萱野稔人のレビュー一覧
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資本主義経済について、経済学者と国際関係学者との対談をまとめたもの。現在の資本主義体制は、マクロ的に転換点にあり、金融緩和(ゼロ金利政策)を継続してもデフレ脱却はできないことを中心に、説得力ある発言が多かった。わかりやすい。
「新興国の台頭によって、エネルギーをタダ同然で手に入れることを前提になり...続きを読むPosted by ブクログ -
現在の日本の経済状況(主にデフレ)を考えるときに、今までのパターンのひとつと考える流れと、まったくあたらしいパターンと考える流れがあるが、この本は後者。資本主義の形がかなり変わってきていているので、この100年単位の考え方では通用しないというもの。Posted by ブクログ
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基本的にはとても良かった。私は死刑反対派だが、賛成にしろ反対にしろ一分の理以上のものがあるので、どちらの意見に与するにしても難しい。日本では賛成派が圧倒的なので、反対派としてはどう反対するのか、はかなり理論武装しないといけない。本書は著者が反対派寄りとはいえ、結論ありきではないので、賛成派にも自分の...続きを読むPosted by ブクログ
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政治や国家といったプラグマティックな問題についての論考で知られる哲学・社会理論研究者の著者による死刑論。
本書の前半は、カントの思想をベースにしながら、道徳的な観点から死刑の是非を考えるところからスタートする。そうした議論の中で、道徳とは普遍的なものではなく、状況により変化するものであること、道徳...続きを読むPosted by ブクログ -
死刑という制度を道徳的視点と政治哲学的視点から論じた書籍。
平易な文章かつかなり細かい部分に関しても抜けが無いように落とし込めており、決して少ないページ数ではなかったが、一気に読み通すことが出来た。
唯一の欠点としては一度脱線するとかなり長いページ数が割かれてしまうこと。一瞬本題を忘れてしまうぐ...続きを読むPosted by ブクログ -
本書は、「死刑」を哲学の観点から考察する書です。まず、文化や特定の価値観から、死刑に賛成することも、反対することもできないという点を論証し、次に死刑の是非を判断する上で最も重要な点として、冤罪の存在を挙げ、結論的には死刑は廃止(し、終身刑を導入)することが適当という結論を導いています。これまで死刑に...続きを読むPosted by ブクログ
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各地で叫ばれるナショナリズムについて分析した上で、その対策にまで踏み込んだ1冊。
ナショナリズムの原義からすれば、リベラル派もナショナリズムであるという主張に納得させられた。また保守派とリベラル派でナショナリズム含め、議論になぜズレが生じるのかということにも触れられているのがよかった。
ナショナリズ...続きを読むPosted by ブクログ -
ナショナリズムと国家。この二つに共通していることは、言語と暴力である。これは統治していく上で切り離せないという考えは確かに頷ける。また、グローバルになればなるほど、海外の安い労働力を利用することになり、経済格差がおこるという矛盾。それが巻き起こすナショナリズム。現在の不安定な世界を観ると、国内経済崩...続きを読むPosted by ブクログ
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「ナショナリズム批判」を批判する立場をとる萱野氏のナショナリズム論。
アーネスト・ゲルナーのナショナリズム論を軸としながら、アンダーソン「創造の共同体」やネグリ、ハートの「マルチチュード」などを批判しつつ、それらが国民国家、ナショナリズムの亜流や変形でしかないことを指摘している。またグローバリゼーシ...続きを読むPosted by ブクログ -
アーネスト・ゲルナーが定義するナショナリズムを基本に,その歴史的な意義と機能を明らかにする書籍。
ウヨクやホシュハを擁護するものではない。
そのことは、以下によく表れている。
「私がナショナリズムを肯定するのは,基本的に『国家は国民のために存在すべきであり,国民の生活を保障すべきである』と考える...続きを読むPosted by ブクログ -
日本の書き手としては珍しく、歴史的視野で経済を見る水野と、政治哲学の立場から発言する萱野による時宜を得た対談。
現在もっとも求められているのは本書のように「絶望を煽ることなく、希望のない状況を語る」ことだと思う。国全体を動かすような成長や活力が幻であることは、誰もが薄々感じていることだから、冷静に語...続きを読むPosted by ブクログ