【感想・ネタバレ】逆説の日本史2 古代怨霊編/聖徳太子の称号の謎のレビュー

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感想

歴史が好きなので興味のある内容です。

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2017年12月06日

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ネタバレ

飛鳥時代の日本すっげぇ面白い!偽りの歴史が剥がれ落ち、覆われていた史実が表出する感じがたまらん。嘘ばっかり!

 天智天皇とか天武天皇とか持統天皇とか日本史の授業でもしっくりこなくてなかなか覚えられなかったのは、論理的にストーリー性が無かったからだと思っていたんだけれど、ようやっと歴史物語として理解できた感じがある。
 やっぱ嘘ついてたんだな。そりゃそうだ。現代だって政治家はいっぱい嘘をついて、ぎりぎりの国際関係を維持したりしているんだ、古代にやってないわけがない。

 天智天皇と天武天皇のところがやっぱ面白かったな。天皇の謚号の由来から二人の関係性を明らかにしていくところはシビレタ。
 壬申の乱とかこの辺の時代の歴史書はいくつか読んだことがあるが、つまんないなーとしか思えなかったけれど、この本を読んだことでいろんな情報がつながって、最高に知的興奮を覚えている。

 この本を読んだら、八木荘司の『遥かなる大和』とか永井路子の『美貌の女帝』とかを読むことをお勧めする。なるほどってなる。知識が深まること間違いない。

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2016年04月21日

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逆説の日本史第2弾。聖徳太子は怨霊だったという説には説得力があり、まさに目から鱗である。また聖徳太子が編纂した17条憲法の第1章が「和」であることの意味も井沢氏の指摘で初めて理解できた。平城京と奈良の大仏の建立もその背景には日本人の怨霊信仰が存在している。
日本の歴史を理解するうえで、最も大切なベースを得ることができる珠玉のシリーズである。

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2014年12月04日

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ご本人とその政治的主張は非常にクセがあり(マイルドに言って)、好き嫌いが別れそうですが、彼の通史は本当に面白い。「怨霊信仰+コトダマ+ケガレ忌避+和の精神」という日本人の宗教観をベースに古代史から現代までを新たな視点で考察しています。粗い・甘い箇所もあるけど掛け値なしに面白く、目から鱗。考えさせられます。

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2013年02月27日

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この人の本を読んで思うのは、歴史学者って本当にデタラメなんだなということ。もちろん、著者の説が全て正しいとまでは思っていない。しかし、例えば日本書紀は、その編纂者や時期などから内容はそのまま信じる訳にはいかないのは著者の言うとおりだと思う。にもかかわらず、学者の間ではそうではないらしい。原発問題でも分かったことだが、専門化でもダメな人はたくさんいる。専門化の言うことだから間違いない、とは言えないのは歴史学でも同じなのでしょう。

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2011年07月21日

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学者ではアプローチできない方法で、歴史を紐解いていく。井沢さんの、本来はこうあるべきでは、という考察は、非常に納得のいくものです。
これとは対照的に、学術的な歴史考察のプロセスを見る機会があれば適切な比較ができるのではと思ってます。
ちょい考えてみよう。

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2024年02月15日

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ネタバレ

職場の上司からおススメされました。古代怨霊編です。

実はだいぶ前に1巻を読んでいました。
その後続かなかったのは、面白かったのだけど、著者の、史料至上主義である主流の歴史学者への批判が多すぎてちょっと疲れた・・・その間にマイブームが去ってしまった、という感じです。

この度久々に著者の本を読んだら、やっぱり主流の歴史学者たちへの批判が多かったのですが、今回は本来活字として残せないようなレアな講演会を聴いたような面白さを感じました。

この印象の差はなんだろう?
本書の扱った時代は聖徳太子から桓武天皇あたりの、私が歴史上一番好きな時代なので、既にたくさんの方が様々な説を唱えていることを知っていたので良くも悪くも衝撃が少なかったことが大きかったのかもしれません。

日本の政治とは突き詰めると怨霊を鎮魂すること、その最も有効な方法は祀ること、本書のテーマはこれに尽きます。

仔細は色々あるけどまずは聖徳太子。
梅原さんで初めて知った聖徳太子怨霊説はやっぱりワクワクしました。
聖徳太子の「徳」という文字の概念の需要の仕方はわかりやすかった、その割に「聖」の概念は1頁くらいでさらっとしか解説がなかったのが残念でしたけど。

衝撃的だったのは長屋王一族の怨霊鎮魂の為の奈良の大仏、というのはまあいいとして、日本最大級の一大事業だったのに結局仏教は怨霊に勝てなかったこと。あらためてそう言われて、聖武天皇や光明子の恐怖や落胆が気の毒過ぎました。。

天智・天武天皇の謎は、以前から興味があっていろいろ読んできたのですが、今回は天智他殺説、兄弟否定他人説、しまいには天武忍者説など、強引なものも含めて面白かった!
中でも、何の疑問もなく受け入れてきた天孫降臨は、普通、天子降臨じゃない?なぜ孫?というところから天武、持統の思惑まで語ってもらい、一番納得感がありました。面白かった~!!

