【ネタバレ注意】『約束のネバーランド』伏線・相関図を徹底考察!
2019年1月からTVアニメが放映中の、『このマンガがすごい! 2018』オトコ版1位にも選ばれた、週刊少年ジャンプに連載中の『約束のネバーランド』。サスペンスとしての評価が高く、一部の漫画好きの間では話題沸騰の本作について、相関図による登場人物の関係性のまとめや伏線の考察をしていきます。すでに読んだことのある方は「最新刊を読む前のおさらい」「伏線の考察」に、これから読む方は「概要の把握」にお役立てください。
※2020/3/24に情報を更新しました。
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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。
目次
『約束のネバーランド』あらすじ
『約束のネバーランド』 白井カイウ・出水ぽすか / 集英社
母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。エマ・ノーマン・レイの三人はこの小さな孤児院で幸せな毎日を送っていた。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた。真実を知った彼らを待つ運命とは…!?
『約束のネバーランド』受賞歴
- 『このマンガがすごい! 2018』オトコ版 第1位
- 第3回次にくるマンガ大賞コミックス部門 第2位
- 第63回小学館漫画賞(少年向け部門)
- マンガ新聞大賞2017 大賞
- マンガ大賞2017 第6位
- マンガ大賞2018 第11位
相関図(GFハウス編・1~4巻まで)
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まずは『約束のネバーランド』物語序盤の舞台となるGFハウス(グレイス=フィールドハウス)での相関図です。
子供たちは総勢38名いるため数が多いのですが、メインとなる登場人物は少なく、理解しやすい相関図です。また、GFハウス編では鬼の個体名は無く、「鬼」としてしか登場しないため、GFハウス編での存在感は薄め。「エマ・レイ・ノーマンVSイザベラ(ママ)」という構図が分かりやすいです。
相関図(ミネルヴァ探訪編・5巻~11巻まで)
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次にGFハウス編が終わった後の展開について。名称は「ミネルヴァ探訪編」とします。
ミネルヴァ探訪編では多くの人物が登場します。「名前のついた鬼」の登場も、「GFハウス出身者以外の人間」の登場も初めてです。オジさん・ルーカス・オリバーらと共闘し、強力なバイヨン卿・レウウィスと戦うのがミネルヴァ探訪編のメインです。
ウィリアム・ミネルヴァが残してくれたメッセージを元に、この世界の謎を解き明かしていく展開は手に汗握ること間違いなし!
相関図(ミネルヴァ探訪編・12巻~15巻まで)
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外の世界で新しい仲間を得たエマたち。12巻~15巻「ミネルヴァ探訪編」新展開の相関図です。
ゴールディ・ポンドから生還の喜びも束の間。拠点であったシェルターが襲撃され、一行はふたたび「家」を失うことになります。
襲撃直前に受け取った「ウィリアム・ミネルヴァ」を名乗る人物からの情報を元に、エマたちは旅を再開します。
少しずつ世界の謎が解き明かされる一方、新たな事実が新たな謎を呼ぶ展開に目が離せません。
相関図(七つの壁編~王都決戦編・16巻~18巻まで)
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クライマックスへ向けて怒涛の展開。16巻~18巻「七つの壁編」、「王都血戦篇」の相関図です。
鬼を救いたい、そして、ノーマン自身を救いたいエマとレイは七つの壁を目指します。ついに七つの壁を超えるエマ。約束は結び直せるのか?その代償とは?
その頃、鬼を滅ぼすことで食用児を救おうとするノーマンは王都への侵攻を開始します。
ムジカとソンジュを探し出す使命を帯びたドン、ギルダ、アイシェ、ハヤトたちにも其々の思惑が……。
1000年前の「約束」の詳細と約束に至る経緯、鬼社会の過去が明らかになります。物語が佳境に入ったこともあり、重要なネタバレを含む恐れがありますので未読の方はご注意ください。
伏線の考察
ここからは『約束のネバーランド』の伏線についてぶくまる編集部が考察します。憶測を含んだ内容となりますので、あくまで参考としてお読みください。また、ネタバレも含んでおりますので未読の方はご注意ください。
認識番号の謎
GFハウスのみならず、高級農園で育った食用児には認識番号(マイナンバー)が振られています。この番号の意味や統一性について考察をしてみます。
GFハウスの認識番号は「逆」がヒント?
