佐野眞一のレビュー一覧

  • 東電OL殺人事件
    著者の被害女性への思い入れがかなり強くノンフィクションというには見方に偏りがあるように思える。偶然に暗合を見たり、幻視幻聴の類が繰り返されたりするのは白ける。けれども取材の範疇を越えて捜査と言っていいような調査の数々は凄い。それだけ執着させる要因がこの事件にはあったということか。自分も著者同様に、昼...続きを読む
  • 東電OL殺人事件
    氏の著作に触れるのは初めてだから、追悼ってのもちょっと違うかもしれないけど、今のタイミングで読んでみたもの。☆はやっぱりプラス一つで。”東電OL”って言葉のインパクトが強いけど、実際には”殺人事件”の方がメインテーマ。故人の生い立ちなどにもっと紙面が割かれるのかと思ったけど、むしろ法廷場面が多くを占...続きを読む
  • あんぽん 孫正義伝
    ソフトバンク創業者孫正義氏の評伝。孫氏の親戚や祖先を訪ね、且つ本人にも取材して、孫正義という人物がどういうふうに生まれ、成長したのかについて描いている。
    佐野眞一氏のやり方は、取材対象者の先祖を何代か前まで遡って取材していく方法で、批判されて大問題となった『ハシシタ 奴の本性』も同じ手法だ。『あんぽ...続きを読む
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三
    先日、金融庁元長官の遠藤さんが、講義の中で紹介された宮本常一の父の言葉に触発され、この本を、手に取りました。大正2年4月(1913年ですから、今から1世紀以上の昔)、山口県の離島だった(周防大橋が架かったのは1976年)、周防大島から旅立つ14歳の常一が書き留めた父善十郎の言葉。 汽車に乗ったら窓か...続きを読む
  • あんぽん 孫正義伝
    凄まじい執念で描かれた孫正義伝。
    「人間を背中や内臓から描く」と言ってのける、この佐野という筆者にこそ興味をそそられた。

    日系三世の血と骨の物語はきっと事実。
    人間は面白い。素晴らしい。
  • あんぽん 孫正義伝
    おもしろかった。
    黒澤映画の「羅生門」のような話で、語るヒトによって、同じ内容がこうも違うのか...ということを痛感させられた。
    個人的には、中国韓国日本は、どこかでつながっていて、いろいろな諸問題は、磁石の+と+のようなものだと思っている。
  • あんぽん 孫正義伝
    ノンフィクション作家の大御所、佐野眞一が書いたソフトバンク
    の孫正義の生い立ちや両親のルーツを書いた本。

    「週刊ポスト」に連載されていたものに、大幅加筆したもの。

    孫さんが佐賀の鳥栖駅前の朝鮮部落で育った事や、その環境の
    凄まじさ、幼少期からの天才ぶりなど、読みどころは多い。

    ただ佐野眞一さん...続きを読む
  • 渋沢家三代
    渋沢栄一、敬三はよく見るが、篤二についてこれだけ書かれている読み物はなかなかないのでは。面白くて飽きずに読んでしまった。3代を追うことで幕末から戦後までの社会を外観できてしまうのもよかった。
    星1つないのは単に歴史の本を読み慣れた自分の好みで、セリフがあるとその出典や史料を確かめたくなってしまうとい...続きを読む
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下
    「(軍用地)約88%が国有地で占められる本土に対し、沖縄では1/3は個人が所有する私有地で占められている」p63
    「(ニーチェ)「この世で男が熱中できるものは二つしかない。遊びと危機である」」p134
    「親族同士が助け合う沖縄ユイマール精神は、沖縄人の進取の精神を殺ぎ、ひいては沖縄の発展を阻害する要...続きを読む
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上
    ノンフィクション作家による、月間プレイボーイに連載されていたコラムに一部追加して文庫版化されたもの。取材を基に書かれているため、内容が細切れになっているが、それぞれのテーマについてよく調べられていると思う。沖縄の裏の部分の一端を理解することができる。
    著者に政治的な意図はないにしろ、やや狭史眼的な...続きを読む
  • だれが「本」を殺すのか
    情報の消化と消費の違い、本とは知性と等価なものか、知識と等価なものか、媒体がそれが保持する内容と独立して媒体自身の自立した意味を持つのか?本好きなものとしてまた考えさせられる。
  • あんぽん 孫正義伝
    言わずと知れた有名人、孫正義の生い立ちからいまに至るまでを、本人、家族等に取材し、書き上げたルポ。
    孫正義にも、ソフトバンクにも正直あまり興味がなかったのですが、好意的なイメージよりは、胡散臭い、ネガティヴなイメージだったので、ちょっと彼に関する本を読んでみようと思い。
    以前、どこかで「おすすめ本」...続きを読む
  • 東電OL殺人事件
    この事件は自分の女性という生き物についての興味を抱くきっかけとなった事件です。

