帚木蓬生のレビュー一覧

  • アフリカの瞳
    「アフリカの蹄」の続編。
    作者が本当の医師だけあって、医術に関連する表現が丁寧に書かれていることで、作品に重厚さを出している。
    前作がNHKでドラマ化されたので、ぜひともこちらもドラマ化してもらいたい。

    ラスト、バスの中で読んでいて号泣。
  • 国銅(上)
    今ここで生きてることにありがとう!!と言う気分が無性にこみ上げるハナシでした(シラフで)。ラストの漢詩がもうね…
  • アフリカの蹄
    これはNHKのドラマがやってるので読んでみたけど 
    人種差別もここまでくると地獄だよ 
    そこまで肌の色にこだわる精神はわかんないけど絶対、人種差別っていうものはどこの国にもあることだしのめり込めた 
    いや、この作品フィクションだけど 
    すっごい考えさせられた
  • 国銅(下)
    棹銅を作り、都へ行き大仏を作った国人を初めとする奈良時代の人足の物語。もうほとんど語り手・国人と同じ視線で、朝から晩まで働き、山草木を愛で、字を覚え宇宙の広がりを感じてることが出来た。聖武天皇ではなく人足何十万人の労働で大仏は出来た。この小説を読まなければそう思うこともできなかったでしょう。
  • 国銅(上)
    天平時代を生きた人達の物語。当時の社会状況が、ことこまかに描かれている。現代ではもう見られなくなった、さまざまな職種の人達も登場。渡来人、百済人もよく描かれている。船や橋、建物などの記述も鮮やかでとてもよい。当時の食文化も読み応えがあった。鮨などにいたっては、当時から1200年以上の時を経て、やっと...続きを読む
  • 空の色紙
     帚木蓬生の初期中短編3作。全てが医学もので、医学界の暗部を抉る強烈なものがある。
     表題作「空の色紙」は、嫉妬をめぐる夫婦群像とでもいうのだろうか。狂気とは誰の内にでも存在すること、狂気を治療する医者の内部にさえ巣食っている事実をまざまざと突きつけてくる。そこに、戦争を交えることで、昭和というマク...続きを読む
  • 白い夏の墓標
     再読。初読のとき、ものすごい衝撃を受けた本。
     冒頭の、肝炎ウィルスについての解説の膨大さに、「医者だな〜」と思ったものの、その後に続く物語のテーマの重さと危うさと、読者の想像力の広がりに限界を定めないだけの物語の奥行きに驚かされた。佐伯と黒田は無事、再会を果たせただろうか。佐伯は、黒田の遺産をど...続きを読む
  • 逃亡(下)
     解説を読んで、守田が作者の父だとわかり、上巻での疑問は吹っ飛んだ。だとすれば、作者は、父の顔も知らずに育つはずだった竜次。彼はその後、父から、何をどのように聞かされ、育ったのだろうか。全てを聞いたのではないだろう。だからこそ、作者は、小説という形で上梓しなければならなかったのではないか。父の語った...続きを読む
  • 逃亡(上)
     とにかく難しいテーマだ、というのが第一の感想。戦後生まれの作者が何故、このテーマを選んだのか。そこにものすごく興味を惹かれた。
     BC級戦犯といって取り上げられてきた人々は、例えば『私は貝になりたい』のように、上官命令で仕方なく現地人や捕虜を虐待・殺害したような人々が多い。その中で、「憲兵」という...続きを読む
  • 国銅(下)
     実のところ、国人が都に行くことになった辺りから、結末はほとんど予測できていた。下手をすれば、国人だって奈良登りにはたどり着けない。でも、国人が待ち望んでいた再会はなかった。それが、悲しい。たくさん、話したいことがあっただろうに。
     都で、国人の感覚は、詩や歌を覚えることで、ずいぶんと華やいでいたと...続きを読む
  • 国銅(上)
     やっぱり帚木蓬生は面白い。固そうでそうでもなく、かと言って緩すぎず。文章に適度な重みがあっていい。
     広国が死んだ辺りまでは、国人が課役から逃げ出していく話になるのかなぁ、と思いながら読んでいたんだけど、段々に国人は仏の教えに染まっていって、なんだか複雑。ただ、彼が信じているのは、ある意味、治世に...続きを読む
  • 逃亡(上)
    第二次大戦中香港で憲兵隊員として活動していた主人公。
    しかし終戦と共に戦犯とされる事を受け入れられない彼は憲兵隊から逃亡し、中国そして日本、彼の過酷な逃亡生活が始まる。

    主人公は憲兵ですが、よくある鬼の憲兵の物語ではなく一人の戦犯とされた日本軍人が戦後の混乱期の中をどのように生き抜いてきたかがメイ...続きを読む
  • 逃亡(下)
    第二次大戦中香港で憲兵隊員として活動していた主人公。
    しかし終戦と共に戦犯とされる事を受け入れられない彼は憲兵隊から逃亡し、中国そして日本、彼の過酷な逃亡生活が始まる。

    主人公は憲兵ですが、よくある鬼の憲兵の物語ではなく一人の戦犯とされた日本軍人が戦後の混乱期の中をどのように生き抜いてきたかがメイ...続きを読む
  • 逃亡(上)
    私の大好きな作家、ははきぎほうせい氏の(う〜漢字がどうしてもパソコンで打てない!)作品です。
    長編ですが、この方の人間味溢れる語り口には引き込まれてしまいます。 内容は、戦争中に憲兵をしていた主人公が戦犯として手配され、逃亡するというものです。 今まで、あまり戦犯について考えた事がなかったので、とて...続きを読む
  • アフリカの蹄
    アパルトヘイト解放後もなお残る黒人差別をモチーフに描き上げられたサスペンス。フィクションとしてだけでなく、社会派小説としてもとても勉強になった。確かNHKで特番ドラマ(主人公は大沢たかお)になったはずなのだが、後編を見逃してしまった。再放送してくれないかなぁ。
  • ヒトラーの防具(上)
    ドイツ物だからなぁ・・・manaの採点は甘い!だなんて思わないでくださいまし〜。本当に感動しました! 上・下巻に分かれているものの、あっという間に読むことができますよん。戦争中のドイツの残虐な行為についても書かれていますし、それに対抗しようとしていたアンダーグラウンド組織のこともでてきます。もう涙・...続きを読む
  • 閉鎖病棟
    閉鎖病棟に入院となれば「精神病の患者」とひとくくりにされがちですが、当たり前にひとりひとりの人生があり、喜怒哀楽もあるし、他人を思い遣ったり幸せを願ったり。そんな事に気付かされる小説でした。
  • 臓器農場
    新人ナースの主人公が自分が務める病院の謎を暴いていく。臓器移植のための隠された施設など見つけていく過程はどきどきする。後半の急速に問題解決していくところは、それまでじっくり丁寧に描かれていたのにちょっとついていけなかったけど。作品としては面白く楽しめた。
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
    ネガティブケイパビリティ。宙ぶらりんにも耐えうる力。耐えうる先にあるものが何か少しでも光が見えていることがあるから耐えられるのか。物事の本質をとらえ、今何が大事かじっくり耐えて考えていくことがもとめられる
  • 香子(一) 紫式部物語
    一つで二度味わえる小説。紫式部物語を読む中で作中で書かれる源氏物語を読んでいることになる。香子(かおるこ)は父から「香子(きょうこ)、今日からそなたのことを、かおること呼ぶことに決めた」と言われた。女子にしておくのは惜しい。男子であればこの堤第を再興してくれるだろう。誰でもが認めるひとかどの人物にな...続きを読む