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Posted by ブクログ 2024年04月10日
物語はフィクションであろうが、舞台にとっている設定は必ずしもフィクションとも言い切れないのかも。
貧しい漁村が生きるために、冬の荒れた海を航行する船に向かって火を灯し灯台と勘違いさせて座礁させその積荷を奪ったという苛酷な生きる知恵とその悪行に対する大きな報い。
Posted by ブクログ 2024年02月06日
なんだろうな...海の恵みの描写とか四季の移り変わりの描写とかうつくしい風景目白押しのはずなのに人々の暮らし描写の陰鬱さがそれに並ぶ不思議。村から出たいとも思わず村長を中心に一致団結することで暮らしが成り立つ不思議。地方の因習ネタのホラーとか好きなんだけど現実に即するとなるとこうなるのか...
Posted by ブクログ 2023年10月26日
本作は少年の視点から綴られる僻地の寒村の3年間の物語だ。大人が年季奉公で廻船問屋に売られ、未成熟な子どもが一家の労働力として漁をせざるを得ない貧困。村に大きな幸を齎す“お船様”(難破船)を求めて祈り、実際に到来したなら情け容赦無く積荷を奪い取る共同体全員での犯罪。その“お船様”によって富ではなく疫...続きを読む病を齎され、村があっという間に崩壊寸前にまで追い込まれる厄災。これら苛酷で不幸な日々が無駄を削ぎ落とした簡明な文章によって描写され、読者に強烈なリアリティーを与えてくる。
Posted by ブクログ 2023年06月02日
面白かった。面白いというと不謹慎だが、淡々とした文章に引き込まれて一気に読んだ。吉村昭氏の本はノンフィクションの記録文学を5冊ほど読んだが、純粋な小説は初めて。
物語は、どこかの島の南端にある小さな漁村が舞台である。そこに住む少年の視点で書かれているが、食料もままならないほど貧しい生活である。村の人...続きを読む々が待つのは「お船様」で、物資を載せた商船が村の近くを通りかかるときに難破し流れつくものだ。手をこまねいて待つだけでなく、海が荒い日に浜で火を起こして座礁を誘う。お船様は村にとっての恵みであり、1船来れば村全体が何年も飢えずに済むだけでなく、出稼ぎに行く必要もなくなるので影響は絶大だ。
そんな難破船が、もう1船流れ着く。その船が村にもたらすものとは。
小さい村に生まれたら、そこでの価値観や習慣が人生を決める。吉村氏の小説は情景描写がメインで心理描写はあまりないのだが、だからこそ心に残るというか、リアリティをもって迫るものがある。過酷な運命に逆らうことができず、人というのは無力なものである。おすすめしたい小説である。
Posted by ブクログ 2023年03月17日
おそらく江戸時代。海辺の寒村を舞台に、住民たちの生態を描いている。貧しく情弱な人々の共同体の暮らしぶりや価値感が生々しい。
たとえば、住民たちは難破船の漂着を「僥倖」として受け止めている。難破船は乗組員たちのとっての不幸なのだが、村の住民たちにとっては天の恵みなのだ。天が与えてくれたものなのだからあ...続きを読むりがたく頂戴する。そこに他者の不幸とか、積み荷を自分のものにすることが犯罪であるとか、現代に人間から見ると「常識」の範囲内の概念が無いのだ。
社会規範の善悪は住民たちには関係なく、あるのは祖先から伝わる風習と共同体の存続なのだ。
閉じた世界は子供の集団のようだ。言語化が難しいのだが、自分の信じる「社会規範」がある程度以上の知識レベルで維持されていることを感じるようになった。
Posted by ブクログ 2023年02月04日
こんな過酷な人生を送る人々はいた事に自分の無知を思い知らされた。自分は何と贅沢な日々を暮らしていることか.....
どうしてこのような土地に暮らすようになったのか?嘗ての平家の落人の部落のように何かに追われたのか、それとも疫病が流行って逃れたのか....
