近代詩歌俳句、と聞いてみなさんは誰を思い浮かべるでしょうか。正岡子規?与謝野晶子?中原中也? そもそも学校の授業では、近代文学そのものに接する時間をそう長くは持てなかった方も多いかもしれません。
本作は、□街(詩歌の「し」・短歌の「か」・俳句の「く」で「しかくがい」!)という近代日本のような架空の街に住む、萩原朔太郎や北原白秋、室生犀星、三好達治、正岡子規などの詩人や作家本人ではなく作品イメージをもとに創作されたキャラクターたちが、詩を作ったり、作れなくて苦しんだり、街はずれの丘の上にある天上松にかかっている身元不明の縊死体を見つけて検証したり考察したりしながら、ひいては文学と戦争の関係が匂わされたりする、詩歌俳句ファンタジーマンガです。読んでいて次から次へとジェットコースターのように話題が転換していくので、支離滅裂なようにも見えますが、史実とフィクションのバランスが非常に絶妙で、読み進めずにはいられないほど先が気になるのです!
キャラクターとして登場する詩人に全集があればすべて読んでいるという作者の知識がふんだんに生かされた本作、すべての文学少年少女&元文学少年少女必読の書です! 作中にちりばめられたいろいろな作品が気になった方は、それぞれの詩人の詩集なども是非ご一緒にどうぞ。
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再読。月吠えは全巻読んでいるのでこのあとの展開がありありと思い浮かべられて、読みながら「平和だなあ……」と思った。
これは10代のわたしのバイブルである。引用される詩はみな暗誦できる。いちばん好きなのは『殺人事件』。
縊死体が現れる前の、みんな仲良くのんだくれて、朔くんが安心して病んでいられる□街が永遠に続けばよかったのだ。
紙と電子両方買いました
紙の本でも買っているのですが、いつでも読めるようにしたくて電子で買い直しました。
改めて読むと、先生が本当に色々調べて描いてらっしゃることが分かります。
詩人歌人の関係性に興味を持ったのもこの本がきっかけで、また詩集や小説の原本も読み直したいと思えます。
この本を読むまでは登場人物として出ている詩人にあまり興味はなかったのですが、すっかりとハマってしまいました。
名前だけは知っている詩人ばかりですが一人ひとりの個性が強烈で面白いです。
とにかく情報量が多く文字の多い作品なので読むのは大変ですが読後は良い刺激に満たされています。
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白秋って童謡のイメージが強かったけれど、女まみれのスキャンダラスな人だったんですね。「この道」も女性との会話が元なんでしょうか。朔太郎も改めて読むと凄い狂気ですね。
面白かったです。
気付いたら一晩で全巻購入していました。
タイトルや表紙や設定からマニアックな雰囲気が漂っていて、実際内容もマニアックですが、過激な表現があるにもかかわらず趣味に走りすぎとか自己満とかそういう感じはしません(趣味に走ってるっぽい表現があっても、この作品ではそこにちゃんと意味もある)。
物語の構成もものすごくしっかりしています。
日本文学・文壇オタクな作者さんの作品(文豪らの作品と自作品のどちらに対しても)への真摯さと徹底した研究心が読み取れます。
ファンタジーだし、言ってしまえば当時の文壇の二次創作なのかもしれませんが、ここまで(事前調査・構想・構成等の)クオリティが高ければ、そりゃあ青年誌に載るのも頷けます。
描写や表現も凝っていて漫画ならではの技術を感じさせます。
作品のテイスト上どうしても合う・合わないはあると思いますが、良作であることは間違いないです。趣味にハマる人には本当にたまらないと思います。
一言で言いますと、めっちゃオススメです。
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狂気がすごい、狂った人しかいない。
思ってたのよりハードだった。
私自身に詩を解する素養が無いのが悔やまれるし文学史もあやふやだ~けどわからないなりに十分楽しい。
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嵌ると知ってて敬遠していたが読んでみた。完敗だった。完全にドストライクに好みです。多くのBL表現に拒否反応が出るのだけど、この作品のBLはOKだった。事実に基づいて表現しているからだろう。沢山のモノローグや朔のカジュアルな病み方が最高オブ最高です。朔の病み方が物凄くかわいい。表現方法が全体的に詩的で作品に合っている。白さんの詩に孕まされる表現が生々しい色気が有って良かったです。燃えに近い萌え。
有名文人がいっぱい
詩人そのものではなく、その作品群から得た印象をキャラクターにして、仮想の世界でワチャワチャする話。