GFハウスの子どもたちの認識番号は全員末尾が「94」であることが分かります。また、イザベラとクローネは末尾が「84」です。そして最も重要なヒントが隠れているのが、第4巻でレイが胎児~幼児期の記憶を伝えるシーン。認識番号「81194」のレイ(新生児)の隣には認識番号「91194」の新生児がいます。「81194」と「91194」は連番である可能性が高い。ということですね。
これらの事実から、GFハウスの認識番号は逆から読むように振られているのではないかと推測できます。
主要キャラの「認識番号」と「認識番号(逆順)」「年齢」をまとめた表を作って確認してみます。
名前 | 認識番号 | 認識番号(逆) | 年齢 |
イザベラ | 73584 | 48537 | 31歳 |
クローネ | 18684 | 48681 | 26歳 |
レイ | 81194 | 49118 | 11歳 |
ノーマン | 22194 | 49122 | 11歳 |
エマ | 63194 | 49136 | 11歳 |
ギルダ | 65194 | 49156 | 10歳 |
ドン | 16194 | 49161 | 10歳 |
フィル | 34394 | 49343 | 4歳 |
認識番号(逆)の順と年齢順が対応していることが分かります。主人公3人で言うと49118(レイ)⇒49122(ノーマン)⇒49136(エマ)の順で生まれたということになり、本作でもレイの誕生日は一番早く訪れるので、GFハウスの認識番号は「逆から読むように振られている」というのは濃厚と言えそうです。
認識番号が連番ではない理由
認識番号が「逆さ」に振られていると仮定して、気になる点があります。
- GFハウスにいる子どもたちに「連番」がいない
- グレイス・フィールドに過去に4万9千人もの食用児がいたのか?
1.GFハウスにいる子どもたちに「連番」がいない
ここでも第4巻で描かれたレイの新生児期の記憶がヒントとなりそうです。原作には
「(新生児は)5人ごとに振り分けられ」
と記載されています。この「5人ごと」に振り分ける理由について考えたいと思います。「5つ」で想起されるのは「4つの高級農園+ラムダ7214」と「グレイス・フィールドのプラントの合計数」の2つです。このいずれかと「連番がいない」ことは関係していると考えられます。具体的に言うと新生児の時点で5人の連番ごとにどの農園(あるいはプラント)に行くか振り分けられるために、エマ達のいるGFハウス内に連番は発生しない。という仮説がたてられます。
まず最初に、「4つの高級農園+ラムダ7214」の仮説。この仮説には疑問があります。それは4つの高級農園ごとに異なる認識番号を使用しているということ。第8巻~第9巻でも描かれた通り、グランド=ヴァレー農園は「アルファベット2文字・数字3文字・数字3文字」で、グローリー=ベル農園は「アルファベット3文字・数字1文字・アルファベット1文字・数字1文字」という組み合わせになっているようです。以上の事実から、おそらく「4つの高級農園+ラムダ7214」に5人ごとに振り分けられているというのは誤りの可能性が高いです。
そしてもう一つの「GFハウス内のプラントの合計数」の仮説。第4巻で描かれた通り、グレイス・フィールドは5つのプラントによって形成されている可能性が高いです。そうであれば「(新生児は)5人ごとに振り分ける」=「グレイス・フィールド内のプラントにそれぞれ振り分ける」と合致しそうです。この仮説が正しければ、グレイス・フィールドの第3プラント(エマやノーマンたちのプラント)内に連番が発生していないことに理由が付きます。レイの隣に生まれた新生児は、グレイス・フィールドの別のプラントに振り分けられた、という事ですね。
2.グレイス・フィールドに過去に4万9千人もの食用児がいたのか?
