荒俣宏のレビュー一覧

  • 新帝都物語 維新国生み篇 上
    魔人加藤再び!

    舞台を明治維新まっただなかに移して、直参旗本の加藤さんが、会津で土方歳三さんと暴れたり、いわゆる「つぼのいしぶみ」のある場所に闇の内裏を築こうとしたりしていました。

    こっちの加藤さんはよりクズっぽくなっていて、けっこうバイオレンスな感じ。
    女性を平気で殴る蹴るのイヤなヤツでした。...続きを読む
  • 帝都物語 第伍番
    この巻は「百鬼夜行篇」と「未来宮篇」でした。
    けっこうリアルに歴史をなぞってきたお話から、執筆された当時は近未来だった昭和70年あたりを描いています。

    百鬼夜行篇では、70年安保闘争から全共闘運動という日本人同士が殺し合う鬼が喜びそうな時代が描かれていました。
    三島由紀夫さんがけっこう重要なポジシ...続きを読む
  • ゑびす殺し(電子復刻版)
    諸作家へのオマージュ、夢野久作とか、小林多喜二とか、にささげたものださうである。
     諸作品がなんか、いい感じで怖い。
     小林多喜二が「タンポポの根のような」うんこをひってどうのとか、森鴎外が死体安置所で水泳大会する死体に辟易したりとか、クーロン城の、水が落ちる通路とか、さう言ふのが怖い。
  • 妖怪大戦争
     次に何の本を読もうかと考えていると、深夜テレビでこの小説を原作とした映画がたまたま放映され、買ったもののまだ読んでいなかったこの小説を読み始めました。
     映画自体は映画館ですでに鑑賞済みだったのですが、小説で読むと映画の裏にある状況を知ることができてとても面白かったです。
     個人的に、妖怪目線から...続きを読む
  • 帝都物語 第四番
    複数巻の長編を平行に読破しよう月間。たまには短編が読みたい。

    終戦から戦後間もなくの動乱期。加藤は一度死に、若い体で復活を遂げ、主人公の座に返り咲く。

    化物系ファンタジーの色がこれまで以上に濃くなり、満州国新京の地下に巣食う鬼、帝都東京を守る妖怪・物の怪が頻繁に出現する。それと並行して、特定の人...続きを読む
  • 陰陽師鬼談 安倍晴明物語
    聖徳太子や吉備真備と安倍仲麻呂の話から、さらに安倍清明が仲麻呂の子孫だったという話もあり楽しかった。安倍清明の遺跡をめぐるツアーに参加したこともあり、場所もイメージできたのでさらに楽しかった。
  • 帝都物語 第弐番
    関東大震災からの加藤暗躍が楽しい2巻前半の震災編。満州から将門の首塚まで続く龍脈を探る寺田寅彦等の視点と、由香里を取り巻く幸田露伴等の病院の視点など、幾つかの絞られたまとまりになっていることも有り、これまでとうって変わって読みやすくなる。

    ただ、冗談のつもりなのかなんなのか知らないが「考現学」など...続きを読む
  • 戦争と読書 水木しげる出征前手記
    その飄々としたお人柄に加えて"両親が心配して一年遅らせて小学校に入れた"などのエピソードから想像しがちなのんびりした少年時代、でもそれは水木サン一流の照れ隠しであり実の姿は凄まじい天才少年であったことを裏付ける貴重な書簡集。
    その出征を前に懊悩たる思いを書き綴った手記や戦地からの手紙は哲学そのもので...続きを読む
  • 帝都物語 第壱番
    「1・神霊篇」と「2・魔都(バビロン)篇」の新装合本版。今では漫画やらゲームやらでお馴染みになっている魔術用語(陰陽道、蟲術など)も、発表当時は斬新で衝撃的だったんだろうなと思います。史実や実在の人物(幸田露伴、寺田寅彦など)が登場する群像劇的面白さとオカルティズムが相まって独特の雰囲気を醸造してま...続きを読む
  • 帝都物語 第壱番
    数年ぶりに読み返してみましたが好きなものの詰め合わせで、やっぱり面白いなあ。歴史上の偉人をうまく盛り込ませているのでリアリティもあって、なにより荒俣先生の膨大な知識量に脱帽です。
  • 戦争と読書 水木しげる出征前手記
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    仏教もやる。博物もやる……いじけるな、自分を小さくするな、俺は哲学者になる。21
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    自分と言ふものにびつくりした。俺なる実在は、俺の思考がとうてい及びもつかない程、複雑怪奇だ。ひ...続きを読む
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57
    副題に「新しい知的生産の技術57」とありますが、同じ主張の繰り返しのような部分があります。それと、技術というとhow toの具体例を上げているように思いますが、主に自分の好きなこと、ニッチなところを究めるという生き方について書かれています。なのですぐに役立つというたぐいの本ではありませんが、人生には...続きを読む
  • サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」
    ドイツ博物館とアメリカのスミソニアン協会の属する博物館等に収められた数々の成果を、その発明者と関連する人々の話をまとめたものだが、面白い話しが満載だ.話の進め方が良い.例えば、有名なライト兄弟と熱気球を発明したモンゴルフィエ兄弟を対比して、かれらが持っていた基礎技術とそれに加えてアマチュアリズムを取...続きを読む
  • 戦争と読書 水木しげる出征前手記
    戦時、若者の心の拠り所として、読書があった。宮沢賢治やゲーテを持ち歩いていたという。死と隣り合わせの環境下、死ぬ事を強制され、権力に服従せざるを得なかった時代。どのように事態を昇華し、気持ちを落ち着かせたのだろうか。服従を奉仕という思想に置き換えたり、哲学や物語りに夢想したり。水木しげるも、その一人...続きを読む
  • サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」
    多くの史実の中で、ひとつだけ民俗学的考察に触れた章があり、非常に考えさせられた。和時計に対するクダリである。日本人は人間の好みを機械に押し付けるが、外国では機械のやり方に人間が合わせる。その背景には、日本人はモノに対する認識として「自然感覚」を持っているのに対し、西洋人はモノに神を宿らせて尊重する、...続きを読む
  • 帝都物語 第伍番
    これだけ読み続けていると、さすがにこの世界観にも馴染んできた。加藤保憲は、敵対する者ともコミュニケーションを密にとる、面白いキャラだなあ。
  • 江戸の幽明 東京境界めぐり
    ・荒俣宏「江戸の幽冥ー東京境界めぐり」(朝日新書)は 荒俣流東京案内である。第一部は概説、第二部から東京めぐりである。その最初のあたりにかうある。江戸の境界を示す「朱引のうちとそとに不可思議で曖昧な江戸が成立してしまつたのである。ひよっとすると、江戸は中心部より郊外がおもしろいのかもしれない。」(1...続きを読む
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57
    テレビなどでお馴染みなので、著者をご存知の方も多いと思います。
    しかし、何者かと問われて、答えられる方がどれだけいるでしょう
    か。肩書きとしては、翻訳家、小説家、収集家、神秘学者、タレン
    トなどと名乗っているようですが、その信じられないほどの博覧強
    記ぶりと面妖な風貌から、しばしば妖怪に喩えられるほ...続きを読む
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57
    書の構成が簡単でスラスラと読めてしまう一冊。
    学生にはオススメだろう。
    しかし、読んでいる際には「なるほどな!」と思うものの、
    読み終えてみると、そこまで記憶に残っていないレベルだった。
  • 地球暗黒記 I ナナ・ヌウ
    ハワイに行きたくなる
    ハワイのことなんて何も知らなかったけど、日本人とはきっても切れないいろんな繋がりがあって、勉強になる
    そして予想外におもしろい