帚木蓬生のレビュー一覧

  • 閉鎖病棟
    閉鎖病棟に入院となれば「精神病の患者」とひとくくりにされがちですが、当たり前にひとりひとりの人生があり、喜怒哀楽もあるし、他人を思い遣ったり幸せを願ったり。そんな事に気付かされる小説でした。
  • 臓器農場
    新人ナースの主人公が自分が務める病院の謎を暴いていく。臓器移植のための隠された施設など見つけていく過程はどきどきする。後半の急速に問題解決していくところは、それまでじっくり丁寧に描かれていたのにちょっとついていけなかったけど。作品としては面白く楽しめた。
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
    ネガティブケイパビリティ。宙ぶらりんにも耐えうる力。耐えうる先にあるものが何か少しでも光が見えていることがあるから耐えられるのか。物事の本質をとらえ、今何が大事かじっくり耐えて考えていくことがもとめられる
  • 香子(一) 紫式部物語
    一つで二度味わえる小説。紫式部物語を読む中で作中で書かれる源氏物語を読んでいることになる。香子(かおるこ)は父から「香子(きょうこ)、今日からそなたのことを、かおること呼ぶことに決めた」と言われた。女子にしておくのは惜しい。男子であればこの堤第を再興してくれるだろう。誰でもが認めるひとかどの人物にな...続きを読む
  • 香子(三) 紫式部物語
    2024.4.24
    紫式部は出仕して物語を書き進め、光源氏は栄華の頂点を極めます。現実の朝廷と物語の朝廷の間を行き来する構成が楽しめました。
  • 香子(二) 紫式部物語
    2024.4.17
    大河ドラマの紫式部(まひろ)とはまた違った紫式部(香子)が描かれています。紫式部の一生と源氏物語の現代語訳が交互に進んで行くので、源氏物語も読み返すことができます。それにしても、源氏物語の息詰まるような心理描写は素晴らしいと思いました。
  • 閉鎖病棟
    1.著者;帚木氏は小説家。大学仏文科を卒業後、TBS勤務。2年後に退職し、医学部で学んだ。その後、精神科医に転身する一方で、執筆活動。「三たびの海峡」で吉川英治文学新人賞、「閉鎖病棟」で山本周五郎賞など、多数受賞。帚木氏は現役の精神科医であり、第一回医療小説大賞を受賞(医療や医療制度に対する興味を喚...続きを読む
  • 白い夏の墓標
    帚木蓬生著 白い夏の墓標
     二、三年前古書店で比較的綺麗な形で並べられておいたので購入しておいた。最近書店で平積みで売られていたので読んでみた。40年以上前、著者は三十代に入った頃に書かれた本であるけれども、全く題材は陳腐化しておらず、今の時代にも十分通用する医学ミステリーであり、細菌兵器の開発をあ...続きを読む
  • 閉鎖病棟
    淡々と話は進んでいくのだけど、キュウーッとゆっくりじわじわ胸を締め付けてくる話でした。
    冒頭はこの物語の中心人物たちが、病棟に来る前の話をオムニバスみたいに語り、急に現在の話になっています。「チュウさん」「昭八ちゃん」など呼び名が病棟内でのニックネームに。
    それがなんとなく気になるし、いちばん最初に...続きを読む
  • 白い夏の墓標
    これはなんだ?というのが読み始めて正直な感想。
    昭和58年(1983年)の医療をテーマにした小説。道にウィルスをテーマにヨーロッパで謎に向かって突き進む主人公。ウィルスという最近人類が苦しんだテーマに真正面から向き合った作品だ。ウィルスのメカニズムについて解説もされていて記憶に新しいことが40年前に...続きを読む
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
    タイトルである「ネガティブ・ケイパビリティ」とはなにか?それがまさに本書で著者が伝えたい事。「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」‥それは具体的にどんな能力なのか一緒に考えませんか?精神科医で、小説家でもある著者は古今東西の医学書や文学作品、又実体験など様々な例を挙げ問い...続きを読む
  • 沙林 偽りの王国(上)(新潮文庫)
    医学的知見に基づいた解説付きのスクラップブックといったところか。
    当時の情報はなんといっても新聞、雑誌によるものが最も量が多く信頼性もあったということがよく分かる。
    もしこれが現代であれば、教壇発信のフェイクも含め虚実入り交じった情報でここまで整理はできないだろう。
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
    物事は白黒つけなきゃいけないと思い込んでいたけど、そうではないらしい。むしろグレーにしておくことがよい結果を生むこともある。「なんとかなるさ」の精神でとりあえず凌いでいればなんとかなる。有耶無耶にするとか適当にするとかでいいと知って、気持ちが少し楽になった。「どうしようもないことは放置でいい」ってと...続きを読む
  • 薔薇窓の闇 下
    タイトルが「薔薇窓」であった旧バージョンを読みました。19世紀から20世紀にかけてのフランスで日本趣味のある精神科医師と、その周辺で起きる事件や人間模様を描いています。下巻はラストに向けて怒涛のたたみかけ。ハッピーエンドでほっとしました。医療ものかと思っていましたがそうではなく普通の小説でしたが面白...続きを読む
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
    結果が何か出ないとやっぱりモヤモヤするし嫌なもんだけど、考えてみれば世の中は一人で生きているわけではないのだから、どっちつかずみたいな状況はいくらでもある。今の自分は正にそういう状態なので、まぁ、必ずしも1日も早く解決したいわけでもないのだけれど、こういう、共感というのとはちょっと違うようにも思うの...続きを読む
  • エンブリオ 下
    生殖医療はどこまで医学、科学が介入してよいものか。

    自分の邪魔をするものには容赦がない岸川には、恐怖さえ感じる。

    だが、いつか未来では本当に起こり得るような気がして興味深い。
  • 白い夏の墓標
    最後の最後でそういうことか
    行ってよかった
    わかってよかった
    フォアに行きたくなった

    40年以上前に書かれた本作が現代のcovid19に大きく関わりがあるように思える

    昔から言われていたことが現実化。。?
    なわけないか
  • 白い夏の墓標
    3日間で読み切った。文章がきれいなので情景が浮かび引き込まれる。社会派的なストーリーも引き締まっていてよい。全体的にスキのない作品。
  • 閉鎖病棟
    家族や世間から疎まれ隔絶され、病院の中に“閉鎖”された患者同士の、日常でのささやかなやりとりや、季節の移ろいを感じる行事。様々な出会いや別れの中で育まれるのは、家族と同じくらいに確かな絆だと感じた。

    誰かの生きる支えになっている
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
    ユリイカのヤマシタトモコ特集で、桜庭一樹が『違国日記』を評するために「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を援用していたので、この本に興味を持った。

    「不確かさの中で事態や状況をもちこたえ、不思議さや疑いの中にいる能力」を指すネガティブ・ケイパビリティ。

    ここ1年、学問、就職、人間関係全てにお...続きを読む