鬼と人間が交わした「約束」が1000年前ですから、現在の食用児が生まれるペースを元に、この食用児の人数が妥当なのか計算できそうです。
【クローネ⇔エマを基準にした計算】
クローネとエマは15歳差。クローネの認識番号(逆)48681とエマの認識番号(逆)49136の差は455。つまり15年で455人、1年に直すと30.33人の食用児が生まれていることになります。年間30.33人の1000年分ですから、30,333人。このペースで試算した場合、エマたちの49,000番台(49,000人)という数字は少し多いように感じます。
【イザベラ⇔フィルを基準にした計算】
イザベラとフィルで同様の計算をすると年間29.85人の食用児が生まれる計算になりました。1000年で29,851人と、クローネ⇔エマの計算と近い数字になりました。
以上から推測できることは、「直近30年はグレイス・フィールドの食用児の生産ペースが年間30人程度で安定しているが、大昔は大量に食用児を生産していた。」というのが有力と考えます。あるいは、昔は技術的な問題で食用児生産に失敗が多かったが、今は安定しているという可能性もありそうです。
ラムダ7214の謎
現時点では謎多き「ラムダ7214」。まず、第12巻時点で分かっていることをまとめます。
- ウィリアム・ミネルヴァが残してくれた情報によると、2031年時点では「西の果てに建設予定の試験農園」。
- 2046年現在では既に建設されている。ノーマンが収容されて、GFハウスより高度なテストを受けている。
- ピーター・ラートリーが研究に使用しているとみられる。
- ゴールディ・ポンドのアダムはラムダ7214出身。言葉があまり理解できないが、レウウィスを投げ飛ばすほどの力を持つ。
- レウウィス曰く、アダムは「試食品」らしい。
- ラムダ7214にはバイヨン卿が出資している。
- ラムダ7214出身者には認識番号が無い。
- 人間の他に鬼も収容している。
- 「Λ(ラムダ)計画」という名前の計画があり、エマ・レイを始めとするシェルターの子供たちは、計画の概要を知っている
第11巻で、ラムダ7214に関する情報がアップデートされました。まず、ラムダ7214にはバイヨン卿が出資していること。そしてアダムは「試食品」として生まれた食用児だということです。レウウィスがアダムに投げ飛ばされた後に「22…」と意味深に考えていたため、アダムは「22」と関係する食用児なのかもしれません。例えばラムダ7214の22番目の食用児、など。
ラムダ7214はどのような農園なのでしょうか?ピーター・ラートリーは「研究」という言葉を使用しているため、これまでの食用児の生産方法とは異なる生産方法を研究している場所だと推測することが出来ます。例えば、「クローンのように人間を量産する」といったことや「特上ランクの食用児の量産」、アダムのように「特異な力を持った食用児」を作る研究など。
気になるのはアダムと一緒に鬼が収容されていたこと。ここは人間を量産するだけの施設ではなさそうです。人間であるピーター・ラートリーが鬼を量産するメリットはなかなか見当たりませんが、もしかすると鬼との戦争用兵器として実験しているものなのかもしれません。
また、第11巻でラムダ7214に収容されているノーマンが怒りに満ちた表情をしていることも気にかかります。その視線の先にはピーター・ラートリーとケースに入れられた6人の食用児。これは推測に過ぎませんが、ケースに入れられた食用児が全員金髪であることから、彼らはノーマンのクローンを作るという実験で生み出された食用児という可能性があるのではないかと推測します。そうであればノーマンの怒りに満ちた表情も合点がいきます。
ノーマンはこの施設から脱獄しなければいけませんから、ノーマンの脱獄タイミングでこの施設の目的が分かりそうです。
※2019/8/7追記
ラムダ7214から脱獄したノーマンにより第14巻で農場の目的が明らかになりました。
未だ具体的な実験内容などの詳細は不明であり、今後の展開に大きな影響を与えることが予想されます。
第15巻時点で分かっていること。
