人間はいつから「大人」になるのだろう?
両親の死によって、独身の叔母・槙生に引き取られた中学生・朝。
家にこもりきりの小説家である槙生は、独特な感性の女性。
一方で、朝は両親が死んだことに対して現実感を持てない、大人びた少女。
似ているようで正反対の二人が、日々の暮らしの中でやがて心の距離を近づけていく作品。
槙生が仕事に熱中するのを、さりげなくサポートするしっかり者の朝。その姿はお互いの年齢を鑑みると、ちぐはぐな風景でちょっとおもしろい。
けれど、家の外側や、人間関係のこととなると、槙生は迷いながらも、母性というよりは理性によって、的確な言葉で朝を導く。
15歳の朝にとって、それらの言葉はすぐに理解できないこともある。けれど、現実と照らし合わせながらじわじわと納得していく健気な姿がとても印象的。
では30歳を手前にした自分は槙生と朝、どちらに近い地点にいるのだろう?と考える。
「自分はまだまだ子供」だと思う。けれど、朝が戸惑っている幼い姿を見ると「こうしたらいいよ」と言ってあげたくなることが多々あった。
どんなに大人びていても15歳の朝が大人ではないように、アラサーの私も着実に大人になっているのか、と気づかされる。
槙生を「違国」と感じながらも、朝も確実に「大人」へ近づいている様子を、そっと見守っていきたい。
感情タグBEST3
じわる
しれっとジュノさんの作品の表紙ラフ!
よく作中で人殺すと言われるジュノさん。
これは確かに殺しますわー
今思うと少女小説の作家、って設定が絶妙。
少女小説といえば、漫画ほど誰もが通る道ではなく、内にこもりがちなティーンのための優しい話で、エログロがなく、剣と魔法がなくてもファンタジー。
現実から一時的に匿ってくれる存在って作中話してたのはすごく納得。少女小説ってそんな存在
まきおちゃんが書くのは誰かに匿ってくれる場所を提供するためなのかも。
相変わらず理解できたり理解できないことがあったりして、最新刊が出るたびに最初から読みたくなる。
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『「ねー、なんかさ、あたしたち仲良くなったよね」「夏休みにどこにも行かない程度にね」「あは!!」』
ずっと自分探しを続けていた朝がようやく落ち着く。自分は槙生さん目線なのでもっとゆっくりでいいのにと思ってしまうけれど、朝が大人になったことで少し変わった二人の関係性は好き。
砂漠の描写が好き。
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今一番新刊を心待ちにしている本の一つ。
page42と43の流れが好きだ。
横にどーんと広いコマ三つの展開。
ヤマシタトモコさんのシンプルな線で描かれる世界の切り取り方が好きだ。
同じフォーマットの中で繰り返される日常、その中で朝とその周りの人たちと話して1日が過ぎていく、それを切り取る・・・みたいな。シンプルな線と深く切れ味の良い科白と、表現の広さと。
そのあとのpage43の朝の独白。
船のくだり、ぐうっと胸の真ん中を掴まれたよう。
健やかに育つ若いのちを見守るのは、なんで嬉しくてそして寂しいのだろうか
裏表紙の槙生ちゃんの科白そのものだ。
ネタバレ?
作中ものすごくマキオさんが悪い顔をしているコマがあります。
えっ?こんな顔だったっけ?
と、思う位悪い顔です。
ですが、とても気持ちが移入出来ました。
わかりあえない → わかりたいけど を経て
「相手を想像してみよう」にたどりついたような気がする今巻
雑な感想だけど「尊い…」と思う
創作はしないけど「書かずにいられない」性分なので、「どうして書くの?」と聞かれると、自分も困るなぁなどとも
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2人が会話する時そばにコップがあるのが好き。
"聞いてるけど聞いてない"を特技としていた朝が槙生ちゃんの返答を待っていることに毎回嬉しくなってしまう。
どこにも行けない
朝はあっという間に高校2年生になっている。
軽音部での出来事や、進路に悩む。
孤独を愛し孤独に愛される槙生も、他者との関わりの中で刺激を受けている。
閑話休題的な
話が進むわけではなく、キャラ達の日常会話が溢れる巻でした。
子供の頃に槇生ちゃんみたいな人が側にいたらどんな子供時代になっただろうかと、考えてしまう。朝はこの先、どんな事が起ころうとも槇生ちゃんがいるかぎり、真っ直ぐなまま大人になって行くのだろうか。
槇生ちゃんのラノベ読みたいわ~
今回は二人のおはなし
槙生さん、朝ちゃんとの関係が中心の巻。
最近は周りの人のことが多かったので、二人が中心なのは久しぶりかも?
