阿佐田哲也のレビュー一覧
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『麻雀放浪記』から、戦後混乱期のアナーキーな爽快感と、青春小説としてのあまやかさを除いた、共食いの閉塞感に満ちた夢も希望も何処にも無い剥き身のギャンブル小説。Posted by ブクログ
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高校生の頃だから40年ほど前かな、毎日新聞の日曜版に色川武大さんのエッセイ「うらおもて人生録」が連載されていて毎週楽しみに読んでいた。ツキとか運とかいうものとの付き合い方とかが語られる独特の人生論で、感覚的に理解出来る内容なんだけどそんな話を文章で語ってくれるのを初めて読んだし、若い頃から凄い世界に...続きを読むPosted by ブクログ
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巻末の柳美里の解説がすごく良い。ばくち打ちだという彼女自身の父親と祖父のエピソードを混ぜながら、麻雀放浪記全4作を、登場人物たちの変節を切り取って説明している。
この番外編は北九州から東北まで続くロードムービーのような展開。昭和30年後半から40年前後の高度成長期前夜の時代。麻雀は大衆化がすすんで...続きを読むPosted by ブクログ -
麻雀が分からなくても面白い。それは只の麻雀小説じゃないから。人間の本能に呼びかけるなにかがあるから。
実際、麻雀あんまやってない。いかさまばかりやってる。だから麻雀のルールがあんまわからなくても面白い。
とはいえ、この賭博というくだらないことに命を懸けてる男たちの生き生きとしている姿はなんだ...続きを読むPosted by ブクログ -
ずっと読もうと思っていながら何故か読んでいなかった一冊。チンチロリンから始まって次第に麻雀が戦後の日本でメジャーになっていく背景や、何よりも博打に身を投じる気概が今ではとても考えられず、当時の本当に真剣な勝負に息詰まる。全自動となった今の麻雀にはない様々なイカサマや技も興味深い。シリーズを読破したい...続きを読むPosted by ブクログ
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暴力についての章である。これはギャンブルの世界の話とはまったく関係のないことなのだ。暴力とは世界の外側にあるやり取りのことで、獣のような生き方をする私にとって世界は私だけで、あとは外側ならば残るは暴力しかないのであるから、この章がもっともシリーズの中で濃厚なのだ。
しかしはっきり言って弥栄のような女...続きを読むPosted by ブクログ -
いやぁ面白い。しかし麻雀だったのか?男がいかにだらしがないかっていつもの話じゃないか。くだらない生き物ほど必死になるってね、そりゃぁ生きているだけめっけもん。クズみたいなもんだから必死に燃やそうとする。それが熱くないわけないものな。Posted by ブクログ
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青春篇よりも博打うちとしての戦いがメインとなっている。
関西の麻雀ルールによる戦い方の違いや、寺での麻雀等はやはり面白い。
文章力よりも設定やキャラで読ませる作品だ。Posted by ブクログ -
映画やマンガにもなっている有名作品。原作は未読だったが、たしかにすごい作品だ。
ひりひりとした緊張感、博打にしか生を感じることができない男たち、そして男に翻弄されながらも力強く生きる女たち。戦後のロマンだ。
意外にも映画がほぼ原作に忠実だったこと。いい映画化だったのだと再評価した。Posted by ブクログ -
こちらの上下巻になってるを読みました!巫山戯たタイトルだなぁと思って(笑)、大して期待せずに読みましたが…
なかなかどうして、登場人物たちも愉快で、マージャンやチンチロリン、息子が競輪選手で八百長をしてもらうなど…
笑えて、楽しめました!Posted by ブクログ -
青春小説。
現代ではカイジとかが究極の状況を用意して、近い作品を作ってますが、アレ系は無理矢理な舞台を作り出して極限状況の心理戦をやってます。
しかし焼け跡バラックで行われる麻雀放浪記は、自然に極限下で戦っております。負けたら裸にされて死にます。それが自然。そんなやつらがウヨウヨ生きてきた時代をカイ...続きを読むPosted by ブクログ -
麻雀界の英霊:色川武大こと阿佐田哲也の、自身をモデルにしたピカレスク・ロマン。
麻雀は、突詰めれば運否天賦が支配するわけで、
ヒラでぶつ限り、うまいうち筋、ある種のセオリーはあれど、
どんなに尤もな打ち方をしていても、ヒキが良い奴には十中八九適わないわけです。
この小説の登場人物は、主人公の坊や哲...続きを読むPosted by ブクログ