人間が生きていくには食べることが一番大事でそ...続きを読むれをどのように確保するかの術を知っていれば生き向けられるように思う。それには自分の人間力を鍛えねば!どんなに科学が進歩しても最終的には自分だけが頼りになると思うから。伊助は9歳にして一家の稼ぎ手として出稼ぎで不在の父親の役目を果たしていることに感動しましたよ困難に出会うたびにそれを糧に人間力を高めに行っているように思った。それにしてもふっと生まれ出たところで人生に大きな違いがあるものだ....自分のの住んでいる以外の世界も知れば自分の現場も違った見方をするように思った。
Posted by ブクログ 2022年12月11日
江戸時代の貧しい村における民俗についての詳細な記述が大変おもしろく、また一方で、彼らのある風習によって村に災厄がもたらされる展開はホラーやサスペンス小説を読んでいるかのようだった。
物語は主人公の父親が身売りに出てから始まる。
主人公が9歳という幼さながら一人で試行錯誤しながら漁をこなし、一家が食...続きを読むべていけるかどうかという重荷をその両肩に背負う。母親も、一家の生活がかかっていることから主人公に対して容赦はない。
村の中のある家では、働けなくなった怪我人に、限られた食事を与える余裕などなく、怪我人は水だけを与えられて死んでいく。
読者たちは、こうした村における死や貧しさとすぐ隣り合わせの生活を見た後では、そのあと明らかにされる「お船様」の風習を非難するようなことなどとてもできない。読者たちは村人たちに肩入れすることも、非難することもできないような心境の中で、お船様により村に何がもたらされるのか、固唾を飲んで見守るしかない。
その構図がとても巧妙だと思った。
読者はフラットな心境で読み進めるしかなく、その分一層村での出来事が客観的に、輪郭がはっきりとした状態で受け止められ、ずっしりとした読後感を得ることになる。
あとがきでも、「倫理的、あるいは感情的な判断を抑える」「感情移入を厳しく排除」とあって、本当にそう!と思った。
父親が帰ってきて、どれだけ嘆くだろうかと思うと苦しい。
この小説はフィクションだけれど、江戸時代においては、同じような出来事が日本中で起きていたのだろう。
最初のお船様に乗っていた船員が、荒れた海での航行をなんとか無事乗り切るために、髷を切り落として神仏にささげているというのも悲しかった。
髷を切り落として神仏に祈って、人家の火が見えて希望を持ったら、待ち受けた村人に殺されてしまう。船員も村人も、どちらも生きるために必死なのだ。それを見守ることしか許されない読者たち…改めてものすごい読書体験だった。
吉村昭さんは私が最近引っ越してきた新居のあたりのご出身らしく、このあたりにまつわるエッセイも数多く残しておられる。吉村昭の本は中高生の頃に一冊読んだような気がしつつ、記憶が定かではないので、エッセイを読む前に、まずは小説を読もうということで手にとった。
これだけ主観を徹底的に排除した方が書くエッセイはどんなものかな。読むのがなおさら楽しみになった。
Posted by ブクログ 2022年12月04日
まずいまずいまずい、と、途中のあのシーンで呟いていた。
だめだめだめ、と思いながら読み進めていたら案の定。
辛いなぁ。救いと絶望がしっかりと絡まりあったラストだった。
Posted by ブクログ 2022年10月05日
百年ほど遡った日本ではどこでも当たり前に存在したであろう閉鎖的な村社会の、閉鎖的にならざるをえなかった厳しい生活環境と自然、最適解として形成されていき逆らう選択肢などなかったコロニーの姿が恐ろしいほどに現実的に描かれている。吉村昭さんの作品に初めて触れたが一文一文が短くて淡々と語られていくのが更に冷...続きを読む酷さを際立たせた。
時代小説だがこんな世界が事実としてあったのだろうなと信じて疑わないくらいリアリティだった。
Posted by ブクログ 2022年08月08日
#やっぱり怖い本 より。
怖い、というか恐ろしい。悲しくて、ゾッとする。命ってこんなにも儚い…?丁髷の人が出てくるので江戸時代が舞台か。同じ人間の暮らしとは思えない。だいぶ昔の作品だが読みやすく、1日で読破。しばらくは吉村昭さんの本を読もうと思う。