    今までドラマの世界でしかなかったような二面性を持った女性が本当に存在していたことに衝撃を受けました。

    本では新聞や一般のテレビでは報道されていないことについても、筆者の丁寧な取材による浮かび上がった事実と筆者の推測を...続きを読む
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下
    野底土南(ぬかどなん)の名前は竹中労の著作で知った。思えば
    竹中労も沖縄に魅了された人だったのだもね。野底は2007年に
    亡くなっているのだが、病床とは言え本書ではインタビューが
    出来ているのが凄い。

    青い空と青い海。日本国内の南国リゾートだけではない面が、
    下巻でもてんこ盛り。上巻はア...続きを読む
  • 東電OL殺人事件
    東電OL殺人事件は知ってはいたが、詳しく掘り下げみたいと思ってた事件。
    今回読んでみて、やはり闇は深いんだなと再確認した。ただの殺人事件ではないと。
    この本から読み取れるのは2つ。日本の司法制度の酷さと、殺された被害者の異常性。特に被害者の病み方はすべて理解できないところに闇の深さを改めて感じた。
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三
    日本中を旅した民俗学者の宮本常一と、宮本を精神的そして経済的に支えた渋沢敬三のお話し。

    宮本常一の著作を読んで以来少し民俗学に興味があった、宮本と渋沢敬三の生い立ちや関係、渋沢栄一の孫である敬三が民俗学を支援した背景、そして名著『忘れられた日本人』の裏話など、綿密な取材を重ねており大変興味深い内容...続きを読む
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上
     戦中戦後に国全体で負わなければいけなかった負担を、沖縄に押し付けてしまった。だから本土の人間として沖縄に謝りに行く、という姿勢で進歩的文化人などによって語られてきた沖縄。本土=加害者、沖縄=被害者。多くの日本人も、この認識をもとに沖縄を捉えてきた。でもすでに戦後70年。戦後沖縄がたどってきた長い歩...続きを読む
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三
    先に読んだ宮本の自伝「民俗学の旅」や、佐野眞一の「渋沢家三代」と重複する部分も多かったが、2人と関係した研究者も登場し、当時の歴史やつながりも見えてくる。

    宮本は明治40年に山口県の周防大島で生まれた。尋常小学校を卒業後は村に残って百姓をしていたが、叔父にすすめられて大阪に出ることになった。島を出...続きを読む
  • 渋沢家三代
    資本主義の父と民俗学のパトロンの生涯をまとめて読めるのはお手軽と思ったが、あとがきにも書かれている通り、敬三の民俗学へのパトロネージュについてはほとんど触れられておらず、『旅する巨人』を読めとのこと。そりゃそうだ、とは思ったが、渋沢家の生い立ちから没落への歴史を学ぶことができたのはよかった。

    栄一...続きを読む
  • あんぽん 孫正義伝
    在日でありながら日本一の金持ちになった実業家・孫正義の一冊。

    これまでの立志伝とは違い、在日であることにスポットを当てているので彼の生い立ちや、彼の両親のルーツに迫っている。
    ソフトバンク創設後以降の記述が淡白なので、それを期待するものにはお勧めできないものの、彼のルーツを知ることができて面白かっ...続きを読む