萱野稔人のレビュー一覧

  • 成長なき時代のナショナリズム
    若手の論客として注目を集める著者の本を初めて読んだが、新書なので短かくて読みやすく、コンパクトで切れ味鋭い論理に説得力があった。特に、これからの世界を成長なき時代と位置付けて、その中で私たちは格差是正などのリアリティある対策を考えなければならないという指摘は、重要である。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    資本主義とは自由な市場原理における経済活動ではない。なぜならその市場のフレームやそこでのルールの策定は市場原理とは別の力(国家による政治力)によって決められているからだ。バブルが崩壊したとき公的資金という市場とは別に調達された資金が、資本主義のシステムを支えているのはそのいい例だ。本書は資本主義を歴...続きを読む
  • 闘うための哲学書
    別に闘わなくてもいいのですが・・・
    理想論から過去の文献にアプローチし、解釈を求める小川さんと現実からアプローチする萱野さん。
    ロジックだけ見れば、どうしても現実主義に分があるような感じですが、人間の可能性への夢を語るような理想主義も捨てたもんではない。
    哲学とはかくあるべきといった面白い対談を読ま...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    河野龍太郎さんのインタビューを新聞で読んで、この方の本を読んでみたいと思い、この本に辿り着く。

    この本は、萱野稔人(津田塾大教授)が、安倍政権で推し進める金融緩和に反対意見を主張する3名、藻谷浩介氏(日本総研主席研究員)・河野龍太郎(BNPパリバ経済調査本部長)・小野喜康(阪大教授)とそれぞれ対談...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    大澤真幸との対談でじわじわと感じてはいたけど、今回は萱野念人という結構若手の哲学者との対談で、ドゥルーズ=ガタリへの言及があった。その線ではあまり掘り下げがなかったけど、水野氏の他の著作と同じく、現在の経済的行き詰まりを一過性の問題としてみるのではなく、歴史的な転換期にあるものとしてとらえている。
    ...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    経済成長国が減っため今は資本主義の成長が終わる転換期じゃないか、という主張を軸に、武力・政府と経済との関わりが論ぜられたりします。アベノミクスには批判的な立場。理論的で説得力があり、勉強になりました。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    市場は国家の存在なくしてはその枠組みを持ちえないという前提のもと、経済覇権国の利子率の推移を下に現在は歴史的な大転換の位置にあるという議論。
    これまでの歴史的な流れにおいては、実体経済で隆盛を極めたのち経済体系が金融化する、ことを指摘しリーマンショックはその終わりを意味するものとしている。
    しかしい...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    ・多くの経済学者やエコノミスト達は取り扱うべき経済現象をモデル化可能な範囲に限定し、その枠組みのなかで理論の完成度やモデルの精緻化を競っている。しかし、今やその枠組みそのものが崩壊しつつあるのではないか。水野さんのまなざしはその枠組みの外に注がれているのである。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    資本主義が始まって以降の歴史的な分析がわかりやすく明快だった。
    今までこの本に気づかなかったことを悔しく思うほど。

    スペインやポルトガルが新大陸を発見するだけでは世界の海の支配を確立するには十分ではなかった。16世紀以降、オランダが造船技術を革新して世界の海を支配する基礎をつくり(空間革命)、それ...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    あとがきにあるように,(結果的に)あまりにもタイムリーな本。デフレの主たる理由が生産年齢人口の減少であることを二人のインタビューイーが指摘している。おそらくこれが「デフレ」の真実なのだろう。小野氏は,「お金そのもの」が持つある種の魔力を考慮せずには,経済政策は成り立たないと指摘する。その指摘は自分の...続きを読む
  • 没落する文明
    難しいかなと思ったけど読みやすい。震災以降の日本の行く末を歴史や哲学を用いて考察している。おもしろい。
  • IT時代の震災と核被害
    次世代を担う人たちの答え。
    震災当時、震災以前の反省と現状認識、そして将来への課題など素晴らし良い内容がつまってる。
  • 没落する文明
    自然環境やエネルギーの観点から社会や文明の成立を考えることが主要テーマとなっています。内容を少し挙げると、、、

    ・日本人は地震や火山噴火といった大災害が所与の条件である場所で暮らしており、天災が時の権力や社会体制を破壊或いは卑小化してきたという側面がある(日本の中央政府は古来意外に弱い)。
    ・天災...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    私の現在の世界経済に対する解釈と合致する本でした。内容はそこまで濃くないですが、簡潔に要点を押さえてまとまっており、①コストパフォーマンスの高さ、②非常に分かっている(偉そうですんません)世界経済の解釈が行われている、点に於いて☆5にさせて頂きました。

    まず、近代の先進諸国が現在の新興国などで安く...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    非常に面白かった。その名の通りのこれまでの資本主義の歴史を踏まえた超マクロ展望の視点は新鮮だった。これから両氏の他の著作も読んでみようと思う。
  • 没落する文明
    ○日本では決定が特定の人間やグルー ブによって明示的になされないので、責任ということもなかなか問題になりません。
    ○日本には予期せぬ災害によって社会体制を切り替えるような文化的なDNA
    がある。自然災害が権力の代わりになってしまっている。日本には自然主義的アナーキズムみたいなDNAがある。...続きを読む
  • IT時代の震災と核被害
    ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでし...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    すごく為になった一冊。経済の行く末を『国家』という枠組みも取り入れて、現在の世界情勢、日本の立場を書いています。今までは市場が拡大することを前提に、経済が回ってきた。しかし世界的飽和状態で低成長のだから資本主義は崩壊していくと言うもの。歴史から見た世界主権の移り変わりも勉強になった。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    歴史に学び、現状と今後に対して深く考察する名著

    1973 オイルショック
     先進国の交易条件の悪化→変動費の増加→人件費の減少→景気回復と所得回復の分離
    (1971ニクソンショック)1974
     実物経済から金融経済へ
     95~08の13年間で100兆ドル(米4割、欧3割)

    ・石油価格の決定権WT...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    今までの先進国経済は、資源国から安い資源を輸入して得られる高い収益によって、高成長を続けてきた。(植民地時代の収奪の仕組みと基本的には同じ)
    これが、オイルショックを契機として成り立たなくなり、もはや実物経済ではやっていけなくなり、金融によって利益を上げる仕組みに変化していく。
    金融経済化はヘゲ...続きを読む