小松左京のレビュー一覧

  • 虚無回廊
     SFの魅力は数あれど、私にとって「理屈の通ったホラ話」が第一だ。小学生の頃、アシモフ『われはロボット』所収「堂々めぐり」を児童向けにリライトした話に熱狂したものである。
     『虚無回廊』、まずSS(スーパーストラクチャー)の大風呂敷の広げっぷりに圧倒される。地球から5.8光年。この微妙な距離感はどう...続きを読む
  • 霧が晴れた時 自選恐怖小説集
    すごく、すごく、面白かった。
    じっくり堪能しました。

    まさに自分にハマる作品でした。
    オチも秀逸でグッとくる話が多かったと思います。
    SF込みのブラックジョークがたまらない傑作短編集
  • 日本沈没 第二部(下)
    第二部はあまり評判が良くないようであったが、私は非常に楽しめた。
    ただ、第一部では小野寺と阿部玲子との関係性や、「異変」を前に各個人がどのような思惑で動くかといった個人レベルでの感情の動きがよく見えて面白かったが、第二部では政治的な駆け引きや「異変」後の世界情勢等の描写が多く、それでいてページ量は第...続きを読む
  • やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記(新潮文庫)
    前半は、戦中期を中心とした学生時代の話。正直あまり愉快な話ではないが、旧制中学時代のエピソードなどからは、著者の怪物ぶりが伝わってくる。漫画家としてのエピソードが一切出てこないことは、ご子息の解説にもあるが、ブルドーザーとも称される著者の意外な屈託が感じられ、興味深い。後半の万博の話は、大阪万博の影...続きを読む
  • 日本沈没(下)
    下巻になり、沈没が確定的になった後の、各登場人物の思惑や動き出した関係が非常に面白かった。
    田所博士のセンセーショナルな、しかし、計算された行動や、玲子と再開しか小野寺の行動等、ハラハラする展開がたくさんあり、一気に読み進んだ。
    日本が沈んでからの日本人が、それぞれの土地でどのように生活を営むのかの...続きを読む
  • 青い宇宙の冒険

    夜更かしの布団の中

    私がこの物語を初めて読んだのは、小学五年生頃。部屋の明かりを消した夜の布団の中で、小さな懐中電灯の光を頼りに読みました。親には夜更かしの読書が内緒だったからです。
    それ故か想像の翼が高く羽ばたきました。目、耳などの五感が主人公と共に小松左京さんの言葉(日本語)の世界へ誘われたのです。
    とてもハラ...続きを読む
  • やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記(新潮文庫)
    巨人、スーパーマン小松左京の肉声の雰囲気があふれでる。北杜夫『どくとるマンボウ青春期』に通じる終戦直後の高校生のドタバタ青臭さと、高度成長期に京都学派の重鎮たちと未来を刻印しようとするコーディネーターあるいはプロデューサーもしくはエバンゲリストとしての顔。SF小説家という括りにいれるには大きすぎる小...続きを読む
  • 日本沈没 第二部(下)
    33年を経て完結した日本沈没。沈没後の世界を描写。小松左京のアイデアをもとに谷甲州が執筆したとのこと。面白かった。
  • 日本沈没 第二部(上)
    33年を経て完結した日本沈没。沈没後の世界を描写。小松左京のアイデアをもとに谷甲州が執筆したとのこと。面白かった。
  • 日本沈没(下)
    超有名作品をとうとう手に取った。いわずと知れた日本列島大災害スペシャル。
    昔から読まねばならないとおもいつつ、ここまで引っ張った理由はなんだったか?じゃ、どうして読んだのか?

    引っ張った理由は、昔のSFで、今から読むと昔の物語みたいに思っちゃうのではないかと思い込んでいたこと。だって私が子供のころ...続きを読む
  • AWAY-アウェイ- 2
     萩尾SFには全て「生殖」がからんでいる、という説を立てている。『11人いる!』しかり『銀の三角』しかり。
     『AWAY』も、その傾向が色濃く感じられる。ただ、原案『お召し』は未読につき、軽々に断定できない。
  • 日本沈没(上)
    そのタイトルの通り、日本の国土が地殻変動により沈没してしまうという斬新なストーリーのSF小説。
    1973年にノベルズとして初版が発行されたミリオンセラーの文庫。

    1970年代と2000年代に映画化されていますが、登場人物の細かい感情表現や著者の想いは、やはり書籍の方が丁寧に描かれており、映画を見た...続きを読む
  • 日本沈没(下)
    上巻では日本沈没前の徴候発見までのストーリー、下巻ではいよいよ日本の国土が沈没していく様を描いています。
    文庫用に書かれた「あとがき」は下巻に掲載されており、この物語が書かれた背景や当時の「日本沈没説」の所以が説明されています。
  • 日本沈没(下)
    読み終わるのが非常に大変だったが、読み終われてよかったと思う本。
    まず考察がかなりされており、リアリティが他のものより一線を画している。起こりそうなことばかり書いてあるし、四十年まえの本とは思えないような未来予測がなされている。
    それに加えて、日本人の日本列島への特異な愛情が描かれていて、普段考えな...続きを読む
  • 日本沈没(下)
    ついに日本列島が海に沈む。それまでの脱出劇から政治家の対応など、どれも真に迫る。2015年から2016年にかけて、火山の噴火が相次ぎ、熊本で大きな地震も発生した。この作品は、もしこのような未曾有の災害が発生したときの状況をシミュレーションしてくれている。政府の災害担当者は、「日本沈没」を読んでおくべ...続きを読む
  • 日本沈没(上)
    2011年3月11日の東日本大震災からまだ復興していないなか、2016年4月14日の熊本地震が発生した。地球物理学的な時間の観点ではほぼ同時に発生した地震ともいえよう。そろそろ東京や南海トラフがやばいことになるんじゃないかと多くの人が思っている。そんな状況を予言したかのような物語。有名な作品なのであ...続きを読む
  • 日本沈没(上)
    全体のレビューは下巻でまとめて。上巻は空前絶後の「地学SF」で、ハードSFの面目躍如です。でも、この作品の真骨頂はそれだけじゃないんですよねぇ。
  • 日本沈没(下)
    リアリティをもたせるための説明が多い上巻に比べて、人間の描写が色濃い下巻。1973年刊行なのに、なんと瑞々しい物語か。

    久し振りにいいお話を読んだ。
    これは、改めて買おう。
    我が家の本棚へお招きしたい。
  • 霧が晴れた時 自選恐怖小説集
    SF小説の大御所、小松左京氏のホラー短編集。名作『くだんのはは』をはじめホラー好きにはたまらない傑作揃い。
  • 日本沈没(上)
     リメイクの映画は興味を引かれなかったけれど、「第2部」が出たとき、「第1部」からまた読まねば、ということで、30年ぶりで読んだ。
     30年前、最初に読んだ当時、『果てしなき流れの果てに』だとか『復活の日』だとかと比べて面白くないと思った覚えがある。設定が宇宙や未来でなくて、もの足りない気がしたので...続きを読む