30年近く前に執筆された古い本なので、最新の著者の主張と比べてみたいな。

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2024年01月04日

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聖徳太子の名前とは。玉虫厨子が、捨身ストーリーを入れていること。そして国宝に捨身モチーフは他になく、日本では稀。また、徳という字を皇族の怨霊鎮魂にしているという帰納的な事実。
天武天皇が日本書紀を編纂するため、都合の良いように書いた可能性について。唐の遠交近攻から見えてくる、朝鮮半島との関係。外交、スパイ、そして天智天皇の死。
天平時代の呪い。大仏殿という鎮魂。
結局、この国では本来の仏教は魔改造されて怨霊鎮魂の方法になること。そして天智系の桓武天皇が呪われた奈良の都を捨てること

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2023年09月06日

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相変わらずこれまで習ってきた日本史を覆す理論で面白い。

天地と天武は兄弟じゃないとか、聖徳太子は殺されたとか、そういう学校で習わない事をズバッというのは快感でもある。

昔って天皇という最高位をめぐって殺し合いが起きてたんだなぁとしみじみ感じた。今も昔も地位というものに惹かれてしまい、血が流れたり、足の引っ張り合いが起きるのは変わらないなぁと思う。

人間とは今も昔も変わらないと本当に感じた。

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2019年04月11日

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オーディオブックで視聴完了。
聖徳太子編めっちゃおもしろかった。

何があれって、うちの地元の太子町が出てくるところが最高(違

井沢さんの面白い所は、色々な資料を引っ張り出してきて、推論を組み立てるところにあり、教科書やこれまで読んだどんな歴史書とも違う世界を見せてくれるところにある。

本当に井沢説が正しいかはわからないけれど、腹に落ちるし胸も躍る。僕は歴史家ではないので、正しい歴史を正しく理解したいわけではない。僕らが点と点で知っている出来事や人名を有機的に結んでくれる本書は実に読んでいて楽しいし、僕が理解する歴史に対して深みや幅を与えてくれる素晴らしい本だと感じる。

続きのオーディオブック化が待ち遠しい。

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2018年10月14日

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井沢氏の解釈
古代のある時期から「徳」という名は、「ご無念な生涯であらしめられた」天皇に贈られることになった。
天武はなんと「忍者」だった。
持統王朝は、持統系の皇族と藤原氏の「連立内閣」だった。
アマテラスはそもそも卑弥呼であった。
子孫を蘇我氏によって皆殺しにされ、子孫による祭祀をたたれた聖徳太子は怨霊化した。
日本の大魔王「崇徳上皇」は、アマテラスの決めた「日本はアマテラスの子孫が永久に支配する」という根本原則に対して「天皇家を没落させ天皇家以外の人間をこの国の王にする」と、呪いをかけた。
長屋王一族の供養つまり怨霊鎮魂にために東大寺と大仏は建立された。

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2018年10月12日

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ネタバレ

今回は聖徳太子と聖武天皇の時代。
「徳」という称号のついた天皇はいづれも不幸な星の下にあったという説。ほほう、だよ。これまた面白い。
そして天皇が二系統あったという説。天智系と天武系。実は血筋が全く違ったのではないかと。
私はこの人の言うことを考察できるほど知識はないが、この人の言うことは面白い。

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2017年01月19日

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聖徳太子編、天智天皇編、天武天皇編、平城京と奈良の大仏編を収録。日本の古代史を「怨霊」の視点からとらえなおす。子供を殺され滅亡させられた太子の怨霊を鎮める「聖徳」の名前の説明は興味深い。天智系と天武系の天皇の争いから長屋王の怨霊を封じ込めるために建立されたとする奈良の大仏、怨霊に負けた大仏と天智系である桓武が平城京を捨てた理由づけも面白い。

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2015年05月07日

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高橋克彦氏も解説で書いているが、桓武天皇の長岡京遷都のくだりなど、目の付け所というから、その切れ味がいい。

