@甘味好きさんのレビュー一覧

平穏に過ごせない森若さん

4エピソードの中では最後が一番印象に残りました。同じ経理部の先輩社員が取引先からのリベート着服の持つ意味を重々承知していながらも、森若さんにその社員を追求しないよう訴えます。その彼は営業部員で親友であり恩人でもありますが、当該行為は業務上の横領にあたり当然許されません。その先輩社員が自分の立場を危うくしてまで友人を救おうとするところには一種の男気を感じました。他ではコーヒーメーカーに絡む女性社員の確執が面白かったですね。女性の嫉妬の恐ろしさを垣間見れました。

経理部を通じた人間模様

社内の経理業務を通じた人間模様のお話。4つのエピソードで気に入ったのは2つ目のエピソード。受付の女性がイレギュラーな事をする話で、彼女を糾弾する一方で森若さんやその周りの人々の温かさが彼女が新天地で元気に働く結果になり心温まる内容でした。お仕事小説は初読みですがこの作品は続きを追いたいですね。女性向けレーベルの小説ですが男性でも楽しく読める作品です。

雛に芽生え始めた本当の気持ち

大喜の千夏(表紙左)への恋心を応援したいのに本音は...。彼の親友の蝶野雛(表紙右)が二人の関係に揺れ動く繊細な描写が秀逸でした。大喜と千夏がIHを目標にして築いた絆を思い零れた涙こそ、自分が彼との関係で千夏に負けている事への悔しさに違いありません。新体操の演技への違和感からも心に芽生えた感情に気付いている雛が大喜とどのように向き合っていくのか。この巻も引き続き物語を追いたくなる内容でした。

魔女が学ぶ人との絆

現代日本に転移した異世界の魔女サピテトルー(表紙左)が人の絆の大切さを学ぶ話です。"きらら系の漫画をラノベ化した作品"になるでしょうか。一條ゆのか(表紙右)の描写は漫画のようで、平易な文章も相俟って大変読みやすい作品でした。静岡の温泉について見識を深められる作品でもあります。

読者の捉え方に左右される作品

この作品は主人公と夏川愛華(表紙)の心境をト書きで綴りながら進む為、読み手により評価が大きく異なる作品です。愛華にベタ惚れだった主人公はある出来事を境にその恋が冷めてしまうのですが、恋が冷めた後も彼女の応援団として見守るという設定はなかなか面白く感じました。物語の情景や行間を楽しむのでなければ楽しめる作品です。

大人のラブコメ作品

アイドルを推す男性(新木吾朗)と元アイドル(山元美依奈)のお話。元アイドルの復活譚にラブコメを絡めた作品です。吾朗も美依奈も大人の為に、学生ラブコメのノリではなく静かに二人の関係が深まっていきます。大人同士のラブコメの為か恋敵や友人カップルは登場せず、二人の関係がメインになるところは大変好感が持てました。吾朗が喫煙者の為に随所にタバコの描写があり賛否がありますが、全体を通して大人の恋愛を描いた良作ラノベです。

別の未来を目指す元夫婦の物語

離婚直後に事故に巻き込まれた元夫婦が過去に転生するお話。現世で別れた原因を互いに知っているから、この世界ではそうならない(結婚しない)結末を求めていくのですが。最初はお互いを避けながらも再び惹かれ合い、二人が現世での過ちを繰り返さない未来を求めていく姿に大変心地よい読後感でした。タイムスリップした為に当然彼らを知る同級生も登場しますが、あくまで元妻 鯉川柚花(表紙中央)と元夫 黒瀬航平のやり取りで進みます。

甘えたがりな女性のお話

日比谷沙由(表紙)が子供の頃に貰った「なんでも言うコト聞く券」で幼馴染に交際を求める話。子供時代の思いつきを大人になっても使えるとしたのは少々強引な設定に感じる。二人の障害として幼馴染の妹が登場するが、言動から相当に不快感を感じるキャラであった。甘々なラブコメ作品というには少々物足りないか。

10年の持つ意味合い

成長した少女たち(元クソガキ)と幼馴染の男性のラブコメ。春山未夜(表紙)は、幼馴染の有月勇が10年ぶりに戻ると知り胸躍らせるが当の勇は自分の事に全く気付かず、悪戯心から自分の名前当てゲームを勇にけしかけます。同じく一緒に遊んだ友達(龍石真昼)の事はすぐに気付いたのに自分の事は気付かない。"小さいの頃の未夜→ギャル風の女性に成長"という勇の認識が原因なのですが、"子供にとっての10年"が齎す変化を上手く活用した作品になりますね。
1巻では主人公の有月勇が未夜や真昼に惹かれていく描写は殆どありません。社会人とJKという年齢差の為でしょうが、ラブコメとして少し...続きを読む物足りない感がありました。

男性でも楽しめる少女マンガ

精霊魔法が使えない女性が国を旅立つ話。少女漫画特有の作風だが普通に異世界ものとして読める。自ら国を出た主人公に隠された魔力があり、今後彼女がそれを巡る争いに巻き込まれていくのだろうか？少女漫画のカテゴリーだが男性でも楽しめる作品だろう。作画も良い。

斬新な視点

無料分は二人の出会いが描かれておりラブコメの要素はあまり感じられなかった。むらさめ先生がみなみに振り回されていたが、みなみも彼に何かしらの感情があるから接触したように思えてならない。VTuberとして仮面を被る女性の光と影を描く作品なのだろう。

