【感想・ネタバレ】月に吠えらんねえ(11)のレビュー

近代詩歌俳句、と聞いてみなさんは誰を思い浮かべるでしょうか。正岡子規?与謝野晶子?中原中也? そもそも学校の授業では、近代文学そのものに接する時間をそう長くは持てなかった方も多いかもしれません。
本作は、□街(詩歌の「し」・短歌の「か」・俳句の「く」で「しかくがい」!)という近代日本のような架空の街に住む、萩原朔太郎や北原白秋、室生犀星、三好達治、正岡子規などの詩人や作家本人ではなく作品イメージをもとに創作されたキャラクターたちが、詩を作ったり、作れなくて苦しんだり、街はずれの丘の上にある天上松にかかっている身元不明の縊死体を見つけて検証したり考察したりしながら、ひいては文学と戦争の関係が匂わされたりする、詩歌俳句ファンタジーマンガです。読んでいて次から次へとジェットコースターのように話題が転換していくので、支離滅裂なようにも見えますが、史実とフィクションのバランスが非常に絶妙で、読み進めずにはいられないほど先が気になるのです!
キャラクターとして登場する詩人に全集があればすべて読んでいるという作者の知識がふんだんに生かされた本作、すべての文学少年少女&元文学少年少女必読の書です! 作中にちりばめられたいろいろな作品が気になった方は、それぞれの詩人の詩集なども是非ご一緒にどうぞ。

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30

購入済み

幻想的で美しい街

朔の個人的な意志のままに終わるのではないかと思っていましたが、しっかりと□街の住人と試行錯誤して作り上げていて安堵しました。
想像よりも綺麗に物語が終わっており、物語序盤の幻想的な空気もあって改めて素敵な作品だったと思いました。
文学を勉強してきた者として、文学の意義や社会へ与える影響なども考えられるとてもいい作品でした。

#深い

0
2022年09月28日

購入済み

ついに完結しました。

カオスで終わったらどうしよう、と思っていましたが、すとんと綺麗に終わりました。
良かった!
シリーズ前半の、爆笑ものの会話やエロスあふれるギャグも大好きでしたが、後半の展開には本当に考えさせられました。
戦時下の芸術のあり方。
同じような運命をたどった、画家たちにも思いを馳せつつ…

0
2019年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たいへんな作品を読んでしまったなあという気持ち……。

序盤の神々のたわむれ的な、現実と妄想がごっちゃになったような「ゆるふわファンタジー」な世界に引き込まれ、
戦争と詩歌というテーマが全面に出てきた「遠い旅」ではこういうお話しがずっと続いちゃうと辛いなと思いつつ、
縊死体と朔の意識、白さんの変貌を軸に世界の謎が明らかになっていくミステリーっぽさにドキドキワクワクし、
段々憔悴していく朔が辛くて、彼を幸せにしてあげて……と願いつつ十巻の展開にそういうことじゃねえと思ったりもしましたが、
みんな幸福……ではないかもしれないけど納得していて、おさまるところにおさまったような安心感。

詩歌は全くわからず解釈だとかについては語る言葉を持たないから、軽率にキャラクターの愉快さ等を面白がっていた。
あと世界がどうこうとかそういうの好きだから……
そういうの好きな人は好きだと思うけど、戦争が絡む重たいお話しとラスト2巻の強烈さはかなり人を選ぶよなあ(気軽に人に薦めにくい)。
それでも大好きなお話しだし、作者の熱量に圧倒される点でもたいへんな作品。
自分が何割も理解できてるか全く自信はないけど大好き。

番外編のために電書版も購入。

0
2019年10月27日

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