眉唾の説もあるが、面白い。

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2013年06月08日

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聖徳太子の贈名の謎、壬申の乱の背後にある天智天皇と天武天皇の謎、奈良東大寺の大仏の謎など、本当に歴史の授業では決して習うことのない本質に筆者が仮説と検証でせまる納得の一冊。

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2013年05月01日

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飛鳥~奈良時代の聖徳太子、天智天皇、天武・持統天皇、東大寺・奈良大仏についての当時の考え方を元にした優れた推察。当時の人間的な歴史の流れが物凄く府の落ちる形で解説されてる。週刊連載だったせいか分かりやすくしようとし過ぎたせいかちょっとしつこい文章になってしまってるのが少し残念。

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2012年02月05日

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聖徳太子から聖武天皇の時代に至るまで、史実から読み取る歴史と日本人の感覚から推測する歴史を対比しながら当時を考察する。歴代の天皇に送られた諡号が意味すること、特に無念の死を遂げたと思われる推察が興味深い。また、天皇家に入り込もうとした藤原家の策略も興味深い。

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2011年09月03日

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聖徳太子の称号の謎

・聖徳太子編―「徳」の諡号と怨霊信仰のメカニズム
・天智天皇編―暗殺説を裏付ける朝鮮半島への軍事介入
・天武天皇と持統女帝編―天皇家の血統と『日本書紀』の”作為”
・平城京と奈良の大仏編―聖武天皇の後継者問題と大仏建立

主張がブレるところもあるが、この章がいちばん井沢元彦の真骨頂を読めるのではないだろうか。

時代が下るにつれ、単純に事実を追う記述が多くなっていくが、ここではまだ怨霊についての記述で厚みがある。

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2011年11月06日

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・崇峻天皇暗殺事件を疑われた聖徳太子は天皇位を継げる状態ではなくなってしまった
・崇峻天皇は殯なしで即日葬られた。聖徳太子の叔父であり、史上唯一臣下の手によって暗殺された天皇
・藤ノ木古墳の被葬者の足下に壊された金冠が入っている
・合奏するためには、近親者で身分も近く、同じ境遇(非業の死)を遂げた人物が的確。それは穴穂部皇子ではないか。
・顕徳天皇は後に後鳥羽となった。顕徳は一見良さそうだが実は悪い名前だと当時の人々が考えていた。「贈”徳の字”方式鎮魂法」には終止符が打たれた
・中国では「徳」は皇帝となるための絶対条件だが、日本は「血統」。日本では「徳」という概念を怨霊鎮魂に使った。日本では怨霊の鎮魂さえうまくいけば世の中は丸く治まる
・「天智」とは殷の紂王が最後まで身につけていた宝石の名前。紂王を討ったのは周の武王。天智と天武の関係と対応。
・日唐同盟を阻止するために天武は天智を討った。そこで功績を上げたのは栗隈王。「天智は山科に狩りに行って、行方不明になった」の山科は栗隈の地に近い犯行現場。
・天武の父は外国人だったのではないか。持統天皇は断絶の危機を回避した。日本において祖母から孫への譲位はただ一度(持統→文武帝)のみ。天孫降臨の神話はそれを表している。オシホミミは草壁皇子ではないか。
・藤原鎌足は「六韜」を愛読していた。「六韜」はマキャベリズムの本。
・奈良の大仏は創建当時は世界最大の金剛仏だった。長屋王の怨霊の霊力に屈し、建立後わずか30年あまりで、あっさり都を捨てて長岡、平安京に遷した。
・古い時代には東大寺の高さは15丈であり、出雲大社は16丈であった。という記述がある。大仏が大国主に1丈だけ遠慮したという見方

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2011年04月08日

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ネタバレ

2011年の1冊目。
正月ダラダラしていたため、なかなか進まず…。

まだ2巻だけど、1巻同様、歴史に詳しいともっと面白いだろうなと思う。定説を知らないので、否定できない。
でも、出てくる歴史や場所を調べたり、巡ってみたくなる。

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2011年02月24日

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なんか、もっともらしい説を聞くと、なんでも、

「そうだったのか!!」

とか思ってしまう今日この頃。
簡単に、信じてしまってはいけません(笑)

でも、こういうお話を聞くのは、やっぱり楽しいのです。

このあたりのわたしの歴史の知識は、山田ミネコと長岡良子でてきています(笑)