- 多種多様な高級肉、質の良い量産肉を生み出すための試験農園である
- 繰り返される投薬と品種改良の過程で、筋肉・神経系・感覚に異常な発達、変則的成長を見せる個体が予期せず発生することがある
- ラムダ7214系列の量産型農場も運用されている
「多種多様な高級肉、質の良い量産肉を生み出すため」という事を考えるとクローンの線は大いにありそうです。
※2020/3/18追記
すでに第15巻でバーバラが発作を起こす描写がありましたが、ラムダ出身者の試験役による薬害がかなり深刻であることが明らかになっています。
7つの壁の謎
「7つの壁」について分かっていることは以下です。
- エマの望む未来に繋がる(鬼と人間の戦争を起こすわけでなく、秘密裏に子どもたちを逃がすわけでもない)
- ミネルヴァの残したペンに「7つの壁」に関する情報が残されている
- ミネルヴァ含め、誰一人七つの壁にはたどり着いていない
- 七つの壁を超えた先に「■(謎の文字・おそらく鬼側のラスボス的存在)」がいる。彼と新たな”約束”を結ぶことで鬼のいない世界へ安全に逃げられるかもしれない。
現時点で7つの壁に関する情報は以上です。ただし、エマはミネルヴァから電話で「7つの壁を見つけること」を推されましたし、ムジカからも別れ際に「7つの壁を探しなさい」と言われるなど、どうやら多くの人にとっての悲願であるが、誰も到達できなかったのが「7つの壁」のようです。また、「■(謎の文字)」と新たな約束を結ぶことで全食用児を解放できる可能性があるようです。この情報から、まずは「7つの壁」を探すことが『約束のネバーランド』の旅の目的の1つになりそうです。
7つの壁=ネバーランド?
ミネルヴァの残したメッセージによれば、「7つの壁」を探し、新たな”約束”を結ぶと、「鬼のいない世界」へ安全に逃げられるということです。「鬼のいない世界」とは、人間界を指すのでしょうか?それとも別の世界を指すのでしょうか?
ここで推したいのは、タイトルにもなっている「ネバーランド」説。ネバーランドとは『ピーターパン』に登場する、年を取らなくなった子どもたちが妖精とともに暮らす国のこと。7つの壁を探し新たな”約束”を結ぶと、人間の世界でもない、鬼の世界でもない、「ネバーランド」に繋がるのではないかという推測です。未だ「ネバーランド」という単語が作品に登場しないことも不自然ですし、ムジカが「約束は一つじゃない」と言っているシーンもあり、「鬼はネバーランドに行ってはいけないという約束」があるのではと推測します。もちろん、そもそも現在の箱庭状態の鬼の世界を「ネバーランド」と表現して、『約束のネバーランド』とネーミングしたのかもしれませんが…(笑)
7つの壁(情報更新)
第12巻で、「7つの壁」の情報が更新されました。
「クヴィティダラの竜の目」で「昼と夜」を探し、「北へ10里、東へ10里、南へ10里、西へ10里、天へ10里、地へ10里」、「砂の間で矢が止まり」、「日が東へ沈むとき」に壁が現れると記載されています。
この時点では謎は解かれませんが、エマやレイの中では既に謎が解けています。
※2019/8/7追記
第14巻のノーマンの台詞に、
大人になれない世界(ネバーランド)はもう終わり
とあります。
現時点では、
- 約束⇒1000年前に鬼と人との間で交わされた不可侵条約から人間の養殖が始まった
- 大人になれない⇒大人になる前に出荷されてしまう
の2点から、現在の食用児を取りまく環境を指してネバーランドと言って差し支え無さそうです。
今後、世界を変えようとするエマたちによって約束が結び直され、ネバーランドの意味が変わる時こそ本作のクライマックスになりそうです。
約束の代償「ごほうび」の謎
※2020/3/18追記
第16巻でエマはついに七つの壁を超えます。鬼の頂点「■(謎の文字・おそらく鬼側のラスボス的存在)」に出会い、約束を結び直すことに成功します。
七つの壁編クライマックスです。が、どうも雲行きが怪しい。なぜなら「約束」には「代償」が求められるからです。
エマが要求された「ごほうび」の内容とは
「■」がエマに要求した「ごほうび」は一体どのような内容なのでしょうか?
