豊永利行さんインタビュー【教えてあなたの#キッカケマンガ】電子書籍ストア ブックライブ

電子書籍の魅力をお届けする、雑誌『アニメディア』と電子書籍ストア「ブックライブ」とのコラボ企画第5弾。今回は豊永利行さんが登場! マンガを読んで何かを感じるだけでなく、それさえも役者の糧にしていく豊永さん流の「マンガとの向き合い方」などを語っていただきました。

豊永利行 PROFILE【とよなが・としゆき】
4月28日生まれ。東京都出身。スーパーエキセントリックシアター所属。主な出演作は『ユーリ!!! on ICE』勝生勇利役、『文豪ストレイドッグス』谷崎潤一郎役、『TSUKIPRO THE ANIMATION』大原空役など。2018年3月7日にNEWアルバム「With LIFE」を発売。

マンガで得た知識や感情は余すことなく自分の身になっていると感じます

豊永利行さん

――この企画ではハマったり影響を受けたりしたマンガについてうかがいますが、今回、挙げていただいた作品のほかにも『スラムダンク』(井上雄彦/集英社)がお好きとか?

中高生時代に、同じような思春期のとがった感覚を持ったキャラクターたちの思いや不器用さを見て「熱いな」と感じていた作品ですね。主人公・桜木花道のバスケの下手さをコミカルに描いておいて、後半のだんだんと強くなっていくところで感動させる。その描き方が面白かった感覚があります。あと、花道が丸刈り頭にしてジャンプシュートを練習するシーンがあるんですけど、あそこでの努力や責任感を持つ姿を見て、人ってこんなに変われるんだと感じました。人を傷つけずに自分の思いを伝えることの大切さとかを学んだような気がしますね。

豊永利行さん

――最近の作品では、お気に入りなどはありますか?

話題になった作品を読むことが多いですけど、『アイアムアヒーロー』(花沢健吾/小学館)は面白かったですね。
最近では『生贄投票』(江戸川エドガワ・葛西竜哉/講談社)も読みました。最近の傾向として、いわゆるデスゲーム系の作品が多いなと感じますけど、そのさきがけが『LIAR GAME』(甲斐谷忍/集英社)なのかなと。これも読んでいましたが、面白いですね。『アイアムアヒーロー』もそうですけど、主人公が冴えない人というところが個人的にはいいなと思います。そのほかには『BTOOOM!』(井上淳哉/新潮社)も読んでいました。これもデスゲームっぽい作品で、僕はそのあたりのジャンルをいろいろと読んでいる感じです。

豊永利行さん

――そうしたデスゲーム系の作品は、豊永さんのオススメのマンガをご紹介する「My Favorite COMICS」でも語られていた「何が善で何が悪か?」というテーマに通じるものを感じますね。

結局、「悪」として描かれたほうの動機が気になってくるんですよね。なぜ、それをすることになったのかという。恨みや復讐で行われている場合、最後まで読み進めると、首謀者が独白で思いを吐露していたりしますよね。そこで善悪を天秤にかけたとき、どっちも悪いとは言いきれないとなると、首謀者に納得してしまう自分がいるというか。やっぱり人間って愚かだし、そんなに高尚な生き物じゃないよねと。なので、どんなに凄惨な状況が描かれていても、善悪の感情が麻痺してしまうのは当たり前のことなのかなと感じます。また、そういう作品を読んでいる自分から出てくる感覚や考え方も、客観的に見て面白いなと思う瞬間がありますね。

豊永利行さん

――ふだんの生活や仕事において、マンガから影響を受けたことはありますか?

僕の持論ですけど、表現や芝居をするのに人生経験は大事で、人生が豊かになるほど表現力に磨きがかかると思っているんです。なので、マンガを読んで得た知識や生まれた感情も、ひとつも余すことなく自分の身になっているんじゃないかと感じますね。ふだんからアウトプットを強く意識しているわけじゃないですけど、ひとつの作品を読んだという事実が自分のなかに残っていれば、こぼれてくるものはあるだろうと。逆にそれは、読んでいなければ一生出てこないものかもしれない。娯楽やエンタメに関わる人間がそれを摂取しなくなると、どんどん質が落ちていくと思うので、どんなときでも、なるべく娯楽を吸収する時間を失いたくないと思っています。表現する人間というのはスポンジみたいに、絞って出した分はまた吸収しないと新しい表現はできませんから、つねに新しいアンテナを立てておきたいですね。

豊永利行さん

――面白いマンガの情報などは、どういうところでチェックされているのですか?

