萱野稔人のレビュー一覧

  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    競争の作法やデフレの正体と同時期に読んだので、この20年くらいの経済の停滞について色々な見方があるなあと思うばかりである(対話者の一人が政治哲学者なので期待してなかったのだが)。エネルギー業界にいるものとしては、資源価格の高騰が交易条件を悪化させたことがデフレの原因とする説は、非常に共感できた。した...続きを読む
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    団塊ジュニア、就職氷河期世代が、若年者ではなく、すでに中年世代に突入。ますます捨て置かれる非正社員の彼らの実態とは。
  • 死刑 その哲学的考察
    まだ加筆・編集すると思うけど、とりあえずメモ。
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    ​非常に明快でわかりやすい。

    道徳について、定言命法からのアプローチはとてもおもしろかった。
    確かに根拠がないからこそ絶対といえるのかもしれない。
    そして著者は、「道徳は論証されなくても力を持つ」との結論に落ち着き(その道徳ってそれ自体が...続きを読む
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    後半の団塊ジュニア世代12人の歴史が興味深い。一人目の女性の一度終身雇用から抜けると…のくだりは日本が一度正規ルートのようなものを外すと戻れないことを如実に示している。
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    ロスジェネ世代、新卒時に思うような就職が出来なかった不本意非正規、正規に這い上がるのは困難。もう若者じゃないので支援対象でもなく、子どもも持てずに終わり、加齢とともに稼げなくなっている。自己責任じゃなく社会の問題。

    変わっている世の中に対して、遅れている意識と制度。先のしくみで利益を得た人たちがい...続きを読む
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    普通に会社に入って。。ということが普通でない人々もいる、という現実を見た気がしました。
    私たち中年にとっては、働くっていうことは実はかなり重要とも認識しました。
    解決への道は見えず。
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    もともと政治には興味がない。
    右翼、左翼の意味も分からない。
    韓国に対して、なぜ一部の人が噛みつくのか意味不明

    とはいえ、さすがにいつまでも無視するわけには
    いかないだろうと、少しでも勉強しようと、なぜか
    この本を手に取った。

    結論から言うと「予備知識無しでは意味不明」だった
    最大の問題は、この...続きを読む
  • 没落する文明
    知的な対談。テーマが面白いが、東日本大震災の直ぐ後だからか、震災や自然、リスクとテクノロジーなどの人間の限界を取り上げた内容になっている。これは、個人の問題だが、目新しい事がなくあまり頭に残らなかった。
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    フランス現代思想を参照しながら、日本におけるポストモダン思想の「反ナショナリズム」の議論の底の浅さを指摘しています。

    著者はまず、反ナショナリズムを標榜しているはずの左派知識人が格差問題について積極的に発言をしていることに疑問を投げかけます。著者によれば、格差問題はどこまでもナショナルな問題であり...続きを読む
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    近年悪化してきている、現役世代の貧困率。救われるべきは「下流中年」ではないか? 他人ごとではない中年のリアルな危機を明らかにする。雨宮処凛と萱野稔人の対談、ルポ・下流中年12人のリアルも収録。

    見につまされる・・・。
    それよりも甥っ子たちだ。
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    高齢者の貧困率は統計的に改善を見る一方で、深刻化しているのが40代中年層と子ども。
    高齢者の改善は、終身雇用で年金を満額でもらえる層の増加。でも、バブル崩壊後リストラの煽りを受けた方々も多いでしょうし、一概にそう言えるのかはよく分からない。
    下流中年の背景には、就職氷河期に遭遇し、雇用の調整弁として...続きを読む
  • 下流中年 一億総貧困化の行方
    下流老人よりも、下流中年の問題の方が深刻。

    1度、非正規に落ちたら、戻ることのできない悲劇。上司からの罵倒や、職安からのダメだしなどの悲観的な話。コミュニケーション能力の大切さ。

    差別や格差はいけないと言うけど、この先も解決されない問題と認識すべきではないのか。
    非正規は正社員にならないといけな...続きを読む
  • 闘うための哲学書
    哲学の有名どころに対して、理想主義と現実主義の二人の著者が議論していく本。この人の打ち立てた哲学はこうである、という説明に留まらず、こういう見方や課題がある、という事まで見せてくれるので、なかなか面白いアプローチに飽きる事なく読める。
    ただし、逆に実際の各哲学の論点が消化不良になり気味なので、後でゆ...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    金融緩和に懐疑的なインタビュアーが、意見を同じくする3人の専門家との対談を通じて、アベノミクスの金融緩和を批判的に記したビジネス書。結局『罠』とは、政府債務の増大とその後訪れるであろう国債価格の暴落、通貨信用の毀損(円の暴落)と、従来の反リフレ派の主張と変わらないところ。
    3人の専門家の意見に納得す...続きを読む
  • 没落する文明
    対談というよりも、放談。予想していることの方向性は間違っていないと思うが、実現するかどうかは全く未知数。知的格闘は必要ない。さくっと読め、手軽。

    ・2007年の調査「自力で生きていけない人たちを、国や政府は助けるべきだ」への同意が34カ国中、日本は最下位。
    ・あらゆるリスクが事実上、国家へと集まっ...続きを読む
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    著者の前著「国家とはなにか」を読んでいる人にとっては内容が薄い。最新動向としてフランス大統領選時の極右の台頭が、グローバリゼーションによる格差社会を前に生まれたという事象を、彼の国家論に取り込んでいる。この本が言いたいことを一言で言うと「グローバリゼーションは格差を生み、低所得層はネーションとしての...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    マクロ経済学の骨格を外すような話をするので、学者を始め、各方面から揚げ足取り的な批判をされている各論者たち。しかし、三者に共通する、過度な金融緩和は、現在の日本において、根本的な解決策になることはないという点はとてもしっくりくる。生産世代の減少、将来への不安、社会の成熟化による物的需要の減少、に対応...続きを読む
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~
    対談という形式上、問題提起とその共有が本書の中心だろう。

    その問題提起において、萱野氏は抽象的・一般的な傾向を、雨宮氏は具体的な体験についてお話になる傾向があった。

    特に雨宮氏が提起し、萱野氏が補足する個々の事件(もしくは“それ未満”の体験談)の生々しさは壮絶である。

    ただし、対談の記録である...続きを読む
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~
    萱野稔人と雨宮処凛の対談本。
    何回かの対談をまとめているので,重複するやり取りが多く見られる。
    編集して,重複する部分を省いてもよかったと思う。

    右傾化とか左傾化とか,リストカットとかODとか,いじめとか,
    空気を読むとか,まぁ,色んな事象があるけど,
    コアなところにあるのは, 自己承認欲求なので...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    一人のインタビューアが、リフレ反対派の3人に一人づつインタビューをしていくという形式。この点の本は主張がバラバラとアチコにに書かれていてポイントがわかりづらいという特徴がある。

    一人目の藻谷浩介氏はリフレ派に否定された大ヒット作『デフレの正体』で言わんとすることを再度主張。数年前に読んだ時には、日...続きを読む