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映画監督・女優になりたい!『映画大好きポンポさん』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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こんにちは、鷹野凌です。今回は『映画大好きポンポさん』をレビューします。著者は杉谷庄吾【人間プラモ】さん。以前レビューした『木根さんの1人でキネマ』は映画を観るのが大好きな人の話でしたが、本作はクリエイター、つまり映画を撮る・演る側の人の話です。映画好きな人はもちろん、創作をしている人にもオススメな作品です。

本作はもともとpixivへの投稿作品で、またたくまに評判となり、pixivコミックのジーンピクシブへ掲載後、KADOKAWAのMFCジーンピクシブシリーズにて単行本化されました。マンガ大賞2018で10位に入賞しています。なお、実は第1巻に収録されている内容は、pixivへ投稿されたオリジナル版も、ジーンピクシブ掲載版も、いまだにすべて無料で閲覧できます。と言っても、単行本には幕間にキャラクター解説があったり、巻末にスペシャルコンテンツが収録されているなどの違いがあるので、より作品世界を楽しみたい人は単行本も読むべきです。

■ pixivへ投稿されたオリジナル版

■ ジーンピクシブ掲載版

作品紹介

映画大好きポンポさん

『映画大好きポンポさん』 1~2巻 杉谷庄吾【人間プラモ】 / KADOKAWA / メディアファクトリー

作品内容

ポンポさんは敏腕映画プロデューサー。映画の都ニャリウッドで日夜映画製作に明け暮れていた。ある日アシスタントの“映画の虫”ジーンはポンポさんから突然「この脚本は君に撮ってもらうから」と監督に指名され!?

『映画大好きポンポさん』を試し読みする

夢を諦めなかった2人のサクセスストーリー

本作の舞台は映画の都・ハリウッド……ではなく、ニャリウッド。主人公は、タイトルにもなっている映画プロデューサーのポンポさん……と言いたいところなのですが、真の主人公は、ポンポさんのアシスタント・ジーン君です(断言)。

ポンポさんは外見年齢十代前半の少女ですが、ジーン君曰く「映画作りに必要な才能を全て持ち合わせている銀幕の申し子」という、超人的な存在。それに対しジーン君は、メモを取りながら映画を観ていたらノートが100冊を超えてしまったという異様なほどの映画好きで、好きが高じて映画監督を目指しています。が、いまは弁当の買い出しや運転手など、ただの雑用係に過ぎません。

そして、もう1人の重要な登場人物が、ナタリー・ポートマン……ではなく、ナタリー・ウッドワード。女優になりたくて田舎から出てきたけど、バイト三昧でレッスンもろくにできず、オーディションには落ちまくりという存在。本作は、そんなジーン君とナタリーの立身伝。その2人を見いだし成功へと導くのが、敏腕プロデューサー・ポンポさんなのです。

是非、大画面で読んで欲しい!

本作では「見開き」表現が非常に効果的に使われているので、電子版を読む場合は大画面がオススメです。スマホではなく、タブレットもしくはPCのブラウザビューアで読んで欲しいと思います。きっと、ジーン君やポンポさんが作中で感じたような、これは! という背筋がゾクゾクするような感動が味わえるはずです。演出効果って、すごいなあ。

なお本作は、1巻1冊でキレイに完結しているのですが、2018年9月27日に第2巻が発売。“なんで映画の続編「PART2」って名作が多いんだろう?”という、ちょっとメタな内容ですが、第1巻に負けず劣らず「すごい!」とうならされます。雑誌連載の収録ではなく、全編描きおろしです。そしてなんとアニメ化企画も進行中。また、スピンオフ作品の『映画大好きフランちゃん NYALLYWOOD STUDIOS SERIES』は、ジーンピクシブで月1更新の連載中です。

関連ページ

『映画大好きポンポさん』が映画になっるぞー! pixiv発の話題作をチェック!

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