【感想・ネタバレ】違国日記(7)【電子限定特典付】のレビュー

人間はいつから「大人」になるのだろう?

両親の死によって、独身の叔母・槙生に引き取られた中学生・朝。
家にこもりきりの小説家である槙生は、独特な感性の女性。
一方で、朝は両親が死んだことに対して現実感を持てない、大人びた少女。
似ているようで正反対の二人が、日々の暮らしの中でやがて心の距離を近づけていく作品。

槙生が仕事に熱中するのを、さりげなくサポートするしっかり者の朝。その姿はお互いの年齢を鑑みると、ちぐはぐな風景でちょっとおもしろい。
けれど、家の外側や、人間関係のこととなると、槙生は迷いながらも、母性というよりは理性によって、的確な言葉で朝を導く。
15歳の朝にとって、それらの言葉はすぐに理解できないこともある。けれど、現実と照らし合わせながらじわじわと納得していく健気な姿がとても印象的。

では30歳を手前にした自分は槙生と朝、どちらに近い地点にいるのだろう?と考える。
「自分はまだまだ子供」だと思う。けれど、朝が戸惑っている幼い姿を見ると「こうしたらいいよ」と言ってあげたくなることが多々あった。
どんなに大人びていても15歳の朝が大人ではないように、アラサーの私も着実に大人になっているのか、と気づかされる。
槙生を「違国」と感じながらも、朝も確実に「大人」へ近づいている様子を、そっと見守っていきたい。

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購入済み

読み続けたいし、きっと読み返す

ずっと好きで、最初から読んでいます。
宝物のように何度も読み返します。救われた、というのが適切な言葉かどうかわかりませんが、いつも読むと新しい発見があり、それは生きる元気をくれます。

2
2021年02月14日

ネタバレ 購入済み

今回も名言続出

「誰のために何をしたって人の心も行動も決して動かせるものではないと思っておくといい」という槙生さんの言葉に
「そうそう!!!」と心の中で膝を打っていた。
私は、スポーツ選手とかが「見てくれる人を感動させたいと思います」という度に違和感を持つ。
本当はそうじゃない理由があるんだろうけど、「人を感動させる」目的を正義とする風潮が私はキライ。
それこそそういう「感動させる爽やかキャラ」であることを求められるのが今のスポーツ選手とかなんだろうけど
「トップになりたいから」「自分が楽しいから」、と言える世の中になって欲しい、
なんてことを思い出しながら読んだ。

そうは言いつつ、千世ちゃんの行動に、医大入試の女子受験者減点のニュースを知りもしなかった男の子が
心動かされ、SNSにそれを書き込んだり、
朝ちゃんの歌う姿が千世ちゃんの心の何かに少しでも触れる。
動き続ける世界が、美しい7巻でした。

2
2021年02月08日

購入済み

だれのために?

自分が世界を変えられるとは思っていないけれど、そういう行動って尊いですよね。
何かに強く憤ったり、迷ったり、若いって素晴らしいと俯瞰的に思うけれど、歳をとってもあんまり変わっていないかもしれない。

1
2021年08月23日

購入済み

胸が苦しくなります

若い頃のモヤモヤを思い出します。
その苦しみを抜けた、魅力的な大人たちの言葉が刺さって、グッときます。
表からではわからない苦しみや、生きづらさを抱えている人たちに想いを馳せて、色々と考えさせられます。
若さの美しさと、大人の楽しさと、両方味わえます。

1
2021年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ


キャラ…これ中高生あるあるだと思う!本当に厄介。キャラのせいでしたい事出来なかったし、出来たこともある。〇〇はいい子だから、頭いいから、運動神経悪いから、優しいから、怖いから、結局呪縛は自分で解くしかない…かな…?あの時の自分は出来なかったけれど

0
2022年03月15日

Posted by ブクログ

子どもも大人も窮屈な偏見や価値観に傷つき闘いながら生きている。大人になって自分で自分を守れるようになってもひょっこりそのころの自分が顔を出したり苦い想いをしながら。そのへんの難しさや生きづらさを『違国日記』はみせてくれる。それぞれ違国。それ認め合う。朝の歌う姿がかっこいい。

0
2021年02月28日

Posted by ブクログ

読み進めていると、なぜかわからないうちにじわじわと泣きそうになった。でも別に泣くような話ではないはずなのに…と思って、自分でも不思議だった。

今までの巻とは違って、性別に関するネタがたくさん盛り込まれている?気がして、私はそれらを許さないと思っているけれど、そう表明してくれるキャラクターに何か少し救われたなと思った。

