吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
1785年、土佐藩の船乗り長平は悪天候と黒潮の影響により3人の船乗り仲間とともに無人島にたどり着く。
そこは土佐から700km離れた鳥島という場所だった。
食物も育たない活火山の岩山で雨水をのみ、アホウドリを食べ心身ともに極限状態の中を生き抜き生還した長平の12年間。
・感想
さすが吉村先生、面白かった。
江戸時代の奉行所の公的文書でしか残されていない漂流者の記録から、壮絶なサバイバル生活を綿密な取材と想像力で描写してた。
淡々とした文章ながら、いや、だからこそ厳しく牙をむく自然が恐ろしく感じたし、絶望、孤独感、諦観などの人間の心理に納得させられた。
手に汗握る展開もありするす -
Posted by ブクログ
天然痘の予防のために種痘を広めた町医者の鬼気迫る命を繋ぐ戦いの記録です。
ワクチンの考えがなかった日本にこの予防法が受け入れられるには大変苦心したと思います。自分の職場にもインフルのワクチンでも拒否反応のある人もいますし、気持ちが分からなくもないです。
それにしても電車も車もない時代の雪山越えの凄まじさ!命懸けです。かなり後半になってもなかなか種痘法が受け入れられず、やきもきしました。私が車出してあげたい!と何度も思いました。
子供たちが死んで大八車で運ばれていく列を見るのはもう嫌だと自分の命を削っても助けたい思う優しさが本当に泣けます。7日置きに種痘するって大変すぎじゃない!?
自分 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
昭和11年8月中旬、日本電力株式会社は黒部第三発電所の建設を開始した。
豪雨、豪雪、急峻な崖。
人を寄せ付けない大自然を相手に、欅平から仙人ダムまでの約6キロの隧道工事に命をかけた男達の話。
・感想
超絶面白かった…!!
立山黒部アルペンルートに旅行へ行く前に工事が過酷を極めたという黒部ダムとかその辺りにある発電所の背景でも知っとくか〜くらいのテンションで読み始めたんだけど、面白すぎて(内容的に面白いと言ってしまって良いのか分からないけど)あっという間に読み終わった。
(作品はクロヨンでも黒部ダムでもなくそれより前の黒部第三発電所建設時の話)
ずっーーーと「昭和11年っていつよ -
Posted by ブクログ
うちは今、けっこうな田舎にあって、この前、2、3日うちを開けたら、ネズミかハクビシンか、アナグマが天井裏に住みついてた。というか東京に住んでた時も、防災用のビスケットがネズミにやられて、そこはあんまり田舎関係ないかも。前に虫に詳しい友達が言ってたんだけど、害虫を家に入れないためには、たえず「ここは人間のテリトリー!」とアピることが大事らしい。なので天井は、クイックルワイパーでドスドスつついてがんばった。ケーブルかじられて火事とか怖いし。人間さまの尊厳ってないね。虫やハクビシンとタイマン張らないと、家も守れない。
よく「自然を守ろう」とかって言ったりするけど、自然って、ちょっと気を抜くと、自分 -
Posted by ブクログ
正月の地震の時に日本海側にいて、実は近くの避難所に避難をしたのだが、幸い居たところはひどい被害にはあわなかった。だが、道一本隔てた知人の家の庭の石燈籠が落ちたり、壁に亀裂が走った。地震のあと、余震を警戒して火を使わずにすごしたが、毎夜、氷点下はまぬかれたものの、室内の気温が1℃、や0.5℃で、雪が降りだすと、一時間で軽く30cmや40cm積もる。降りだせば、翌日、またその上に積もる。冷蔵庫に入れなくても、冗談でなくものが腐らない。ただ、食品がいつ尽きるかは、絶えず気にしていた。買い出しに行けるか? 雪が溶けないと本当の被害はわからない。本当に春が来るのはふつう、5月だ。10月には、寒くなりはじ
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Posted by ブクログ
熊と言ったらこの本を読め、という感じに紹介されていたので読んだ。『ゴールデンカムイ』を以前読んでいたので、比較ができた。また文章も読みやすく、惹きつけられる。
北海道の開拓村・三毛別川六線沢でヒグマが家を襲い、人を食う。亡くなった人を埋葬する習慣は人として良いものだけど、ヒグマが自分の獲物を奪われたと感じて襲ってくるんじゃないかとヒヤヒヤした。
(村の人たちはまだ数年しか住んでいないので、熊の多いこの土地の風習に詳しくない。またアイヌとも距離があり交流は少ない様子)
区長の銀四郎へのアル中で暴れん坊で不安な気持ちと熊撃ちとしての信頼が揺れ動くのも人間的。
タイトルの「羆嵐」は、ヒグマが死んだ時