学生時代は友達からの口コミがメインでしたけど、今は電子書籍のストアなどでトップページに人気ランキングが出てきて、試し読みもできるので、すごい時代だなと思います。人気のマンガは、そういうランキングでチェックしていますね。僕は「話題になっているものは面白いもの」と思っているので、ランキング上位のものを順番に読んでいくことが多いです。
あと、電子書籍化されているマンガは新しいのばかりでなく、過去の作品も多いじゃないですか。そこで、自分が子どものころに流行っていた作品や、連載されていたけどまだ読んでいなかった作品を見つけると買っちゃいます。そう考えると、僕は電子書籍をけっこう利用させてもらっていますね。
昔は紙の本派だったんですけど、そんな自分に「現実的に考えろよ。カバンにマンガを何冊も入れて持ち歩けるのか?」と(笑)。せっかく便利な時代なんだからと利用し始めてからは、電子書籍が身近になっています。

豊永利行さん

――声優としてマンガ作品に関わることも多いかと思いますが、個人的に好きな作品と仕事との距離感はどのように考えていますか?

僕は過去に自分の大好きな作品がアニメ化されたとき、思い入れがありすぎて、そのアニメを観られなかったことがあります。仕事をしているなかで、この作品がもしアニメ化されたら主人公をやりたいという気持ちは強くありましたから。僕は基本的に自分が出ている作品って、恥ずかしくてあまり見たくない方なんですけど、それでは関わっている人たちに失礼なので、オンエアはチェックするようにしています。ただ、職業柄どうしても、“芝居”を分析してしまい、作品として楽しむ感覚になれないというか。だから、自分の好きなマンガがアニメ化された場合、好きな気持ちはマンガのなかだけで昇華させておくタイプですね。
あと、マンガを読むと脳内で勝手に音声再生して、「自分だったらどう演じるか」みたいな感覚をだいたい持っているんですよ。そのイメージを超えられたらすごいことなので、原作がある作品に出るときは、自分や誰かが脳内であてていた声を超えていきたいなと常に思っています。

豊永利行さん

――今後はどのような形で、マンガと向き合っていきたいと思われますか?

選り好みはしたくないなと思っています。マンガ家の先生たちはどんな作品だろうと命を削って描いていて、その魂がこもった作品を読めるのは本当に幸せなことだなと思いますから。実は若いころは、わりと選り好みしちゃってたんですよ。でも、それは役者として損だし、今は全世代の人がどこかでマンガに触れている時代で、作品の幅も広がっているので、僕も昔、影響を受けた作品だけでなく、これから生み出されていく若い人向けのマンガも読める人間になりたいなと。また新しい衝撃を受けるような作品に出会えたら幸せだなと思います。
娯楽・エンタメという意味では、同じ世界に身を置かせてもらっているので、これからもマンガからいろいろなことを勉強させてもらったり、アニメ化された際には役者として関わって芝居で何かの刺激をお返ししたりと、そんなお付き合いをしていけたらうれしいですね。

豊永利行さん

My Favorite COMICS

DRAGON BALL/鳥山明(集英社)

DRAGON BALL/鳥山明(集英社)

僕はいわゆるカンフー映画がすごく好きだったので、武道・格闘系のマンガというところにハマっていきました。男の子なら誰もが一度はやった「かめはめ波」も、修行すれば本当に撃てるんじゃないかと夢を抱く少年だったので、気を溜める修行とかやっていましたね(笑)。あと、初期のころはちょっとエッチなシーンもあったので、そういうのをドキドキしながら読んでいた印象があります。
キャラクターではピッコロとクリリンが好きでした。地球人のクリリンには一番親近感があって、僕はサポート役に回れる人が好きなんですよ。ピッコロも悟飯を引き取って修行しているあたりが好きで、サイヤ人たちが強くなっちゃった後半では影が薄くなるけど、僕はそういう人たちが裏で頑張っている姿が好きだったので、その二人がお気に入りでしたね。

