加藤徹のレビュー一覧
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かなり読みやすかったし、最初から最後まで面白かった。漢文あっての今の日本なのだということがよくわかる。
漢文の素養が政治的にここまで影響しているとは思わなかったし、日本史に不可欠であった漢文が今の教育では軽んじられていることへの筆者の危機感にも共感した。文化的な面よりは、漢文による外交の話が個人的に...続きを読むPosted by ブクログ -
漢文の教養を持つ人々が日本という国家の転換期にどのような影響を与えてきたのか。特に明治期以降の漢文の素養を持ちつつ西洋語にも親しんだ日本知識人が近代以降の日本を成り立たせてる西洋由来の諸概念を適切に漢語に訳していった歴史は面白く読めました。
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コロナ巣ごもりで再読する。
高島俊男師が鬼籍に入られた今、加藤徹先生を中国古典の水先案内人と頼んでいる。
巻末に諸星大二郎『孔子暗黒伝』への言及があるのは嬉しい。Posted by ブクログ -
漢文を解説した非常に面白い本です。
漢文に興味がある方には非常にお勧めです。
本書を読み、日本語の文章は漢文を基本として成立したことがよくわかりました。Posted by ブクログ -
日本人が漢字とどう向き合って来たかという切り口から日本の歴史の流れを古代から現代までを分析さたもの。先人が中国との距離を確保しながら漢字を自らの血肉に変えて行った過程が良く理解できる。Posted by ブクログ
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言語とはその民族の文化そのものだと改めて認識した。日本人がどのように文字を獲得し、古代中国の深淵な哲学を自分たちの血肉にしていったのかが、丁寧に解説されている。古の日本人が中国と微妙な距離を取りながら、幸運にも恵まれて中国の属国化を免れた事情もよく理解できた。呉音と漢音は日本に入ってきた時代の差と勘...続きを読むPosted by ブクログ
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本書は大変上手に読ませていく。読みはじめると止まらない。
まず、西太后を理解しなければならない理由が明確に述べられる。それは西太后が現代中国を知る上で如何に重要だからである。清朝末期が領土的にもナショナリズム的にも現代中国の原点であり、清朝末期こそが西太后の時代であった。実質的な建国はアメリカ合衆国...続きを読むPosted by ブクログ -
著者は、
(以下引用)
十九世紀までの漢字文化圏で、強力な中流実務階級が育っていたのは、日本だけだった。
武士道的な行動倫理と、漢文的教養、そして「やまとだましい」という三点セットが、近代国家におしあげた。
と言います。
今の日本人には、行動倫理(行動規範と呼べるもの)も、漢文的教養も、ほぼありま...続きを読むPosted by ブクログ -
面白かった。
西太后は、女性的な専制君主だった、というのが筆者の基本的認識。
皇帝の母として、息子にかしづかれたいという願望のみで、決して自らが皇帝になる希望はなかったという。
少女期から、その死までを、丁寧に資料にあたりながら描き出されている。
巷間に流布している話も、これは根拠がある、これはな...続きを読むPosted by ブクログ -
西太后といえば、幼少の皇帝を操り、政治は二の次で自らは贅沢三昧、それが清国滅亡のきっかけとなった。というのが歴史的評価だが、著者はそれに異を唱える。むしろ、この時代に女性がトップについたことは中国にとって幸運なことであり、結果的に中国はインドや東南アジア諸国のように完全に植民地支配されず、独立を保つ...続きを読むPosted by ブクログ
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[中華蒸留]中国史上において類い稀な 女傑として広く知られながらも、現代中国では国の衰亡をもたらしたとして評価が低い西太后。近年明らかになってきた、長きに渡り中国を治めてきた彼女の驚くべき半生を通し、中国の歴史意識や世界観にまで踏み込んだ意欲作です。著者は、『京劇』で第24回サントリー学芸賞を受賞し...続きを読むPosted by ブクログ
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日本人が中国から漢字を輸入し、それを自国の文化に昇華するまでの歴史を紐解いた一冊。
漢字・漢文を通して日本がいかに中国という大国と向き合ってきたか、漢字・漢文が日本の発展にいかに貢献してきたか、その経過が分かりやすくる解説されている。同じ日本の歴史でも、「漢字や漢文」という普段とは別の視点から切り取...続きを読むPosted by ブクログ -
これは読み物として普通に面白かった。『蒼穹の昴』~『マンチュリアンリポート』に至る一連の作品があまりにも素晴らしくて、それで実際の歴史が知りたくなって手にとった本。だから、もともと小説で得た知識があったからこそ楽しめた、ってのもあると思うけど。実際に起こったこと、実存する人物像との対比も興味深かった...続きを読むPosted by ブクログ