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萌えの仮面をかぶったサスペンス。『がっこうぐらし!』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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「ぶくまる」読者の皆様、はじめまして。鷹野凌(たかの・りょう)と申します。フリーライターをやっており、電子出版や著作権関連などを中心に、あちこちへレポートやレビューを書いています。マンガは毎月10~20冊くらい、アニメは毎クール数本観ています。ジャンルはSFやファンタジー、燃え系と萌え系が好きです。

今回は、7月にアニメ第1話が放送され、あまりに衝撃的な内容が大きな話題となっている『がっこうぐらし!』の、原作マンガを紹介します。原作を読まずにアニメだけを楽しみたい方、なるべくネタバレを避けたい方は、そっとこのページを閉じてください。ちなみに筆者は、アニメ第1話を観終えた次の瞬間、既刊をすべて購入してその日のうちに読破しています。夜中でも、欲しいと思ったらすぐ買えるのが電子書籍の良いところですね。

 がっこうぐらし! 1巻

『がっこうぐらし!』 1~6巻 海法紀光(ニトロプラス)・千葉サドル / 芳文社

そもそも原作がニトロプラスですから

『がっこうぐらし!』は、芳文社のマンガ誌『まんがタイムきららフォワード』に連載中のマンガで、原作はニトロプラスの海法紀光さん、作画は千葉サドルさんです。アニメ第1話は、開始から20分過ぎくらいまでは、なぜか学校で寝泊まりしている「学園生活部」の一員であり、主人公である丈槍由紀(たけや・ゆき)の脳天気な発言や行動に、頭が痛くなるくらいでした。ほのぼのとした絵柄も、それに拍車をかけています。

しかし、原作があの『魔法少女まどか☆マギカ』を世に送り出したニトロプラスなだけに 、ただの萌えアニメになるはずがないと思っていたら、案の定。改めて映像を確認してみると、たった20分の間にいくつも伏線が張られており、「これはそういう意味だったのか!」と感心させられました。ただ、いきなり第1話でこんなに大きな山場を持ってきて、この先大丈夫なんだろうか? と心配になったのも事実。それが、筆者が原作マンガをすぐに買った理由でもあります。我慢できませんでした。

原作マンガとアニメは少し構成が違う

結論を先に言うと、マンガを先に読んでも、アニメは充分に楽しめると思います。マンガの第1話は、最初は日常萌えマンガ的なのに、ラスト数ページで衝撃の展開になるのはアニメと同じ。ところが、アニメの構成は、原作とはかなり変わっているのです。

例えば、アニメでは第1話から登場している直樹美紀(なおき・みき)は、原作コミックでは初登場が第1巻の最後で、学園生活部に合流するのが第2巻の最後。犬の太郎丸も、第3巻まで登場しません。恐らくアニメでは今後、回想シーンでこの辺りが描写されることになるのでしょう。そのシーンの描き方が、第1話よりインパクトのある形になるのだろうなと思うと、いまから観るのが楽しみです。

萌えの仮面をかぶったサスペンス

第1巻の表紙をよく見ると、窓が割れていたり、机や椅子が壊れていたり、ゆきの服がボロボロだったりと、既に不穏な雰囲気を醸し出しています。なぜこんなに学校が荒れているのか。そんな学校で寝泊まりする学園生活部とは何なのか。そう、この作品は萌えの仮面をかぶったサスペンスなのです。

恵飛須沢胡桃(えびすざわ・くるみ)がいつもスコップを持っているのはなぜなのか。若狭悠里(わかさ・ゆうり)がいつも家計簿をつけているのはなぜなのか。机や椅子でバリケードが作ってあるのはなぜなのか。そして、彼女たち以外の生徒たちは……? もっとも、この辺りの謎は早々に解き明かされるわけですが。

学校の屋上に太陽光発電システムや家庭菜園があるのはなぜなのか。ゆきが馬鹿みたいに明るくて脳天気なのはなぜなのか。佐倉慈(さくら・めぐみ)先生の存在感が薄いのはなぜなのか。そして、学校の外はどうなっているのか。学園生活部の運命は?

この先、さまざまな苦難が訪れますが、彼女たちはへこたれません。「わたしたちは元気です」というメッセージを発し続けます。それはなぜか? それが生きていることの証だから。既刊第5巻でひとまず大きな話の区切りは付いていますが、連載はまだまだ続いています。この先も、楽しみなマンガです。

 がっこうぐらし! 1巻

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