「”ごほうび”はね たいせつなものがいいよね」
「野望 欲望 渇望 もうらうなら あいての たいせつなものが いい」
「きみの───」
ここで終わっており、狼狽するエマの様子が描かれます。
さらに、約束を結び仲間の元へ戻ったエマに対してレイが放った、
「それで? ”ごほうび”は?」
という質問への回答、
「それも大丈夫だったよ 後で話すね!」
を聞いたレイは明らかに何かを察した様子です。
情報を整理していきましょう。
- エマは約束を結び直した
- つまり、エマは”ごほうび”という名の条件を飲んだ
- 履行はまだ止めてもらっている
で、間違いはないと思います。
エマが飲んだ条件ですから、レイは一定以上の信頼を置きつつ、しかしエマの態度に何か引っかかっているという状況です。
ここで、実際に約束が交わされた1000年前の”ごほうび”を振り返ってみます。
「世界をふたつに分けてほしい」と願ったユリウスとイヴェルク。
その願いを聞き入れた「■」は次のような”ごほうび”を要求します。
- イヴェルク(鬼側)に対しては
「そのとしに みのった いちばん いいおにくを ちょうだい」
- ユリウス(人間側)に対しては
「きみは いまから ”もんばん”だ」
これだけです。
願いを叶える代償の割に、極端な無理難題を強いている様には見えません。
しかし、イヴェルクは即答できず、ユリウスに至っては絶望に似た表情をしています。
なぜでしょうか。
それは「世界をふたつに分けてほしい」と願った理由にありそうです。
絶望の表情を浮かべたユリウスから見ていきます。
- 理由:終わりの見えない鬼との戦いを早く終わらせたい
- 理由:これ以上犠牲は出したくない
- 理由:もう疲れ果ててしまった
- 結果:終わりの見えない鬼との戦いを終わりにできる
- 結果:これ以上犠牲を出さなくてすむ
- 結果:鬼との関わりを絶って楽になれる
この辺りが、理由と「願った結果、手に入るもの」になるでしょう。
そうです。
「願い」はきっちり叶えますが、願いの本質、「願った結果、手に入るもの」から代償を奪うのです。
これが「■」の要求した”ごほうび”です。実に底意地が悪い(笑)
とはいえ、ユリウスは生贄を差し出して自分だけが救われようとしました。
約束の代償に命を求められる覚悟はする、という殊勝さは見せます。
しかし、犠牲はこりごりだと言いながら生贄は犠牲にカウントせず、最後には共に戦った仲間すら生贄にしました。
「■」はそんなユリウスを許さなかった。ともとれます。
イヴェルク側が要求された代償も同様です。
- 理由:争いや狩りの対象であった人間はいなくて良い。家畜としての人間だけを残したい。
- 理由:鬼社会で利権を独占したい
- 結果:家畜化した人間を管理・独占できる
- 結果:鬼社会での利権を確かなものにできる
という「願った結果、手に入るもの」から「いちばん いいおにく」が奪われました。
なるほど、「たいせつなもの」を要求されていたわけです。
この1000年前の結果を踏まえて、エマが要求された”ごほうび”を推測してみます。
エマの願いは、
「食用児全員で人間の世界へ行きたい」
「それを最後に二世界間の行き来を完全に不可能にして」
です。
前回同様、この約束は違わず履行されるでしょう。
また、レイを含め、子どもたち全員で考え抜いた描写がありますので、恐らく穴はないでしょう。
では次に、なぜこう願ったか、その理由と「願った結果、手に入るもの」を見ていきます。
- 理由:食用児全員を「鬼の食料」という立場から解放したい
- 理由:鬼を滅ぼすのは嫌だ
- 結果:人と鬼がお互いに干渉しあうことなく、家族も仲間も全食用児が笑って暮らせる未来
少し漠然としています。もう少し詳しく見ていきましょう。
15巻第128話の会話から、エマもノーマンも共通して手に入れたいのは、
「家族も仲間も 全食用児が笑って暮らせる未来」
です。
この「結果」が手に入らないならば、エマは”ごほうび”を受け入れないでしょう。
「いちばん いいおにくを ちょうだい」
のように一部を掠め取るのも難しい内容です。
そもそも、エマが望んだ約束が履行されただけでは「全食用児が笑って暮らせる未来」はやってこないかもしれません。
ノーマンの台詞で、
「人間の世界が安全で 受け入れてもらえるかもわからないのに?」
とあります。これはエマも十分に理解しています。
それでも、エマは「鬼を絶滅させず、鬼の世界から食用児全員で離れる」ことを最優先の目標にしています。
人間の世界が安全ならばそれで良し、ダメならばそこで打開策を検討するという考えです。
エマらしい、妥協しない、諦めない、スーパーポジティブシンキングですが、言ってしまえば「賭け」です。
手に入れたいものは明確ですが、手に入れる事が出来るかどうかはわからない。
エマのことだから何とかするだろう!を考慮しても条件を提示するのは意外と難しそうです。
となると、
「二世界間の行き来を完全に不可能にして」
の方で何かを要求されるのでしょうか?