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2013年07月29日

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第1章は聖徳太子は怨霊化していたという話だと思う 正直長すぎてあまりピンとこなかった 「徳」という字は後世に徳があったと伝えることで怨霊鎮魂をしようとした話はなるほどと思った
第2章は天智系と天武系の考察は面白かったが、これも長すぎて… 全体に感じることだけど同じ主張が繰り返されていて読むのに労力がいる…
第3章は前の2章に比べて読みやすかった 天皇の系統?についての考察とかは面白く読んだ
第4章は小学校で習った奈良の大仏や平安京遷都について、独自の(?)怨霊信仰の観点から話を進めていて面白かった

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2023年12月26日

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著者の日本史シリーズ2作目。史料からだけでなく、怨霊・信仰・亡くなった人の霊魂的な側面を歴史を紐解く材料として推測をたて自論を述べていく。つくづく歴史はミステリーだなと感じた。日本史に詳しくなくて言葉も難しかったけど、興味深く読んだ。

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2021年07月27日

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1巻がおもしろかったので2巻も読みました。怨霊信仰の例がさらに展開された感じで、あまり驚きはなかったです。

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2021年03月28日

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聖徳太子は天皇になれなかったのになぜ「聖徳」という称号されたのか、天智天皇の死因や年齢が全く日本書紀に書かれなかったのは天武天皇による大本営発表のようなもので実は暗殺ではないか、天武天皇の血統の由来は何か、聖武天皇が奈良の大仏を建立したのは鎮護国家思想ではなく妻の光明皇后の意向を受けて長屋王の怨霊を封じるため。4テーマとも徹頭徹尾、怨霊封じというテーゼで書かれており、トンデモ本としても大胆な展開。古代に関しては資料の関係上、登場人物の題材がもっぱら皇室に限定されているのはやむなしか。

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2020年11月08日

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相変わらず歴史学者に喧嘩を売りまくりで、ここまで言ってしまうと、大丈夫なのか、と心配になるレベル。別に自分は歴史に詳しくもないので、この本を普通にふーんと言って読むわけで。でも、歴史書に書いてあることより、より当たり前と思われる方向、より蓋然性の高い方向に考えていく、というのは好きだし、そういう意味では好感が持てるんだけども、てか結局聖徳太子の謎はなんだったんだか、分かんなかったような気もするけど、結論出たのかな?

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2016年02月06日

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聖徳太子の謎から、天智天皇と天武天皇の関係、東大寺の大仏建立に至るまでが扱われており、前巻以上に著者の独自の説が次々と展開されています。

聖徳太子については、梅原猛の聖徳太子=怨霊説を踏襲していますが、それだけでなく、著者自身の見解が敷衍されています。著者は、藤ノ木古墳に埋葬されている2人の遺体が崇峻天皇と聖徳太子だと言い、さらに太子が不幸な死、おそらくは自殺を遂げたという説を示しています。

天武天皇については、彼が新羅と密接な関係を持つ人物であること、そして、挑戦を統一した新羅を滅ぼそうとする唐の策略に応じて、唐との国交を開こうとした天智天皇を暗殺し、その事実を隠そうとして『日本書紀』の記述が生まれたとされます。

さらに、怨霊史観に基づいて、奈良の大仏の建造と、それから30年あまりで桓武天皇が平安遷都をおこなった理由が探られます。

前巻以上に大胆な仮説が多く、素人目には推測で補われている箇所が多すぎるようにも思われるのですが、推理小説のようなスリリングな読み物として、楽しんで読むことができました。

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2015年01月16日

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ネタバレ

常識を以って定説を疑う。論証手法に些かの癖と難があるものの、目の付け所は面白い。本巻は建国から奈良時代あたりの、聖徳太子と天智天武天皇がメイン。テーマによって人それぞれ好き嫌いが分かれると思うが、本巻については私自身はあまり興味が持てなかった。この古代日本史に興味がある方にはおすすめだと思う。

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2013年10月26日

Posted by ブクログ

その論証はまさに推理小説。
ほんとのところはどうなのかわからないために、より面白い。
にしても聖徳太子ノイローゼ説は、どうなんだろうねえ。

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2013年02月11日

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ネタバレ

この巻に関しては面白い部分が多々ありつつも、KiKi にとってはかなり不満な内容でした。  それは目次を見た段階でもある程度予想はついていたことだったんですけどね。  因みにこの巻の目次はざっと以下のような感じです。

第1章:聖徳太子編 - 「徳」の諡号と怨霊信仰のメカニズム
第2章:天智天皇編 - 暗殺説を裏付ける朝鮮半島への軍事介入
第3章:天武天皇と持統女帝編 - 天皇家の血統と「日本書紀」の作為
第4章:平城京と奈良の大仏編 - 聖武天皇の後継者問題と大仏建立

