ロビラビさんのレビュー一覧
レビュアー
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まだ残り火を感じれたから
漫画家の漫画力というものにいささか疑念があった。そうはいってもトレースでも表現は可能だとかモノマネでも情熱も真似られればそれは同じ、と。
まるで知ったつもりになって軽く見ていていたのかも知れない…こうしてまざまざと三浦氏不在のままの刊行を通して改めて「漫画家とは何か?描くとは何か?表現するって何か?」そういうものを打ちひしがれる程に思い知らされた。三浦氏の剣戟アクションはごまかさない、物語の芯であることを自覚し剣を振るうと何処で剣先が止まるか?切り返しの剣筋はどこか?まるでガッツのようによくよく研究されていた。鬼気迫る描写も少女達のあどけなさもどこか薄味で、遠い背景の深奥には力不足の嘆きや寂寥...続きを読む -
祝!アニメ化 9月29日金ロー
TVアニメ「葬送のフリーレン」
初回「葬送のフリーレン 初回2時間スペシャル ~旅立ちの章~」
2023年9月29日 21時より
日本テレビ系「金曜ロードショー」にて放送予定
黄金郷 最終回です。
葬送のフリーレンでは独自の魔物と怪物の解釈があります。花や葉っぱに擬態する昆虫のように捕食して繁殖するだけにみえる無機質な近縁種の魔物が、あるとき人間の形に模倣し野生動物が進化に進化を重ねるように"それら"はどこまでも人間によく似た人間にしかまるで見えない魔族となった。
それはまるで現代社会の事件や事故で誤って人の道を踏み外れてしまったひとたち共通の、何処か一般人からみたら大...続きを読む -
罪が生まれ時と消える時
長年この物語を、トルフィンの人生を見てきた。
トルフィンを通して僕らは生と死に振り回される人たちを何度も俯瞰しては"人が生きる意味"ということを考えさせられる。
着々と開拓が続く中、ちいさな実りに幸福を感じ、懸命に生きて貧しくも清々しい生の歩み。如何に他人より派手に着飾り自己承認と自己賛美のための見当違いな自己研鑽をし他人を罵り、争う。飽食しては腐らし捨てる世界とは程遠い、現代生活では感じ得ない清貧を数ページに渡って実感させてくれる。
血生臭く泥が跳ね人々の断末魔響く戦場からはじまったこの物語にとっては、サーガ史上初めて一番に長閑でそこにある何でも無い風景がとても平和的で幸...続きを読む -
尊くも儚く
やっと刊行されました。御遺族の皆様におかれましては心の底よりお悔やみ申し上げます。
正直な所、遅筆と読者も心得ているところではありますが
希望と未来という表と怨嗟と過去という裏をまるでクルクルと弾かれて舞うコインのように話数を重ねてきたこの光と闇の狭間の物語で、確かな成長と発展を刻みながらも歩むベルセルクの最期をいったいどう迎えさせてやるかということ。それは三浦先生も相当悩まれていたのではと感じいる所が有ります。
とはいえ、三浦先生の心残りといえば間違いなくベルセルクを完結しえなかったこととも思われるのです。
なんとしても遺産として残された制作陣には是非とも最後の最後まで走りきって頂きたく思...続きを読む -
重厚感も消し飛ぶほどの軽快さ
たった一つの世界観を繰り返し繰り返し焼き増し焼き増し、少し形を変えては読者には既視感を何度も与えてうなされた夏夢のようなストーリーテリングが弐瓶勉流。
重厚感たっぷりの重さとシビレるほどの硬質感で飛び立った飛行機は
航路を進むに連れて沢山の貨物を積みながら唐突に急加速し急上昇したかと思えば急降下して強硬着陸しボロボロのコックピットだけが残るのも また弐瓶勉流か。
悪い癖である。
しかし、なぜか読んでしまう。どうせまた同じ夢だ。と思いながらも、また手に取る。
そういう不思議な魅力が弐瓶勉 その人だ。
次回こそは、急旋回やアクロバットも観たい、ちゃんとした着陸を観たい。そう思った作品でした...続きを読む -
端的に言ってクソつまらない。
出版社が出版社だけに過激な描写ができなくなったのか。それとも、もうネタがつきたのか?はたまた異世界ほんわか日常系にでも転向したのか?一度注目されたからってあぐらをかいているのか?
迫力に欠ける、間延びしてる、茶番染みてる、構図も単調。まさにヤオイ。続きを書くためにただただ匂わせるだけ。
なにもかもすべてがヌルい。初心を忘れているにも程がある。
冒険者は明日にでも死ぬ。英雄譚の勇者のように華やかでもなく。素晴らしい志の中、仲間を守ってその仲間に見守れながら死ぬでもなく、まるでサイコロの出目ひとつで天国から地獄へ。栄光と名誉の日陰では恥辱、凌辱、絶望。相手がただの下級モンスター。
今日笑って出てい...続きを読む -
まるでSMの根幹を語るかのよう
これは続けようがあるのか?ダレテ飽きるのでは?という不安と疑問の中の続巻ということで。
巻を増すごとに勢いの増していく二人のアツいバトルはより苛烈さを極めていく感じで飽きさせなかったのはお見事でした。
烈火の如き性質の彼女がまた溢れる肢体に自分自身も熱に溶かされ身悶えし図らずも受け答えし酔ってしまう愛らしさとエロスはもとより
到底周囲の人間には理解しがたい歪な関係の中でしかお互いの本音を語れずまたその関係の中で深い相互理解を重ねていくことにも
読者側はとても心地のよい充足感を与えてくれています。
叩いて喜ぶ人、叩かれて喜ぶ人というお互いが自慰をしあうような関係性をSMと称する。
そんな勘違いし...続きを読む