大袈裟でも誇張でもなく、日本の歴史が大きすぎる動きを見せた瞬間が描かれている
決して、バカにしている訳じゃないが、四コマ漫画って形式で、こうも、日本史の中でも五指に入る大事件を、「ドン!!」とインパクトを欠けさせずに表現した重野先生、さすがである
これは、あくまで私が感じた印象に過ぎないが、重野先生
...続きを読む、この(3)、描くのが楽しい、だけじゃなかっただろうな。自分の憧れを最大限に注いでいた織田信長って大きすぎる英雄が、明智光秀に討たれる様を描いていた時は、どんな表情をしていたんだろう。浦沢先生、今度の取材相手に重野先生を選んでくれないかなぁ
しかも、この『軍師 黒田官兵衛伝』は、あくまで、『信長の忍び』から派生した作品。本家で、本能寺の変を描くとなったら、半年ぐらいかけて、ジワジワと胃に穴が開くんじゃなかろうか。でも、重野先生なら、リアルな命と、漫画家としての寿命を削る覚悟で、『信長の忍び』を見事に完結させるだろう。その時が楽しみだ
一人の英雄の死は、新たな英雄が日本史に名を遺すキッカケとなるもの
これまでの功績で、秀吉は確実に名を上げてきた。しかし、それはあくまで、信長に従う一武将として。信長が覇道から降りた事で、今度は、秀吉がその道を歩みだし、なおかつ、信長が見た未来とは異なる理想に向かって、仲間と共に向かい出した
そんな彼を、軍略で支え、日本一の軍師になるのが黒田官兵衛だ
清水宗治が城主を務める、備中高松城への水攻めは、数ある攻城戦の中でも、かなり有名だ。桁外れの兵数や、尋常じゃない威力の武器を上回る自然の力を味方にして、味方だけでなく敵の被害も減らして城を落とす、こここそが軍師の真骨頂と言えるだろう
毛利との和睦でも、ある意味、悪癖とも言える、自分の命への無頓着っぷりを大いに発揮しており、彼の底知れなさも毛利方にしっかり伝わっている
とは言え、事はまだ終わっちゃいない。そんな官兵衛を筆頭に、有能な人材に支えられている秀吉の天下取りへの一歩は、謀反者・明智光秀を討ち取ってこそ、やっと、“地面”に跡がつくのだから
しっかし、本能寺の変で信長の屍が見つからなかった、と聞くと、覇王としての矜持で灰も残さなかった、じゃなく、他の世界で大暴れしてるんだろうよ、と妄想しちゃうのは、やっぱ、アレの読みすぎか?
この台詞の引用に選んだのは、信長とは違う、王の姿を、確かに秀吉に視る事が出来るから。王となる人間の条件ってのは色々あるだろうが、やはり、キツい時に自分の限界を突破するだけでなく、素直に仲間や部下の力を借りるって決断を下せるか、は外せないな