取り戻せ、記憶と情熱! 圧倒的ハイスピード記憶喪失野球コメディ!
怒涛のギャグ爆笑の第一巻に油断した私、巻を追うごとに何度も熱いものがこみ上げるようになりました。
そんな本作の主人公は、天才バッテリーのキャッチャー「要 圭(かなめ けい)」。中学シニアで無双した有望選手でしたが、なんと記憶喪失に! 野球なんて知らん、と都立高校(※野球部なし)に進学します。そこには、「野球なんて二度としねえ」と覚悟した実力者がちらほらいて…。
誰にでも才能はある、そりゃそうだけど、それでも自分の上位互換はいくらでもいます。そんな残酷なスポーツの原則を突き付けながら、真の天才に打ちのめされた人間の再起が生々しく描かれます。運動部で常に弱かった私は、読みながら何度も目頭を押さえ、そして数ページ後には声をあげて笑ってしまいました。文字通り笑って泣けるマンガです。
天才がネットでいくらでも見つかる現代、今こそ読んでほしい才能と情熱の物語です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
帝徳戦。無名初参加からじわじわと気になる都立・小手指に。結構リアル。子ども時代から智将の記憶。忘却の理由。はるちゃんのために野球の勉強。ぜったいノート。
すごく真面目な野球マンガなイメージだけど、ここまでかなりギャグ多め。緩急差。
Posted by ブクログ
ぜったいノートの秘密が明かされる9巻である。
予選準決勝の帝徳戦が幕を開け、ゲームの動きはスリリングながら大変面白いものになっている。
にもかかわらず、最もスリルがあるのが巻末の過去の物語というのだからたまげる他ない。
リアル極まりない「ご近所さんの家で同年代同士の子供を遊ばせる母親同士」の描写はさておき、そこから始まった清峰と要の二人の関係を描く過去話。
63話の演出からしてホラーだが、64話の恐怖は筆舌に尽くしがたい。
改めて述べるまでもなく、無責任な周りによって「殺されてしまった」だろう才能は枚挙にいとまがないだろう。
だが、ここまで如実に、それも小学生だっただろう彼に突き付けられた現実は、ただただ恐ろしい。
天才に見える人も、ただ必死に「もっと上の天才」に並ぼうと努力しているだけに過ぎない。
おそらく現実には、もっと上の天才の上に「もっともっと上の天才」がいる。
かくも辛きは勝負の世界なるかな、と。
それが、言ってもまだ幼い14歳頃の彼が引き受けている現実なのだと思うとまた胸に響くものがある。
野球模様も面白かったのに、それ以上に巻末が圧倒的だった。
本当にみかわ絵子さんの描く物語には圧倒されるほかない。
素晴らしかった。文句なしに星五つ、可能なら星六つくらいで評価したい巻である。