萱野稔人のレビュー一覧

  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~
    ○津田塾大学准教授の萱野氏と作家の雨宮氏の著作。
    ○非正規雇用者の労働状況や思想(右翼左翼)関係をテーマに、現代社会の労働のあり方についての対談をまとめたもの。
    ○雨宮氏の非正規雇用(フリーター)やメンヘラーについての考察や指摘は、自身の経験に裏打ちされたものでもあり、大変分かりやすく、また、実態を...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    ■生産年齢人口の総人口に占める割合のピークは、日本は1990年頃、アメリカ、アイルランド、スペインは2005年頃、中国は2015年頃。
    ■中央銀行ファイナンスによる追加財政、すなわちマネタイゼーション戦略は、当初は高めの実質成長率、低いインフレ率、やや高めの名目成長率、低い長期金利、リスク資産価格の...続きを読む
  • 没落する文明
    エネルギーのポテンシャルを使い果たすと文明は失速する。あたらしいテクノロジーが出てこなければブレークスルーもない。そうするとしばらくは停滞する、というか没落する。そして日本は古くから災害で攪乱されて変化を起こしてきた。となればいまは、まさにそんなときではないか。傘を発明したから天気を気にする必要が出...続きを読む
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    ナショナリズム成立の過程、国家とは、ネーションとは、国民国家とは、共同体とは、、、
    それぞれについて丁寧にまとめてくれていて、様々な方面から国内外問わず論者を引き合いに出して論を展開しているので、まさに入門という感じで今の僕にはうってつけだった。この辺りのテーマをこれから学びたい!という人にとっては...続きを読む
  • 金融緩和の罠
    昨今言われている金融緩和で日本経済は打破できるのか?
    これについて、3人のエコノミスト・経済学者へのインタビュー形式で書かれています。

    セオリーベースではなく、ファクトベースで判断するのは、何も経済学だけに限ったことではありません。その重要性にもきづくことのできる1冊です。
  • 没落する文明
    資本主義は成長をし続ける宿命にある。
    資本主義を加速させようとする人はそのことをよく理解している。
    そしてそれに異を唱える人をナイーヴのように評価する。

    しかし実のどころナイーヴなのは無批判に資本主義に乗っかったままの人だったりする。

    資本主義は構造的に早晩限界を迎えることを理解していないのだ。...続きを読む
  • 没落する文明
    3.11に起きた地震と大津波は、私たちの生活が自然環境という、人間の力ではどうにもならない条件のもとでかろうじて成り立っていることを再認識させた。
    国家と資本主義の構造を原理的に問い直してきた哲学者 萱野稔人と、リスクと社会の相互作用を論じてきた科学史者 神里達博が、天災、テクノロジーなどについて、...続きを読む
  • 没落する文明
    対談本なのですっと読み切れてしまうがなかなか面白い指摘が多い
    長いスパンで日本史(といっても有史より前も含むが)を見ると大災害が歴史的変換点の起点になっている、ということか。
    日本では革命の代わりに大災害が起こっている感じが近いのか。
    大災害にさらされてきた日本人はその無力感により基本的に反権力であ...続きを読む
  • 没落する文明
    地震や火山活動、台風などによって日本の統治システムが瓦解していくことは、実は珍しいことではない。江戸幕府が倒れたのも、黒船よりも安政の大地震によって既存の統治機構の信頼性が揺らいだからと言われている。

    果たして、東日本大震災後の日本社会はどうだろうか。誰も今の政府の言うことなんか信じちゃいない。そ...続きを読む
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    第一章 ナショナリズム批判の限界
    ──格差問題をめぐって
    第二章 ナショナリズムとはどのような問題なのか?
    第三章 国家をなくすことはできるか?
    ──国家を否定する運動がナショナリズムに近づくという逆説
    第四章 私たちはナショナリズムに何を負っているのか?
    ──国家と資本主義の関係をめぐって
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    1970年代前半から先進国では交易条件が悪化し資本利潤率が低下してきている。高度経済成長が止まり、資本投下によるリターンも得られなくなる。実物経済から金融経済へと舵を切るも2008年の金融危機は金融経済化の方向も息詰まらせることに。定員15%の近代資本主義が新興国の隆盛によりバランスが崩れ、今、世界...続きを読む
  • 没落する文明
    景気循環だとか、資本主義の限界だとか言われている今日この頃ですが、
    そんなスケールの話ではなく、
    今の化石燃料をベースとした文明の終わりを
    我々は、今まさに経験しているのだということを、
    萱野氏と神里氏が対談で確認している。

    萱野氏の超マクロな視点と
    神里氏の科学史的視点が、
    今まさに転換点である...続きを読む
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    他の日本の論者とは一線を画する国家論。

    <印象的な箇所のまとめ>
    ・ネーション(国民)とナショナリズムと国民国家は異なる。
    ・ネーションとは人間集団の単位。同じ国民なら、あなたと私は同一だと想像して生まれる想像の共同体。
    ・ナショナリズムとは、同一民族が一つの国家を作るべきと考える主義主張、政治的...続きを読む
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    経済学者である水野和夫氏と哲学者である萱野稔人氏との対談本。

    この本で、アメリカのイラク戦争の目的が理解できたような気がする。水野氏の指摘が正しいか否かはわからないが、イラク戦争の目的を論じた様々な言説の中で、最も腑に落ちる内容だった。

    しかし、萱野氏は実に首尾範囲が広いものだと感心する。
  • 没落する文明
    ⒊11をモチーフに成長社会から縮小社会へ。徳川幕府の始まりも同じであるが、いろんな意味でのエネルギー転換を拡張から別の方向へ持って行くことで新たな文明を作り得る、拡大することが必ずしもよいことではないと説いてます。
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~
    見えにくく隠されている問題点を具体的に引き出し、わかりやすい。
    人間の社会的支えである経済性あるいは精神性の貧困状態を現象面で具体的にとらえ、てその構造の矛盾を指摘している。
    貧困の詳細を社会(政治・行政・司法・企業・)と個人のギャップから見つめて実名で開示していることが、わかりやすい内容にして...続きを読む
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか
    日本の人文思想界に蔓延するナショナリズムを悪と捉える批評者たちのふるまいを、ナショナリズムに依存しつつ反発するのは思春期の反抗とほとんど変わらないと評して、バッサバッサと著名論者たちを斬っていく。面白い。
  • IT時代の震災と核被害
    あの日、IT企業で何が起こっていたか、から、あの日から、僕らはどこへ向かっていくのか、まで。
    引き受けて考える、ことが、紹介されてる色んな人たちに通奏低音になっていて、宮台さんの文章でしっかりと言語化されて、締まった感じ。いわゆる理系と、いわゆる文系をつなぐ一冊。編集、お疲れさまでした。
  • 超マクロ展望 世界経済の真実
    面白かった。現在、世界経済が内包する諸問題は単なる不況ではなく、資本主義が迎える構造的な大転換であり、パラダイムシフトである、という著者の考察をわかりやすく解説している好著。資源価格に全てを転嫁しているなどややモデルが単純すぎるきらいがあるが(専門家じゃないので詳しいことはわかりませんが)、先進国と...続きを読む
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~
    「生きづらさ」の原因は自分を肯定できない環境にあるため。自己肯定は何らかの集団(会社、学校等)への所属→他者からの承認のプロセスが必要。そういった集団から抜け落ちてしまったニート、引きこもり、フリーターはナショナリズムに傾倒。しかし、現代はナショナリズムに傾倒するのも困難な層(ネットカフェ難民、ホー...続きを読む