Posted by ブクログ 2022年07月26日
話題になっていた本を友人が譲ってくれて読む機会に恵まれました。
特に時代は明記されていないものの「藩」という表記が見られることから江戸時代だと思われる。
「お船様」という貧しく、小さな漁村にとっては恵みの行事は、実は船をわざと難破させて荷物を強奪する(ときには殺人も犯す)という現代からすると「!...続きを読む?」な行為なのだが、描かれている時代と村から見た立場ではそこに罪の意識がすがすがしいほどになく、一切のためらいも疑いもなしに「神様のお恵み」のように扱われている。
ところどころに民俗学っぽい表記も見受けられ、祈祷?には妊娠中の女性が用いられ、性についての記述も見られるあたりもこの物語の緻密度を上げていると思う。
お船様により恵みを与えられてきた漁村に、ある奇妙な船が流れ着くところからこの村の不幸は始まる。
主人公の少年は、年季奉公に出た父親がいる。
父親不在のたった3年間。されど3年間。
激変した少年の人生とこの村の「お船様」の行方がどなるのか、知りたいものである。
不思議なことに次々不幸な出来事がおこる物語なのに、なぜか私が読んで感じたのは、すがすがしさだった。名作である。
狭い世界に閉ざされた人々にとって、長年培われた常識は絶対のもの。とはいえ、外の常識とここまでかけ離れてしまうものか。それでいて、外との繋がりは捨てきれない、人の性が恐ろしく、そして悲しい。
Posted by ブクログ 2023年10月07日
世の中と隔絶した名も無き漁村を舞台に描かれる、江戸時代の極貧生活。わずか17戸の小さな貧村では、夜の岬で塩焼きという風習が行われていた。しかしその本当の目的は、遭難した船をおびき寄せ座礁させるためものであった。
口減らし、年季奉公という名の身売り、死を意味する山追いなど、一般庶民がまともに食えない時...続きを読む代である。遭難船は「お舟様」と呼ばれ、村にとって恵みをもたらす一大慶事であった。前年に、大量のコメを積んだ「お舟様」によって潤った村が、2年連続で新たな「お舟様」を迎えた。しかし、船には積荷はなく、20数名の乗船者は皆一様に、謎の赤い布を身に付けて死に絶えていた。村長はその着衣を村民に分配する。しかし「お舟様」は村に絶望的な厄いをもたらす事となる。
Posted by ブクログ 2024年04月16日
なんかもうずっとつらいのよ。大自然のペースに合わせてしがみつくような生き方とか、村ぐるみで犯罪を隠したりしてるとか。お船様で一時は生き延びられるかもしれないけど、それが永遠ではないってわかってるところとか。
それでも好きな娘との淡い交流とか、漁の腕前が上がったとか、友人との関係が穏やかなものになって...続きを読むいったりとか、きらめく瞬間がある、あったのにさぁ~~…
Posted by ブクログ 2023年11月10日
一人前の漁師/大人になるという自覚が芽生え始めた少年が主人公。出稼ぎ(身売り)により父が不在の三年間を描く物語。
読み進めて早い段階から、自然現象に左右される寒村という共同体の、心細さと危うさが重くのしかかり息苦しさが続く。それでも、主人公が徐々に成長して生活は安定に向かうのかと思った矢先、ついに...続きを読むお舟様が到来し、寒村の日常は狂い始め、あまりにも悲劇的で無情な幕引きへ。
村人の自死シーンでサラッとギョッとすることが書いてあったり、村人達の犯す大罪がテキパキ機械的に進んだり、文体/描写はかなり淡々としていて、だからこそ抵抗できない暴力の怖さ不穏さを強く感じた。一方で、クライマックスの母の健気な強さには胸を貫くような切なさがあり、あわや落涙するところだった。
230ページとは思えないくらいズシンと重厚/濃厚な一冊。
Posted by ブクログ 2023年09月25日
会社の先輩からお借りした一冊。
この作者の本は、漂流から2冊目かな?
漂流もこの先輩からお借りした本だった。
漂流もリアリティ溢れ、臨場感が半端ない小説だったが、この本も凄い!