こういう関係も悪くないかな

押しかけ女子高生とくたびれ会社員の同居ラブコメ。ヒロインの白鳥葵(表紙)が小さい頃にお世話になった男性(天江雄也)に
尽くすお話で、彼女の"結婚を前提として同居"の想いから大変甘い内容です。
この作品の特徴として、照れ隠しの為に「...、ばか」と言う台詞が多数あります。言葉の最後にこの台詞を付ける事で葵が心底雄也に惚れている様を強く感じ取れました。この台詞とイラストが相俟って彼女の可愛さを一層引き立てています。
他方、大切な葵の為に自堕落な生活を少しずつ変えていく雄也にはピュアなものを感じましたね。好きな人の為に頑張れるのは女性より男性の方が顕著なのかもしれません。

押しかけ彼女と同居生活

同名小説(既刊4巻)のコミカライズです。大学生と高校生のラブコメで宮前朱莉(表紙)の押しかけから始まります。タイトルに借金のカタとありますがそれは口実で、同じ高校を卒業した白木求(兄の友人)の事が忘れられない(大好きな)朱莉が同居を通じて想いを伝えようとする、そんなお話です。
原作未読ですが、金子こがね先生の描く朱莉の作画が大変可愛らしく購入を決めました。押しかけという経緯から朱莉が求に尽くす大変甘い内容で、こんなシチュエーションを想像しながら読むとより楽しめるのではないでしょうか。

ほのぼのとした異世界もの

同名小説(全6巻)のコミカライズです。RPGのアトリエシリーズを漫画化したという印象ですね。異世界ものの作品は殆ど読んでおらず、読んだ作品では主人公の虐げられる境遇に後味の悪さを感じていましたが、この作品は主人公デイジーを家族が温かく支えており最後まで安心して読めました。同じ転生ものでも、なろう系によく見られる"現代から異世界への転生"ではない点も好感が持てます。ほのぼの系異世界ものとして心地よい読後感でした。

切り開いた将棋の未来

この巻の対局は天衣v.s祭神雷・八一v.s歩夢・あいv.s天衣の3局。どれも引き込まれましたが、八一v.s歩夢の対局が一番熱かったですね。八一がスパコンとの対局で辿り着いた将棋の結論(相入玉)を否定し、最後まで抗い勝利を掴んだ歩夢が大変輝いていました。入玉による勝利宣言はゴッドコルドレンの真名に相応しいセリフです。
あいv.s天衣は予想された結果になりますが、対局後の二人のやり取りで天衣が救われた感があります。天衣が対局の原点は人間である事をこの一局から再認識し、"良きライバルであり親友"としてあいを認めた事で二人の絆が深まりました。
ラストであいの体の不調が明らかになりま...続きを読むす。命に関わるものではなさそうですが。あい・天衣ともに将棋を捨てるような展開にならないと思いますが次巻が非常に気になります。

脚本から始まる偽装カップル

文系と理系の思考の違いをテーマにした高校生ラブコメですが、この違いによる男女間の対立というより"脚本通りに偽装カップルを演じる事"が物語の軸になります。この作品の主人公(広尾流星,東福寺珠季)はともに演劇部で、文系クラスと理系クラスの学年1位として互いを認め合いライバル視する関係ですが、偽装ながらもカップルを演じる事で互いを意識し始めていく様を楽しみながら読みましたね。校内では脚本通りに演じる事で騙せる二人の関係も演劇部の下級生(有崎紫燕)と流星の幼馴染(南山瑠璃)には見破られてしまい、特に紫燕は嘘と知っていながらもこの二人が親密になるよう画策していて目端が利く脇役でした。...続きを読む表面は大人びていても実際はウブというのがこの手のラブコメの定番で、作中終盤、二人が枝に結んだリボンに同じ趣旨の事が書かれていた(素直になりたい)のは大変微笑ましかったです。この巻で纏まっていますが続刊があるようならこの二人の関係の進展を見たいですね。

料理が紡ぐ新米姉妹の絆

義理の姉妹が料理を通じて絆を深めるお話。明るく活発なサチと大人しく人見知りなあやりはスローループでの小春とひよりを彷彿させ、この作品がスローループの料理版と強く感じました(スローループは後発の作品になります)。料理については若干手の込んだものもありますが蘊蓄を強調する事はなく、あくまで姉妹の絆を深めるものとして描かれています。最初ぎこちなかったサチとあやりが一緒に料理する事で少しずつ打ち解けていく姿は大変心地よいものでした。

将棋に魅せられた吸血鬼

現代に生きる吸血鬼の月山元一郎が将棋で人間に勝負を挑むお話。吸血鬼が人間社会に溶け込んでおり、その中で出会った将棋の魅力に惹かれ長年研鑽を重ねた、という設定は非常に斬新です。そして、その彼が自らも通う町の将棋道場の為にタイトル戦に参加するのだから、こんな人情味ある吸血鬼は他にあり得ないでしょう。もちろん、吸血鬼という設定は作中でも活かされており、昼間の活動では著しく体力を消耗するとウイークポイントを持ち合わせています。年月を経て培われた彼の棋力は相当のものですが、決してそれを過信することなく才能を兼ね備えたプロ棋士を尊敬し、彼らとの対局を楽しむ姿は大変好感が持てました。将棋の定石や戦術の記載は...続きを読む少なく対局の流れで物語を魅せる将棋漫画です。

清涼感のある恋愛マンガ

作画が気に入り試し読みしたところ内容も大変気に入りました。スポーツを絡めた一つ年上の先輩女子と後輩男子の恋愛ものになります。主人公の猪股大喜は好きな女性と肩を並べられる男になる為に部活動(バドミントン)でのインターハイ出場を決意しますが、年齢関係なしに恋心を力にして何かに打ち込む姿は大いに好感が持てます。このような作品が少年ジャンプに掲載されている事に時代の変化を感じますね。この物語を引き続き追っていきたいです。