絵が綺麗で内容も不思議だけど面白いし、それぞれの原作の詩集を読みたくなる。白さん(北原白秋)がイケメンすぎ。
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久々に凄い私の中に残った漫画かもしれない。
でも独特な雰囲気なので合わない人は合わないだろうし、好きな人にはたまらないという感じだと思う。
詩人に関しては名前とかなり有名な詩だけ知ってるというくらいの無知な私だったけどこれを読んで詩人たちにも凄く興味が湧いた。
この漫画に出てくるキャラは詩人自体をキャラ化したんじゃなくて、各人の詩の雰囲気から造られたキャラみたいだけど。
朔くんの病みっぷりが最初はあんまなんとも思わなかったけど見れば見る程なんだか可愛く見えてきてたまらない。
白さんとのなんとも言えない関係も好き。
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萩原朔太郎さんの『月に吠える』が読んでみたいなあ、とまさに思ってた時に見つけた漫画。
近代文学とかって興味あるけどなんか難しくって…って人はこういうのから入ると面白いのかな。
それにしても狂ってるなあ。
ものすごく純粋に狂ってる感じ。
めっちゃ好き。
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すごい!!近代詩ってさっぱり読んだことなかったんだけど、それでも全然おもしろかったし、こんなの読んじゃったら元の詩の方にも手出すしかないよ 14/5/11
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近代詩歌俳句を著者を絡めて擬人化という実験的な漫画だが、前作に感じた人間の精神みたいなのを鋭く描いているのは変わらなくて、近代文学知識0の私でも十分面白かった。
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神経衰弱な萩原朔太郎、年中女に囲まれている北原白秋、顔が忘れられた室生犀星。彼らがいるのは太陽も月も東と西の天気屋が出すような、不思議な街。
実際に起こっていることなのか、朔太郎の幻覚なのか、区別がつかなくてわかりにくくて、なんじゃこりゃ…と思っているうちに読み終わってしまう不思議な話。とても怖い世界なのに覗いてしまう、そんな魅力に引きずり込まれた。
匿名
実在の文豪を基にしたマンガは有名なものがいくつか思い当たりますが、「詩人」にスポットライトが当たったマンガはなかなか無いのではないでしょうか。
おすすめです。
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重い。漫画なのに読むのに数日を要しました。
国文かじったおかげでネタとか一部の詩とかは解るのですが、朔太郎こんなに重かったっけ?などと考え中。
雰囲気に飲み込まれます。
体力ないと読み返しは無理かもしれません。
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幻想的で病的で、狂気にひっぱられるような漫画。作者の思入れも元となった詩の読み込みもはんぱなくて、独特の世界観とストーリーがくせになる。朔の病みっぷりが滑稽なほどでかわいそうだが笑えた。
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作家にとって、居心地が良かったのは、明治~昭和初期なのかな、と空想する。
□街に住まわせて、さらに居心地よくさせたのが、このマンガ。
正直、この時代の作家の本なんて読んでないし、教科書でしか知らないけれど。
朔太郎のダメなおぼっちゃま風な感じが良いね。白秋の非否人ぶりが良い。もう一人の行方不明者の今後が気になる。
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想像よりもホラーっぽい部分や幻想(妄想?)っぽい部分があったが、とても面白かった。
朔太郎を主人公に、彼の周囲にいた近代詩人、歌人たちが描かれているが「え?こんな人?」と驚くような解釈もあり、新鮮で良かった。
(個人的には、シキの弟子二人の闘いがツボすぎた、あんなマッチョな歌人いないって、笑)
近代詩人のエピソードを知る者同士で、これをテキストに読書会でもしたら盛り上がりそうだ。
一巻目ということもあってか、伏線的で、今ひとつ明らかでない部分もあり(サイの顔も含め)先の展開が楽しみ。
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近代文学もっと嗜んでおけばもっと楽しめただろうな…!