目の前に情景が現れる。自分がその村に迷い込んだような錯覚を起こす。
すっごい惹きつけられる小説なのだが、常に恐怖感が...続きを読む付き纏っていた。
何処か不気味で、何かに怯えながら読んでいた気がする。何に怯えていたのかは、読み終わった今も謎だけど(^◇^;)
北の海に面した、貧しい村が舞台となる。
痩せた土地には雑穀しか育てたない為、村民は鰯やイカ、タコ、秋刀魚などを採り、隣村まで売りに行き、穀物と交換してギリギリの生活を送っていた。
いや、ギリギリ以下の生活だったのだ。
そんな村だが、冬の海が荒れ狂う頃、貨物を乗せた船が座礁し、荷を村民で分かち合うことができた。
それはお船様と呼ばれ、村民はわざと天候の荒れる日に塩を作るために火を起こし、船を村の方へ誘い込むのだった。
そんな村にある日災が起こる。。。
Posted by ブクログ 2023年09月17日
「破船」は2022年の本屋大賞の「超発掘本!」選ばれた本でもあります。本屋大賞の「超発掘本!」とは、ジャンルや刊行年を問わず今読み返しても面白い本が選出されるものです。
日本海沿岸の閉鎖的な貧しい寒村。土壌が痩せて作物もうまく育たず、魚介類もその場しのぎ程度の漁が精一杯の土地。村人たちは近海を通...続きを読むる貨物船の船荷をあてに座礁を祈る。
生きることがこんなに苛酷だとは...。ちょっと気分が暗くなってしまいますが、海外でも広く評価され、多くの国の言語に翻訳された作品でもあります。
Posted by ブクログ 2023年08月12日
帯に「本屋大賞超発掘本!」とあったので、気になって買ってみた。
貧しい生活の村で、幸をもたらす「お船様」。簡単に言うと荷を多く積んだ商人の難破船のことだが、難破船をあえて呼び込むための方法もこの村には伝わっている。
これを読むと人々の生活は誰かの犠牲の上に成り立っているのだなということが実感さ...続きを読むれる。
しかし、難破船が必ずしも幸のみをもたらしてくれるものではなく、時には災厄ももたらしてしまう。因果応報と言ってしまえばそれまでだが、そうでもしないと生きられない厳しい環境下に置かれた人々の苦しさもある。
かなりのパンチ力を持っている作品。
Posted by ブクログ 2023年08月04日
時代背景・地域不明、作者の作品群で異色なドキュメンタリー風小説。
200pと控えめなボリュームながら、貧しい漁村の哀しい運命が過不足無く描かれる。
個人的には、『漂流』を生み出した作者が、漂流者を餌食とする本作を描く事にとてつもない作家意欲を感じる。
Posted by ブクログ 2023年08月03日
暗い物語であった。
僻地の漁村で日々を生き抜く三年間を、一人の少年を通して語った「破船」。
農作は期待できず、季節ごとの漁労で糊口を凌ぐ生活。その暮らしの中、唯一の僥倖が難破船の訪れ。その船の積荷を奪うことが、稀に見る豊作と同様。ただ、積荷の略奪であるために、難破船の船員が生きていても、殺して口封...続きを読むじをするという残酷さが、村全体の共通の認識として受け継がれている。
生きて行くために。生きるという目的が優先されるは「人」でなく「村」。「村」の存続が第一であり、そのためには個人の意志は破棄されるべき。という思考が隅々まで行き渡っている様は、過酷であり悲哀しかない。それが何よりも象徴されるのが、物語の終盤。難破船から広まった天然痘で村が壊滅級の被害を受けた後。
指導者自ら「村」のために命を擲つ覚悟を示し、皆それに諾々と従う場面。
この場面で、根本的に違う価値観の生活があったのだな、という恐怖を感じました。あらすじ時点では、パンデミック下での限定環境での混乱が描かれてゆくのだろう、と予想していたのですが、違いました。
村人たちに混乱は起きず、ただ運命として受け入れるしかないという諦観。もちろん、疫病が終息した後の生活に対して、不安を覚えたりはするのですが、それはもうそういうものであって、なるようにしてゆくしかないという感覚。決意のない覚悟は、無力感と喪失感がすごい。
日々の描写で、喜びや希望がないわけではないのですが、その個人の感情は「村」という存在を超えてあることはできない、という刷り込みのような思考に塗りつぶされていってしまいます。
どこまでも、暗さがつきまとう物語であったよ。
最終盤、奉公から帰郷した父の姿を見て、少年は何を叫んだのか。
希望、喜びであった帰郷が、絶望と悲嘆の入り口であるのだから。思考や感情というものではなく、ただただ体の内から漏れ出たものだったのだろうなぁ。
