名称未設定さんのレビュー一覧
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礼讚か、無意味さを訴えるものか
【2019/7/31】
ハインラインものは何冊目かです。今、SFがとても読みたい時期で、その流れでとても楽しめました。空想科学的な設定を活かして、戦争と、それに巻き込まれる若者とが活写される作品です。1959年当時、刊行された後、ベトナム戦争礼賛だ、宗旨替えだとハインラインは避難されたそうですが、これがそうなら、1987年製作の「フルメタルジャケット」だってそういわれるべきでしょう。
作品は、主人公の一人称視点で展開されますが、周囲のものとの会話、それ以上に独白が多く、また、そのテンションが高いというのが特徴です。音で聞かせる文学作品ですね。映画化されるなら、クエンティン・タランティーノが監督 -
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人物で歴史を切りとる小品
歴史をたどることに興味を持ちまして、地域史は閉鎖系ではないのだから、どこかしら響き合うものもあるのではなど思い、遠く離れたスペインに関する書物を手に取りました。タイトルだけで選びましたら、6名の、それぞれの分野ではつとに有名な人たちが取りあげられていて、この本を読んだから新しいものが紐解かれるというわけでもないようでしたが、この機会でもなければ触れることもなかっただろうと思いました。
女王フアナ(打たれ弱いカルメン?)、インディオに対する植民政策に異を唱えた僧侶とか。このあたりが興味を惹かれたところです。僧侶の方はさらに読み続けてみたいなと。 -
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雨・闇・胸苦しさ
最果ての地、アイスランド🇮🇸から届いたミステリー。現場にしがみつき、昇進を拒む男エーレンデュレ捜査官を主人公に据えたシリーズ第4作目(らしい)。それが謎解きのキーになるのか!?ちょっと持ち込むにはムリっぽくないのか? 等とも感じましたが、アイスランドという特殊な背景においては成り立つという。しかし、そのキーが成立するには、昔かたぎというのか、あまり語ること・説明することを得意としない、と同時に嗅覚・感性を疎かにしない、執拗な(疑問を放置しない)姿勢を持つ主人公がそこにいたからという奇跡になるのかなーーー。主人公の子どもたちがどうしようもない状況に置かれていたり、登場人物の痛ましい過去に紙幅を割
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安定のダン・ブラウン
シンプルなエンターテイメントが読みたいと思い手に取った一冊。ダン・ブラウンものはまだ2冊目。「ダヴィンチコード」以来でした。ストレスなく読了し、とても面白かったが、これは一晩のうちに起きたことなのか!?という驚きの短期決戦でして、このために謎が謎を呼ぶというより、複数の謎がエンディング前に交点を結ぶという格好でした。内容としては知的エンターテイメントと呼ぶに相応しい、謎解きの背景に、昨今のAiの進化(深化?)、宗教からの科学弾圧の歴史(人間の愚昧さ?)を配置して、大きな対立構造に巻き込まれる主人公たちを演出しています。アメリカの知識人たちが好み、話題にしていそうな“人類のその先”の話とかも。「
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途中にて終了ーー
“内戦”という点から日本史を振り返ろうとする試みのようですが、著者の語る「古代戦うことは珍しく交渉ごとが多かった」という視点は余りにも突然で、根拠に乏しく、読み進めるにはツラくなる。また、他人の書いた資料をもとに論立てするのも頂けません。いわば、とある国に行ってもいないのに、とある国に行った旅行者のブログや、とある国に関する特集番組を見て、それらだけから風土記を画くようなものです。もちろん、序章においてそれらに触れることで得た“仮説”を呈示し、以後、一次資料・二次資料に当たりながら仮説を検証していくということであれば真っ当なのですが、ただただ突然に現れた仮説と、「あの先生たちはこう言っている」
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2SD超えたところの才能
徹底的な人物について、呆れ、驚き、感動したいならこの一冊。圧巻!
どの時代にも「こいつは本物だ!」という人物はいて、その本物感はほとんど常軌を逸していると感じさせるもので、その人の立つ地平線自体、スケール感がちがっていて、自分の卑小さをいや増して感じるために、ずっと追い続けるか、目を背け背中を向けて生きるしかない感覚に襲われてしまいます。
有能なジャーナリスト(作者)に取材の対象として選ばれ、丹念にこれまた膨大な量の一次資料を辿られ、18世紀に生きた外科医(とは簡単に括れませんが)の生き様が吐く息を感じられる濃度で筆写されています。当時のイギリスの世相ならびに常識、医療水準がとてもよく伝わって -
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出だしよさそうです!
7月6日から読み始め、9日の未明に読み終えました。読み終えたのは旅の始まり、沖縄の空の下にて。
SFですが、あまりファンタジックではなく、一人の少年が体験する開拓地での闘いの日々。最後、大団円に向けて急にジュブナイル的というか、ファンタジーになりますが、そこまでは「大草原の小さな家」。執筆された1950年という時期を考えると、政府組織への怒り(政府は適当にしか考えていない!)、独立独歩の精神(これぞアメリカ!)、隣人愛(世界はもっと汚いものにも思えますが・・・)などを透かして見てしまいます。
原題は A farmer in the sky.
アメリカという国の若々しさも反映したものに感じます。 -
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必死で読み終えました!
出会いは中学生の時分。クラスで話題になっていた第1巻・第2巻。思春期テイスト濃厚な作品で、ヤクモとパイの旅路にわくわくしたものでした。時は流れ、巻数を重ね、なかなか話が進まんなぁと思ううちに買うのが途絶えた15巻以降。2002年には完結していたらしい。
かつて恋したあの作品はどうなったのだろうかと思い立ち購入した超合本。表紙以外は完全白黒でした。そして、少しずつ話は進むのだけど、水戸黄門のように予定調和の繰り返しで、登場人物も膨らんでいき、何度投げ出そうかと思う展開にもめげず到達した最終話。
終盤、超破壊展開なので、大ゴマ連発にてさらに展開が重くなるというおまけ付きでしたが、やってくれ