でも文学家の歪んだ精神世界は見ていて好きです。
好き嫌いは分かれると思います。
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耽美趣味のフォロワーさんがオススメされていたので買ってしまったこの本。ものすごく好き嫌いが分かれそうな本だと思いますが、私は何故か好きでした。
朔太郎といえば学生時代に猫町を読んだきりで、だけど猫町を読んだときの「なんだか怖い」イメージは間違っていなかったのかなと。
あと人でなし色男の白秋先生が!まさか郷里の偉人がこんなとこでこんなキャラになっているとは(笑)個人的にはそれだけでも買った甲斐がありました。
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文学ネタのマンガはストレイドッグ含め複数読んでいるが、こんなに笑えるのはない。
近代詩歌もっとちゃんと読んでおけば良かったと後悔することしきり。
これ、どのくらいのリテラシーがあると面白いのかよく分からない。私は半分くらいの作家の名前は知っていて、残りは有名な作品をいくつか読んだくらい。
まあ朔太郎がヒドイ(笑)
朔太郎の娘さんの父の話も読んだことあって、イメージはあるけど。
これからあの詩が生まれるのかとか、色々考えてしまう。
そんな読み方しなくても面白いのかは分からぬ。
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“「今のなし!
なしなし!詩なんてもう書きません」
「そうなの?」
「書きませんよ
こんなの考えてるから頭がおかしくなっていくんです
それに日々退屈で世がなべて事もなさすぎて
おれはもう昔みたいにぽかーんと気絶して息をすうはあすうはあ繰り返すばかりです
何の気力もわかない…
そういうことを手紙で訴えたのに 訴えたのにあなたは返事をよこさない
おれはもう神経が…衰弱する一方で…はぁん…」”[P.12]
蟲師目当てで買ったアフタヌーンで一目惚れした作品。
不思議な世界観に、気持ちいいくらいに狂ってる人達が出て来て、何を言ってるかたまに分からない(小声)ところがたいへん好き。
表紙花びら食むってるんですね、ウジ虫かと思ってぎょっとした。
ぐうるさんの頭半分が無くなってからの展開が本当凄い。嫌な夢の中のようでぞくぞくする。
朔の表情の揺れ動きが本当に良い。
“「それはほんとうなの朔くん」
「ほんとうもなにもおれは歩いてるじゃないか」
「それはほんとうなの朔くん」
「それ さっきも言ったよ」
「それはほんとうなの朔くん」
「全部ほんとうだよ おれがほんとうだと思ったらぜんぶほんとうだよ」
「それはほんとうなの朔くん」
「だからぁ!」
「それはほんとうなの朔くん」
「………ううん 妄想……」”
Posted by ブクログ
なんでしょうね、このマンガ。
前回の感想がちょっと深夜ということもあり、不適切な言葉がありましたので、書き直していますが。
ぶら下がってる死体の下りなんかは面白いです。
前半もミステリーっぽいところああって、面白いです。
でも、1巻を通すと不思議な気持ちになります。
保留です。2巻は。なんか怖いのでw
幻想的作品
題名は言わずと知れた朔太郎の「月に吠える」のもじり。作品内容も良い意味での狂気に満ちている。この作者の作品は新海誠のコミカライズしか読んだことがなかったので、こんなオリジナル作品を書くのだと驚愕した。
ストーリーらしいストーリーはないが有名作家が次々と出てきてやり取りをする その会話そのものがこの作品の生命である。ただグロテスクな絵の多用が生理的に受け付けない。
Posted by ブクログ
国文学科だけど純文学ぜんぜん読んでこなかったから文学に関してはぜんぜんわからない。
だから詩とかはさらにわからない。
最近のはやりに乗ってシャレオツ感だけを出してる漫画ではないことはわかる。けっこうグロテスクっていうか、底が深いていうか。
Posted by ブクログ
たまたま蟲師が掲載されたアフタを買ったときに読んだ。
カラー絵はデジタルじゃない方が作品の雰囲気にあっていると思うので、
ジャケ買いは難しいかな。
ネーム多いの疲れるけど、イイ感じに病み漫画嫌いじゃない。
Posted by ブクログ
凄いというか、凄まじい内容だった。
登場する作家達の名前はおおよそ知っているものの、作品は未読なので、多分マンガの意図の半分も理解できていない。 でも、狂ってるとは思うw