あれ?  あれれ???  どうして「大化の改新」の章がないんだ???  あの権勢をふるった「蘇我氏」があれよあれよという間に歴史から姿を消していったあの一大事(乙巳の変)が抜けているというだけで、KiKi にとっては何となく中途半端感が漂っちゃったんですよね~。  特にそれまでの時代は天皇という存在が脈々と続いていたとは言えども、天皇を中心とした中央集権国家というよりは、飛鳥豪族を中心とした政治が行われていた(と学んできていた)だけに・・・・・。  

そしてね、なおさら感じるのは怨霊になることができるのは「天孫」たる「皇室の人間だけ」だったという前提条件があるのかもしれないけれど、(そんなことないよね??  だって彼の「怨霊説」の中には菅原道真がしょっちゅう出てきているぐらいだから)井沢氏の説の骨格を成しているといっても過言ではない「怨霊」、しかもかなり「パワフルな怨霊」になりそうな存在として、蘇我氏を忘れちゃいけないように思うんだけど・・・・・。  まあ、飛鳥寺が存続しているうえにあそこに鎮座している飛鳥大仏は日本最古という有り難~い誉れで伝わる仏像ということなので、あれが蘇我氏の「怨霊封じ」の象徴なのかもしれませんが・・・・・・。

「徳」という諡に秘められた考察にしろ、天智 vs. 天武の争い及び壬申の乱に関する考察にしろ、大仏開眼に秘められていたかもしれない聖武・光明夫妻の本当の狙い等々の話にしろ、一つ一つはそれなりに(と言うか、かなり)面白いと感じられたのですが、その話を語る上でそこかしこに挟まる学会批判が長い、長い、長い・・・・・・。  しかもいつも同じ文言なのでくどい、くどい、くどい・・・・・・。  これを「ここまでしなければ学会につぶされてしまうと感じている井沢氏の恐怖心」の為せる業と見るべきなのか、「彼固有のけんか腰(論調が議論調というより喧嘩調 ^^;)」と見るべきなのか??  古代黎明編であれだけ言い切っていた「和の精神」とやらはどこへいっちゃったんでしょうか??という感じです。

それにね、そういう話が出てくると「またか・・・・」と思って流し読みモードに入ってしまうので「閑話休題」となった時に肝心なテーマに乗りきれずに読み飛ばしちゃっているところがあるんでしょうか?  時にその学会批判とそれにまつわる余計な話に振り回されているうちに、何が論じられていた文章だったのか、焦点がぼけてしまって、挙句、結論が変わってしまっているような印象を受けた箇所もなきにしもあらず・・・・・だったんですよね~。

で、普通の本だったら「元い・・・」と読み返してみようと思うところが、ことこの本に関してはあのくどくて長い、それでなくても何度も同じような文章で繰り返されている学会批判を読み返すことにもつながると思うと、その意欲までなくなってしまうという負のスパイラルへ・・・・・。  結果、KiKi の印象としては「何となくご都合主義??」「論旨が一貫しているようで、意外と矛盾アリ??」となってしまい、「まあ、お説、承っておきましょう・・・・」でお茶を濁してしまう(苦笑)、そんな感じになってしまうんですよね~。

目の付け所は面白いと思うし、彼の設定した仮説に沿ってかなりの線までは考え抜かれ、調査もしているような印象を受けつつも、文章にする際にはそれを感情的に書き散らしているが故に、却って論旨がぼやけてしまう・・・・そんな印象なんですよね~。  もうちょっと整理して、あっちへいったりこっちへいったりせず、仮に別のところで述べたことがあるような話でも要点だけをちゃんと述べ直したうえで、きっちりと結論まで持って行ってくれたらいいのに・・・・・と感じること多々アリなのです。

最後に・・・・・

個人的には「まつりごと」という言葉を「祭政一致」という感覚で理解・納得していたんだけど、それが井沢氏が唱えるような説にもつながる(怨霊を祀る)というあたりがかなり面白かったです。  そして「さわらぬ神に祟りなし」のくだりも・・・・。  さて、次は第3巻。  平安建都と万葉集だそうです。  

(全文はブログにて)

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2012年06月20日

Posted by ブクログ

えーと、とりあえず史料至上主義の権威ある学者の説はそんなに信用できない、と。井沢さんの説、大好きです。これからたくさん読みに走ります。歴史の謎は推理小説的に面白いわ~♪

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2011年07月06日

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