行き来を完全に不可能にすることで得られるものは、
- 未来に起きうる鬼と人との戦争を回避する
ことが思い浮かびます。
エマは鬼世界の後始末をある程度つけていくつもりですから、食用児たちが特定の鬼から追撃を受けることを心配しているとは思いません。
ラートリー家が存続するならば、私怨からエマ達に何らかの敵対的行動を取る可能性はあります。が、調停役である彼らがそのような振る舞いをすれば「約束」の反故になりかねないのでこちらも無い気がします。
無論、それらのリスクを排除する意味合いはあると思いますが、鬼にとって人が食糧である事実に変わりはなく、人はご馳走らしいので、「食べなくても平気だけど食べたい」鬼はたくさんいると思われます。
やはり、何百年、何千年か先に同じ悲劇を繰り返す可能性を予め潰しておく、いわば予防策を打ったのではないでしょうか。
とすれば、
- 鬼の世界に人が、または、人の世界に鬼が混じってしまった状態で行き来が出来なくなる
が、考えうる最悪のパターンでしょうか。
いずれかの世界で種族間の争いや迫害が発生した場合、逃げ場が無い分、エマたちよりも悲惨です。
さすがにこのような結末を生む”ごほうび”も、エマは受け入れないでしょう。
こちらも抜け道はなさそうに見えます。さすがフルスコア。
ますます”ごほうび”の予測が難しくなりました(笑)
ここからは憶測、あるいは妄想ですが、エマと「■」自身に深く関係することではないか?という気がしています。
恐らくレイは、エマが何かを隠している、何かを気にしている、と感じていると思います。
にも関わらず、あの場で問いただすことはしませんでした。
すぐに王都に向かう必要があったというのがひとつ、もうひとつには、鬼の未来、食用児の未来に関わることでエマが妥協することはないと信じていたからではないでしょうか。
「■」は明らかにエマを待っていました。
エマが願いを口にした時に(表情はわかりませんが)会心の笑みを浮かべもしました。ニィッと……。
「■」が”ごほうび”を口にした後、昼と夜の世界の昼夜が反転します。これは何を意味するのでしょう。
もうここから先は、座して本編を待ちたいと思います。
まだまだ物語が二転三転しそうな気配です。
レイの父親の謎
レイの母親はイザベラ(ママ)であることが判明しています。そこで気になるのは「レイの父親=イザベラの夫」の存在。作中では父親は描かれることがなく、イザベラが妊娠しているシーンのみ描かれます。ここで第6巻でソンジュがエマたちを「天然でない(=人工の人間)」という理由で食べなかったと語っていることが気になります。
飼育監であるママたちは、クローンのような技術か、あるいは人工授精のような医療技術を使用して子供を生むのかもしれません。また、グランマはイザベラのことを気に入っているような描写があったため、イザベラの夫(レイの父親)もネームバリューのある男性であると考えるのが自然です。もしかすると、ウィリアム・ミネルヴァがレイの父親なんていう可能性もあるのかもしれませんね。そう考えれば、ミネルヴァが懸命に送った食用児たちへのメッセージは、「自分の子供が食用児の中にいるから」という動機もあったのかも、なんていう想像も膨らみます。
『約束のネバーランド』は食用児の出自を明らかにしていませんので、現在判明している唯一の事実は「レイはイザベラのお腹の中にいた」ということのみ。レイとイザベラが遺伝子的に親子なのかすら分かりません。この辺の真相解明も楽しみの一つです。
飼育監(ママ)は出産を義務付けられている?
