仲正昌樹のレビュー一覧
-
みそ汁をしばらく放っておくとみそが沈んでしまいますよね。アイデアやイメージがその沈んでしまったおみそだとすると、この本は、そのみそ汁をお箸でくいくいっとまぜるような読みものです。
ちゃんと言うと、あたまのなかに沈澱し(そしてある意味では安定化し)たイメージやアイデアを掘り起こして思考する意欲を刺激...続きを読むPosted by ブクログ -
「正義」や「善」といった古典的なキーワードから、「アーキテクチャ」や「イマジナリーな領域への権利」などの今どきな言葉まで収録された仲正昌樹流の用語集。最近はこの手の流行を全然おさえていないから、ここ数年での新しい言葉を知るのに役だった。なんなんだ、「アーキテクチャ」って…と思っていたが、初めて意味を...続きを読むPosted by ブクログ
-
読む価値あり。これだけの論点の本質を掴み取り、コンパクトに解説するなんて、普通できることじゃない。さすが。
取り上げられているキーワードは正義、善、承認、共感、アーキテクチャ、人間など、ぼく的に気になるものばかり。さらっと読めるのに密度はとても濃い。お勧め。Posted by ブクログ -
ポストモダン思想を整理した上で、じゃあ今主流となるアメリカの思想はどうなの、ということで急遽衝動買いした一冊。まぁ著者も同じだし。しかし、忘れていたけどアメリカって日本以上の哲学後進国だったんだよね。
簡単に整理。アメリカでは功利主義や実証主義といった側物的な価値観が長らく主流で、それ故資本主義的...続きを読むPosted by ブクログ -
ちょっと考える事があって学生時代以来再読してみたのだけど、今改めて読んでみるとポストモダンとはなんだったのかが改めて理解できた。気が付いたのは、そのような考え方というのが何を前提として生まれてきたものか、ということ。
ポイントとなるのは、本書でポストモダンの思想家で取り上げられる人物というのは、大...続きを読むPosted by ブクログ -
どんな人でも生活に関係するキーワードを批評。
私も含め,言葉の一側面だけを捉えて考える傾向多い気がする。
思考の整理・再編成にはうってつけの本。Posted by ブクログ -
現代思想の解説本をはじめ多くの著書がある著者の新刊。
思想と死の関係、という切り口から10人の大思想家について解説している。そして、それは同時に「生き生きと」思想を語る人々への批判でもある。
まずもって読み物として非常に面白かった。
かなり探し歩いて、念願かなってという感じで手に入れたことも...続きを読むPosted by ブクログ -
『日本とドイツの二つの戦後思想』の続編?という位置づけにあたるようだ。前作の戦後思想に関するもののように、活発に議論されるテーマでなかったせいか、著者独自の見解というものが極力示されておらず、1870年代~1930年代までのドイツと日本の思想の変遷を順を追って比較し、論じるにとどまったものになってい...続きを読むPosted by ブクログ
-
日本とドイツ―戦後の対外政策においてよく比較の対象とされる両国であるが―では、よく「ドイツは周辺諸国にちゃんと謝罪したが、日本はアジアの国々に謝罪しない。けしからん」という主張が展開される。そうなるのはなぜなのか?、という素朴な疑問から出発している。
著者によると、日本とドイツの戦後政策は地政学...続きを読むPosted by ブクログ -
この本で著者は、保守vsマルクス主義、マルクス主義陣営の内乱、ポストモダン、そして現在の論壇、という現代思想の流れを扱いながら、思想が世の中を動かす絶対的な装置だと自惚れた思想家に対して、冷ややかな目で横目で見ながら持論を展開している。
思想というものは絶対的なものなんかではなく、世の中の分析装...続きを読むPosted by ブクログ -
帯の「現代思想の入門書」という文句とユニークなタイトルに惹かれて買って読んでみたが、私が以前に読んだ仲正氏の日本とドイツの思想比較をテーマにした新書よりも抽象度が高く、理解が及ばない箇所が多々あった。
この本は、アドルノ、ベンヤミン、アーレント、デリタ、ハイデガー、フーコー、マルクス、ニーチェ、...続きを読むPosted by ブクログ -
「みんな」という非常に馴染み深いが、何だかよくわからない概念に対して、鋭く迫って分析している著者の議論の進め方はお見事という他ないだろう。
没個性的になるのを嫌がって他人と自分を差別化したがり、そのために奮闘すればするほど没個性的になっていくというアイロニカルな逆説を著者は「客観的」に指摘してい...続きを読むPosted by ブクログ -
いろいろ十数年疑問に思っていたことがすっきりした。日本にフランス本家ばりのポストモダン思想家はいないし、マルクス主義もインフレ気味。全部借り物。借り物使って東京でごにょごにょ。5年前の本だけど、実は21世紀の大きな物語はイスラム抜きに語れないんじゃないの?とか。
とりあえず、本屋の本棚で買うべき本が...続きを読むPosted by ブクログ -
養老孟司→内田樹→レヴィ=ストロースと読み進めてルソーに行き着いた。文明化された人間の理想の姿を「自然人」と定義したが、その思想には様々な矛盾もあると著者は指摘する。現代思想の基本的なパースペクティヴがなんとなく分かってきた。Posted by ブクログ
-
[ 内容 ]
格差社会から地域紛争まで、喫緊の課題をどう読み解くか。
現実的な社会変革をめざす思想として、近年注目されるアメリカ発のリベラリズム。
社会全体の「平等」と個人の「自由」の両立を構想することで、自由をめぐる現代的課題を考察したロールズの正義論からリバタリアニズムにコミュニタリアニズム、ネ...続きを読むPosted by ブクログ -
[ 内容 ]
1980年代、「ポストモダン」が流行語となり現代思想ブームが起きた。
「現代思想」は、この国の戦後思想をどのような形で継承したのか。
海外思想をどのように咀嚼して成り立ったのか。
なぜ80年代の若者は「現代思想」にハマったのか。
丸山眞男や吉本隆明など戦後思想との比較をふまえ、浅田彰や...続きを読むPosted by ブクログ -
[ 内容 ]
プラトン以降の西欧哲学・思想史において、“すぐれた哲学・思想”と思われているものが、いかに擬似宗教(形而上学)化の危険性と隣り合わせにありそのことが哲学者・思想家によってどのように問題化され、論じられてきたのか。
本書では、現代思想に特に強い影響を与えたハイデガー、アーレント、デリダな...続きを読むPosted by ブクログ -
[ 内容 ]
国民性か?
歴史の必然か?
近代化の陥った罠を思想史から俯瞰する。
[ 目次 ]
第1章 近代化とナショナリズム(「国民」という思想 「国民」の“人為”と“自然” ほか)
第2章 二つの社会主義(「労働者」の誕生と社会主義 国民国家と社会主義 ほか)
第3章 市民的自由と文化的共同性...続きを読むPosted by ブクログ -
ロールズを中心に、大戦後のアメリカ政治思想が俯瞰できる本。
当時の社会問題など時代背景とリンクさせることで、一見抽象的な議論が実感を伴って伝わるような構成になっている。
アメリカに対して大味なイメージを持つ人にとっては、この本によって「アメリカの底力」を知ることになるだろう。
リバタリアニズム-リ...続きを読むPosted by ブクログ -
[ 内容 ]
グローバル化の進展につれて、何かにつけて「自己決定」が求められるようになってきた。
その背景には、人間は「自由な主体」であるという考え方がある。
しかし人間は、すべてを「主体的」に決められるわけではない。
実際、「自由な主体」同士の合意によって社会がつくられるという西欧近代の考えは、ほ...続きを読むPosted by ブクログ