【感想・ネタバレ】逆説の日本史20 幕末年代史編3/西郷隆盛と薩英戦争の謎のレビュー

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Posted by ブクログ

☆☆☆2020年9月☆☆☆


生麦事件や薩英戦争、長州の陰謀等を取り上げた第20巻。
この時代の動きは複雑でわかりにくい。


ここでは、印象に残った部分を引用する。
P77 これほどの謀略を成し遂げる能力のあるものは久坂しかいない。


P144 生涯伊藤は、「高杉のおかげで彦島が香港にならずに済んだ」と言い続けた。やろうと思えば可能であったにもかかわらず、高杉の功績を盗もうとはしなかったのである。

P189 久坂の思惑通り、将軍という「鳥」は、朝廷という「鳥カゴ」に入った。


P230 注目すべきは旗本の「お殿様」でも領民を有無を言わさず兵にすることができなくなっていたということだ。


P238 慶親がもっと開明的な人物であったことは、この攘夷の嵐が吹きすさぶ中に例の「長州ファイブ」を留学させたことでもわかるし、高杉に「10年の暇」を与えたことでもわかる。

P243 小笠原は「勝手に」軍を動かした罪で老中をクビになり、一時歴史の舞台から消えた。とんだ貧乏クジを引かされたわけだが、誰も責任を取ろうとしない中で、独断で賠償金を支払い、横浜や江戸が焦土になるのを救った功績はもっと評価されてもいいのではないか。


P277 この天誅組の変は、これまで対立することはあっても実際に戦うことのなかった勤皇勢力と幕府が初めて「交戦」し、幕府の領地が奪われた初めての事件であった。

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2020年09月13日

Posted by ブクログ

この巻でも幕末の動乱がていねいに解説されており、とくに薩摩藩と長州藩のめまぐるしい変化が追いかけられています。

著者が高杉晋作に対して非常に高い評価をあたえているのが目を引きます。著者の考えでは、上海で西洋諸国の文明と中国の命運をじっさいに目にすることになった高杉は、武力で外国を倒すことの不可能を悟ったとされています。しかし、朱子学と天皇教が猛威を振るい、藩内の世論に反対することが困難な状況についてじゅうぶんに承知していた彼は、正論を述べてあえて危険に身をさらすようなことはせず、戦略的に行動していたと論じられています。

また著者は勝海舟も高く評価しており、この時代におけるもっとも見識のある人物としています。その理由として、「日本」の行く末に目を向けていたということが挙げられているのですが、そうだとすると著者は、この時代において「日本」という枠組みをもつことがどれほど困難なことだったのかということを、よく認識しているといわなければなりません。そうであればなおのこと、そうした当時の「常識」を踏まえて、歴史上の事実の評価をおこなうべきなのではないかと思ってしまいます。

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2021年06月03日

Posted by ブクログ

いつもながら、通説ではない歴史解釈を教えてくれる本だった。通説を批評し、異説を支持する内容が散見されるが、根拠が弱いことも多くあり、一つの解釈としてはそういう見方もあるかな、という感じ。
幕末真っ只中の巻。

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2017年05月22日

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