34話後半から胸がぎゅっとなって、そこから35話終わりまでの爽快感がすごくよかった。

一巻の帯に「人生の本棚に入れたい本」という言葉があったことを思い出した。

0
2021年02月23日

Posted by ブクログ

〉わたしの父はいったい「誰」だったのだろう

〉「男社会の洗礼」
〉おれはそこから降りる。もうその土俵には乗らないと決めたら急にいろんなことが楽になった。

〉「母の日記には真実だけが書いてあると思うか」と彼女はきっと答えないと知っていても訊きたかったがそうできなかった。
なんでもないことのように訊けばよかったができなかった。

〉でも生きている私にはどんなにくだらないことでも悩む権利があった。
〉わたしたちにはどんなにくだらないことでも生きている限り悩む権利があった。

〉たとえば10年後に誰かが
「そういや朝、コンコースのところで歌ったよね、あれいつだっけ?」
きっとそれだけでもわたしは世界を変えたのだ。

>「I witness you」

亡き母の日記を読み進めていく朝。
思春期らしい悩みと戦いながらも季節はめぐり、大人たちを置き去りにして成長していく、第7巻。

朝の周囲は皆、「世界」と戦っている。
男社会の洗礼だったり、受験の女性差別だったり、父の呪縛だったり、社会と関わることだったり。
朝もまだそうとは知らないまま両親の呪縛に囚われているが、今は自分の内面だけを見つめている。

ただ、朝のクラスメイトや部活の先輩など出てきて、少し描写される世界が広がったように見える。朝の視点が広がったのだろうか。

0
2021年02月23日

Posted by ブクログ

フィフティ・ピープルが出てきたとTwitterで知り、一巻からまとめ読み。没入。蛹の中でモゴモゴしているような読後感。

0
2021年02月19日

Posted by ブクログ

自分でも気付かぬうちに開いていた心のきずに
そっと塗り薬を塗布してくれてるみたいな
どうしてこうも泣けるんでしょうかと思いながら
毎話読んでいます
出てくる言葉をもっと知りたくて
朝みたいに辞書で検索しながら
ゆっくり読んでいます
こんなに読み終わるのに時間をかける漫画は
違国日記だけだなあ

0
2021年02月17日

Posted by ブクログ

・なんかあの人って誰?だったのかなって。
・より危ないことをしたやつが勝ち より女の子をモノ扱いできるやつが勝ち より楽をしていい目を見たやつが勝ち
・もう全世界から謝って欲しい この世はクソ
・はぇーーーキャラ‼︎ どーーでもよくなーーい‼︎?
・「なにを書くか」より「なにを書かないか」なんじゃない?
・するすると 大人になっていくな
・世界中で自分に関係のないことなんてない


さあーて。
今巻も珠玉の名言がてんこ盛りでしたぞ。
森元JOC会長の女性差別発言騒動もあり、医学部不正入試をここで持ってくるたぁイイね!を100回押したいくらい。
男も自分たちで決めつけている男らしさから降りたらもっと楽になれるんじゃないかな。下駄を履かせてもらって、2分の1の確率でたまたま持ち得ただけの性をもって女性を踏みつけて生き続けるのもしんどいでしょ?弱音も吐けない、先輩に腹バンされても部活をやめられない、男に二言はない、男たるもの……すべてが呪い。

というのを笠町くんは悟ったわけです。
そしたら「人間らしくなれた」
この笠町くんのエピソードと、朝の父親(存在感のない)の話と、医学部不正入試で絶望に心が折れてる女の子の話は、実はつながっているのだよ。

違国日記。
本当に内容が深いなぁ。

0
2021年02月12日

Posted by ブクログ

ひらひらと舞い散る言葉を、落とさないように、丁寧に掬おうとする自分がいます。

言葉を掬うと、過去の自分、今の自分が、透けて見える気がします。

たくさんの後悔を思い出しながら、掬った言葉を口に放り込んでは、丁寧に生きよう、そう思います。

この漫画は、私にとっての解毒剤です。

0
2021年02月08日

ネタバレ 購入済み

救われる。

自分の中の霧が晴れました。
色々制限して勝手に我慢していたのは、私。
誰が決める事でもないんです。まきおさんのお友達の一言に救われました。

0
2021年02月08日

Posted by ブクログ

東京五輪組織委員長の女性差別発言が物議を醸す昨今、タイムリーな7巻でした。

男女平等とは男の既得権益が損なわれることと思っている男性諸氏の皆さまにも、ぜひ読んでいただきたい。

女性が『女はこうあるべき』と言う呪いに縛られているのと同じくらい、実は男性も『男ならこうあるべき』と言う呪いにガチガチに縛られて自由な生き方が出来ずにいるということに、案外気付いていない人が多いように思います。