イザベラが出産をしているという事実が判明したため、当然他の飼育監たちも出産を経験している(あるいは義務付けられている)と考えられます。もちろんグランマやクローネも。GFハウスの子どもたちの中に、イザベラの他の子どもやクローネの子どもがいないとも限らないです。あるいは、グランマがイザベラを気に入っている所を見ると、もしかするとグランマとイザベラには親子関係があるのかもしれません。もしそうならば、グランマはレイの祖母ということになりますね。
食用児の親はママやシスター?
もう一つ疑問となるのが、レイ以外の食用児の出自です。ひとつ仮説として考えられるのは、食用児は全員飼育監(ママやシスター)から生まれているのではないか?ということ。もちろん年間30人程度の子供を飼育監からの出産だけで賄えるのかという疑問は残りますが、飼育監の数によっては可能だと考えます。レイはイザベラの胎内で育っていますが、生まれた直後に他の子供達と同様にナンバリング・仕分けをされています。飼育監は出産直後に子供と引き離され、自分の子供が誰なのか分からなくなる仕組みのようです。
例えばクローネについても、GFハウス内で知らず知らずに自分の子どもと再会していた可能性もありますね。イザベラとレイは「肌の色・髪の色が同じ」という外見上の共通点があるので、「同じ肌の色・髪の色の子供と飼育監」は親子関係である可能性があるということも言えるかもしれません。
鬼の言語と宗教、ラスボスの謎
次の謎は鬼の言語について。鬼は基本的には人間の言葉を話します。しかし、第6巻のムジカとソンジュの会話で、ムジカが以下の「鬼独自の言語」を話しています。
▲▲▲▲▲▲▲▲※謎の文字
(なら、どうして全てを教えていあげないの?)
基本的には2人で話す場合も人間の言葉をメインに使用しているように見えますので、「鬼独自の言語」を使用する時にはそれなりの理由があるのでしょう。
鬼独自の言語と宗教は関係がある?
気になる点は、「鬼独自の言語」はムジカしか使っていない点です。バイヨン卿もレウウィスも人間の言葉しか話しません。ここに関係している可能性があるのが、ムジカとソンジュの宗教です。ムジカとソンジュは『原初信仰』の教義上、エマたちを食べないとしています。
「鬼独自の言語」は、この『原初信仰』と関係があるのでしょうか。ムジカ・ソンジュは鬼の中の先住民的な存在で、鬼の起源の言葉なのかもしれません。
ラスボスの鬼
第1巻の最後のページで使われている
それは■(謎の文字)も さぞお喜びになろう
ぬかるなよ。■(謎の文字)の御膳は特別なのだ
というのは、「鬼独自の言語」というよりも「特定の鬼の名前」を指していると思われます。ソンジュも第6巻でこの鬼の名前を口にしていますし、第11巻ではこの鬼が「全ての鬼の頂点に立つ存在」と記載されています。
彼がおそらく『約束のネバーランド』のラスボス的存在であることが推測できます。彼との新たな”約束”の交渉がある程度上手くいくという算段もエマとレイは持っているようです。それに関わってくるのは「もう一つの”約束”」。現時点では明らかになっていません。
※ラスボスの鬼については第12巻で情報がアップデートされました。アップデートされたのはその「姿」。足の形状が人間ではなく鬼の形状と似ていたことから、鬼の種族であることは間違いなさそうです。かなり小柄で、これまでに描写された鬼というよりは神様?のような雰囲気です。
邪血の少女の謎
※2019/8/7追記
第14巻で明かされた新しい謎、邪血の少女について。
その鬼は生まれて一度も人間を食べたことがない
人を食べなくても人型の形質と知能を保てる超特異個体
とあります。
エマたちがGF農園から脱獄した後にムジカとソンジュに出会っていた段階では人を食べないことの特異さはわかりませんでしたが、鬼にとっては個の存続に関わる一大事。
現在の鬼世界の支配体制を根底から覆しかねない為、王家と五摂家は邪血の少女の一族を皆殺しにしています。
ここまでのムジカとソンジュの情報を整理すると、
以上のことから、ムジカが「邪血の少女」あるいはその一族で、王家・五摂家からの追っ手がかかっている為に旅を続けていると考えて良さそうです。
