日下三蔵のレビュー一覧

  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)
    江戸川乱歩全短編盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。

    『心理試験』
    明智小五郎シリーズ

    大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大...続きを読む
  • 劇場の迷子
    鷹揚な「千駄ヶ谷の小父さん」が、意外な〝童心〟をのぞかせる「中村雅楽探偵全集」第4巻。77年から91年にかけて発表された28篇が収録されており、これで「中村雅楽」が登場する短編はすべて出尽くしたことになる。

    事件は、劇場やその近辺に生じるいわゆる「日常の謎」がすべて。血なまぐさい殺人などいっさい起...続きを読む
  • 明治かげろう俥 時代短篇選集3
    山風明治短編選集、最終巻は、明治ものを手がける以前の、たまたま(?)明治を扱った短編を集めたもの。

    しかしここで扱われている作品は、図らずも「時代の大きな事件の影で、その人生を破滅へと向かわせることになった人々の物語」が集められているように感じた。そのため、読んでて実にキツいものが多かった。

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  • 斬奸状は馬車に乗って 時代短篇選集2
    その人間の性質に対し、一番試練となるイベントをぶつける。
    そこらへんの手腕が猛威を振るっている短編が収録された本作。

    明治幕末を舞台に、愚直に己を貫くものも、誘惑に負けて欲望に生きるものも、もれなく不幸になるような話が主です。
    そして勝利するのは大悪党。
  • 目黒の狂女
    人間のよさ。戸板康二が描く「中村雅楽」という人物の魅力をひとことで言えば、そういうことになるのではないか。

    鋭い観察力と洞察力とで身の回りに起こる「面白い」事件(「日常の謎」と言ってもいいが)を鮮やかに解決しながらも、そこにはいつも人間のあたたかい血の流れが感じられるのだ。それは、主人公「中村雅楽...続きを読む
  • 團十郎切腹事件
    昭和30年代、ベテラン歌舞伎役者の雅楽が探偵役。
    推理はするが犯人と直接対決で追い詰めたりせず、犯人を当てるだけで、あとから犯人の自白を伝え聞く、というような話が多く、穏やかな雰囲気の事件譚で、江戸前の洒落た老優がかっこよかった。
  • 幕末妖人伝 時代短篇選集1
    幕末の妖人達(そのセレクションもまた素晴らしい)の、凄まじい生き様を描く連作集。

    短編としてはどこかで読んだことのあるものばかりでしたが、この形態(具体的には、ラスト1行の有無)で読むのははじめてで、読後のインパクトが倍になるよう感じました。

    後世に名を残すような偉人は、良くも悪くも関わる人間を...続きを読む
  • 團十郎切腹事件
    何より登場する人物のキャラクターがいいし、まさに古き良きを感じさせる短編集だった。
    大掛かりなトリックや、目立った驚きは無いものの、一気に謎が解明される様はやっぱり名探偵だ。
  • 幕末妖人伝 時代短篇選集1
    「東京南町奉行」 がお気に入り。

    生きざまを貫き通す頑固じいさん、カッコいいです。

    結びもまたいかしてるんだなぁ。

    山田節で描かれる、万札のあの人が妙味。
  • マインド・イーター[完全版]
    六割わからないけど好きです!
    いやマジでSF用語以前に、誰の台詞なのか、誰が何してるのかが分からない

    元来『夢の浅瀬』が好きな浅瀬の読者のため、宇宙船は女性人格に限るという浪漫くらいしか語れません
  • 團十郎切腹事件
    歌舞伎役者「中村雅楽」が、不可解な事件の《なぞ》を解く人気シリーズ。老優・雅楽のたたずまいがとにもかくにも魅力的で、つい手に取ってしまう。

    この第一巻に収められているのは、江戸川乱歩の後押しで世に出ることになった「車引殺人事件」をはじめ、初期に書かれた18の短編。なかには、第42回直木賞を受賞した...続きを読む
  • グリーン車の子供
    老優「中村雅楽」が、非凡な観察力と推理によって身の回りに起こる「日常の謎」の数々を見事解決してゆく短編集。ひとつひとつの事件よりも、読者は、歌舞伎界の重鎮にして名伯楽である主人公のたたずまいに魅了される。トリック以上に、「芸」の世界に生きるひとびとの「業」を描いた物語の巧みさに感心した。
  • グリーン車の子供
    老歌舞伎俳優・中村雅楽の探偵譚全集の第二巻。殺人などの派手目な事件が減り、日常の謎系の事件中心に。個人的にはコッチの作風の方が好み。お気に入りは表題作「グリーン車の子供」かな。
  • 團十郎切腹事件
    老歌舞伎俳優・中村雅楽の探偵譚全集の第一巻。オーソドックスなつくりのミステリながら、扱う事件が多種多様でバラエティに富んだ内容。謎解きそのものもよりも、人情味あふれる雅楽のキャラクターや、かいま見える梨園の舞台裏が読みどころかな。江戸川乱歩のコメンタリーや小泉喜美子の解説が併録されているのも嬉しいね...続きを読む
  • マインド・イーター[完全版]
    最終的にM・Eと人はどうなるのだろう。どちらが正しいのだろうということは読者に任せられた気がする。
    面白い作品です。
  • マインド・イーター[完全版]
    30年前の作品であるにもかかわらず、全く内容及び文章が古びていないことに驚きを隠せない。悪意を持つ謎の小天体M・E(マインドイータ)。それを様々な視点から描いているのだが、実験作という意味合いもあるためか、多彩な趣向が凝らしてあり、読んでいて目が離せない。
  • マインド・イーター[完全版]
    一編の長い詩を読んだような気持ち。宇宙と、その中の地球、そして人の物語。美しくてゾクゾクした。何かこう、根源的なものを揺さぶられる感覚が怖くてゾクゾクもした…。連作短編で、「夢の浅瀬」「憎悪の谷」が特にお気に入りだが他も好き
  • マインド・イーター[完全版]
    内容(「BOOK」データベースより)
    宇宙へ出た人類に襲いかかったもの、それがM・E。ひとつ前の宇宙の残滓であり、人間に悪意をもつ、小天体の姿をした存在。精神を食いちぎり人を異質なものに変える。これを破壊せんと連合はハンターを育成し宇宙へ送るが、戦いは絶望的だ。しかもハンターがM・Eの顎に倒れると、...続きを読む
  • マインド・イーター[完全版]
    宇宙に進出した人類が遭遇した謎の敵・マインドイーターとの戦いを描いた連作短篇集。外宇宙の、人類とはまったく異質な存在を描こうとする挑戦や、同時にそれを自己の内宇宙の探求へとリンクさせていく思弁的な作品世界が素晴らしい。個々の作品間の実験的な関係性も印象的。それにしても飛浩隆さんの「解説」と日下三蔵さ...続きを読む
  • 海野十三集 三人の双生児 ―怪奇探偵小説傑作選5
    うはぁ、グロかった(笑)。
    海野十三は理科系技術者で、日本SFの元祖と呼ばれた人ですが、
    なんつーか、コレ(^_^;)。
    一言で言ってエログロ・ナンセンス、ですね、月並みですけど。
    江戸川乱歩が好きだったらOKかと思いますが、
    more grotesque ですわなぁ。
    どっちかと言ったら私としては...続きを読む