男社会の土俵を降りて、『人間』になった笠町くん、『キャラ』なんて気にしてたら自分の本当の気持ちがわからなくなるよと自らを振り返って言うもつ。
主人公、朝の周りの大人たちは魅力的な人が多くて、こういう大人たちに囲まれた10代を過ごしてみたかったな〜と羨ましいです。

不器用だけど真摯な槙生のセリフも、毎回胸に刺さります。

0
2021年02月08日

購入済み

主人公達が魅力的

両親を事故で亡くすというハードな環境の主人公を取り巻く、ハードで魅力的な人達。人生楽しい事ばかりではない事が、苦しい事ばかりではない事が、綴られている。今後の主人公達の生き方が楽しみです。

0
2021年02月08日

Posted by ブクログ

表に出ている部分と裏に抱えている問題、どうして丁寧にここまで描けるのだろう…。
槙生の相手を尊重する在り方がいい。
朝の感情の変化も。
何回も読み返して考えたい。

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2023年12月29日

Posted by ブクログ

自分は特別って思いたい気持ち、何者かであることを証明したい気持ちわかるーー!特に中高生のときは考えていた気がする。。親がどうとか、周りがどうとかではなく、自分を磨いていくしかないんだよなー

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2023年03月30日

購入済み

自分はどうだったか

数年前に父を看取ったが、父がどんな人だったかなんて思った事はなかった。
後からわかった事は幾つかあって、一面を顧みたりしたけど。
早くに急に失うと想うのかな?
朝 の心情が苦しくなる。

#感動する #切ない #深い

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2021年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

呪縛。女らしさ、男らしさ、母親像、父親像、自分のキャラ、あの子のキャラ、立ち位置、目立つとか、目立たないとか。自分を縛る理不尽に腹が立っても、しかし誰に怒っていいか、わからない。

「降りた」という笠町。教室で吠えた千世。朝は歌うことにする。自分のしたいときにだけ、したいことをする。人のためでなく、人がどう思うとも関係なく、誰かを変えるためではなく。それが、誰かの心に響くなら、誰かが覚えていてくれたなら、誰かを変えたなら。それはあくまで結果でしかなく。

自分の本当になりたいものは何だろう。世間や社会に求められている姿ではなく。朝のいう「なりたい自分になりたい」とは。朝は少しずつ、自分の姿を捉えようと考えを進めている。槇生から受け取る言葉、友人の何気ない言葉、聞けなかった母や父の言葉。槇生ちゃんはなりたい自分になれているのかな。100%なりたい自分ではないのかもしれない。諦めているのか、手放しているのか、制限しているのか、わからないけれど、満足しているようには見えない、でも足掻いているのを朝には見せないようにしている?

ゆっくりでいいから、自分のしたいことを、したい時にできるようになりたい。世界はいきなり変えられないけど、それで、自分は生きていけるように。もしそれが誰かに届いたらまたとない僥倖だけど、最初からそこは願わずに。

BUTTERにも誰かにやいやい言われることより、他人の評価を気にするより、自分の心のままに動こう、というメッセージがあったと思う。作者の伝えたいことが変奏曲となってここでも描かれているのかな。自分のために生きる人にエールを。

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2021年02月09日

購入済み

好きだなぁ

ヤマシタトモコ作品の中でも一番好きだ。

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2021年02月09日

Posted by ブクログ

あー刺さるー
随所でグサグサと刺さってくるー
この感覚が苦しくもあり楽しくもあるからどんどん読んじゃう

最近は朝が少しずつ大人になっていってるのを槙生ちゃんみたいな気持ちで見てる


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2022年05月18日

Posted by ブクログ

「朝の父親」にまつわるエピソードがメインに関わってくる第7巻。これまであまりにも語られてこなかったので、すっかり存在すら失念していたけれど、いなかったわけではないし朝の成長に少なくない影響を及ぼした人であったはず。そこに目が向き始めたということは、朝がまた成長の一歩を踏み出しているということなんでしょうね。槙生の、姉や朝に対する感慨もわかります。このお話はどう着地を迎えるのかなぁ。

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2021年02月26日

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