仲正昌樹のレビュー一覧

  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界
    主体とは何なのか、まるで、僕らがしっかりと持っていると思われるような「主体」。言葉を変えれば「自分」であり「自己」。僕は自分が無いなんて全然感じたことがないけれど、周りには自分が無いと他人に言われ、自らもそう言っていた人がいた。主体とは、そんな有無で語れるような、ちゃんと輪郭をもったものなのだろうか...続きを読む
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか
    戦後日本の思想状況をとてもわかりやすく整理している概説書。思想内容の解説だけでなく、その文脈(裏事情)を、戦後マルクス主義を縦糸として描き出していて、流行当時はとっつきにくかった「現代思想」、「ニューアカ」、「ポストモダン」思想も今となってみればそういうことだったのか!と肯定的にも評価できる。単なる...続きを読む
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか
    ちょっと恐いくらいわかりやすい。あと、絶対笑わせようとしている(でも素直に笑っていいのかわからなくなる)箇所が多々あり。
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~
    「1870年代頃に西欧的な意味での近代国家を形成し」「国民国家としての統合→帝国主義的拡張」を目指して「西洋近代の超克を目指して全体主義制を構築し、戦争へと突入していった」共通点を持つドイツと日本。
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想
    本書は、四つの章から出来ている。「二つの戦争責任」、「国の形を巡って」、マルクス主義という「思想と実践」、「ポストモダン」の状況、の四つである。■「戦争責任」は誰にあったのか。
    なぜ日本は「人道に対する罪」に問われなかったのか。
    「普通の国民」も加害者なのか。
    「反省仕方」のドイツとの違い。
    日本の...続きを読む
  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界
    中正さんの本を初めて読んだんだけど、ものすごくわかりやすい。現代哲学をやっているだけあって、脱構築しまくり。本書の半分位をハンナ・アレンとの解説に割いているが、これも秀逸。
  • 今こそアーレントを読み直す
    英では契約や慣習法の基本原理を確認する形で新たな制度が構築されていったが、日本では政権が交代するたびに大宝律令・御成敗式目・武家諸法度など、基本となる考えがどのように継承されてきたのか曖昧。日本で制度論的な保守主義を考えるのは困難。天皇制以外に守るべき制度がないため、日本の保守思想は、制度よりも精神...続きを読む
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える
    いまの本邦がかなり全体主義的な雰囲気に満ちているので、そこに引きずられないようにするための手がかりとして、また全体主義とは具体的にどういうことでどういう経緯で起こって、現在に至るまでにどう影響してきたのかが知りたくて読んだ
    読んでみて思ったのは全体主義は同質性に基づいているということで、やっぱり共感...続きを読む
  • 人はなぜ「自由」から逃走するのか
    「自由からの逃走」:自由に慣れた近代人が、強い権威に惹かれ、自発的に従属するようになるメカニズムを直接的に論じた著作である。
    オリジナルは、プロテスタンティズムの影響が考えられている。新型コロナ下での強い矯正処置を求める声と異論が言えなくなる風潮は、全体主義の前兆と思われる。
    二つの自由、自由の二面...続きを読む
  • 今こそアーレントを読み直す
    ハンナ・アーレントの思想を、彼女の著作を軸に、現代にひきつけた問いから整理した書。少ない文章量の中で鋭くまとまっていて、読み応えがあった。

    今回とくに面白かったのが、第二章「『人間本性』は、本当にすばらしいのか?」。

    「アーレントは、そうした冷厳な現実を踏まえて、『人間性のすばらしさ』あるいは『...続きを読む
  • 現代哲学の論点 人新世・シンギュラリティ・非人間の倫理
    仲正先生の前作(現代哲学の最前線)がかなり自分のツボを押さえてくれていたのでこちらも手を出してみた。
    結論、前作の方が痒い所まで手が届いていた(内容の深さも網羅性も)ので、期待値は超えなかった。
    ただひとまず専門用語と文献、概要さえ教えてもらえれば自分で勉強できるので、手引書としてこのようにまとめて...続きを読む
  • ヘーゲルを越えるヘーゲル
    0986. 2019.12.17
    現代の哲学者たちはヘーゲルの絶対精神に重きをおかない。というのもそうした普遍的理性・普遍的道徳に到達する保証はどこにもないからである。
  • 今こそアーレントを読み直す
    やはり最後まで一気に読んでみて感じたことはただ一つ、解りづらいの一言である。それは本書がわかりづらいのではなく、ハンナ・アーレント自体の考え方が非常に中庸的というか、世の中のわかりやすい議論が白が黒か左か右かといった風潮の中で、極論はなくあくまで白と黒左と右の中間地点にいるからではないだろうか。これ...続きを読む
  • 統一教会と私
    いま話題の統一教会の元信者だった著者の回顧録。この本を読んでるときに、周りの人たちがタイトルを目にした途端にギョッとする反応を何度か見たので、自分が思っている以上にインパクトがあるというか騒がれて、恐らく偏見や誤解も多く流布されてるんだろうな、と感じた。統一教会に興味があって手にした訳ではないけど、...続きを読む
  • マックス・ウェーバーを読む
    メモ:
    p142
    私たちは日々様々な場面、テーマについて「価値判断」をしているが、それがどのような「価値規準」に基づいているのかはっきり意識していないことの方が多い。事実についての認識と「価値判断」が漠然と一体になっていて、いつのまにか”判断”している・そのため、他者との意見との食い違いが、事実認識...続きを読む
  • 人はなぜ「自由」から逃走するのか
    エーリヒ・フロム『自由からの逃走』の議論の流れに則りながら、全体主義を可能にした歴史的・社会的条件を確認している内容。

    関連する思想家・学者の論(ルターやフロイトなど)も多く引用しており、世界史的な知識の補足も多くあり、前提知識が少なくても読みやすい。

    主に西洋近現代の話題だが、所々で現代日本に...続きを読む
  • 現代哲学の最前線
    主に20世紀の哲学史と下記の5テーマをもとに、思想家と論争がまとまっている。

    1. 正義論
    2. 承認論
    3. 自然主義
    4. 心の哲学
    5. 新しい実在論

    かなり難しかったし、これを1冊の本にまとめあげた著者の腕も異次元、、

    p283(あとがき)
    今まで全然分からなかった"哲学"が急に「した...続きを読む
  • 今こそルソーを読み直す
    ルソーの入門書としてすごくわかりやすく勉強になりました。
    とことん考え抜いた結果アイロニーに行きつく、この世の救いようの無さ
  • 人はなぜ「自由」から逃走するのか
    フロムの『自由からの逃走』に現代社会の文脈を含ませた解説書。フロムによれば自由には2つの側面があると述べており、それは「〜からの自由」という制約からの解放を意味した「消極的自由」と、「〜への自由」という自らの目標などを追求する意味の『積極的自由』があるという。

    一見、消極的自由よりも積極的自由の方...続きを読む
  • 今こそアーレントを読み直す
    アーレントの思想がますます分からなくなった(いい意味で)確かに彼女のイデオロギーや思想の立場を定義するのは非常に難しい。アーレントをよく知らなかった時は、リベラル論者だと思っていたが、一般的には右寄りの認知されている、しかし日本では左派から評価を受けることも少なくない。複雑な理論であるが故に、右・左...続きを読む