そもそも鬼という存在自体、不明な点が多いですが、邪血の少女がどのような存在なのか考察してみようと思います。
人間的な形質を初めから備えており、ヒト遺伝子の補給が必要ない邪血の少女ですが、いずれかのタイミングで人間の遺伝子を取り込む必要があったと仮定すると、
- 鬼と人間の混血
- 遺伝子操作により人為的に生み出された
- 人を食べた鬼を先祖に持つ突然変異
といった可能性が考えられます。
まだ情報が少なく憶測の域を出ませんが他の謎と合わせて考えてみます。
鬼の宗教「原初信仰」
”約束”以前、1000年以上前ならば別ですが、現時点では邪血の少女の一族か、彼女の血を飲んだ者以外に信者がいるとは考えにくい。
人並の知性がなければ宗教を信仰することは難しく、人を食べる鬼であれば知性はありますが、人を食べた時点で教義に反しているからです。
神が実在しているかは謎ですが、邪血の少女の一族に信仰され得る上位の存在であれば、邪血の少女の出生に関わっていても不思議ではありません。
ラムダ7214
ラムダ7214の運営者ピーター・ラートリーは現支配体制に近い側の人間です。
邪血の少女の存在が確認されたのは700年前ですし、ラムダが直接邪血の少女の誕生に関わっているとは思いません。
ですが、鬼も研究対象のように見えますし、品種改良であれば遺伝子操作も行っている可能性があります。
邪血の少女が人為的に生み出されたのであれば何かしらヒントが隠れているかもしれません。また、ピーター・ラートリーは鬼に対しても何かを隠しているように見えます。
世界が一つだった頃、狩られる側だった人間が鬼を狩る力をつけていった
実際の私たち人間の進化の歴史を振り返れば、鬼に有効な武器を手にしたと考えるのが妥当です。
ですが鬼にも知性があり武器も防具も持っている。ならば人間も鬼のような力を手にしたいと考えるのが自然です。
世界を分ける”約束”が取り交わされたのが1000年前。邪血の少女の存在が確認されたのが700年前ですからこちらも直接の関わりは無さそうです。
しかし、その頃に鬼の力を取り込もうとした人間の計画が何か関係している可能性もあるのではないでしょうか。
天才少年?フィルの謎
これは少しライトな謎です。3人の主人公以外で最も賢いキャラクターといえば4歳児のフィル。
- ウィリアム・ミネルヴァのモールス符号を解読する
- レイの引き出しを漁っているクローネ(シスター)に勘付く
- 農園の真実を伝えられた時に「やっぱり…そうだったんだね」と言う
- テストの成績も200点を超える優秀さ
4歳児ながら圧巻の勘の良さや賢さを見せてくれます。もしかすると、今後の話のキーを握る存在かもしれません。第1巻・第2巻の表紙で、主役の3人の他にフィルだけがこちらを向いてるのも気になりませんか?
フィルとエマは同じ遺伝子?
これは非常に確度の低い推測ですが、フィルとエマには同じ遺伝子が組み込まれている可能性があると考えています。根拠は第2巻の9話と10話の間にある子どもたちの紹介で、以下3名だけ、このような記載があります。
- フィル:エマ大好き
- シェリー:ノーマン大好き
- マーニャ:ママ大好き
前述の通り、食用児たちの父は不明で人工授精のようなことをしていると考えるならば、父親の遺伝子は子どもたちの間で共通している可能性があります。「フィルは父親の遺伝子がエマと同じ」「シェリーは父親の遺伝子がノーマンと同じ」「マーニャは父親の遺伝子がイザベラと同じ」ということの暗示なのかと深読みしています。これは都市伝説レベルに確度の低い推測です(笑)。
最後に
いかがでしたか?週刊少年ジャンプ連載の作品としては異例の超本格ファンタジー・サスペンス作品である『約束のネバーランド』。エマたちの命をかけた冒険や謎解きに、これからも期待が膨らみます。ぶくまるではこのような考察記事も定期的にUPしますので、ぜひチェックしてみてください。
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