取り戻せ、記憶と情熱! 圧倒的ハイスピード記憶喪失野球コメディ!
怒涛のギャグ爆笑の第一巻に油断した私、巻を追うごとに何度も熱いものがこみ上げるようになりました。
そんな本作の主人公は、天才バッテリーのキャッチャー「要 圭(かなめ けい)」。中学シニアで無双した有望選手でしたが、なんと記憶喪失に! 野球なんて知らん、と都立高校(※野球部なし)に進学します。そこには、「野球なんて二度としねえ」と覚悟した実力者がちらほらいて…。
誰にでも才能はある、そりゃそうだけど、それでも自分の上位互換はいくらでもいます。そんな残酷なスポーツの原則を突き付けながら、真の天才に打ちのめされた人間の再起が生々しく描かれます。運動部で常に弱かった私は、読みながら何度も目頭を押さえ、そして数ページ後には声をあげて笑ってしまいました。文字通り笑って泣けるマンガです。
天才がネットでいくらでも見つかる現代、今こそ読んでほしい才能と情熱の物語です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
クソみたいな先輩二人の名前がついに判明する6巻である。
一応記載しておくと、細いヤンキーっぽい青春に憧れが強い方が楠田で、ガタイの良いそこそこ人は良さそうな方が御手洗である。
この巻はいよいよ甲子園が始まるという意味で、大事なスタートの巻なのだが、目を引くのはやはり第35話だろう。
上述した二人の名前が明かされた34話の後に、帝徳の三年生の話が置かれた構成は、明らかに意図された残忍さだろう。
彼の名前が黒塗りにされているのは、都立のクソみたいな先輩二人と違って彼が「甲子園に出場しないから」に違いない。
どれだけ努力していたとしても、中学から必死に努力し続けたのだとしても、それでも出場しない選手は甲子園において存在しないに等しいのだから。
ごく最近、甲子園優勝校の主将を務めた方が犯罪を犯すショッキングな事件が舞い込んだが、この巻で描かれる「野球しかなくなってしまった少年が、野球を失ってしまう」という業界の残忍さは、あの事件と地繋がりであるようにも感じてしまう。
ものすごく丁寧に、残忍に描かれた35話は、実にこの作品らしい一話だろう。
それをおいても、甲子園に向けて過去の自分と向かい合う圭と、1番打者じゃないとやる気が出ない藤堂など、彼らのキャラ性を立たせつつ物語が進行させる手並みはさすがの一言。
文句なしに星五つ。
相変わらず、凄まじくエモい作品である。たぶん三回くらい35話では泣いた。