叙述トリックにこだわり続ける職人作家、おそらく日本で最も叙述トリックの作品発表されてると思われます。
過去に『倒錯三部作』短編集の『101号室の女』『水の殺人者』と呼んでます。今作は日本推理作家協会賞を受賞した作品です。
いわずもがなの叙述モノであり読み始めから気合入ってました!騙されるもの
...続きを読むか!という作者と読者のバトルが叙述モノの醍醐味ですが…
語り手の視点がコロコロ変わる多重構造で、現在、過去、時系列が錯綜し、合間に手記や、『恐怖新聞』が挿入されてます。ん?と思われる箇所は読み返したりしてページ数のボリュームもありやや読破に時間かかってしましました。
最終的にミステリーのラストとしての納得度として評価するなら、残念ながら、『倒錯のロンド』『倒錯の死角』を読み終えた時の衝撃には及びませんでした。
ただ恐怖新聞のかもし出すホラー感や、謎が深間っていく感などのスリル&サスペンスはなかなか読み応えありました!
どうしても叙述トリックは読み手が最初から気合入れて読んでいきますし、過去のモノは使えないしなかなか難しいと思います。氏の叙述にかける意気込みは素晴らしいと思いますが…
それにしても、いつもはかわいそうな男(だいたいが犯人?と思われてるが実はそうでなかったキャラ)が、かわいそうなまま終わるのですが、今回はちょっと救われたカンジだったのでよかったです!なぜかそいつを常に自分と重ねてしまうのです。
まぁ大好きな作家ではありますので、今後も読んでいくとは思います