自分自身、若い頃から思慮が浅かったんだなーと改めて思います。この本を読む度に。なので、読んでいる間や読んだあとは、有り難いことに色々なことに思いを巡らせています。
朝ちゃんが、『これから先に意味が分かることがあるかも』と話していて、自分もその経験があるので、“過去に言われたことが後になりストンとおちる”感覚を思い出しました。本当にこちらの本、言葉、間、が凄いなーと思います。
“もしも”の話にクスリと笑ってしまいました。ふふ。
次巻も楽しみです。
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夏休みにどこにも行かないくらいの仲良しという表現で伝わる絶妙な雰囲気。
人それぞれ生活にあくせくしながらも、おのおの胸の内には色んな砂漠と色んなオアシスがあるもので。
それが人生だよなー。
なんかベースばっかし
ギターが出てこない、みんな弦が4本しか無い。
軽音ならギターの方が多い気がするけど、
絵に描くのはベースの方が楽ですね。
お好みで。
匿名
第九巻
高校二年生の夏になった朝にはあることが気になっていた。
それは「才能」とはなにかということだった。
家に笠町が来て三人で話しているときに持ち上がったその議題は途中で終わってしまったが後日もう一度話題になったときに槙生に聞いたときに彼女が言ったのは才能とは「やめられないこと」だという……。
「才能」を持ついろいろな人たちを見てきて思うのはやっぱりやめずに続けることだなぁと、その人たちが血を流すかのようなつらい目に遭わされてもそれらを続けているのを見てそう思ったのを思い出した。
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才能とは。
自分にない、欲しかったものとは。
考えてもわからないかもしれないけれど、考え続けていきたい。
この本はその答えを一緒に考えてくれる。
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朝のように真っ直ぐに受け止めて真っ直ぐに疑問を持って真っ直ぐ投げ返す部分がまだ自分にもあると思っていると同時に、槙生のようにいじけた大人になってしまったと思うことがある。だけど槙生と同じように朝の真っ直ぐさが羨ましくも思う。そんな真っ直ぐにもがき悩み進む朝を見てるとなんだか妙に泣きたくなる。
「無力感を肯定しないでいてあげたい。まだ行けるからまだ止まらないでって。」という槙生の言葉に共感した。無力でいることは心地がいいからそこで立ち止まる人の方が多い気がしているけど、思考停止ってものすごく寂しい。もしかしたら肯定しないことってエゴイスティックで傲慢かもしれない。それでも人間を信じたい。
ドラマチックさはないけれど
各エピソード、何が起きるということもないけれど、何気ない会話の応酬に、じわじわと沁み込むものがあったり、考えさせられたりします。
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自分よりできるっぽい人を見て、自分は立ち止まりそうになる。どうせどこにも行けないし、と言い訳するのは、どこに行けるかわからないから。でもどこかに行きたいし、その背を押してほしいし、行く先を照らしてほしい。朝が成長しているなぁと思うと同時に立ち止まりそうだなぁとも。槙生さんが薦めてくる本が『ふたりはともだち』なのが最初は意外に思ったけどちょうどしっくりきた。相手を否定しないし自分と同一視しないようにするけど隣にいるがまくんとかえるくんの話と思えば。それにしても木星さんかわいいですね。
Posted by ブクログ
漫画で些細に描かれる問題を自分事として受け取ったことのある人には非常に刺さると思う。
不満があるとすると、朝ちゃんが何にでもなれる、つまり空っぽな人として描かれすぎていること。逆に、あさチャンの特性はマキオと対立しないので、マキオの主張を分かりやすくさせるための装置になっていないという長所を生んでいる。評価が難しい。
あと、これは、繊細な問題なのだけど、自死の評価が「最悪」なのかどうかは未決かと思う。その人の生にとって「最悪」なのか、自体の収め方として「最悪」なのか、とある人からして「最悪」なのか、色々な意味が取れてしまうから、それこそ物書きであるマキオ君に「最悪」という言葉を使って欲しくなかった。(でも最悪な出来事=自死であるとは明確には述べられていない。私が感想を述べることで、「つまり、あなたにとっての最悪とは自死なんですね?」と提示された形か。ずるーい。)
ガサツな言葉で日々を生きるような粗雑さを体現する私には難しかったです。
Posted by ブクログ
朝がなんか輪をかけてのびのびというか、
あー女子高生なんだよなーって感じで
ずっと張り詰めてた部分が時が経ってようやく緩んできたのかなーなどと
あの時代特有の悩みや壁はあるだろうけどこのまま槙生ちゃんや周りの人の影響を受けてまっすぐ育ってほしいなぁ
Posted by ブクログ
「あのとき槙生ちゃんが言ったこととかー
もっとずっと後で意味が分かるのかなって最近思った」
いやそれが、それこそが成長なんだろうなというコミュ障叔母&孤児姪ふたり暮らし漫画の9冊目。
槙生ちゃんの作家仲間おしゃべりとか、イラスト担当者との交流とか、ただの謎の小説家だったところからずいぶん人間らしいところが描かれるようになってきました。
これは 朝 の世界の解像度が増してきたことに比例しているんだろうなと思いながら読んでいます。
「作家が自意識過剰じゃないことなんてあるか?(なめとんか?我作家ぞ?)」
少し読みづらくなってきた。
現在と過去、記憶だったり想像だったり、視点や場面が飛んだり戻ったり、入れ替わったり、繰り返したりします。
そういう作風というか手法なのでしょうが、2つ前の巻あたりからさすがに読みづらく感じる程に多くなってきました。
繊細で複雑な心情を描く上での演出として決して悪いとは言いたくはないのですが、
今回もその描写が多く、さらに定点カメラ視点のような描写まで加わり、ギブアップ寸前です。
お話やキャラクターは好きだし、先も気になるのですが、話が大きく進まない巻は特に煩わしく感じてしまいました。