開高健のレビュー一覧

  • 私の釣魚大全
    開高健の釣りエッセイ。流石の筆達者と思わされる。釣りの話ではあるのであるが、ベトナム戦争中のベトナムで魚釣りをする話があったり、文明論につながったり、それでいてやはり魚釣りという遊びの話であるなあ、という。
  • 魚の水(ニョクマム)はおいしい 食と酒エッセイ傑作選
    若い世代にはあんまり知られていないかもしれないが、40代以上には懐かしい著者だ。

    サブタイトルに「食と酒エッセイ傑作選」と銘うたれているとおり、食と酒にまつわるあれこれが登場。

    あらためて読み直すと、学生時代に読んだときとは違うところに目が行った。

    例えば、「結婚するまでは仔猫だけれど、結婚し...続きを読む
  • 【電子特別版】オーパ!
    連載のために用意された旅行がベースとなっているため熱量はあまり感じないが、それでも十分に面白い。著者が限られた期間での旅行だと認めた上で書いているので、嫌味がないところもいい。活き活きと釣りを楽しむ一方、ブラジルの首都の成り立ちを冷静な目線で論じるところもあって全く侮れない。
  • 【電子特別版】オーパ!
    世代の違いなのか、上手く言えませんが、沢木耕太郎の方が文体含めてスッと入ってくるのは否定できないけれども、まぁ何と言うか生命を感じるという意味ではこっちの方に分があるかな。
    釣りが本題だったのかもしれないけれども、それはたまたまの手段で、まさに全てに「喰らいつく」感じ。写真がその猥雑さというか、生命...続きを読む
  • パニック・裸の王様
    初開高健。
    前々から気になってはいたが、こんなに面白いとは。
    四つの作品で扱っている題材は様々だけれど、題材を通してその舞台である社会を見つめているという点が一貫している。
    どの作品も面白いが読むのにかなりのエネルギーを要した。
    表題作の『パニック』と『裸の王様』が比較的分かりやすくて良かったかな。
  • パニック・裸の王様
    ずっと気になっていた作者の、有名な小説を読んだ。

    「パニック」「巨人と玩具」「裸の王様」「流亡記」の4編あり、僕はタイトルとなっているパニックと裸の王様が印象に残った。
    流亡記はちょっと描写がグロかった。

    パニックは、役人機構の腐敗をうまく表しているが、それがメインではなく、ネズミの群れがもはや...続きを読む
  • パニック・裸の王様
    開高健 なるほどの再会
    再読してみて、筆力に脱帽。
    裸の王様」裸だったのはだれか。2重にも3重にも読み取れる。そして太郎の存在。
    パニック 漫画で見たが、原作の迫力。最後レミングみたい川で全滅にしなければならないか。他の結末を期待したけれども、そこが肩透かし。人類の滅亡を暗示?
  • われらの獲物は、一滴の光り(KKロングセラーズ)
    未刊のエッセイ集。先に出版された「一言半句の戦場」から漏れた珠玉のエッセイを更に目配り広く採集したのが本書である。小説家としてのみならず、ノンフィクションの領域でも瞠目すべき傑作を残しさらに加えて、エッセイの分野でも感動を呼ぶ筆致を示している(まえがき)人気があるからこそその作家の残した作品の隅々ま...続きを読む
  • 私の釣魚大全
    私の尊敬する経営者がよく「こいとりまあしゃん」の話をする。その方のお話ではやや神格めいた人物像が語られるが、いやはや本作品では女好きの俗物扱いでなかなか興味深い。まあしゃんにとって鯉獲りは趣味のようなもので、しかし数日の女人断ちや過度な肉食をし鯉獲りの名人芸は真剣勝負の神々しさを感じる。

    「釣魚大...続きを読む
  • パニック・裸の王様
    開高健氏の代表作『ベトナム戦記』『輝ける闇』と続けて読んだが、それらとは違う、芥川賞作家としての開高健がここにあった。『パニック』『裸の王様』『流亡記』、いずれも甲乙つけ難い珠玉の作品だが、自然現象と厭らしい人間模様を描いた『パニック』と、始皇帝を題材として人間の残酷さと時代の流々転々を描いた『流亡...続きを読む
  • 日野啓三/開高健
    「向う側」日野啓三

