――クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、歴史は変わっていたかもしれない。
こんな名言が誕生するほど、昔から議論の的となっている「美醜」。
この作品は、美しかった大女優の母・淵 透世と違い、醜い容姿で周囲からいじめられている累(かさね)が、母に託された口紅の不思議な力で他者の顔と入れ替わり、望みを叶えていく物語。
口紅という変身アイテムに「テク○ク○ヤコン」的なキラキラ魔法変身少女を期待すると、大きくしっぺ返しを食らうのでご注意を。
累が葛藤するたびに母の幻影が現れ、悪魔のような囁きを続ける。さらに一度覚えてしまった「人に羨望のまなざしを向けられる快感」は、麻薬のように累を虜にし、次の欲望を生み出す。
累の名前は江戸時代に流布した「累ヶ淵」という怪談を彷彿とさせ、物語に登場する人々の執念は底知れぬ淵にも似たものがある。
累の絶望を知ってなお、「人は見た目じゃない、心だ」と言えるだろうか?
作者はまだ新人とのことですが、これが初連載作とは思えないほどの構成力で、特に目力が素晴らしく引きこまれます。表紙の美しい瞳に魅入られたら、ぜひ。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
野菊の企みはすべてバレていた…
裏切られた累はショックを受けつつも、吹っ切れる
完全に母と同じく顔を提供するだけの駒となる
誘の過去編
忌み子として生まれた誘は隠されて育つ
ある日顔を交換できる口紅を手に入れ、村に火を放ち逃げる
たまたま転がり込んだ劇場で透世と出会う
演技が苦手な透世の代わりに舞台に立ち、最初こそ有効的な関係だったが与との結婚を機に徐々に歪になっていく
そして顔を交換していることを気づかれ、屋敷から追い出されるが残された透世は女優としての魅力がなく与は狂っていく
累
最初に全てのプロットを組んで書き始めたのかな?と思うくらい絶妙なバランス加減で進むストーリー。過去の回想も面白いがやはり現在で起こる演劇でのドラマが面白い.