日下三蔵のレビュー一覧

  • グリーン車の子供
    巽昌章の解説に、雅楽の謎解きスタイルはマープル風とあるが、それはホントかもしれない。身近に見聞きしてきた事象からの類推による推理。マープルんいおけるセント・メアリー・ミード村などの人間関係・出来事が、雅楽の場合、歌舞伎狂言の話だったりするのが面白いのだ。
    「グリーン車の子供」、ひかり/こだま問題が生...続きを読む
  • 松風の記憶
    全集最終巻には、長編2編と探偵小説にまつわるエッセイを収める。
    表題作は、1959年から1960年にかけて東京新聞に連載された。全集第1巻の最後に収められた「文士劇と蝿の話」に、浅尾当太郎の悲恋への言及があり、それを書いた話があるの? と思っていたら、「松風の記憶」がそれだった。先に解題で、最初に単...続きを読む
  • 團十郎切腹事件
    中村雅楽(がらく)ものを年代順に編集(長編は別立て)。第1巻は1958年から1960年にかけて発表された、第1作「車引殺人事件」や直木賞受賞作の表題作を含む、18作を収める。
    雅楽ものは昔結構読んだが、単行本だったと思うので、立風書房版だったのか? 中村勘三郎が雅楽を演じた土ワイの2時間ドラマも好き...続きを読む
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1
    半七捕物帳で有名な人です。
    怪奇探偵小説って銘打ってますが、どっちかというと怪談話です。
    話の締めくくりのボカシ加減がいい具合に恐さを盛り上げてくれます。
    古いものですが読み憎さは感じません。
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)
    江戸川乱歩というビッグネームに構えて読んだら、驚いたことにかなりタッチが軽くて読みやすい。
    よくもまあこれだけ書いたと思うほど短編の中にさまざまな種類の殺人やら事件やらが書かれている。
    この人の書くミステリはなぜか、読み終わると微笑んでしまうような後味がいいものが多い。

    個人的に好きなテーマはプロ...続きを読む
  • 團十郎切腹事件
    古き良き探偵小説。江戸川乱歩に薦められて書いたのが始まり。著者は元々演劇分野の論者+探偵小説ファン。
    主人公の探偵/歌舞伎役者中村雅楽はエラリー・クイーンのドルリー・レーンが模範らしい。ありがちな捜査当局と探偵との確執もなくなんだか妙に和気藹々とした風情。
  • 横溝正史集 面影双紙 ―怪奇探偵小説傑作選2
    漢字遣いがいまとは大分違うので、さっと文章に目を通した時やたらと漢字が多く、とっつき難い印象を受けます。
    だから読むまでは少し躊躇してしまうのだけれど、五行、六行でも読んでしまえばもう横溝正史の世界にどっぷりとひきこまれ、どうなるのだと頁をめくってしまう。
    こういった小説のジャンルはどう分けられるの...続きを読む
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    魅力的な短編集。
    とりわけ『母子像』は脳内映像フル稼働・・・!胸の苦しさがかえって心地いいなんて。余韻にしびれます。
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)
    これに収録された「二銭銅貨」がきっかけでミステリーにはまることに。
    「人間椅子」「芋虫」など、謎を解き明かされていくドキドキ感と江戸川乱歩作品が持つ独特の妖しい雰囲気は病み付きになる。
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    久生十蘭の本で現在、手に入れやすい一冊。『黒い手帳』の端正な書き出しから幕を開ける。『海豹島』『墓地展望亭』の浪漫に酔いしれ、『月光と硫酸』の黒いユーモアにニヤリとし、『昆虫図』の最後の一行に戦慄することになるだろう。壮大にして精密な構成を支える文体の魔術師、少女小説から時代物までを書きこなす舞台の...続きを読む
  • 怪奇小説集 蜘蛛
    針を読みたくて読んだけれど、怪奇小説の名の通りホラーというよりも奇妙な風味を楽しむ短編集。
    説明が足りない印象ではあるけれど、描写が適当なのでそれが更に風味を濃くしていて物足りないとは思わなかった。
    第三者の視点が描かれている中で、ふと読者の視点が入っているように感じた。読者自身も目撃者の1人である...続きを読む
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成
    すごく面白いけど、暗いねん。
    何かじとーっと暗い。。。
    ホラー要素が必要とあるけど、ホラー嫌いやねん。。泣
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)
    短編の推理物は未完成な感が否めないものが多いように感じた。実際乱歩も巻末の解説の中でいくつかの作品について完成度が低かったことを認めている。犯罪者の側の奇妙な性癖とか人間の根幹にある残虐性に絡めて、犯罪者が犯した事件を探偵なり警察なりが推理をして最後に捕まえる、といったものが僕は好きだ。
  • フェイス・ゼロ
    短編集。
    妖しい系、本格SF等、内容はいろいろ。
    でも、理解出来ないのもあった。読み手の頭が付いて行けない、というのが正直なところ。
  • 法水麟太郎全短篇
    縦横無尽な知識と推理で事件を解決する超絶探偵の短編集。先に黒死館殺人の方を読んでいるがコチラも十分に難しい。見取り図等あるのは親切。
    作者の中でも黒死館殺人は大きかったのか作中でも結構触れられていた。
  • 山田風太郎時代小説コレクション 地の巻 南無殺生三万人
    巻末をみると71年の頃の作品が中心となっている。時代の特徴なのか読者の要望なのか作者の好みなのかは分からないがエロネタが目につく気がする。
    伊藤一刀斎が乳吸い老人と化す話など『バガボンド』を読んだ身としては奇想すぎて引いてしまった。
    盗賊改として江戸の悪党(たぶん冤罪含む)をぶち殺しまくったお役人の...続きを読む
  • 山田風太郎時代小説コレクション 天の巻 元禄おさめの方
    時代小説というと戦国、江戸、幕末が主であるだろうが首を切り落としたは生えてくる中国譚や釈迦が登場するインドの小指斬りの盗賊の話などバラエティに富んでいる。
    短編ながらも関ヶ原以降の豊臣恩顧武将の死の連続の不自然さを解釈するのみならずミステリー要素も入っている作品など風太郎氏の奇想が味わえる。
  • 法水麟太郎全短篇
    『黒死館殺人事件』で有名な名探偵・法水麟太郎。法水麟太郎物の短編を発表順にすべて集めた短編集。


    衒学趣味ってどういう事なのかいまいちつかみ切れていなかったのですが、この本を読んで何となく理解できた気がします。
    他の方々も書いている通り内容は難解ですし、トリックや動機もそんな事ある? と驚くものば...続きを読む
  • 平成古書奇談
    横田順彌が無類の古書マニアというのは知らなかった。昭和のハチャメチャ・パロディSF作家というイメージしかなかったので。
    横田順彌が平成になってから文芸誌に掲載していた古書ミステリ系の連作短編を、横田順彌の没後、日下三蔵が纏めて書籍化したのが本書。
    作家志望のフリーライターの青年と、脱サラして街の古本...続きを読む
  • アリバイ奪取 笹沢左保ミステリ短篇選
    笹沢左保氏の初期短編の傑作集。古い話なので風俗が違いすぎ、若い世代の読者などほとんど時代劇やファンタジーの世界かも知れない。プロットやオチの付け方などに既視感を感じることが多いが、いやそれは違う。こっちがオリジナルなのだ。