【感想・ネタバレ】累(12)のレビュー

――クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、歴史は変わっていたかもしれない。

こんな名言が誕生するほど、昔から議論の的となっている「美醜」。
この作品は、美しかった大女優の母・淵 透世と違い、醜い容姿で周囲からいじめられている累(かさね)が、母に託された口紅の不思議な力で他者の顔と入れ替わり、望みを叶えていく物語。
口紅という変身アイテムに「テク○ク○ヤコン」的なキラキラ魔法変身少女を期待すると、大きくしっぺ返しを食らうのでご注意を。

累が葛藤するたびに母の幻影が現れ、悪魔のような囁きを続ける。さらに一度覚えてしまった「人に羨望のまなざしを向けられる快感」は、麻薬のように累を虜にし、次の欲望を生み出す。
累の名前は江戸時代に流布した「累ヶ淵」という怪談を彷彿とさせ、物語に登場する人々の執念は底知れぬ淵にも似たものがある。
累の絶望を知ってなお、「人は見た目じゃない、心だ」と言えるだろうか?

作者はまだ新人とのことですが、これが初連載作とは思えないほどの構成力で、特に目力が素晴らしく引きこまれます。表紙の美しい瞳に魅入られたら、ぜひ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月02日

羽生田と累が再会
羽生田の舞台の内容は、誘の過去
人を殺した誘は舞い踊る
その美しい瞬間を舞台にしたのだった 

一方、野菊を呼び出し、舞台が終わればもう顔の交換はしない&自分に何をしてもいいという条件で最後に一度だけ顔を交換してほしいとお願いをする
だが役が掴めない幾と累
累の顔をもらい醜女の気持...続きを読むちを知ろうとする幾だが、精神的にもたない
一方で羽生田と野菊は累が顔の永久交換しようとしていると予想し、手がかりを得るために口紅の研究をしている大学へ行く

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月13日

"普通の人間"という表現が正しいかは別として、そのように生まれたものならば、通常は、思春期に形成されるアイデンティティ。他者との関わりの中で、比較し、落ち込んで、時に悲嘆し自らを否定し、時に優越感に浸り、外見の美醜や、内面の至らなさに恥じ、消えたいと願う夜や、強く輝きながら迎える...続きを読む朝を何度も繰り返すことで、"自分"を探していく。そんな悩み、もがきながら生きる自分を肯定してくれる存在に勇気や希望をもらいながら。
ところが累は、この行程がごっそりと抜け落ちている。常人には理解できないほどの強い自己否定感はここから生まれたもの。アイデンティティが形成されないまま成長した累にとって、人生で初めて"自分"と向き合うきっかけとなったのが、母からの形見である口紅。今まであれだけ焦がれた美を、紅によって手に入れた累が初めて、"美しさ"に疑問を持つ場面が描かれる。
累が見つけた"自分"は何なのか、どのようにこの物語が終わっていくのか、すごく興味がある。

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Posted by ブクログ 2018年03月10日

母が最期にかさねへ送った言葉とは…?とても気になる。どう風呂敷を畳むのか、クライマックスへ向けて期待が高まる。

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