仲正昌樹のレビュー一覧

  • ヘーゲルを越えるヘーゲル
    ヘーゲル哲学は、現代思想のさまざまなシーンにおいて、肯定・否定の両面において議論の対象となっています。本書は、そうした多様な解釈と評価において姿を現わす、ヘーゲル哲学の多面性を紹介している本です。

    フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』と、そのバックボーンになっているアレクサンドル・コジェーヴのヘ...続きを読む
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む
    ・一度「存在」への問いに囚われると、そこから完全に逃げ出すことはできなくなり、「存在」を気遣い続けることになる。逆に言えば、「気遣」っているからこそ、「現存在」は「実存」として「存在」しているのであり、「気遣い」しなくなった時、「現存在」はもはや「存在」しない
    ・「死」をもって、自分の現存在の全てが...続きを読む
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~
    プロローグによると、日本とドイツの戦前の思想は「意味のある比較」をすることができる、ということらしい。個人的にはドイツのような変な国と比較されるのは嫌なのだが、意味があるのであれば仕方がない。

    内容は、国民国家としての両国の誕生から挫折するまでの歩みを両共同体の思想史を通じて読み解く、といったタイ...続きを読む
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険
    全体の流れは『自由は定義できるか』と似ていて、リベラルという切り口から『自由は定義できるか』を書き下ろした印象が強い。

    アメリカの現代思想ということで、個人的にはプラグマティズムとプロテスタンティズムに絡めて書かれているのかなと期待していたので、この点では方向性が元々違っていたので期待ハズレではあ...続きを読む
  • 現代思想の名著30
    さすがに前提知識がある程度ないとこれは消化不良も甚だしいのではないか。スピヴァクとかよく分からんかった。個人的には懐かしの青春といった感じで楽しめました。
  • マックス・ウェーバーを読む
    『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』についての解説がよかった。ウェーバーを離れてあちこち寄り道しているようでいて「では寄り道か」というとそうでもないような感じ。新書なのであまりに深すぎる話にはならない程度なこともあって自分には読みやすかった。

    他の章では、例えば「価値基準を学問的に位置付...続きを読む
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想
    未開人のうちに、かつての自分の野蛮さの鏡像を見てしまい、自分もまたそこに引き戻されるのではないかという不安に襲われる文明人は、彼らを放っておくことができない。
    仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』p149

    日本の戦後思想は、マルクス主義の人々(とマルクスを独自に解釈して実践する左派の人々)が、...続きを読む
  • いまを生きるための思想キーワード
    「高校生でもわかる」のかどうか、疑問ではある。ただこの疑問をツッコミどころとするのは筋違い、著者のこれまでの出版物などをリーダーズダイジェスト的な色合いで一冊にまとめた感じでスピード感があって面白い。
    『高校生でもわかる(かもしれない)仲正昌樹』というのが適切か。最初に読む仲正昌樹としては良い本だし...続きを読む
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか
    仲正による「日本の現代思想」。第一次安倍内閣が立った時のもので、あとがきに当時の著者の、本人らしい所感が印象的。

    内容としてはかなり情報量は多いけども、世界の情勢と思想とかかわりながら、日本の情勢、思想がどのように推移してきているかがよくわかる。

    ざっくりとニュアンスででしかとらえきれていないが...続きを読む
  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界
    仲正がこれを書いたすぐ後に宮台との対談をおこなったものを先に読んでいたので、対談の中で宮台が所々でこの本に言及していて、内容をそんなに覚えているわけではないけど、なんとなくつながった感じ。

    宮台なんかの社会学の言論界隈では自己決定が強く叫ばれる。大きな物語が焼失した再帰的な現代において、自分で選び...続きを読む
  • 〈宗教化〉する現代思想
    面白かったし読みやすかった。もとUCという特殊な文脈がシンパシーとしてひきつける。どのようなラディカルな思想であろうとも「形而上学」的な側面からは離れることができない。それを自明なものとして、それぞれの人生から思想も活動も、特に知的な分野に身を置こうとする場合は、それらを心にとどめておく必要がある。...続きを読む
  • 今こそアーレントを読み直す
    『全体主義の起源』『人間の条件』『革命について』そして最晩年の『精神の生活』とそれを補完する「カント政治哲学講義」をとりあげ、その思想の「もどかしさ」がもつ魅力を、著者自身の明快なことばで解説しています。

    「序論」には、「アーレント理論の“忠実な解説”は放棄して、アーレントの思想の中で特に重要だと...続きを読む
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む
    『存在と時間』。過去なんども読破に挫折。本書でようやくわかったような気分になれて、やっと胸のつかえがとれた感じ。
  • 今こそアーレントを読み直す
    政治や人間性というのを「読み直す」為の本になっている。
    特に人間とはペルソナを付けてはじめて人間として想定される本性に近づくという論点は重要なものだろう。
    ならば、仮面そのものともなりうる言葉とは人間性の概念において中心となるものだ。ただ、空間のベクトルについてはこのままでは未整理のままだとも思う。
  • マックス・ウェーバーを読む
    マックス・ウェーバーの著作の中から、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、『職業としての政治』と『官僚制』、『社会科学と社会政策に関わる認識の「客観性」』と『社会学の基礎概念』、『職業としての学問』を取り上げ、その内容について分かりやすく解説している本です。

    「あとがき」には、無理にウェ...続きを読む
  • マックス・ウェーバーを読む
    元々は、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に興味があって岩波文庫の原本を買ったのだが、中々進まないのでこの入門書を手に取った。

    読んでみると、最後の「職業としての学問」の第4章が親しみやすく、面白かった。特に、「世界を動かしている法則を知ることが可能である、という信念を人々が共有するこ...続きを読む
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~
    『日本とドイツ 二つの戦後思想』(光文社新書)の続編。ナショナリズムや社会主義、全体主義などの項目について、1870年から第二次世界大戦までの日本とドイツの思想を照らし合わせています。

    比較を通して日本とドイツの共通点を差異をはっきりと示すことがめざされているのではなく、それぞれの観点から両国の思...続きを読む
  • いまを生きるための思想キーワード
    現在、信頼できる知性の一人である仲正さんの著作であって、さすがにレベルが高い。論旨が明快でわかりやすく、概念を多面的に知ることができる。良書。
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか
    戦後日本に置ける思想潮流を主軸に、「現代思想」の流れを掴むのに最適か。海外の動向についてもコンパクトに纏めつつ、中沢新一・東浩紀まで拾う。単体として見るのでは判らない、全体の潮流が掴めるのが特色か。
  • 今こそアーレントを読み直す
    昨年末…映画『ハンナ・アーレント』を観に行って驚いた。いつもは客席もまばらな単館映画ばかりをかけるハコが満席。用意された補助席も足らず、床に敷かれた座布団に腰をおろして観たのだった…アーレントの言説のなにに、今の日本の人たちは惹かれるのだろう…?

    映画はアイヒマン裁判の傍聴からなされたアーレントの...続きを読む