そして、この「村」の暗さは続いてゆく。この僻地で暮らして行く限り、不幸の大小はあれど、続いてゆく。
Posted by ブクログ 2022年09月27日
江戸時代の僻地の漁村というこれまで知ることのなかった舞台で、生きることを目的として生きるような生活が描かれる。生きるために働くことが最優先事項で、家族への愛(それもかなり控えめな)の描写はひとつまみ分くらいだったので逆に印象的だった。
村の習俗は非常に興味深かった。リアリティがあり、こうしたしきたり...続きを読むは実際にあったのだろうと思わせられる。
「お船様」の乗組員を殺すことに村人たちが殆ど罪悪感を抱かないのは、村があまりに隔絶されていて「お船様」を異世界のものとでも認識しているからか。祭りとしての色を濃くすることで罪悪感を薄めているからか。村でなによりも重んじられるしきたりで可とされているからか。
この小説のような(生きていても決して幸せとは言えないのではないかと思わせる)環境下でも、人間は生きるために必死に働き、共同体の存続を目指すものなのか…と思った
Posted by ブクログ 2023年05月05日
起こったことを丹念に積み重ね、感情を押し殺した文体。飽食の今では考えられない、食料事情。母のことば「人間には、心のたるみが一番恐ろしい。」
「物というものは、いつかはなくなる。恵まれている時にこそ気持をひきしめなければ、必ず泣かねばならぬようになる」
そうは言っても、知らないことは不幸な事でもあり、...続きを読む感染症は防げない。平穏な幸せは長くは続かない、ドラマも、人生も。
Posted by ブクログ 2023年04月22日
戦慄の感染症パニック時代小説(なんだそりゃ)。長引くコロナ禍に読み、ぞくぞく。
最近、近未来のディストピアっぽい小説を読んでたけど、昔の貧しい時代の方がよっぽど地獄だなと思う。
惜しむらくは、農村にしては口調が農民ぽくなくて、ちょい違和感が。昔の農民や侍の語り口とか、知らんけども。
あと、最後にい...続きを読むろいろ種明かしする老人いたけど、そんな詳細に覚えているならもっと早く気付くのでは?と思ったり。
Posted by ブクログ 2022年12月06日
はるか昔、僻地の貧しい漁村で行われていた、往来船を座礁に導き積荷を奪うという、ほかには言えない風習。
それが巻き起こす悲劇を描く。
そんな風習をもつコミュニティだからこその結束と、世帯ごとライバルのように漁を行う姿が印象的だった。
淡々と重苦しい雰囲気で進む物語だが、読み辞めたくならない不思議な小説...続きを読むだ。
Posted by ブクログ 2022年09月04日
厳しく辛いだけの暮らしにしか思えないこの村の生活。
それでも伊作は隣村の暮らしが自分の村とは異質と感じ、自分の村に戻った時にほっとする。ここは考えさせられる。
死んでしまった伊作の妹のてる、かね。幸せを感じたことはあったのだろうか。山追いを受け入れた村おさと村の人々はその後どうなったのか。(この時の...続きを読む村おさのリーダーシップは強かった)
「お船様」は史実に基づくのだろうか?
いろいろ考えさせられるけれど、仕事の都合で何度も間が空き一続きで読めなかったのが残念。
Posted by ブクログ 2022年08月22日
本屋大賞、2022年発掘部門「超発掘本!」に選ばれたので、読んだ。
怖面白い!
漁村の村は、17戸。小さな村。
貧しくて厳しい生活をしている村。
貧困。
それが当たり前で、食べるために働く。
村の決まりは絶対的なもので、背くわけにはいかないというところが怖い。
主人公の伊作は9歳。小学3年生から働き...続きを読む始める。って考えると想像しやすい。
やっと父が帰ってくる3年後は小学5年生の歳。
まだまだ子供だけど大人と同じように働く。
米俵を背負うことが出来ず、
母から意気地なしとか力なしと呼ばれるのも仕方がない。
米俵って何キロ?調べたら60kg
無理じゃん。
お船様を呼ぶという風習。
よく考えてみたら海賊だよね。
中学生にも読みやすいと思う。
Posted by ブクログ 2022年08月19日
難破した船に積まれている荷物により生活している貧しい村の話。
主人公が米俵を持てない描写が出てくるんですが、たった9歳なんですね...米俵は60kg程あるので、そりゃ持てないわ。
淡々と話が進む文体が、想像力が掻き立てられるようになっている。掠奪や殺人についてはほぼ触れられず、現実とのギャップが気味...続きを読む悪さを感じます。