    2004年に1度、ベトナム・ホーチミンに旅行したことがある。そのときベトコン体験ツアーという日帰りのバスに乗車して郊外のベトコン基地に向かった。既にベトナムでは高度経済成長は始まっていたが田舎は多く、バスは長い幹線道路を通り過ぎると、一時間ほどで長閑な田んぼ風景になり、やがて平...続きを読む
  • 珠玉
    司馬遼太郎「十六の話」より
    *老医師、中華料理店主、阿佐緒は 全て 空の転じたもの
    *開高健は 「珠玉」によって みずからの生を送り、みずからの葬儀をしつらえ、みずから声明梵唄をとなえた

    開高健 「 珠玉 」3つの短編小説。最後の「一滴の光」だけだと変態小説だが、司馬遼太郎の書評を 参考に 3編...続きを読む
  • パニック・裸の王様
    懐かしくて手に取り、「パニック」だけ読んだ。
    高校時代以来か。
    あの頃には分からなかった役人、というか大人の嫌な世界が、実感を伴って感じられた。が、それ以上に自然の前では無力化な人間の姿を描いた作者に思いを馳せられる作品。
    残りの作品も読もう。
  • 私の釣魚大全
    日本、世界各地の釣り紀行。私は釣りは少年時代にやった時以来していないが、本作を読むと釣りの楽しさが伝わってきてまたやりたい気持ちになる。

    開高氏自身が楽しんでいる様子が非常に良く感じる。人生を楽しんでいる人というのはこのような人のことをいうのかと思う。

    釣りだけでなくその土地の個性的な釣り師との...続きを読む
  • パニック・裸の王様
    第38回芥川賞で、大江健三郎の「死者の奢り」と争って受賞した「裸の王様」を含む4つの作品が掲載されている。

    「パニック」…街に大繁殖したネズミ駆除を行う役所
    「裸の王様」…子供の絵画コンクールを巡る関係者の駆け引き

    など、扱っている題材はそれぞれ異なるが、
    どれも「組織」「体制」の中で、無力さを...続きを読む
  • パニック・裸の王様
    初めて読んだ。
    面白い。
    短編集ですが、どの話も、
    人として生きていく上で、
    抗うことの出来ない矛盾のようなものが
    あってとても良い。
  • パニック・裸の王様
    開高健さんの情熱やパワーが詰まっていて、それに圧倒されました。文字に力強さがあって、のめり込むように読みました。
    パニックは、自然に対する人間の無力さが現れていて、最近の震災や原発の問題とかぶるところがありました。考えさせられる作品でしたね。

    #読書 #読書記録 #読書倶楽部
    #開高健
    #パニッ...続きを読む
  • 青い月曜日
    戦中戦後の騒乱を駆け抜けていく、恐らく開高少年の生き様で自伝的小説。"的"はいらないか。

    戦中の鉄道整備をしていた少年時代を書いた第一部は、第二部以降にくらべて、独特の熱に浮かされたような文体である。戦後の第二部以降は、綱渡りをするような、スリリングな唯一無二の人生を描く。

    第一部は読みやすいが...続きを読む
  • 珠玉
    「開高健最後の文学作品」というタグがあるらしいんですが、まあ、それはおいておいて。

     3つの石をモチーフに記憶や現在が描かれる”石小説”、もしくは作家本人の回顧、老境小説と呼んでもいいでしょう。
     光の当たりかたによって表情を変える石の煌きのように、人の人生も光の当て方でいろいろに映しだされる、記...続きを読む
  • キス・キス
    一昔前、BBCで放映、日本でも放送されたロアルド・ダール劇場予期せぬ出来事の原作が幾つか収録されている。
    ちょっぴり怖い作者のユーモアとストーリーテリングが光る佳品集。