日下三蔵のレビュー一覧

  • 大人になる時
    短編集。
    SF+ミステリ系なお話から、ちょっとクスッとくるお話まで色々。

    以下、ネタバレ含みます。

    スタート・ピストル ロボットものですが、ミステリ要素も少々。
    スカイダイブ 世にも奇妙な…みたいな話。
    大酋長 やりとりが面白い
    ハパンサペナ 言葉が厳格に定められた世界の話
    顔 これはちょい怖い...続きを読む
  • 夜のアポロン
    一つ一つ短い話だが、内容は重たく濃厚な余韻を残す。
    まさにこれが皆川博子の世界観。
    生々しくも残酷で、それでいて美しい旋律のよう。人によっては後味の悪さを感じるかもしれないが、これが人生というのも一つの真理なのかもしれない。
  • 怪奇小説集 蜘蛛
    『共犯者』の巻より怪奇小説というのが似合う話が多かった。
    15編中半分ほどはすでに読んだことがあったけど、それでもやはり面白かった。読みやすいし。
    ゾッとする終わりかたの話もあれば、自業自得じゃんみたいなユーモアのある終わりかたする話も多かった。

    『蜘蛛』、『あなたの妻も』、『初年兵』、『霧の中の...続きを読む
  • 怪奇小説集 共犯者
    怪奇小説集と銘打ってるものの、実際は人間の心の暗さや闇をえがくようなサスペンスというほうが近いかな。
    強かな女性が多く出てきた印象。

    一番好きだったのは『偽作』。
    こういう女性は私は大好き。驚きもあって良かった。

    『ジャニーヌ殺害事件』、『共犯者』、『娘はどこに』あたりも好き。
    ジャニーヌ〜はか...続きを読む
  • フェイス・ゼロ
    「トワイライト・ジャズ・バンド」と「逃げようとして」が面白かったかな。「冒険狂時代」は落ちがあってSF第一世代の作品みたいな感じ。

    収録作品一覧
    溺れた金魚/夢はやぶれて(あるリストラの記録より)/トワイライト・ジャズ・バンド/逃げようとして/エスケープフロムアクラスルーム/TEN SECONDS...続きを読む
  • 夜のリフレーン
    幻想短編小説集。うっとり浸りました。
    皆川博子さん短編の方が難しい、って仰ってるけど短編も素敵です。ふと隣りにある闇にじわじわと、ある時はストンと引きずり込まれていきます。美しい闇。
    人と人が交わる時、愛憎は避けて通れないのかも。自分の闇を、見詰め過ぎて囚われないように。。
  • 夜のリフレーン
    表題作「夜のリフレーン」が短いながらも、印象的。皆川博子の世界観の原液って感じ。
    どの短編も日常から幻想への境界が曖昧になるのが自然過ぎて幻想とは思えず、読後はより不思議な気持ちになる。
  • くらげ色の蜜月
    酔え、惑え。とはよく言ったもので、エロティックな描写で、人の心の暗い面を描いた上で行き着く結末に、どの短篇も心を惑わせてくる。短篇集だが続けて読むには精神的にきついものがあるが、読後には他の短篇も読みたいと思わせるくらいの傑作ばかり。装丁も内容もインパクトがあるが、短篇の中では『蟻の塔』『悪魔のよう...続きを読む
  • フェイス・ゼロ
    表題作の「フェイス・ゼロ」がすごく面白かった。
    本当に何の感情もない無表情って言われてみれば確かにない。
    そのほかの短編も面白かった、多ジャンルなお話を書くひとだなと思った。