幽★遊★白書/冨樫義博(集英社)

幽★遊★白書/冨樫義博(集英社)

初期のころは、主人公の浦飯幽助が霊界探偵として活躍する話がメインでしたけど、不良が事件を解決していくあの展開が、それまでに知らなかった初めてのジャンルだったんですよね。いわゆるヤンキーという人間の何が良くて何が悪いのかを考えたとき、「ヤンキー=悪」というのは違うよなと思っていて……。そこで自分と幽助を照らし合わせてみたとき、僕は彼のように人のために何かをしてあげられるのかなと考えさせられた作品でした。
今でも何度も読み返すんですけど、冨樫義博先生のストーリーは読んだときの年齢によって感じ方が違うというのが面白いし、すごいなと思いますね。キャラクターでは最初は飛影が好きで、途中から蔵馬に変わり、最終的には桑原に落ち着きました。

寄生獣/岩明均(講談社)

寄生獣/岩明均(講談社)

最初は子どものころに読んだんですけど、内容に関してはワケがわからなくて、とりあえずミギーが好きでした。大人になってから読み返したときに「友情ってなんだろう?」と、そういう感覚を教わった作品でしたね。
僕は人間が人間視点で見ているものって、とても曖昧で勝手な曲解をしているんじゃないかと感じるときがあるので、寄生獣が地球に落ちてきた理由である「弱肉強食のピラミッドを保つための手段」というのは深いと思うんです。僕ら人間は、ほかの動物より脳が発達しているというだけでピラミッドの頂点にいるけど、それは自己満足じゃないかとか、そういうことを考えさせられました。物語の後半では、人間と寄生獣のどちらが悪いのかわからなくなってきて、寄生獣が死ぬときにかわいそうと思わされてしまうのがこの作品のすごさだなと。
僕は「何が善で何が悪か?」というテーマの作品が好きみたいです。戦っている一方だけが正しいというよりも、双方に正義があって衝突しているほうが面白いですからね。

GIANT KILLING(講談社)

GIANT KILLING(講談社)

僕はストレートに頑張っている人たちの姿を見るのも好きで、そういう意味ではスポーツものも大好きなんです。そのなかでも、ジャイキリは主人公が監督という視点が新しくて面白いですね。
監督が選手を分析するシーンがあるんですけど、巧いなと思うのは、それによって僕ら読者にも選手の個性がわかり、監督と同じような目線になってマンガを読めるところです。ときには選手たちの個性を度外視しても、戦略や戦術で乗りきってしまう監督の達海猛が魅力的で……。そんな監督に最初は疑念を抱いていた人たちが、だんだんと心を開いてチームとしてまとまっていく様子を見ていると、周りを惹きつける魅力を持っている人って素晴らしいなと。また、その人を信頼できる周りの気持ちも素晴らしいなと思いました。ジャイキリはプロのチームを描いていますけど、弱小クラブがはい上がるという展開も、王道だけど熱いですよね。

豊永利行さん

豊永利行さん特別グラビアつき『アニメディア2018年4月号【ブックライブ特別版】』

『アニメディア2018年4月号【ブックライブ特別版】』

『アニメディア2018年4月号【ブックライブ特別版】』は販売終了しました。

『アニメディア』 『声優アニメディア』の電子版は毎月好評配信中!

豊永利行さん 直筆サイン入りポラプレゼント

豊永利行さん 直筆サイン入りポラ

  • 応募は終了しました

ブックライブ(BookLive!)とは?

マンガ・ラノベ・雑誌・小説・実用書など、国内最大級の品揃えを誇る電子書籍ストアです。
もちろん『アニメディア』、『声優アニメディア』も電子版を配信中!
ご購入いただいた電子書籍は、スマホ・タブレット・パソコンで、いつでもどこでもお気軽に読むことができます。
無料や半額のオトクなキャンペーンも開催しているので、ぜひご覧ください!

プライバシーマーク