングのシリーズも、他の作品も読むのが楽しみです。
「世にも奇妙な物語」が好きな方にはオススメ 表題作のインパクトが強い 日常によくあることを少しずらしてさらにそれが日常になった世界を描かせたら随一 この著者の作品を読むきっかけになった作品
『となり町戦争』がおもしろかったので、その作者の二作目。購入したのはだいぶ前なので、かなり積読していた。外れの少ない短編集。好きなのは… 「二階扉をつけてください」町内会の回覧板に書かれたその言葉。わからないままつけた二回扉に隠された秘密。SFチックで後味が少し悪い。笑 「バスジャック」バスジャ...続きを読むックブームにより、ルールや様式美が定められた不思議な世界。「ロマンはどこだ」感。 「動物園」動物を表現できる不思議な能力を持った女性の話。おじさん飼育員との会話が良い。 「二人の記憶」彼女との記憶に少しずつすれ違い。そのずれをどうするかという話。彼女と主人公、どちらが違うのかもはっきりしないんですよね。 「送りの夏」ある日突然蒸発した母の行き先を求めて娘が向かった先には、マネキンのような人を抱えたいくつかの家族のシェアハウスが。彼らとマネキンのような人々の正体は? ショートショートから短編まで、変わった設定の作品が多いけれど、どれも読んでいて感情移入できる。「動物園」と「送りの夏」が好き。とくに「送りの夏」はアニメ映画にでもできそうな感動的なストーリーです。命とか、死の乗り越え方について考えさせられます。
回覧版で知らされた『二階扉』なる設備をつけるべく奮闘する男の話『二階扉をつけてください』、バスジャックがブームとなり形式化しつつある世界を書いた表題作『バスジャック』などの七つの物語。 突如不条理な世界で繰り広げられる三崎ワールド全開の短編集。 一番目の話が、戸惑いつつもコメディタッチだったのに...続きを読む、オチがホラーで少々ビビりましたが、その他はほぼ優しさの中に寂寥感漂うお話でした。 特にラストの『送りの夏』は、小学生の女の子の生き生きとした目線で話が書かれている為、対局である『死』もより強く、残された者達の苦しさ悲しさが感じられる話だったと思います。 この中で私が一番気に入ったのが『動物園』。どこがとは上手く言えないのですが、印象強いものを感じました。
叙情的な季節感を醸しながら語られる不思議な短編集。その中にあって、二階扉〜とバスジャックの2篇はブラックユーモアテイストで読み手を飽きさせない。 作者は情景描写がとても素敵ですね。 お気に入りは、送りの夏かな。小6の少女が大人過ぎだけど。
再読。 建築物に執着を見せる三崎さんですが、この短編集では建物は「二階扉をつけてください」に少し出てくる程度です。 初読の時と同じくこの短編集の中では長めの「動物園」「送りの夏」が印象に残ります。特に今回は「送りの夏」。 それぞれ動かないマネキン人形のような人間を抱えた4つの家族が共同で暮らす家。主...続きを読む人公の小学生・麻美の母親も家出してそこで暮らしていた。 愛する人の死を受け入れるための場所。そこで麻美の知らない動かぬ男性と暮らすどこか奔放な母親と、妻や娘を信頼する父親。ちょっと不思議な家族。 夏の物語なのにどこか静寂でひんやりと、しかし暖かな気持ちになる話でした。 ====================================== 08-099 2008/12/09 ☆☆☆☆ 不条理の世界です。 「となり町戦争」も不思議な世界でしたが。 読み始めは「何で?」という感覚が強く。何だか不条理な世界を描くことのみが目的のように見えて、付いて行けませんでした。しかし、読み進めるうちにかなり感じが変ってきました。 特に最後の2作は私好みです。 動物園の檻の中で、見物客に居もしない動物の幻視を起こさせることを生業にする若い女性。大切な人の死を受け入れかね、人形を代役にゆっくりとした別離を図る集団。不思議な世界ではあるけれど、切なさがあって、染み込んで来ます。
不思議な物語をさも当たり前の世界かのように書いている小説。それぞれが面白かった。ミステリーあり、ファンタジーあり。個人的には動物園が一番良かった。語り口が好き。 2014.12
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