吉本芸人の「闇営業」が注目されています。
昨日は、問題の渦中にいる「雨上がり決死隊」の宮迫博之、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が記者会見して、世間の耳目を集めました。
ただ、問題の本質はどう考えても特殊詐欺グループだと思います。
連中のような反社会的勢力をいかに排除するかが問われています。
ただ、特
...続きを読む殊詐欺グループがどのようなグループなのか分からなければ、排除も何もありません。
というわけで、暴力団などの反社会的勢力について書かせたら右に出る者はいない溝口敦さんが著した「詐欺の帝王」。
発刊が2014年とやや古く、新手の特殊詐欺についてはフォローできていない懸念はありますが、特殊詐欺グループの思考形態や行動様式はほとんど変わっていないでしょう。
結論から言うと、こんな連中に眼を付けられたら、素人ではとても太刀打ちできないということ。
誤解を恐れずに言うと、彼らは本当に頭がキレる。
本書の「主役」は、かつて「オレオレ詐欺の帝王」と呼ばれた本藤彰(仮名)。
大学のイベントサークルの代表として頭角を現し、大手広告代理店(D通?)に就職するも、左遷に遭って犯罪に手を染めるようになりました。
その手練手管のすさまじいこと。
本物のヤクザさえも抑え込んでしまうのですから恐れ入ります。
勉強不足で、「かぶせ」という連中の手法も本書で初めて知りました。
一度何かの詐欺に引っ掛かった被害者を何度も狙い、骨の髄までしゃぶり尽くす。
本藤はこう話します。
「300万円振り込むということは、3000万円は貯金があるということです。この残りを根こそぎ搾り取った方が(片っ端から電話を掛けるより)効率的なわけです」(カッコ内引用者註)
悪党です。
ここで、「私は詐欺に引っ掛かったことがないから大丈夫」とホッとしたあなた(私も)。
安心してはいけません。
プロスペクト理論によれば、人は利益を目の前にすると、利益が手に入らないリスクを回避したがる傾向があります。
この傾向から自由になるのは、なかなか難しい。
つまり、私を含め誰もが「特殊詐欺被害者予備軍」と言えるのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
まずは官憲に、さらに対策を強化していただく以外にない。
売れっ子芸人の宮迫や田村らを招いて大パーティーを開いていた例からも分かる通り、特殊詐欺グループは派手に散在するのが好きです(これは単に好きだという理由のほかに、銀行口座に入金できないなどでカネの使い道の選択肢が乏しいこともあるようです)。
そこに目をつけ、官憲は派手な金の使い方に注目し、特殊詐欺グループを徹底的に取り締まっていくのです。
もっとも、特殊詐欺グループが散在するようなキャバクラなどの店長や黒服は「たとえお客が犯罪者であっても、うちの店に大金を落としてくれる太い客が大事だ」と考えるため、なかなか協力を得るのは難しいと著者は指摘します。
では一体、どうすれば?
庶民の私としては、今まで同様、身の丈に合った生活をしながら、少しでも勉強して自己防衛を図るほかないと思うのです。
詐欺に遭いたくない方はどうぞ。