    表紙がかっこよくて買ってみて良かった。
  • くらげ色の蜜月
    妖艶にして凄絶な異色ミステリ短編集。どれもが倒錯したエロティックさを感じさせ、ぞくりとさせられます。どちらかといえばグロテスクでもあるのだけれど。美しさも感じさせられます。ただし、一気に読むと酔いそう。
    お気に入りは「ウルフなんか怖くない」。たぶん、現代だとこれはアンモラルだなんだって言われそうな気...続きを読む
  • フェイス・ゼロ
    山田正紀氏の未刊行作品から、SF・ホラー系統の作品を集めた短編集。最近の作がほとんどだが、「冒険狂時代」だけテイストが昭和だなあと思ったら、執筆年度が飛び抜けて古い作品でした。
    全体の色合いとしてニューロティックな傾向が強く、ホラー傾向の作ではアイデンティティの不安が恐怖の源泉になっていたり、オチの...続きを読む
  • 大聖神
    中村春吉秘境探検記「幻綺行」に続くシリーズ初の長編。素晴らしいのは、装丁の見事さ。パラフィンフィルムの破れ具合やしわのより方、新刊なのに古書に見える装丁の凝り具合に感動。SF用語を排しているのに、内容はSFであり、主人公の中村春吉のバンカラぶりが面白くて一気に読めた。併録の「自転車世界無賃旅行者 中...続きを読む
  • 静かな終末
    収録作品数が多くバラエティにとんでいるのでお得感はあるが、落ち着かない読後感。
    その中で、表題作が素晴らしく光っている。次に収録されている「錆びた温室」とセットで読んで欲しい。
  • キスギショウジ氏の生活と意見
    読み終わってから表紙を眺めるとジワジワ面白い。SF作家とひねくれた読者(SF読みにとってひねくれているという言葉は賛辞だと思います)との掛け合いめいた後書きが好きです。
  • くらげ色の蜜月
    著者の小説は「大いなる幻影」と「猟人日記」しか読んだことがなかったが、代表作とは言えないこの短編集読んで改めてミステリ作家としての戸川昌子を見直した。
    面白い!昭和感漂う男女の関係をテーマとした官能ミステリとも呼ぶべき佳作揃い。
    もっと他の作品も読んでみたいのだが、ほとんどが現在古書でも入手が困難な...続きを読む
  • 火葬国風景
    決して文章が美しいわけでも構成が練られてるわけでもないのに、何故だか「すごい」と思ってしまった。
    作品ごとのムラは多いし筋書きは荒唐無稽なものがまぁまぁあるんだけど、そのばらつきがある種の「あやしさ」として魅力的に映る。

    『恐ろしき通夜』、最初は「毒でも盛ってんのかな?」って予想しながら読んでたけ...続きを読む
  • くらげ色の蜜月
    戸川昌子の短編集。60年代末から70年代初頭にかけて発表された作品が収められている。戸川昌子を読むのは初めてで、作家というよりたまにテレビで見かけたカミナリ様みたいなパーマをかけたおばさんというイメージが強い。収録作はどれも純粋なミステリとは言い難い内容。かといって奇想とか変格という感じでもない奇妙...続きを読む
  • 筒井康隆、自作を語る
    2014年から2017年くらいにかけて行われた筒井康隆が自作について語るトークショーや対談集をまとめた一冊。筒井康隆の素晴らしい記憶力と、インタビュアーである編集者の博覧強記ぶりによって、どのように名作の数々が生まれたのかを知ることができるし、当然その誕生の背景も様々な面白おかしいエピソードに彩られ...続きを読む
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿
    書かれたのが、六十年代という半世紀前の作品群とは。現代にも通じるテーマ。政治と宗教の関係からVR,国営放送等、最近も社会を騒がせたモノが多く、いかに筒井康隆が社会を鋭く見ていたか分かる。
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿
    おもしろかった。
    AIという言葉こそ使われないものの、発達しきった人工知能が人間の欺瞞をあばく話がいくつかあって(いじめないで、やぶれかぶれのオロ氏など)すなおに笑える。「時越半四郎」は、AIではないけど、やはり日本人の不可解な思考回路を笑いとばす話で最後にちょっとしんみり。しかし、これ、1966年...続きを読む